帝劇ミュージカル ミス・サイゴン
2008年7月27日 舞台演劇 コメント (1)夕方から、帝劇でミュージカル『ミス・サイゴン』を観てきた。
e+の半額につい釣られて観劇(^^ゞ。座席はもちろん1階後方で、オペラグラスは必須。
去年の『レ・ミゼ』に続き、夏に拝見したい役者さんもいるキャスト。
私には初『サイゴン』。戦争についての物語かと思って二の足を踏んでたが、ちょっと違ってた。
陥落直前のサイゴン。アメリカ兵とベトナム少女の若い男女の出会いと恋、やがて生まれた子供の幸せを願う母の姿を軸に、戦禍に翻弄され生きた人たちを描いた物語。
お金をかけた豪華絢爛なステージ、大人数のキャストやアンサンブル、全編音楽で綴られる超大作ということで、当然『レ・ミゼラブル』と見比べてしまう。
音楽はアジアンテイストなのか、聴き慣れていないメロディーばかり。高揚感も少なく地味目で、印象に残る曲はまだ見つからず。
アンサンブルによる宗教めいた独特の行進や、アクロバットの数々は見どころか。
圧倒されたのは凄い舞台装置。轟音と共に、ステージ上からヘリコプターが飛来して着地。兵たちが乗り込み、再び上へ上へと巨体を浮かせる。本物ではないだろうが、舞台でヘリを目にするなんてビックリだ(゜o゜)。黄金色の巨大なホー・チ・ミン像も、ロボットみたいでよく造形されている。「アメリカの夢」として現れたキャデラックはまさに本物の美しさ。こういったものを観れただけでも満足としよう。
このミュージカル超大作をオリジナル・演出で見られるのは日本のみ、が謳い文句。だが外見の華やかさに比べ、物語の中味にはあまり共鳴できず疑問や不満が残る。
フランス系ベトナム人エンジニアは、ある意味、語り部の役どころだろうか。経営するキャバレーは、一種の娼婦の館。戦争で天涯孤独のキムの名は”キムスメ”から付いたみたいに強調w。ベトナム人のキムとアメリカ兵のクリスは互いに一目惚れのようだが、恋を語る前にベッドインというのに抵抗。
戦場にはセックスが付き物というが、やたら女性の下着姿や肉体の露出が多く、キスやセクハラシーンもいっぱいなのが困りモノ。女を殴る蹴る、銃で撃つシーンも時代背景として必要だとしても、あまりに痛々しい。戦中も戦後も、常に大きな勢力にビクビクしながら、食べる為に身体を売る女たち。夢も希望も見えない、陰鬱で暗い空気感がたまらなく嫌だ。
片や、アメリカ人は豪勢で、戦争をとにかく忘れ去ろうとする。「アメリカン・ドリーム」を唄ったナンバーも派手で華やかだが、反米感情を煽って滑稽で憎たらしい。
象徴するのがクリスで、戦中にキムと引き離されたとしても、戦後に何故彼女の消息の調査や追及をしなかったのだろう。新しい人生を始めようとアメリカ女エレンと結婚するが、これでは二股もいいところ。いつも考えるのは自分のことばかり。散々イイ思いをしてキムと結婚したクセに、今の自分に用無しだと思えばさっさと捨てる。利己主義の固まり、想像さえ出来ない頭の硬く肝っ玉の小さい男でガッカリした。
キムの一途な姿に共鳴することはあれど、クリスの非情な仕打ちは腹立たしい。結局、キムは騙されたのに信じ続けた愚か者。永遠ではない偽りだった愛には、涙ひとつ出なかった。
今回観たキャストはなかなか当りだったかも。
市村正親@エンジニアは、したたかな商売野郎だが、市村さんがやるとコミカルで憎めない男になる。二幕の赤いジャケット姿が、どこかルパン三世風で笑えるw(フランス野郎だし)。二幕の「アメリカン・ドリーム♪」は見事な歌唱力で楽しい歌と軽快なダンスを披露。たっぷり10分間は楽しめて圧倒された。
新妻聖子@キムは、出会いの初々しさも可愛く、母となった凛とした表情や演技も素晴らしい。白いブラとパンティを出して着替えたり、ブラを外したりと結構露出度高し。しかも胸デカイw。前半は歌声があまり通ってないようだったが、後半にかけて高めの声も綺麗に出て会場を沸かせた。
原田優一@クリスは、歌声に張りがあるがもう少し声量も欲しい。デュエットでは新妻さんがリードか。一幕の純情で真面目そうな顔はいいが、二幕からはキャラ的にも軽薄そうで偽善者に見えちゃう^^;。
岡幸二郎@ジョンは、スマートでハイバリトンがよく通りイイ声。でも橋渡し的役だけなのが勿体無い。
鈴木ほのか@エレンは、姉さん女房に見える。子供をしっかり抱き締めていた場面は良かった。
子役の中西龍雅@タムは可愛い。赤い服では、市村@ルパンとお揃いに見えて親子みたいw。
タムは一応3歳の設定なのかな。あの歳で、殺されそうになったり、殺人や自殺を目の当りにしたりと、悲惨な過去がトラウマになったら可哀想。
二幕目冒頭に流れる子供たちの映像が印象的。アメリカ人とベトナム人の間に生まれた子供達があんなにいっぱい。愛らしい表情の中に滲む哀しみ。みんなみんな『ポニャ』と同じ子供たちなのに。人間って何て酷い生き物なのだろう。
終演後、沢山の拍手の中、キャストが登壇。最後に登場した市村さんが手を広げて、右袖から出たタム@中西くんを待ち構えたが見事にスカw。鈴木さんのほうへ行った中西くんは、鈴木さんと新妻さんの真ん中で両手を握られていた。
本編でもネタで使われ爆笑を誘ったが、ここでも市村さんが「UCセゾンカード会員様 及び eプラス会員様」と客席にご挨拶。「初演から出演させて頂いておりますが」ここで拍手〜「(再々演を迎え)これもひとえに私の努力の賜物…」でまた爆笑。「それは冗談ですが…」と快調にトークを飾った。
カテコは3〜4回で、恒例の花束投下もあり。盛大に終演した。
見応えのある舞台だったが、物語的に好みじゃないのが残念^^;。
7〜10月のロングラン公演だが、これが私の見納めになるのだろうか。
e+の半額につい釣られて観劇(^^ゞ。座席はもちろん1階後方で、オペラグラスは必須。
去年の『レ・ミゼ』に続き、夏に拝見したい役者さんもいるキャスト。
私には初『サイゴン』。戦争についての物語かと思って二の足を踏んでたが、ちょっと違ってた。
陥落直前のサイゴン。アメリカ兵とベトナム少女の若い男女の出会いと恋、やがて生まれた子供の幸せを願う母の姿を軸に、戦禍に翻弄され生きた人たちを描いた物語。
お金をかけた豪華絢爛なステージ、大人数のキャストやアンサンブル、全編音楽で綴られる超大作ということで、当然『レ・ミゼラブル』と見比べてしまう。
音楽はアジアンテイストなのか、聴き慣れていないメロディーばかり。高揚感も少なく地味目で、印象に残る曲はまだ見つからず。
アンサンブルによる宗教めいた独特の行進や、アクロバットの数々は見どころか。
圧倒されたのは凄い舞台装置。轟音と共に、ステージ上からヘリコプターが飛来して着地。兵たちが乗り込み、再び上へ上へと巨体を浮かせる。本物ではないだろうが、舞台でヘリを目にするなんてビックリだ(゜o゜)。黄金色の巨大なホー・チ・ミン像も、ロボットみたいでよく造形されている。「アメリカの夢」として現れたキャデラックはまさに本物の美しさ。こういったものを観れただけでも満足としよう。
このミュージカル超大作をオリジナル・演出で見られるのは日本のみ、が謳い文句。だが外見の華やかさに比べ、物語の中味にはあまり共鳴できず疑問や不満が残る。
フランス系ベトナム人エンジニアは、ある意味、語り部の役どころだろうか。経営するキャバレーは、一種の娼婦の館。戦争で天涯孤独のキムの名は”キムスメ”から付いたみたいに強調w。ベトナム人のキムとアメリカ兵のクリスは互いに一目惚れのようだが、恋を語る前にベッドインというのに抵抗。
戦場にはセックスが付き物というが、やたら女性の下着姿や肉体の露出が多く、キスやセクハラシーンもいっぱいなのが困りモノ。女を殴る蹴る、銃で撃つシーンも時代背景として必要だとしても、あまりに痛々しい。戦中も戦後も、常に大きな勢力にビクビクしながら、食べる為に身体を売る女たち。夢も希望も見えない、陰鬱で暗い空気感がたまらなく嫌だ。
片や、アメリカ人は豪勢で、戦争をとにかく忘れ去ろうとする。「アメリカン・ドリーム」を唄ったナンバーも派手で華やかだが、反米感情を煽って滑稽で憎たらしい。
象徴するのがクリスで、戦中にキムと引き離されたとしても、戦後に何故彼女の消息の調査や追及をしなかったのだろう。新しい人生を始めようとアメリカ女エレンと結婚するが、これでは二股もいいところ。いつも考えるのは自分のことばかり。散々イイ思いをしてキムと結婚したクセに、今の自分に用無しだと思えばさっさと捨てる。利己主義の固まり、想像さえ出来ない頭の硬く肝っ玉の小さい男でガッカリした。
キムの一途な姿に共鳴することはあれど、クリスの非情な仕打ちは腹立たしい。結局、キムは騙されたのに信じ続けた愚か者。永遠ではない偽りだった愛には、涙ひとつ出なかった。
今回観たキャストはなかなか当りだったかも。
市村正親@エンジニアは、したたかな商売野郎だが、市村さんがやるとコミカルで憎めない男になる。二幕の赤いジャケット姿が、どこかルパン三世風で笑えるw(フランス野郎だし)。二幕の「アメリカン・ドリーム♪」は見事な歌唱力で楽しい歌と軽快なダンスを披露。たっぷり10分間は楽しめて圧倒された。
新妻聖子@キムは、出会いの初々しさも可愛く、母となった凛とした表情や演技も素晴らしい。白いブラとパンティを出して着替えたり、ブラを外したりと結構露出度高し。しかも胸デカイw。前半は歌声があまり通ってないようだったが、後半にかけて高めの声も綺麗に出て会場を沸かせた。
原田優一@クリスは、歌声に張りがあるがもう少し声量も欲しい。デュエットでは新妻さんがリードか。一幕の純情で真面目そうな顔はいいが、二幕からはキャラ的にも軽薄そうで偽善者に見えちゃう^^;。
岡幸二郎@ジョンは、スマートでハイバリトンがよく通りイイ声。でも橋渡し的役だけなのが勿体無い。
鈴木ほのか@エレンは、姉さん女房に見える。子供をしっかり抱き締めていた場面は良かった。
子役の中西龍雅@タムは可愛い。赤い服では、市村@ルパンとお揃いに見えて親子みたいw。
タムは一応3歳の設定なのかな。あの歳で、殺されそうになったり、殺人や自殺を目の当りにしたりと、悲惨な過去がトラウマになったら可哀想。
二幕目冒頭に流れる子供たちの映像が印象的。アメリカ人とベトナム人の間に生まれた子供達があんなにいっぱい。愛らしい表情の中に滲む哀しみ。みんなみんな『ポニャ』と同じ子供たちなのに。人間って何て酷い生き物なのだろう。
終演後、沢山の拍手の中、キャストが登壇。最後に登場した市村さんが手を広げて、右袖から出たタム@中西くんを待ち構えたが見事にスカw。鈴木さんのほうへ行った中西くんは、鈴木さんと新妻さんの真ん中で両手を握られていた。
本編でもネタで使われ爆笑を誘ったが、ここでも市村さんが「UCセゾンカード会員様 及び eプラス会員様」と客席にご挨拶。「初演から出演させて頂いておりますが」ここで拍手〜「(再々演を迎え)これもひとえに私の努力の賜物…」でまた爆笑。「それは冗談ですが…」と快調にトークを飾った。
カテコは3〜4回で、恒例の花束投下もあり。盛大に終演した。
見応えのある舞台だったが、物語的に好みじゃないのが残念^^;。
7〜10月のロングラン公演だが、これが私の見納めになるのだろうか。
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