『最遊記歌劇伝 -Go to the West-』を観てきた。
ご存知、原作は峰倉かずや氏の人気コミック『最遊記』。以前、Axleが2度に渡って舞台化して好評を博したが、今回は原作者も特別協力、毛利亘宏の演出のもと、新たなカンパニーでミュージカルという媒体を介して作り上げた。

物販は峰倉かずや氏のイラスト入りもある賑やかさ。パンフが何故こんなにも高い^^;。パンフ&トートバックのセットで写真1枚付き(トートは完売)。クリアファイル買ってしまった。
DVD予約特典は峰倉氏絵柄ポスター。メイト引取りは500円前金なので一応予約。500円でポスター買ったようなもんか^^;。

最優先予約で買ったチケットだが、当日券の人のほうが何故私より前の座席!? 前方は埋まってるようだが、私の列だけ何故スカスカ? いくら平日昼とはいえ、1階中程から後方、2階席もスカスカじゃん^^;。キャパが広過ぎたようだが、思ったよりリピーターも獲得できていないのか^^;。
中日でDVD収録日とか。終演後にはトークがあるという。どうやらトークやら抽選会やら色々やって、お客を呼び込んでいるようだ。

今回は原作初期のお話。玄奘三蔵、孫悟空、沙悟浄、猪八戒が西を目指す中で、4人の出会いを回想し、三蔵の過去との戦いを描いていく。

最初のほうで4人を始め登場人物全員をお披露目するが、本編に入るまでのプロローグが長過ぎっ。
暗転も多くやたら長く感じ、台詞の掛け合いも弾まず間延びしたりと、テンポが悪くてイライラさせられる。メリハリも殆どなく単調で、途中で眠気さえおきてしまう^^;。脚本や演出を分り易く工夫し、もっとスピーディでシャープな芝居作りをしてくれたら、休憩なしで2時間の舞台におさまった筈だ。

ミュージカルとはいいながら『歌劇伝』。歌やダンスが展開にさほど影響を与えないにしろ、観客の耳目を惹いたり、心情や情景を明確に伝えたりと、少しは目新しい魅力を出してくるのかと思っていた。
だがこの舞台では、歌が全てを破壊している気がする(~_~;)。少しは唄えて踊れる役者を配したのかと思っていたが、殆どがボロボロでヘタクソでガッカリ^^;。声が出ていない。何を唄っているのか分らない。ハーモニーがなっていない。楽曲も心に残るようなものはあまりない。しかも立ちんぼでただ唄っているだけ。心に伝わるものが何もない。ダンスもフリをなぞらえているような不慣れさとちぐはくさで、何とも歯がゆい。しかも『テニミュ』を模したような、対峙シーンや全員コーラスが唐突にもられており、その不出来さには思わず苦笑^^;。
最遊記をミュージカルにしたい!その発想は面白いが、実現に向けてのスタッフやキャストの力不足、稽古不足だったのはあきらかだ。
はっきり言って、歌とダンスがなければ、もう少しマトモな舞台になっていただろう。ストレートプレイだったら、もっと時間も短縮できて、観客に嫌気と疲れを与えなかっただろう。役者も芝居だけに集中できただろうと思う。

鈴木拡樹@三蔵は、線が細すぎてナヨナヨ。鬘や二の腕がイメージと違うのはともかく、元々高めの声をムリに低めにしているせいか、台詞が前にいかず内側に篭って聞き取り難い。アクセントも何かヘンだ。歌になると高音になるし、ヘタなのに何度もピンで唄わされる三蔵が哀れでならない^^;。立ち姿が凛々しくないんだな。やっぱり柄谷さんと関さん以外の三蔵は認められんw。
江流の時の華奢な姿はよく似合う。でも幾ら子供でも仮にも三蔵。声で区別をつけたいのは分るが、あんな可愛い声を出されてもかえって違和感^^;。

怨霊に孫悟空にされちゃったw椎名鯛造は、溌剌としてて可愛かった。バック転も披露しジャンプも高いし、アクションもしっかりこなす。でも自分の出番じゃない場面では、何だか手持ちぶさそうにも見えて、こういう時の悟空はそんな格好しないのに~と思ってしまう。
丸山敦史@悟浄はソフト過ぎて、セクシーさと野性味が足りない。声が高めなのでどうも馴染めない。
逆に、戴寧龍二@八戒は身体がデカいのと同じく、態度もデカく見える(さすがデカレッド^^;)。声に知的なクールさが感じられない。
総じて4人のやり取りからは、会ってまだ2ヶ月くらいしか経っていないような、希薄な関係性や慣れない空気が感じられてならない。

紅孩児@小野田龍之介のダンスは、クルクルと派手で堂々としていて際立っていた。だがみんなが不慣れなので、別物のように目立つし浮いてしまうw。
独角@上野亮は、原作と違って線が細く真面目一辺倒。
唐橋充@ニィは、男前だが狂気っぷりが足りん。RYOHEI@観世音菩薩は、セクシーだが迫力が足りん。

ハリセンも煙草を吸うシーンもなくて、小物的にも物足りなかったな。
Axleの『最遊記』も完璧な舞台ではなかったが、キャストには満足できたし、観終わった後は爽快感がわきあがってきて面白かった。
今回の最遊記の舞台は、そういう気持ちが生まれてこなかったのが残念。キャスト目当てでもないし、私は1回だけで充分だ。


終演後は、ニィ@唐橋充と観世音@RYOHEIの司会でトークショー。ゲストの紅孩児@小野田龍之介と独角@上野亮が、客席通路を通りステージへ。梯子がない中、小野田くんは脚を広げて颯爽と上がる。

小野田くんは何と17歳!踊りも上手く、受け答えも相手をたてながらしっかりしている。上野さんは24歳だが、これが初舞台で受け答えも初々しい。
「王子様とお守役」の関係で、「二人だけの空間」ができ、普段でも仲良しだという2人。上野さんの第一印象を「カッコイーのひと言です」と小野田くん。稽古が始まってからは「龍は俺に対してガツガツ言ってくるようになった」と上野さん。

司会2人が自分のことも含めよく喋って煩い。小野田くんが明朗に喋るのに比べ、上野さんは寡黙なのでプライベート話をさせる。自転車に凝っていて、稽古場まで自転車で来た時はあいにく大雨だったとか。実は電車の路線図もよく見てる”テツ”で歩くエキスパート。

菩薩と次郎神との関係にも似てるってことで、何故か菩薩のワンマンショー「エムナナ♪」(?)。次郎神のパートは上野さん。後方にはこっそり本物の次郎神@堀池直毅も入り、4人でにわかに歌とダンスw。確かにバラードが多い中で、こういうハッピーな歌はキュート。でも本編ではこの場面、三蔵が死にかけている急場なんだよっ(・_・;)。

「そろそろお友達を紹介してもらいましょう」と、椎名鯛造が黒いジャージと半ズボンで急遽登場。大きな声で「ありがとうございました!」と締めてくれた。


トークショーでも話題に出ていた『仮面ライダー電王』だが、上野亮@イッセーとは迷コンビ、尾崎@永田彬も1ヵ月後に同じこの銀河劇場で『YooSoRo!』に出演。
11月は30-DELUXの『ファミリア』で、柄谷さん&拡樹さんという舞台版のダブル・三蔵が奇しくも共演する。
舞台版『ドラえもん のび太とアニマル惑星』を観てきた。
夏休みを過ぎて、観客は小さなお子様と大人たち。
開演前のひと時を和んで貰おうと、ロビーやステージでは、動物の被り物をつけた人達が「夢をかなえてドラえもん♪」の歌を演奏をしながらコーラス。遊びのお姉さんやパンフ売りの人まで客席に繰り出す賑やかさ。前から2番目の座席だったからか、私にまで折り紙で作ったウサギのリストバンドを下さり、すっかり気分イイ。彼らは、実は舞台のアンサンブル出演者たちだった。

原作は藤子・F・不二雄の大長編「のび太とアニマル惑星」。漫画は読んでないが、アニメでは観た記憶。
演出は、「ドラえもん」ファンを自認する鴻上尚史。子どもも大人も楽しめる演劇を求められ『ドラえもん』にされたとか。

人間の言葉で話す動物たちの世界”アニマル星”で楽しく過ごした、のび太やドラえもんたち。だがアニマル星に突然訪れた危機に、のび太やドラえもんたちがアニマル星の仲間とともに、立ち向かっていく話。
豊かな自然に恵まれ、動物たちが平和に文化的に暮らすアニマル星。だが光あれば影もある。<月>に住む「ニムゲ」がアニマル星を妬み、征服しようとやってくるのだ。
”善と悪”の対比は分るが、戦争根絶や環境問題の警鐘という強いメッセージは、演劇版ではたして伝わっただろうか。最後は”国と国”どころか、”星と星”というスケールの大きな対立となり、人数も少ない中のあっけない幕切れに、ファンタージとして見ても少々もの足りない。

ドラえもんは、特殊ゴム製の着ぐるみ。思ったよりは動くけど、体が大きいため扉からの出入りが出来ず、”でくのぼう”ぶりが妙に笑いを誘う。声は、アニメと同じ水田わさび。着ぐるみと声には全く違和感なく、よく喋り、声だけで生き生きとして見える。去年のKOYA-MAPの『喝采』では和服だったが、この舞台でオリキャラのチョイ役でもいいから出演してくれたら、いいサプライズだったハズ。

他は全員生身の大人の役者で、動物役でも上に耳を付けるだけの簡略な被り物。
坂本真@のび太は、ドジさ加減が少なく、漫画やアニメよりも男前度アップw。優しく頑張るところを坂本さんが好演。この前観た映画『シャカリキ!』の教授役とはまた違った、柔らかさと伸びやかさが感じられる。
すほうれいこ@しずかちゃんは、声も姿も可憐。スカートの下がやたら気になったりw。
脇知弘@ジャイアンは、身体は大きく豪快だが優しげな感じ。
小林顕作@スネ夫は、イヤミというよりデシャバリ感。ジャイアンより目立ちたがりで、小林さん本人がやたらテンションが高かった。どうやら小林さんだけA型で、あとの3人はB型らしく、ひとり浮いていた感じw。

チッポ@板垣桃子は、本格的な女優さんで、演技も歌声も明確で伸びやかで気持ち良い。
平野勲人は、男っぽく優しい存在。澤田育子は、のび太のママというよりスネ夫のママ風^^;。
アンサンブルの役者さんは、兼ね役や早替わりも多く、メイン以上のヤル気と熱演ぶりが伝わる。ゴリラの親子が、重要な役割もあって面白かった。「ニムゲ」の首領は『マトリックス』みたいで格好良かったw。

ドラえもんの白い部分を模ったスクリーンが、場面展開やファンタジー性を醸して、上手い使われ方。でも環境破壊の映像は唐突な気もする。
「ドラえもんのひみつ道具」の難しさに笑い。”動物ごっこぼうし”は普通の頭だけの被り物。”植物あやつり機”を木に付けたら、途中で取れちゃうハプニングがあり、そのまま芝居続行せざるをえない状況に^^;。”ジェットモグラ”は人が兼用。ただ飲むだけの”ツキの月”が一番役に立った模様で、私も欲しいぐらいw。
空を飛ぶシーンはやはり難しい。ワイヤー・フライングは気持ち良さげだが、ドラえもんは吊れないのでパタパタ人形で代用。”月”や”木”といい、黒子も活躍。
客席通路を使った芝居や歌の演出は、こういう芝居で効果を発揮。
森雪之丞が提供した新しい歌は3曲。「美しい星♪」は心に沁みる。戦闘シーンで流れた曲は、立ち位置的に『ウェストサイド物語』を連想。

メインテーマ曲「ハッピーディズ・ハッピー♪」は、お正月というより、ドラえもんの誕生日を祝福しているかのよう。みんなで楽しめる歌なので、観客の手拍子も欲しかった。手拍子してたのは私と数人だけなんだもん。出演者も最初に拍子をとってくれるとかして促して欲しかった。
ラストでまたこの歌が流れ、のび太たちが可愛いダンスを披露。ようやく客席の手拍子が大きくなりホっとした。ドラえもんや出演者たちと観客の一体感こそが、この物語の大きなテーマなのだから。

タイトルに『のび太と…』とあるように、主人公はのび太。殆ど出ずっぱりだったせいか、並んだ出演者の中で坂本さんが汗びっしょりでちょいお疲れな顔。お仕舞いまで、満面の笑顔で締めて欲しかった。代わりに、小林さんだけが最後の最後までステージに居残り、脇さんに引っ張られていたw。

7月の沖縄公演からスタートした舞台も今月14日で終了。舞台版の面白さ、難しさをあらためて知ったが、世界中の子どもたちや大人たちのアイドル・ドラえもんは、やっぱり面白かった。
今度このホールで観るのは、来月のテニミュとなりそう。
イベントの後は舞台。
ひらり、空中分解。VOL.15『5GB』の千秋楽を観てきた。
楽とあって満席で賑やか。偶然なのか、昨日と同じ一番前の座席だが、左寄りでも観たかったな。

1回目よりも、作品にスッと入っていけて素直に楽しめた。このテの芝居はたぶん、観れば観るほど味が出てくるスルメのような素材なんだと思う。
ストーリー的には、前半のキーワードや伏線を含め、台詞をじっくり味わえることができた。だが、時系列的にどれが最初に来るエピソードなのか、未だによく分らない。混乱するぐらい、複雑に絡み合っている話。
キャクター的には、前回よりは好意的に捉えることができた。みんな善良だからこそ、厄介事に巻き込まれる。でも共通していえるのは、みんなタフで明るいこと。だからNYという街でも何とか生き延びていける。

あらためて考えると、女性を仲介した接点はあれど、レタス&チーズ、ベーコン&チーズ、レタス&ベーコンの直接のやり取りは無かったような。
レタス&ピクルスは『ローマの休日』のパクリなんだろうが、オードリーの映像はOKなんだろうか? 銃声自体がカモフラージュだったのか?チーズの腹痛は治ったんだろうか?バンズの弟について言及されてたが、他4人は”兄弟”の設定はないのか? どうでもいいことでも、どうしてもツッコんでしまう。

ひらり。の役者さんが演じているからこそ、忙しいキャラにも嫌味もなく面白く感じられる。出たり入ったりの慌しい段取りも、相当の稽古を積まれて、緊張感の中で取り組まれたと思う。やはり、息ぴったりで経験を積んだ「ひらり」にしかできない演劇なのだろう。
”5GB”が歌の合間にやってた、知ってる単語発表。あれはアドリブなのかボケなのか。私にはちょっと分らないネタで笑えず^^;。でも5人の楽しそうな姿に笑い。

本物の花火のような気分でスッキリ。でもどうしても屋台舟とか思い出してしまうw。「ハンバーガーのようだ」には、分るようでよく理解できないまま。
芝居後は全員が揃い、坂本さんがひらり。の告知。いつもはボケボケをかます八幡さんが楽はおとなしいw。ツッコミ役の大波さんや松川さんを八幡さんの隣にすればいいのに。若山さんはいつもニコニコ。

終演後、混雑したロビーには見知った方がいっぱい。湘南アクターズさんに美佐さんと綺麗な方ばかりで、みんな女優さんなのでは?と思うほどw。
演出家の郷田ほづみさんとやっとご挨拶と握手を。『ボトムズ』映画化おめでとうございます! 新録もあるし、大きな劇場で観なくちゃ。11月には映像とのコラボ舞台『KISS』もあるし、役者・郷田さんを拝見するのも楽しみ。
松川貴弘さんはモテモテで気後れしてたら、声をかけてくれてやっとご挨拶。次の舞台を待ちたい。
階段踊り場で、脚本家の金津泰輔さんにご挨拶。ホント、前よりまたお痩せになっているw。NYの次は別の国の話をとリクエスト。
皆さま、ありがとうございました。

郷田さん関係だと、今度は湘南アクターズによる平塚演劇フェスだろうか。遠いけど行きたいな。
アニメでは『ヴァンパイア騎士 Guilty』。外ドラの『ER』ももちチェック。
午後からは息子とわかれて、ひらり、空中分解。VOL.15『5GB』を観てきた。
ひらり。さんにとっては初のレッドシアター。いつもの近場じゃないので、ちょっと行き難い。

タイトルをつい「ゴ・ジー・ビー」と呼んでしまうが、「Five Guys Burger for seat」と読む。
NYを舞台に、ペア3組の3つのエピソードが絡み合う、エキサイティング・スピーディ・コメディ。キーマンであり語り部の男が媒介ともなり、次々に場面転換。
最初は設定や登場人物をなかなか把握できず、世界観にもすぐに慣れず。やがて、ストーリーだけでなく、時間軸も複雑に絡み合っていると分る。前半の台詞が伏線になってたんだとも分るが、その頃には既にクライマックス。これは1回観ただけじゃ、作品の深さは味わえないだろう。せめて2回は観なくては。

今夏、おひとりでNYに行かれた金津泰輔氏の脚本。現地で撮影した写真が、ステージ中央上のスクリーンにふんだんに映し出され、旅のスライドショー演劇のよう。実際、上の写真のほうに視線がいって、演劇への目がついつい後回し気味に^^;。
シーン数が多い複雑怪奇な話を、余計な部分をそぎ落としてスマート、かつスピーディに直球勝負された演出の郷田ほづみ氏。役者には緊張感を強いるが、演劇という舞台でしか味わえない新しさである。

一つ一つの話は日常の一部を切り取ったもの。細切れだし、それほど面白さは感じられず。人物のキャラクターも、どこかふわふわと実体感を伴わず共感共鳴が難しい。どれもこれも「他人事」なので、ただ沢山のシーンを次々に見せられているような感覚。
役者が演じるキャラクターの既成概念は以前のままで、目新しさはない。
その中で、坂本充広が軽妙かつ面白いテイストを出していた。実は最初は3役を兼ねているかと思った(笑)。服装も髪型も話し方も違っていたからね。そういうトリックがあったと分ったが、坂本さんには新境地の役どころだったと思われる。
女性ゲスト二人は結構重要な役。山口景子は天然さがキュート。枝元萌はエセ英語が愉快。

NYをどうしても連想できない雰囲気。シチュエーション的にあまり笑えないものもあった。
黄色いシャツとネクタイとグラサンで踊る5人の姿で、ようやく笑みがこぼれた。中年ぽい感じだが、とても生き生きしていて楽しそうだし、格好良く見える。こういうエンタメなノリこそが、ひらり。さんの良さでもある。
「トルネード」のように騒がしく駆け抜けるが、時間を遡る作りなので「メリーゴーランド芝居」とでも名付けたい。クルクルと回り、やがて元の鞘に戻る安心さ。でも、シリアスな芝居も観てみたいと思うのは私だけだろうか。

終演後、若山慎さんにご挨拶。8月のクレイジーパワーロマンチストでもお世話になった松川貴弘さんには御礼と握手を。客席でお会いできたJJさん、ありがとうです。
日曜の楽も観る予定。たぶん今日よりは優しく観劇できるハズ。
Studio Life公演『マージナル』砂漠編uterus(ジュテレス)チームを観てきた。
萩尾望都の原作コミックはだいぶ昔に読んだが、今回、直前になってやっと再読。

ロビーの物販はバザール風のテント小屋で、布を被った団員たちが売り子。薄くて正方形で表裏一体のパンフは、劇中の世界観を現しているようだ。
今日は終演後に握手会があり! ワーイ、また握手会だ〜。メンバーが曽世さんと大くんだと聞けば参加必至。握手会整理券を貰うが、書いてある番号は関係ないそう。

西暦2999年、女のいない地球。暗殺者と疫病神の二人の男が「夢の子供」と出会うことから始まる、壮絶な人間模様と宇宙的規模の計画を描いたSF超大作。
文明の消滅した砂漠と、近未来のセンターが支配する都市という、2つの世界が舞台。異なる2つの物語が絡み合いながら展開する、膨大なストーリーと多数のキャラクター。
今回の舞台化にあたり、「砂漠編」と「都市編」という二つの視点から二部構成をアプローチ。一方だけ観てもいいし、両方観ればいっそう奥深さが見えてくるそうだ。
どちらもダブルキャスト公演なので、一応4公演を観て比較も試みる予定。

「砂漠編」はグリンジャ&アシジン&キラの3人をメインに展開。砂漠編から観たのは良かったかもしれない。終末へと繋がる3人の出会いや別れが大切だし、的を絞ったことで複雑な背景もすっきりとよく纏まっていて分り易かった。
都市メインのエピはごっそり省略。唐突に新キャラが出てきたり、話的に混乱しそうにもなるが、全体的には充分理解できる。「都市編」ではメイヤードが軸となり、カンパニーや市長など支配者側からの別物語が展開するのだろう。「砂漠編」「都市編」と分けたのは実に上手い試みだ。

ステージは2階建てセット。上段がセンターで、下段が砂漠周辺を現す。1階2階には中央扉があり、そこからマザやキラが出てくるのも象徴的。シンプルかつ機能的な舞台で、照明や小道具を駆使することでスピーディな展開が可能。全く飽きさせず、最後は怒涛のような目まぐるしさだが、綺麗に完結に締めくくり余韻も残してお見事。
重要な台詞や観たかったシーンは殆どカットされておらず、キャラクターも大切にした細やかな演出も見てとれる。メインキャラもだいたい原作のイメージのまま。

曽世海司@グリンジャは、クールな誠実さがよく出ていて好演。目が潰れた後は、もう少し目を閉じていてもよかった。
原作で一番お気に入りだったアシジンは岩崎大。鬘だと分っていても、大くんの長い黒髪に目が釘付けv。原作の持つ大胆不敵な野性味は少なめだが、大くんらしい優しさとひたむきさが出て魅力的。精悍な表情と長身としなやかな動きを駆使して、原作より格好良い場面もあった(*^。^*)。おデコに三日月の傷もあればよかったな。それと原作で頻繁に出てきた裸が無かったのが残念w。
松本慎也@キラは、はかなさと強さがしっかりと感じられて熱演。松本くんはエーリクよりキラのほうがピッタリで、原作よりキラらしいかも。松本くんの顔って瀬戸康史に似てるなと今更認識。

メイヤード@青木隆敏は、独特の声が面白い。非情な厳しさがあまり感じられないが、「都市編」の演技に期待したい。
とても久しぶりの舟見和利は、またいっそうの細さで、はかないキャラを演じる。
前田倫良の堅実な演技がいい。奥田努@ネズはすっかりお笑いキャラにw。吉田隆太の女的キャラもすっかり堂に入る。
客演の渡部紘士は、『テニミュ』3代目河村や『DEAR BOYS』薬師丸として何度か拝んだ人。長身だからフェロペは合っていたが、ローニはちょっと可愛くないw。

山崎康一@ゴー博士の演技が実に上手い。じっくりとしたやり取りの場面で、味わい深い雰囲気を出す。キラを抱き締めた場面でも胸が締め付けられた。
キャスト表を見ただけで笑いが込み上げてきたが、隠れ主人公はやっぱり林勇輔@センザイ・マスター。登場するだけで客席から笑いいっぱい。お笑いキャラに徹したおかげで、原作の持つ嫌味な恐ろしさはなくなり、親しみ易い理解者へと幅が広がった感。ラストで裸を披露、林さんのナマへそを拝んだのは初めてかもw。難しそうな説明ををしっかりと伝える演技力はさすが。

思ったよりアクションがあるのも見どころ。キラを取り合ってのグリンジャとアシジンの格闘では、大きな身体が舞うように動いて、原作以上に生き生きとしたシーン。
キラとマスターの水中の追いかけっこも、転がったりのけぞったりして、かなり体を使いそう。あんなに動き回った林さんを見るのも結構珍しいかも。

キラが聞こえる、水の脈打つ音、青い海の律動。
ラスト、青い照明がパーッとステージに広がり満ちていく場面を観た時、原作では経験し得なかった深い喜びが胸に溢れてきて、涙さえ零れそうになった(;_;)。
『マージナル』は、『崖の上のポニョ』にも繋がるお話だったのだと、突然に閃いた。
どちらも、青い海、母なる海が、人々を受け入れる。『ポニョ』にも水の下に沈んだ街が出てきた。マザのような女神も出てくる。そして、子供と母性と再生が語られる。
20年経って蘇ったポニョは、キラという”魂”を引き継いだ「夢の子供」なのかもしれない。
原作だけでは分らない、舞台を観たからこそ発見した新しい感動に、ひとり浸りきるのである。

休憩なしの約2時間20分。休憩がないので話が途切れずに済みホントに良かった。
全員揃った最後は、キラが真ん中かと思いきや、グリンジャ@曽世さんが主人公。

終演後は、ロビー出口付近で、曽世海司さんと岩崎大くんとの握手会。お二人ともキャラのままの格好。「胸に染み入りました」と曽世さんと握手。大くんには「格好良かったです」とガッチリ握手。最後まで笑顔で見送ってくれた。
出口で、スタジオライフとコラボしているアットホームからの「芽が出るしおり」配布。土がないと植えられない。

今日は5人の役者さんと握手をして、ホントに素晴らしい日だった(*^。^*)。大くんの手が一番力強かったかな。皆さんのますますのご健勝を祈って、ありがとうございます。
10th Anniversary ドラマティック・カンパニー(DC)『夏の親子劇場』in シアタートラムへ、子供達と一緒に行ってきた。
今年が最後かもと、ご近所の小学生も誘ったりしてねw。

夏恒例となったDCさんの『親子劇場』も、ついに第10回目。10周年を記念して、今年はいつものアトリエを飛び出して、シアタートラムでの上演となった。それも今日一日の2回公演。
無料とはいえ、夏休み最終日。客足が予想できなくて、とにかく開場1時間前に到着すると、既に劇場の周りは親子連れでいっぱい。
甘かった^^;。こんなに人気で混み合ってるなんて。貰った整理券は200番近く。250番位までを配ってるそうなので、ギリギリだったわけだ。みんな9時前から来てるってこと!?^^; もっと早く来ればよかったと子供達。
それでも観れるだけでラッキー。3月の北海道旅行で一緒だった人とも再会したり。列に並んでから15分位で入場。丁度空いていた前から5番目に座れたのもラッキー。アトリエと違って場内は涼しく、段差もあるので観易い。

前説で流れてきたのは、かきの木マンとグーリーの愉快なトーク。ステージにかかっている大きな白い布がスライドとなって、キャラクターの可愛い絵が映される。

★『チリンのすず』作・絵:やなせたかし
ここ最近は『あらしのよるに』だったが、今回は久しぶりに『チリンのすず』で生朗読。
最初に「チリンのすず」の物悲しいメロディーと歌が流れ、スライドの迫力ある絵と、臨場感たっぷりの音響がかなでる。舞台左側に女性、右側に男性二人が腰掛けて朗読。
男性は、中尾隆聖さんと関俊彦さん!(^o^) 黒いDCロゴTシャツとジーンズ。眼鏡なし。お二人とも前に拝見した時と違って、前髪が横わけで若々しく見える。
中尾さんは狼のウォー役、関さんは羊のチリン(青年)役。前にも同じキャストで観ただろうか。非情で厳しいが根は優しいウォーを、渋く逞しく演じる中尾さん。真面目で忠実でひたむきなチリンを、クールに勇ましく演じる関さん。息ぴったりのやり取りの中、深く激しいドラマが沸き上がる。中尾さんが足を適度に広げているのに比べ、関さんはお行儀よく両足をつけて座りながらの朗読。

ナレーションとチリン(子供)を担当された女性が、DCでは見かけないお顔なので注目。二つを見事な切り替えでこなされ、声も明確で上手く、しかも聞き覚えがある子供声。いったい誰だったかしら?と思っていたら、何と坂本千夏さん! これは嬉しいサプライズゲスト。メイだよ、てんどんまんだよ、柳宿だよw。最近だと再放送中の鉄拳チンミだよ。子供らもメイの声として忽ち認識。そういや以前も、大谷育江がこの親子劇場に特別参加されていたっけね。

スライドの絵が可愛くも残酷に続いていく。照明の赤や激しい効果音が痛々しい。そして関さん@チリンの悲痛な叫びが胸に迫る。愛おしくも切ない物語が繰り広げられた。
約25分位。シリアスなお話なので、ちょっと耐えられないお子様もいたり。
10分休憩だが、流れる音楽歌詞が「出すもの出して〜♪」で笑っちゃう。

★ファミリーミュージカル『スーパーヒーロー かきの木マン 10』「ここで逢ったが十年目!!の巻」原案:増田裕子 脚本:堀本等
お馴染み、かきの木マンと宿敵グーリーとの対決。今回のグーリーは”音楽の世界”を乗っ取っちゃう。落ち込む”楽器くん”たちを励まし、モモリーヌを救うため、スーパーヒーローかきの木マンが大活躍。

スライドにしていた白い布をとると、グリーンの吊りセット。舞台の小セットも、ピーチから音符に変えるなど凝っていて細やか。
オープニングダンスから、会場も手拍子いっぱいでノリノリ。客席通路にはお姉さんたちも控えていて、お子様たちを促しながら盛り上げにひと役。
モモリーヌが波岡晶子さんで超ウケ! いつもの若い人じゃないけど、波岡さん@モモも可愛くて歌もチャーミング。でもでも「7歳」ってトコでつい笑いがw。
犬のタローは川島得愛さん。なにげにコスチューム一新で豪華になってるw。「ワン」「ワン」といつもの歌を披露。でもよく見ると、かきの木マンより背が高いようなw。

今回のグーリーは、”すっぱい”効果で、歌のお兄さんみたいな”イイ声”を披露。会場が広くなったせいか、いつもより若干テンションが緩め。はちゃめちゃ感が少ない代わりに、物分りがよくなったような気もする。男前なグーリーかいw。「3」にちょっぴり照れが入っていたかもな堀本等さん。
「グーリーをさがせ!」や「この楽器な〜んだ?」の会場参加型もあり。毎回、子供達の鋭いツッコミや愉快な答えも面白いが、かきの木マンたちのリアクションや受け答えも見どころ笑い所。

新しい試みとしては「グーリー・キッズ」。客席後方からキッズ集団が現れステージに立つが、明らかに中学生もいてポカーン。グーリーの歌で、クールにダンスするキッズたち。『ゴーオンジャー』のキッズたちみたいにピッタリ。ホント、いつの間に練習していたんだかw。
このダンスシーンだけは撮影可だった模様。ダンスに見惚れたり手拍子に夢中で、あまりに楽しくて気付かず。惜しいことしたなぁ^^;。でも隣の娘は自分のカメラでしっかりムービング撮影していた。
舞台ではよくある、キャラの客席通路移動もあり、にこやかに観客とプチ・コミュ。クールな子供はよそに、かきの木マン&タローくんとハイタッチした私(^o^)。

入口で渡されたシャカシャカで、みんなでかきの木マンを蘇らせたり、パワーを与えたり。でも劇場という枠のため、観客によるいつもの”かきの葉手裏剣”がなかったのでちょい物足りなさ感も。投げたかったなぁと息子。
あの荘厳な音楽はモーツァルトじゃないよと思ってたら、しっかり本人ツッコミ。他の選曲は、いつもどおりに私の世代ネタなのが嬉しいこと。
劇団員の汗びっしょりの熱演で、大盛り上がりで終了。

最後に、中尾さんや関さん、坂本さんもいらして全員が並んで勢揃い。10周年の感謝の言葉を中尾さんが述べ、今回の公演でご協力ご協賛頂いた団体さんの名を、書いた巻物と共に読みあげる。
中尾さんと関さんが其々御礼とDC紹介と公演告知を述べる。盛大な拍手と共に終了した。
終演後は、ロビーにあった記念パネルと共に写真撮影。出口でいつものサンクス・カードは貰えなかったらしい。枚数が無くなったのか配らなかったのか。
役者さんとの歓談タイムはなかったが劇場では仕方ない。本日はどうもありがとうございましたm(__)m。

次のDCは、10月から11月にかけての本公演『birthday〜2008〜』。希望日のチケットは一応取れた。この間、テニミュや30-DELUXと重なってしまうが、近場なのは嬉しい。
K-Show 7th.PRODUCE『かかしのうた』を観てきた。
伊藤健太郎さん率いるK-Showが旗揚げしてから既に5年だろうか。今回は豪華客演がお目当て。

今回の指定席は観難いA列じゃなくてほっと安心。自由席の人より先にロビー物販に行くと、首に手拭い巻いた斎賀みつきさん。場内の座席案内はいつも通りに座長。
とにかく狭い劇場。自由席は横端や後方までビッシリ。当日券の方が通路の座布団席に着くまで、座るのを待ってて欲しいと別チェアへ誘導される。その間ずっと、忙しく案内や座席調整をされる麦わら帽のイトケンさんを目の当たり。イヤホンマイクに「健太郎です」と囁く声がスパイ風でステキ。
開演1分前まで案内をされていただろうか。ほんの数分後に舞台に立ったイトケンは、既に百姓の男になっていた。

農村地帯のある村で暮らす兄妹一家と従姉妹が、不可思議な出来事をきっかけに、目をそらしていた現実を見つめて再生していくハートフル・ファンタジー。
ステージには団欒する居間と同じくらいのスペースをとって、ドーンと一体の「かかし」。やがて祖父の手によって、「かかし」が二体になり、その顔にも注目したい。

”ミステリーサークル”に”宇宙人”、”不動産”に”TV局”と刺激的な単語が展開する中、ごく普通の日常が何故か非日常となっているサスペンスタッチが面白い。
キーマンの祖父を中心に、笑いやユーモアにも溢れるが、実は祖父の言葉の半分には布石が散りばめられている。思いや考えが明確に伝わる、よく練られた脚本である。
そして今回もまた、覚え易く愉快なネーミング・センスw。

伊藤健太郎は長男で一家の大黒柱。バッサリ斬った短髪と日焼け顔が男らしい。真面目で律儀で頑固で一本筋が通った性格はイトケンそのまま。畑を維持することが頭にあるため、周りが見えなくなってしまうキビ兄だが、もしやイトケンも劇団の座長として色々と悩み抱えていたこともあったのだろうか。
スポーツ刈りの田口臣が、イトケンとそっくりの顔付きでホントの兄弟みたいw。
斎賀みつきは佐藤貴道とコンビ。あの衣装はやっぱり『MIB』を意識したんだろうか。それにアレを付けると分ってても吹く。

劇団初の三人客演はなかなかの新鮮味。
大浦冬華は、はな役を明るく爽やかに好演。闇を内包させる微妙な表情も豊か。
森田成一の出番はだいぶ経ってから。あの衣装で登場時は笑いが起きるが、髪型にも吹き出すw。森田さんの舞台は初めて観るが、的確な表現で嫌味もなく、とにかく楽しそう。

大御所・納谷六朗は惚け老人役。前半は居るだけで殆ど喋らないが、つい目がいく存在感。口を開くひと言ひと言が可笑しく、かつ深くて聞き逃せない。緩やかなテンポを維持したままの凄みがたまらない。口汚くののしり合う兄弟を、一喝して沈黙させた姿が実に格好良かった。やっぱり若者だけの空気とは違う。重厚な味付けが、芝居を力強く引き締めていた。

「かかし」は、そっと見ていた。見て見ぬふりをしていた。だけど人は、現実と向き合って見つめなおし、前へ進んでいかねばならない時もある。そんな勇気と信頼を、人と人との絆を見せてくれた心が和む佳作。約2時間がそれ程長くは感じなかった。

終演後の拍手の中、客演の三人とイトケンが前へ。
挨拶は持ち回りなのかな。イトケンに促されて納谷さんが満面の笑顔で「わしはK-Showが大好きじゃー」と台詞にひっかけたひと言。会場からもいっぱいの拍手。

物販の台本やグッズ(手拭いの文字は森田さんデザイン)を買った人には、恒例のお楽しみ。ファイルにサインを頂けるサイン会がある。
イトケンだけかと思ってたら、森田さんまでTシャツ姿でおいで。ファイルの上に森田さんが、下にイトケンがサインを下さり、力強い握手もして頂いた。名前に「Dear」が森田さんで、イトケンが「へ」というのが面白い。ありがとうございます。またお二人の舞台を観たいな。最後まで笑顔で見送ってくれたイトケンにお人柄をあらためて感じた。
ファイルのサインを眺めるに、やはり一護&恋次を連想。今冬の劇場版『BLEACH』も観なくてはね。
映画の後は舞台へ。日テレ繋がりの作品。
演劇集団キャラメルボックス2008サマーツアー『嵐になるまで待って』を観てきた。
キャラメルはDM先行より一般のチケットのほうが座席はイイ。実は殆ど縁がないカンパニーだったが、今回は客演がお目当て。

声を奪われた声優志望の女性が経験する、嵐のような凄まじくも哀しい7日間の出来事を描いたサスペンス。
成井豊の小説やラジオなどメディア展開と共に、再演を重ねての4回目の上演。全て未見なので、キャスト一新の今公演は比べるべくもなく新鮮な思いで観る。

前座の注意事項は手話付きでゆったり。ストーリーに聾者が出てくるのだが、ごく普通に劇中に手話が取り入れられていて、観客との密接な距離を感じる。
現在から過去を追想する形。全員でのオープニングダンスが洒落ていてクール。

透明ガラスを半楕円に張り巡らせたオフィスのセットと後方の外階段が、複数の場所と場面を作り出す。
音響と照明のスタッフワークが実に素晴らしい。台詞をあえてかき消す繊細な音の調節など、メリハリも効果的。雷鳴の轟きには思わず身体が縮んだ。

”音”がテーマのひとつなので、役者はみんな声が大きく台詞も明確で聴き取り易い。
だが、大きいことが全て良いこととも限らない。声的に苦手だったり、耳に煩いこともある。
声が激しく飛び交う中で、言葉を失った女は必死に身振り手振りで意思を伝えたり、聾者の女は舞うような手話で言葉を表現する。ざわめきの中の束の間の静寂が愛おしくも感じられる。嵐の前の静けさにこそ、人と人とが繋がり通じ合える瞬間があるのかもしれない。

ユーリ@渡邊安里は体格的にも大きく目立つが、はきはきと元気がよすぎて、こちらのパワーまで吸い取られそう。正直、声が出なくなった時はホッとして可愛くも思えたw。
雪絵@温井摩耶は、芯の強さと優しさが溢れて聖母のような存在感。透明感ときらめきある手話がホントに綺麗。
波多野@細見大輔は、長身イケメンの優雅さの中に冷酷さをしっかりと秘めて見事。
広瀬教授@西川浩幸は、狂言回し的役どころで前半ほぼ出ずっぱり。演技うんぬんより、シリアスな中に突然入るギャグがつまらなく、それが延々と続くので辟易^^;。いいかげん本題に入ってくれ〜と思うが、あんなギャグで笑える人もいるので呆然。観客間でヘンな温度差を感じた。

お目当ての土屋裕一(*pnish*)はユーリの元・家庭教師の幸吉役。新聞記者にはあまり見えん^^;。もっとクールで賢い男かと思ってたら、前半は単純熱血バカな感じ。後半はめきめきと出番が増え、がむしゃらな無鉄砲ぶりも可愛く思える。tutiの体当たりの熱演が見どころだが、エレベーター後の冷徹さと激しさこそがtutiの本領発揮だと思う。

教授だけでなく他のキャストも頻繁に笑いを取ろうとしてたが、私には全く笑えない。一部の人に通じるギャグもいいが、置き去りにされた人のことも考えて貰いたい。
それよか、さっさと本筋に戻ってほしい。度を過ぎたギャグは、せっかく高まった緊張感ある展開にも水を差してリズムを崩す。ギャグが無ければ10分は短縮できそう。

ネタバレ的にもなるが、”ギアス”の音声版といったところ。その力で人を操り、人を傷つけ、人を殺す。
雪絵からの手紙に「あなたに会わなければ…」とあったが、その言葉に小さな驕りと卑劣さを感じた。彼女だってその”力”のことを知っていたのに、何の手も打たず甘えて傍観していたのだ。彼女も残酷な女神。罪人なのだ。その自覚はしているのに、つい出てしまう本音。そこに彼女の恐ろしさが見えてくるので、ラストは手放しでは喜べない。

全然笑えなかった舞台だが、さすがに緊張感あるこなれたお芝居で、あれこれ考えさせられた。
平日昼には珍しく、カテコは3回。客演紹介で、いつものように「は〜い。tutiです」とあっさり言って、右手でニンニンするtutiに、俳優としての前進を感じた。
西川さんから促され、温井さんが言葉を発さずに手話だけでご挨拶。「今日はようやくお天気になって…」とにっこり微笑む温井さんを見て、こちらまで笑みがこぼれた。言葉だけではない。心からの笑みだけでもコミュニケーションはできるのだ。ありがとう温井さん。

キャラメル・ブログを見ると、平日夜にtutiの新聞発行とか、出演者CDの1や2の発売とか、小出しで客を釣るK氏のやり方が書いてあってガックリ(-.-)。そんなにチケットが売れてないのか!? 今まで来場した客は置き去りか!?
ロビーには新作グッズがてんこ盛り。パンフではなく、薄いフォトブックが2000円なんて高過ぎないか!? 商魂逞しいキャラメル商法を目の当たりにしてちょいガッカり^^;。
彩の国ファミリーシアター・音楽劇『ガラスの仮面』を観てきた。
一昨年の『新作能紅天女』去年の『ガラスの仮面展』と観てきたから、これも外せない。
彩の国は、時間的には近いが、乗換えが多く駅からも歩くので遠く感じられる。

芝居を盛り上げるためか、劇場1階で2つの関連企画も開催中。さいたまアーツ・シアターライヴではナマ演奏。「はじめてのガラスの仮面」はプチ・ガラスの仮面展で、劇中劇と実際に上演されたポスターを飾っていたり、今回の音楽劇上演についてマヤや亜弓のコメントまで載ってたりするw。


ご存知、美内すずえ先生のロングセラー作品を、蜷川幸雄の演出により音楽劇として舞台化。
演劇界を舞台に、『紅天女』を通じて繋がっていく若き女優たちが熱きドラマを繰り広げる物語。今回は「劇団つきかげ」の挫折と新たなる旅立ちまでを描く。

蜷川氏の斬新な演出に、いちいち驚かされ、笑わされ、ドキドキワクワクさせられて、とにかく面白かった。今回のマンガの舞台化において、キャラクターのイメージ重視をされたそうだが、何かと『テニミュ』が思い出され興味深くもあった。

開演前から実はもう舞台が始まっている。ステージで思い思いに身体をほぐす役者たち。会場客席通路を携帯しながら降りる人も出演者の一人だ。バックステージ見学の人たちは先着順らしい。
開演するともっと可笑しい。客席通路を使いながら芝居をするのは珍しくないが、座ってる席前の狭いところを、「失礼」とわざわざ横に移動しながら芝居するのを観たのは初めてだw。序盤で役者の”聞き込み”シーンまであった時は『舞一夜』が浮かんだりw。
ステージ上からは、どしゃ降りの雨が降り注ぐ。それも3回も!テニミュの大石なんて目じゃないほどw、ずぶ濡れのマヤ。水も勿体ない気がする。雨のシーンが終ると、モップと雑巾で拭いて片付ける研究生役の出演者たちw。『道元の冒険』での零した墨を拭くよりはラクそうだが、最前列の人は濡れないんだろうか。

”ファミリー”と名うってるだけあり、今回は劇団&カンパニーという”家族”の絆を描いているように思う。特に、マヤと春、亜弓と歌子という、2組の”母と娘”の絡みに胸がつき動かされ、涙まで出てしまった。2組とも本物の親子のようにも似ていて、絶妙なキャスティング。

大和田美帆@北島マヤは、元気で前向きで愛される存在感。大和田さんの出自は置いといて、明るく堅実な演技力はホッとさせ、底知れない大きさを感じさせる。
奥村佳恵@姫川亜弓は、姿勢が綺麗な優等生的美少女。奥村さんは後半からめきめきと冴え、劇中劇のほうが生き生きw。得意のバレエを生かした『サロメ』は見事。
川久保拓司@桜小路は純粋そうだし、横田栄司@速水真澄はイメージ通りではないが包容力がある。
月川悠貴@青木麗には大ウケ! オールメールでもないのに女性役で、違和感なくピッタリ。女性としての歌声もイイ。『若草物語』のジョーはやけに色気たっぷりw。
立石涼子@春と、月影瞳@歌子は、母親としての優しさ強さも的確に表現。
夏木マリ@月影千草が秀逸で、漫画のイメージよりも親しみのわく良き存在感。夏木さんというと、舞台では『天保十二年のシェイクスピア』映画では『髪がかり』以来だが、今回の役には自ら楽しく真摯に取り組まれている様子が伝わる。

音楽劇にしたのは正解。歌が『テニミュ』でよくやる展開の長さを省略したり、役者の心中をより明確に表現したり。話にもリズムとマーキングを与える。
歌のナンバーでは、千草と歌子のデュエット「オンリーワン♪」の歌唱の上手さが素晴らしく拍手をした。マヤも声がよく出ている。劇団一角獣の破天荒な歌とアクロバットも楽しい。全員のパワー溢れる歌声も悪くない。
ただ、亜弓や桜小路など若手の歌はまだまだ途上^^;。でも今公演中にも徐々に進化していきそうだ。

「原作のイメージを捨てなさい」「役者が半分、観客が半分で舞台を作り上げる」「上手いだけではだめ。観る人を魅了しなくては」舞台には、演劇の原点ともなる台詞やシーンがいっぱい。つい反芻して記憶に残る。初心にかえる意味でも、演劇人すべての方に観ていただきたい舞台だと思う。
上演中、月影先生のドンとした怒り声の時に突然の地震発生。ざわつく客席をよそに、芝居は続くし、私も芝居に集中。地震の後、マヤが言った台詞が「自信がありません」。これにはこっそりウケた(笑)。
ラストで月影先生が「雨のような拍手」と促すが、劇場を出たら地面がビッショリ濡れていて水溜りまで。ステージだけでなく、いつの間にか本物の雨が降った模様w。今日は自然まで舞台に花を添えたようだ。
ステージのバックの鏡はずっと観客を映し出す。観客も舞台の一部であり、実は誰もが”観客”という仮面を付けた役者であるのかもしれない。

最後は全員で「ガラスの仮面♪」の歌。会場に響くスケール感ある爽やかな歌声。だが、もう一つ。せっかく通路に役者一部が降りているのだから、できればラストに、観客の手拍子と共にリズミカルで楽しくノれる楽曲も欲しかった。そうすれば最後まで、役者と観客の一体感が増すというもの。とことんエンタメさせてくれたほうが余韻も楽しめる。
カテコは3回。最後は大和田さんと奥村さん、夏木さんの3人が笑んで丁寧にお辞儀。
ベテランの好演に感激しつつ、若手の未知の可能性と今後の成長に期待を抱かせる舞台で、大いに楽しませてくれた。
ネオロマンス・ステージ『遙かなる時空の中で 舞一夜』再演の前楽を観てきた。

昨日に続き小雨降りしきる中、会場までの道のりが長い。
物販の写真セット一部は完売。座席は初日と逆の左側で、角度的に前回よりは観易そう。
自分の席前に大きなトランクを置いてる人がいて、席まで移動できず迷惑この上ない。受付では基本預からないようだが、それでも預けてる人が沢山いたし預けてほしい。
アナウンス告知はイノリと詩文。

初日の有様がヒドかったので、正直、もう気乗りはしなかった。
だが、今回は随分と改良されていてビックリ(゜o゜)。
初日にアンケにあれこれ書いて出したが、同じような苦情が多かったのか。アンケをちゃんと読んでくれ、演出にも反映されていて、初日とかなり変えてあった。

役者の台詞がはっきり聞き取れる! 座席列は前と同じなので、これは明らかに改良のおかげだろう。
スピーカーからの音楽や効果音が、役者の台詞を遮らないように、小さくなっているのだ。初めからこのくらいの音量でやってくれればよかったのに。
役者の何人かは、初日と比べ、つとめて台詞をゆっくりはっきりと喋るようにしているのが感じられる。何も急いて捲し立てることもないからね。ただでさえ、みんな滑舌が良くないのだから^^;。

台詞に余裕が見られると、芝居にも集中できて、役者の表情や動作にもようやく目が向くようになる。
あかね@はねゆりは、可愛さより美しさがより強調。成松慶彦@頼久の律儀な佇まい。長谷部恵介@永泉の芯の強さ。椎名鯛造@イノリのやんちゃな動き。河野弘樹@詩紋はやや大人びた感じ。寿里@友雅は、優雅さが薄れ庶民的な面も。
天真@中村誠治郎は、やっぱスゴイ人気だな。どこに行っても「誠治郎さん」の話題が耳に入ってくるよ。
でも私のお気に入りはこの二人。根本正勝@鷹通は身のこなしがキビキビしてて男前で惚れ惚れ。役柄上、殺陣が少ないのが残念だ。八戸亮@安倍泰明は、声も動作も所作も何もかもクールで格好良いv。あくまで泰明のイメージを貫き通すところがイイ。

ただひとり多季史@木村啓介だけが、初演と比べて、台詞や芝居に力が入ってないように見える。歌も唄い難そうでおざなり、周りとの波長もかみ合ってないように思う。
季史の怨霊バージョンをされた役者のほうが、動きや表情に真剣さが現れてよっぽど良い演技をしている。考えてみれば、怨霊バージョンのほうが見せ所もありそうだ。

頼久&天真の客席聞き込みシーンに、また友雅&鷹通が参加。メンバーは替わらないのかな。その前にステージで4人でやってた”漕ぎ”アクションが、ネタが分からず笑えない(-.-)。毎日観劇できるわけでもなし、こういうアドリブはやめて欲しい。
イノリの現代語も「ネオロマンス」に変わっていたが、あまり笑えず。
怨霊三人衆はキライではないが、小芝居やネタがややクドくなってきた^^;。
全体的に、観客とのノリで楽しむようなイベント感覚が多くなってきたが、あくまでこれは舞台の芝居なのだと、キャストにも自覚認識して欲しいものだ。

八葉の歌は明るくて何度聴いてもいい。メンバーが客席に降りる中、こっち方向に来てくれたのが鷹通さん! 周囲ににこやかに手を振る根本さん。
カテコの八葉登場では、泰明が永泉を肩で抱っこして沸かせる。鷹通と友雅は華麗な殺陣ポーズ。イノリと頼久が一緒に登場して、あれ?と思ってたら、その後であかね&天真&詩紋の3人が制服姿で登場して会場も賑わう。あかねはともかく、誠治郎くんの学生服って似合わねぇ〜w。グリーンだし。
スポットライト当番は木村さん。普通の挨拶であまり面白味はなし。次は小天狗@やまだまいこ。普段の声が聞けたが、緊張してて言葉少ない。
千秋楽は役者全員のお見送りがあるんだろうな。

終演後、ロビーのトイレに入ろうとしたら、関係者通路になっていてシャットアウト。おいおい^^;。トイレ使用禁止なんて、前もってアナウンスしといてくれよ。
音響も悪いし、ここは舞台向きじゃない会場なのかもしれん。駅からも遠いし、もうこのホールは使わないで欲しいものだ。

次は9月のファン感謝祭。ファンがスタッフや役者に感謝するイベントのようだ^^;。
欠席者がいるのは残念だが、寿里さんは『bambino』で、鯛造くんは『最遊記』で拝めるからいっか。
ネオロマンス・ステージ『遙かなる時空の中で 舞一夜』再演の初日を観てきた。
今年1月から2月にかけて上演された舞台で、熱い声援を受けての再演。会場も大きくなり、更なるパワーアップも期待される。

初演ヒットに図にのり、コーエーも儲け商法に走ったのか^^;。チケットは前回より大幅値上げ。物販の写真も種類多し。パンフは前回の使い回しでリーフレットが付いただけ。そして、スタッフがバタバタと煩すぎる。
初日のチケは安く手に入れたSS席。横に広い会場の右手ブロック。空席もチラホラとあり埋まっておらず。
アナウンス告知は頼久と天真。毎回変わるかな。

前回公演『舞一夜』と同じ展開とストーリー。あかねの哀しい恋と八葉の活躍を描く。
真っ先に不愉快に思ったのが、役者の声が聞き取れないこと^^;。
スピーカーが近くにあるせいか、音楽や効果音がやたら大きく響いて、その間の台詞が殆ど耳に入ってこないのだ。会場が広過ぎたせいもあるのか。それとも会場がストレートプレイの舞台向きではないのだろうか。声がやたら周りに広がって霞んでしまう。
役者も初演の時の程よい緊張感が薄れたのか、芝居に力が入っていないようだ。口先だけの台詞に留まるから、小さな声はどんどんかき消されてしまう。
かろうじて初演時の台詞がうっすら脳裏に残っていたので、己の記憶で補完するも、情けなくなってきた。同じストーリーなのに、会場と演出を少々変えただけで、こんなにもテンポが悪くキャラクターの魅力が半減する舞台となってしまうのか。

ステージは半楕円形なので、普通の上手下手以外に、客席とも近い上手下手があり、そこでの出入りや芝居もある。だが照明がその場所に当っているのに、なかなか役者が姿を現さなかったりと、いまひとつ絡み合っていない。
前方席なので役者の顔ははっきり見えるが、端ブロックだからか、前に立つ役者に重なり後ろの役者が隠れて見えなくなってしまうことが少なくない。ヤマ場の斉陵王を舞う季史の姿が殆ど見えなくて興冷め^^;。サンシャインではこんなコトはあまり無かったハズ。

演出が変わったというと、好評だった頼久&天真の客席聞き込みシーンに追加。今回は友雅&鷹通まで参加、右ブロックにまでやって来て客席とミニコミュして沸かせた。これはメンバーが日替わりしそう。
ラストの八葉ソングはソロパートが増えたのか、マイク持って唄いこなすがダンスはなし。会場手拍子と共に客席にも下りてきたが、ミュ関係では既にやっていること。よく考えたら、どれもこれもSS席の周りだけかもしれん^^;。

全体的に台詞が不調子の中、藤姫@森林永理奈と、邪香妃@真山奈緒の高音の声ははっきり聞き取れる。低音系では、安倍泰明@八戸亮の声は割と聞き取れた。印を使うトコでは、音響が邪魔して聞こえなくなるけど^^;。
あかね@はねゆりと、季史@木村啓介の歌は、声がよく出ていなくて、特に裏声が綺麗に出せず。ラストのデュエットでは、あかねのマイクが不具合なのか、声が全く聞こえてこない^^;。音響、サイテー!
アクションは少しパワーアップしたのは分る。小芝居や小ネタも増えたが、笑う人と笑わない人との温度差が激しい。基本は芝居なのだし、こういう初日にこそ個々人の本当の実力が垣間見えてくるかと思う。
「濡れるぞ」ネタも、最後の八葉2人ずつの芸ネタも、初日だからまだ小出し状態だが、初日しか来れない人のことは念頭にないのか。

全員揃ったところで、指名ライトがあちこち照らす中、ヒヤヒヤしている役者もいたりw。永泉@長谷部恵介に決まった途端、今日は来ないと思ったとボヤく長谷部くん。稽古は2週間だったと話すが、たった2週間だったのか。どうりで完成度の低い舞台だったこと^^;。トークの最中に寿里にツッコまれるが、二人は仲良さそう。当てられたらずっとやりたかったと、長谷部くんの掛け声で会場全員が三本指で「ワン・ツー・スリーピース!」。
拍手の中を二手に分かれて退場するが、長谷部くんだけ去り際もスリーピースで、木村くんは壁に衝突しそうなフリw。

休憩入れて約3時間。その後に、9/14のファン感謝祭のS席チケットを先行販売。
公式サイトを見てなかったし、ロビー壁に貼り付けてあっただけの告知で、私には寝耳に水。せめて入場時に告知チラシでも配ってくれればいいのに。
八葉全員が揃わないイベントで、場所もC.C.Lemonだが、チケット代がまたもやぼったくり^^;。去年の『電王』の倍だぜ倍!一応昼だけ買ってみた。
コーエーは虎視眈々と次の商法を狙っているが、次は遙か3の『紅の月』になるだろうか。キャラも少々違ってくるし、キャストも少し入れ替えになるかな。そうなれば1公演のみ観劇でいいや。

日曜の前楽もチケットを取ったが、同列の左ブロックで見る位置が変わるのが救いか。
会場を出たら、明日以降のチケットを売る人もいたり。今回キャパが広過ぎ、時期的なこともあって、チケットも売れていないようだ。コーエーも基本にかえったほうがいいだろう。
クレイジーパワーロマンチスト復活公演vol.01『アノセイシュンノウタ』楽日を観てきた。
今頃、もう一方の出口を出た会館では某イベントをやっているなぁと思いつつ、劇場に向かう。今日はあまり暑くなくて良かった。
さすがに補助席もびっしりだが、何故か私の席の前は空席で観易いこと。

初日のピリピリとした緊張感が薄れ、役者全員が余裕をもって舞台に取り組んでいた。殺陣アクションも前よりも伸びやかで滑らかな動きを見せる。
唾と汗の激しい量にまだ少し慣れないが、心身全てを使った役者たちの真剣な熱演にあらためて感じ入る。
初日は気付かなかったが、前半の台詞にしっかりと伏線が含まれているのも味わい深い。

休憩なしで暗転も殆ど無い2時間20分という長さ。悪くはないが、1シーン1シーンがとにかく長過ぎる。座席上、緊張を強いられたが、場面殆どが緊張で充満し少々疲れる。
適度のユーモアや笑いも必要で、緊張と弛緩のバランスも大切なのではないかと思う。
ネタとしてはやっぱり『プリズン・ブレイク』&『仮面ライダー』を『鞍馬天狗』色に染めたかのようw。CGや変身に12年という時の扉は『キバ』をどうしても連想。
108番と109番は姓名が判明してるのに、結局お互いに名乗り合わなかった関係性が切ない。”ゆうこ”に”テング”という名前、”本物”と”偽者”さえも二重三重に伏線が組まれているところが興味深い。

キャラクターにはどうしても思い入れが沸かなかった。佐藤せつじ@男の身勝手な自己陶酔には、バカらしくて鼻で苦笑。木下浩之@キラメキ剣介に至っては、どんな理由付けがあるにせよ、真剣を使わせといて自分だけがカヤの外という状況を作り出したことが許せない。カリスマ性があるにしろ、何故みんな彼に付いていこうとするのかも理解できない。キラメキと一緒にいた時間こそが”青春”なのだろうが、男たちにしか分かち合えない団結力ではある。

東地宏樹@ソトガリは、微細な表情と豊かな演技に注目。同室の男に鞍馬天狗を見ていたと言われ、照れ臭そうに小さく笑うが、これが伏線にもなっていた。仲間同士で顔をくしゃくしゃにして大笑いもしたり、縮こまってコソコソしたりと、生き生きとした表情も見逃せない。
前半の静かな佇まいが、やがて回想と共に、激しく強く爆発していくが、メリハリの効いた芝居とギャップが素晴らしい。顔中を汗びっしょりにさせ、情熱を秘めた瞳からは時に涙か汗か分らないものを流し、声を荒げての熱演ぶりに誰もが魅せられる。
東地さんの天狗は中盤。スマートで几帳面な立ち回りだが、それがラストで変貌する。

中年男の激しくも鮮やかな殺陣が、そのまま、キラメいた青春との訣別を表しているようで、痛々しくもせつなかった。「さらば、僕の鞍馬天狗!!」圧巻。

楽だというのに、観客席は最後の拍手のタイミングが計れず^^;。
役者全員が一列に並び、中嶌聡さんが先ずお願い。冒頭の映像に出てきた宝石店は偽だと告知し、観客や役者も苦笑。中嶌さんの紹介で、皆さんひと言ご挨拶。天狗をやられた前堂さんが「まえのともあき」と聞こえちゃった。背の高い人たちに囲まれているせいか、並んだ東地さんは小さく可愛くも見えるw。

終演後、遠方からもいらした東地さん仲間の方々とご挨拶。
そのまま、東地さんともご挨拶。初日と比べて、今日の東地さんは晴れ晴れとしたお顔で、劇場側も時間的余裕がありそう。新番の噂なども伺い、握手もしていただいた。強くて優しい手。ありがとうございます。ステージもいいが、素のほうが男前で格好良い(*^。^*)。Tさんはサイトのお話で喜ばれ、Oさんは嬉しさのあまり草加ファンになるとw。
7月からこっち、稲田さん、かわぐち先生とお会いする機会に恵まれたが、ついに東地さん!(^o^) 東地さんと知人の方との会話で「テツさん」の話題も出てきたが、角松と草加の関係はまだまだ続いてるようだw。
ミュージカル『テニスの王子様 The Imperial Presence 氷帝 feat.比嘉』の2回目を観てきた。
青学5代目が観たくて、急遽チケットを取ったもの。
今回は1階席のほぼド真ん中なので、とっても観易くてオペラグラスも要らない。

行って観て良かった!(^o^)
内容は分ってるし、1階席だからかもしれないが、今回は青学5代目メンバーの台詞がよく聞き取れる。芝居の上手さというか、滑舌もよく発音もはっきりした喋り方がいい。おかげで前回は耳からこぼれ落ちた台詞もしっかり捕捉できて把握。場面やドラマの面白さまで伝わってきた。
青学5代目は、これが初公演とは思えないほど、堂々としていてとにかく勢いがある。昨日まで休み期間だったせいか、ダンスでもみんなの手足が伸びて溌剌とした動きを見せる。ベンチでもたえず活気があり、チームワークの良さも感じられる。

『東京GT』の優しいイメージだった馬場良馬は、手塚役を正直想像できなかった。今までの手塚と比べると、華奢で厳しさは感じられないが、歌もまずまずだし声も悪くない。たまに不二に見えちゃう時もあるが^^;、筋力と経験を積めば化けそうだ。
新井裕介@乾は、声の通りがよく大きいので、存在感が際立つ。林明寛@海堂や、延山信弘@桃城も、伸び伸びとした活気。高崎翔太@菊丸は声も演技も弾んでていい。辻本祐樹@大石が、声が可愛すぎてイメージとちょっと違うかな^^;。
1年トリオも初めてのメンバーだが、息ぴったりで元気よく盛り上げる。

高橋龍輝の越前リョーマは、見た目は普通だが、若さと逞しさ溢れる存在感。きびきびしたダンスはとにかく楽しそうで、リョーマのクールさと熱さを合わせもったかのよう。声変わり後の歌声は、伸びと力強さがあり、ストレートに胸に飛び込んでくる。はっきりいって、歌で跡部に勝っていたw。芝居でも周りをよく見ながら、時にリードしたりと頼もしさも見せる。
D-BOYSの新人だが、かつての遠藤雄弥@リョーマを初めて拝んだ時のような雰囲気で、スケールの大きさを思わせ興奮させられた。ただ、身長も164cmとまだまだ伸び盛り、このままだとデカリョーマになりそうw。

今回の比嘉中ゲストは、篠谷聖@甲斐と齋藤ヤスカ@平古場。お笑い担当というか、色モノ担当かもw。二人とも沖縄弁をやっぱ喋るんだ。歌も声もいいが、ヤスカさんが噛んでどっと笑い。コンビで舞台をスマートに盛り上げた。

氷帝Aキャストは、一週間前のと比較、全体的に少し進歩。
久保田悠来@跡部は、台詞や芝居に凄みが出てきて、跡部らしくなり良くなった。ただ、歌になると途端に安定感がなくなり、歌唱力不足は否めず^^;。いっそ唄わなければいいのに〜とも思うが、早く歌の上手い跡部を聴きたい。
秋山真太郎@忍足は、ますます熱情を秘めたクールな存在感が際立つ。歌も迫力があるし、関西弁も上手くなった。
経験豊かな氷帝キャストが、其々の個性を生かしながら、チームを団結させ盛り上げる。
鎌苅健太@宍戸が、強気でやんちゃぶりで今回かなり好きv。彼だけが「跡部」と強く呼び捨てするところも好み。
瀬戸祐介@長太郎は、丁寧な言葉使いと、「一球入魂」の背中を見せるアングルがステキ。
Takuya@芥川は、自己主張ぶりと小芝居が可愛くて、いつも客席の笑いをとる。

脚本的・演出的にみると、腑に落ちない部分があり、途中で展開が減速するのも残念。原作を読んでないせいかもしれんが、手塚の腕絡みで流れた映像がイマイチよく分らない。雨の中のゴールデンコンビも意味があるのか。見せ場なのかもしれない不二の踊りも、不二と跡部の歌の掛け合いも、意味がよく分らん。

最後のオールダンスも綺麗で、前より力強さも感じられる。キャストのお辞儀と勢揃いでは、マジメな青学と比べて、氷帝全員が繋いだ手を挙げっぱなしで笑い。
最後は一部キャストが客席通路へ。こちらの近くには、宍戸が来てくれて嬉しい(^.^)。ケンケンをこんなに間近で観るのは『エアミュ』初演以来かも。そのうちモモ、忍足、ジロウも間近を通って、互いにハイタッチ。近くで拝むとやっぱり興奮しちゃうv。
キャストと観客との手拍子もしっかり合って、前回よりずっと良い雰囲気で盛り上がり、大いに楽しんだ(^o^)。これだからテニミュはやめられない。

新しい5代目より、経験ある4代目が見どころかと思われたが、蓋を開けたら、青学5代目の溌剌ぶりに目を奪われ好感度が増した。氷帝Bは観てないが、青学5代目&氷帝Aの組み合わせが今公演のベストかもしれない。和樹が加わった氷帝Aと青学5代目の組み合わせを観たいな。
でも、Studio Lifeのような劇団ではないのだから、テニミュでのダブルキャストは今公演限りにして欲しいものだ。
和樹たちも写っているので、ついにポスターを買った。ホール外にも張ってあったけど。
クレイジーパワーロマンチスト復活公演vol.01『アノセイシュンノウタ』初日を観てきた。
早く着き過ぎて周りを散策。雨がパラパラ降り始めるも、今日は雷雨にも合わず。
ロビー開場は早くもならず19時半で、開演も15分遅れ。

1996年の映画『鞍馬天狗』撮影時の障害事件をきっかけに、バラバラになった仲間たちが、12年後にようやく「鞍馬天狗」という過去と訣別、乗り越えようとする姿を描く。
脚本・演出は板坂尚。
1995年に活動を休止したというクレイジーパワーロマンチストのことは全く知らないが、復活公演の第1弾に相応しい、パワフルでせつない舞台に仕上がった。

平均年齢40歳という役者たちの、熟練した芝居が飛び交う。個性と個性が激しくぶつかり合い、存在感を主張し合う。汗が飛び散るアクションや立ち回りだけでなく、膨大な台詞が怒涛のように溢れる。純粋で真っ直ぐだった”青春”という過去と、理不尽で先が見えない”現実”という今が、確かにそこに浮き彫りになっていた。

立ち回りシーンをメインとした芝居の話だと、30DXの舞台『シェイク!』が浮かぶが、あれほどの神がかり的な殺陣ではなく、笑いやユーモアも少なかった。
過去と現実が交錯する展開はスピーディだが、1カット、1シーン、台詞の掛け合いが、くどく感じられ、間延びする時もある。やや退屈加減は否めないようだ。
ステージから去ろうとする者を引き止めてずっと台詞を投げかけたり、ステージから去る間際になって何度も会話を続けたりが多い。こういう場面が何度もあると、観るほうにとってじれったくて飽きもくる^^;。舞台なのだから、思いや考えをいちいち言葉にしなくても充分表現できるハズなのだが、何でもかんでも言わなきゃ気が済まない作品らしい。
各キャラクターの強烈な個性が、やがて結んで豊潤とした実りになれば爽快感も得られたが、停止されたままだったのも残念。

主役の木下浩之は、唾を吐きながらの大熱演で魅せられる。小山剛志は、身体を張っての柔軟かつ熱い芝居。佐藤せつじは、前半のコミカルさと後半の重厚さをもってかなり化けた。中嶌聡は味わい深い。

お目当ての東地宏樹は、無謀なマイケル(@プリズン・ブレイク)テイスト(笑)。激しい男性陣の中にあって、ひとり物静かな存在で、前半は台詞が少ない。体操も耳つまみも、だんだんと板についてきたりw。後半は汗だくで熱演、東地さんの殺陣も拝めて、良いお声もいっぱい聴けたv。前半は前髪がおりて若々しく見えたが、中盤のアレ以降、後半は前髪が後ろになってて急に老けたようにも見える。演出上の意図なのか、髪セットが出来なかったのかw。

女性キャストは二人だが、ひとりがなかなか出てこないでヤキモキ。
当然ラブシーンの絡みはあるが、最前列にお子様がいたので、こっちがヒヤヒヤ^^;。
アダルトテイストなだけに、子供や学生たちはどんな風に感じられるのだろう。
タイトルに『ウタ』が入ってたので、歌を期待してたが、一曲も唄われることはなく、懐かしい歌も流れなかった。『仮面ライダー』もネタの一つで、キバットバットIII世的キャラが出てきたから、良しとしようw。

最後に皆さんが一列に並んでお辞儀。挨拶は中嶌さんで、開演遅れのお詫びと舞台勧誘の告知w。平日はまだまだ余裕。時計を見たら22時を過ぎてて、休憩なしで約2時間15分!?
楽日にもう一回観劇予定。ちょっぴり進化を遂げてるだろうか。

終演後、東地さん仲間の方々とご一緒に、東地さんともお言葉を交わすことが出来た。夢心地(*^。^*)。ありがとうございます。ファンを大切にして下さる男前で素敵な方でした。
ミュージカル『テニスの王子様 The Imperial Presence 氷帝 feat.比嘉』を観てきた。

チケット申し込み前から結果購入後までずっと、キャストに振り回されていた今公演。青学4代目&5代目に氷帝A&Bのダブルキャスト、個々キャストの変更と降板と新たな決定、初の海外公演など、ホントに色々あり過ぎて、観るほうの頭は混乱してどうにかなりそう^^;。
とにもかくにも、ミュ観劇は続行。キャストも無難な公演に決めたが、またもや2階席(-.-)。

全国大会準々決勝。関東大会のリベンジに燃える氷帝と青学との激闘を描く。ゲストは前回対戦相手の比嘉。
アニメや原作で殆ど見ていない筋書きだが、パンフに対戦表が載っているのでラク。
前回と同じ青学4代目レギュラー勢揃いといきたいが、河村役が違い、一年トリオの堀尾&カチロー役も変更なのが、ちと寂しい。結局、5thライブが彼らの卒業式だったってことか!?
氷帝Aキャストでも、跡部と忍足役が新しい俳優。こちらも他メンバーに新風を吹き込むのか。

青学vs氷帝の5戦。対戦もダブルスも意外な組み合わせがあり、内容的には新鮮でワクワクさせて楽しかった。
ただ、台詞があまり聴き取れず、言葉がどんどん耳を通過していく^^;。2階席だし、内容を知らないせいかと思ってもみたが、どうもこれは俳優陣の芝居の拙さだと思われる。口先だけでとにかく捲し立て、中味も心も篭ってなくて、何より観客に伝えるということを考えていない^^;。
5試合を詰め込んだせいか、対戦の内容はあまり脳裏に残らず。どうして勝って負けたのかが、煙に巻いたようによく分らないまま、いつの間にか勝負が決していた感じ。
キャラクターの個性が際立っていたのも、青学より、経験豊かな氷帝キャストのほうかな。

全体のダンスシーンは綺麗に合っていて見応えあった。ダンスに特訓集中したせいで、肝心の芝居がおざなりになったのかな^^;。
歌は新曲ばかりで耳慣れなく、琴線を揺さぶるメロディーやフレーズも見つからず、殆ど頭に残らない^^;。オーラスの馴染みのあるメロディにホッとするばかり。
唄う声は出ているが、全体的に歯切れや音程が悪くノリもいまひとつ。歌の最中、時にイライラさせられたり、時に眠くなって意識が一瞬吹っ飛んだり^^;。
その中でリョーマ@阪本奨悟だけは、堂々とした元気な唄いっぷりで好感がもてた。
新・青学一年トリオは、コンビネーションはいいが、まだちょっぴり硬さもあり。

久保田悠来@跡部と、秋山真太郎@忍足は、見た目はイメージ通りでホントに格好良い。跡部はスタイリッシュな熱っぽさが加わり、忍足はよりクールな実力派という感じ。
だけど、久保田@跡部は台詞を喋ると、まるで軽いチンピラ風で品が感じられない。歌になると声も出ておらずガタガタで、聴くのにも耐えられず(~_~;)。正直、加藤和樹@跡部の歌がとても懐かしく思えた。和樹の歌で早く聴きたいものだ。
秋山@忍足は、関西弁がイマイチなのかな。鼻のラインが曽世海司さんに似てるかも。

前回と同じ氷帝メンバーが、生き生きと貫禄を示して印象的。
鎌苅健太@宍戸は、ひとり熱くて強気で、やんちゃな表情を見せつけてくれた。鷲見亮@樺地は、変わらず細かい演技で和まし、力技を披露。試合に出ていないTakuya@芥川だが、半ばKY的なw天真爛漫ぶりがかえって目立つ。全体の歌レベルがアレなので、河合龍之介@日吉の歌はやっぱり上手いなと気づいたりw。
比嘉中の二人はもっぱらお笑い担当。Luke.C@木手のしなやかさと松崎裕@田仁志のパワーが愉快に絡む。

今のところ、リョーマvs跡部戦より、過去の手塚vs跡部戦のほうが緊迫感があって鮮やかに記憶に残る。跡部の頭のラストショットは、2階席のためか曖昧に見えた。
全体的に、見足りない、食い足りない思いが残るのは、俳優の力不足のせいだろうか^^;。
オーラスで、キャスト一部が客席に降りてくるが、2階席は関係なし。1階観客の萌え悲鳴がわざとらしい〜w。カテコもなくて、あっさり終了。物足りんゾ^^;。

とにかく、10月の凱旋公演を楽しみにしよう。パンフは新しく作るのかな?
氷帝戦後もテニミュは続くだろうから、青学5代目キャストも気になる。
ミュージカル『DEAR BOYS vs.EASTHONMOKU』を観てきた。
昨年冬に誕生した、バスケットボールという実弾を使った『ディアミュ』の第2弾。
今回の新作では、半年の間に逞しくなった瑞穂高校バスケ部が、新たな敵チームと戦う。

座席は最前列だが、変則的にカーブした左端。中央で集まる彼らの姿は横向きとなり、見難いシーンもあり。逆にドリブルミスやシュートミスまですぐに目に入って分ってしまう^^;。
でもこれはご愛嬌。本物のバスケのシュートやドリブルが、いついかなる時にも絶対に決まることはあり得ないから。だからキャストはむろん、観劇するほうも、一球一球の勝負に緊張と興奮を伴って見守ることになる。

ダンクやコンビネーションプレイが、肉体がぶつかる音やシューズの音を伴って、かなりの迫力とスピードで間近で繰り広げられる。実に男っぽく力強い。ディフェンスとなると、しなやかで低い体勢が時に止まったりして、ユニフォームから肉体美をくっきりと映し出す。躍動感と静止感のエネルギーが交わり、リズミカルな舞台へと芳香させる。
試合がヒートアップするにつれ、キャストの身体からは汗が拭き出すが、その汗の匂いまでもがこちらに伝わる。熱気と臨場感で舞台にどんどん惹き付けられる。

そして前回の公演でもあったのに、すっかり忘れていたが^^;、芝居中にバスケのボールがコッチに飛び込んでくるっ! バスケットは中央と左右の3つあるが、左のバスケットが座席の近くにあるので、選手がそこへシュートをした後、こぼれ球がもの凄い勢いでコッチにやって来るのだ。スピードがあるので、手で取ろうにも難しく、横に避けるのが精一杯。その中の1発が肩に当ってちとイタイ^^;。観るほうもまさに真剣勝負の命がけ(笑)。こんなハラハラドキドキの緊迫感は、テニミュではもちろん味わえないw。それでも瑞穂の5人はシュートをした際のボール処理をちゃんとやってくれてたが、それ以外のキャストのシュートボールが3回飛んできたのだった。でもほんの一瞬でも、バスケットボールに触れられたのも嬉しい体験かもしれない。

瑞穂高校バスケ部員は前作と同じキャスト。170cm台から190cm台とバラエティに富み、コンビネーションもバッチリ。
今回は復活した瑞穂が、更なる試練と焦燥と葛藤に耐える話。そのためか、全体的にプレーに元気が感じられない。頼みの哀川くんの完璧なるカリスマ性もいまひとつ。三浦のスリーポイントも目立たず、藤原のクールさも分らず、石井や土橋の活躍もぱっとしないで、試合中の反則ばかりが続く。先輩も二人だけになっちゃったし、氷室先生もいないし^^;。杏崎マネージャーの敏腕さだけが格好良く思えた。
でもチームみんなを「ちゃん」付けだった哀川くんが、「藤原ちゃん」を「タク」って呼び捨てにできたのは進歩かv。哀川@池田竜治と藤原@鶴見知大はキャラクターに深味が出て息もピッタリ。三浦@南圭介は、キャラボイスに艶が出て歌でも頑張る。石井@石橋脩平と土橋@安岡新八も、其々キャラの魅力が増した。

対戦相手の本牧東は、ストリートバスケ出身。一幕目は私服ばかりでボールも使わず、フリーなダンスと歌で伸び伸びとした荒武者風。
今回は本牧東メンバーを重視して描いたようで、其々キャラが立ち過ぎているw。保科@岡田亮輔はやんちゃで負けず嫌いなトコがよく似合う。藤沢@兼崎健太郎は、一幕では陽気で爽やかな主将ぶりで、監督に頭をポカポカやられてたが、二幕の試合中で途端に立海大主将の顔を出すw。6人目の梅田は二幕からの登場だったっけ?

五十嵐先輩@鯨井康介は眼鏡がキュート。佐伯@六本木康弘は、被りモノでパフォーマンス&審判でバック宙と活躍w。杏崎@寺崎裕香はてっきり10代かと思いきや24だったのねw。
それをバラした(笑)湯澤幸一郎は、今回は本牧東の飯嶋監督役。前回とはガラリ変えた荒っぽい熱血漢で、口調もベランメェ、あれは鬘とつけ髭なのだろうか。二幕冒頭でまたもや湯澤コーナー。好き勝手に喋った挙句、またもや朗々たる歌唱を披露。今度はデュエット演歌なのが可笑しい。ホント、このままディミュが続いてくれるといいね。

哀川を中心に、再生を誓う瑞穂バスケ部。彼らの真の弱点は、6人目がいなかったということかも。本牧東とも次の対戦を誓ってガッチリ握手。
爽やかなエンディング曲と共に、会場からも手拍子少々。メンバーが客席通路に降りて、一緒に手拍子するところから、ようやく一体感が増す。
前回みたいなハイタッチは無かったが、エキサイティング溢れる舞台をありがとう。いつも観る前は私のノリが少ないが、観た後は充実感で満ち足りるディアミュ。同じキャストでの続編も楽しみにしていたい。

バスケの次は、明後日のテニス。実弾ではなくヴァーチャルもあるスポーツミュージカル。
夕方から、帝劇でミュージカル『ミス・サイゴン』を観てきた。
e+の半額につい釣られて観劇(^^ゞ。座席はもちろん1階後方で、オペラグラスは必須。
去年の『レ・ミゼ』に続き、夏に拝見したい役者さんもいるキャスト。

私には初『サイゴン』。戦争についての物語かと思って二の足を踏んでたが、ちょっと違ってた。
陥落直前のサイゴン。アメリカ兵とベトナム少女の若い男女の出会いと恋、やがて生まれた子供の幸せを願う母の姿を軸に、戦禍に翻弄され生きた人たちを描いた物語。

お金をかけた豪華絢爛なステージ、大人数のキャストやアンサンブル、全編音楽で綴られる超大作ということで、当然『レ・ミゼラブル』と見比べてしまう。
音楽はアジアンテイストなのか、聴き慣れていないメロディーばかり。高揚感も少なく地味目で、印象に残る曲はまだ見つからず。
アンサンブルによる宗教めいた独特の行進や、アクロバットの数々は見どころか。
圧倒されたのは凄い舞台装置。轟音と共に、ステージ上からヘリコプターが飛来して着地。兵たちが乗り込み、再び上へ上へと巨体を浮かせる。本物ではないだろうが、舞台でヘリを目にするなんてビックリだ(゜o゜)。黄金色の巨大なホー・チ・ミン像も、ロボットみたいでよく造形されている。「アメリカの夢」として現れたキャデラックはまさに本物の美しさ。こういったものを観れただけでも満足としよう。
このミュージカル超大作をオリジナル・演出で見られるのは日本のみ、が謳い文句。だが外見の華やかさに比べ、物語の中味にはあまり共鳴できず疑問や不満が残る。

フランス系ベトナム人エンジニアは、ある意味、語り部の役どころだろうか。経営するキャバレーは、一種の娼婦の館。戦争で天涯孤独のキムの名は”キムスメ”から付いたみたいに強調w。ベトナム人のキムとアメリカ兵のクリスは互いに一目惚れのようだが、恋を語る前にベッドインというのに抵抗。
戦場にはセックスが付き物というが、やたら女性の下着姿や肉体の露出が多く、キスやセクハラシーンもいっぱいなのが困りモノ。女を殴る蹴る、銃で撃つシーンも時代背景として必要だとしても、あまりに痛々しい。戦中も戦後も、常に大きな勢力にビクビクしながら、食べる為に身体を売る女たち。夢も希望も見えない、陰鬱で暗い空気感がたまらなく嫌だ。
片や、アメリカ人は豪勢で、戦争をとにかく忘れ去ろうとする。「アメリカン・ドリーム」を唄ったナンバーも派手で華やかだが、反米感情を煽って滑稽で憎たらしい。
象徴するのがクリスで、戦中にキムと引き離されたとしても、戦後に何故彼女の消息の調査や追及をしなかったのだろう。新しい人生を始めようとアメリカ女エレンと結婚するが、これでは二股もいいところ。いつも考えるのは自分のことばかり。散々イイ思いをしてキムと結婚したクセに、今の自分に用無しだと思えばさっさと捨てる。利己主義の固まり、想像さえ出来ない頭の硬く肝っ玉の小さい男でガッカリした。
キムの一途な姿に共鳴することはあれど、クリスの非情な仕打ちは腹立たしい。結局、キムは騙されたのに信じ続けた愚か者。永遠ではない偽りだった愛には、涙ひとつ出なかった。

今回観たキャストはなかなか当りだったかも。
市村正親@エンジニアは、したたかな商売野郎だが、市村さんがやるとコミカルで憎めない男になる。二幕の赤いジャケット姿が、どこかルパン三世風で笑えるw(フランス野郎だし)。二幕の「アメリカン・ドリーム♪」は見事な歌唱力で楽しい歌と軽快なダンスを披露。たっぷり10分間は楽しめて圧倒された。
新妻聖子@キムは、出会いの初々しさも可愛く、母となった凛とした表情や演技も素晴らしい。白いブラとパンティを出して着替えたり、ブラを外したりと結構露出度高し。しかも胸デカイw。前半は歌声があまり通ってないようだったが、後半にかけて高めの声も綺麗に出て会場を沸かせた。
原田優一@クリスは、歌声に張りがあるがもう少し声量も欲しい。デュエットでは新妻さんがリードか。一幕の純情で真面目そうな顔はいいが、二幕からはキャラ的にも軽薄そうで偽善者に見えちゃう^^;。
岡幸二郎@ジョンは、スマートでハイバリトンがよく通りイイ声。でも橋渡し的役だけなのが勿体無い。
鈴木ほのか@エレンは、姉さん女房に見える。子供をしっかり抱き締めていた場面は良かった。
子役の中西龍雅@タムは可愛い。赤い服では、市村@ルパンとお揃いに見えて親子みたいw。

タムは一応3歳の設定なのかな。あの歳で、殺されそうになったり、殺人や自殺を目の当りにしたりと、悲惨な過去がトラウマになったら可哀想。
二幕目冒頭に流れる子供たちの映像が印象的。アメリカ人とベトナム人の間に生まれた子供達があんなにいっぱい。愛らしい表情の中に滲む哀しみ。みんなみんな『ポニャ』と同じ子供たちなのに。人間って何て酷い生き物なのだろう。

終演後、沢山の拍手の中、キャストが登壇。最後に登場した市村さんが手を広げて、右袖から出たタム@中西くんを待ち構えたが見事にスカw。鈴木さんのほうへ行った中西くんは、鈴木さんと新妻さんの真ん中で両手を握られていた。
本編でもネタで使われ爆笑を誘ったが、ここでも市村さんが「UCセゾンカード会員様 及び eプラス会員様」と客席にご挨拶。「初演から出演させて頂いておりますが」ここで拍手〜「(再々演を迎え)これもひとえに私の努力の賜物…」でまた爆笑。「それは冗談ですが…」と快調にトークを飾った。
カテコは3〜4回で、恒例の花束投下もあり。盛大に終演した。

見応えのある舞台だったが、物語的に好みじゃないのが残念^^;。
7〜10月のロングラン公演だが、これが私の見納めになるのだろうか。
NUSS RECORDS PRESENTS Dramatic Narration 第二回公演『エッフェル塔の潜水夫』に行ってきた。
朝日新聞社東京本社に初めて行ったが、日曜はガランとしてて静かなこと。新館の朝日小ホールへ。
全席自由なので、開場時間前に行って最前列席をゲット。ホールもステージも綺麗だが、始まるまで手持ち無沙汰。

原作はピエール・カミのフランス冒険ミステリー。未読。
「不気味に再生する亡霊! 海上に現れる幽霊船! エッフェル塔に次々に起こる怪事件!」こう紹介されると、サスペンス風冒険活劇だと、期待に胸ふくらませるじゃないか!?
実際は、野望と欲望にとりつかれ、人々を騙しあざけ罪を犯した男たちの話だった。正直、あまり面白くない内容でガッカリ^^;。

出演者は男性12人、女性3人と多人数。だがステージには13個の椅子しかなく、腰掛けて出番を待ったり、出番が全く無い時は舞台袖に引っ込んだり戻って来たりとせわしない。
文学作品をナレーションによって進行するが、台本を持ちながらの朗読劇で、長い長いドラマCDを聴かされているようなもの。
登場人物がとにかく多いが、人物の関係性や職業などがナレーションだけの言及に留まり、それを耳で把握し頭で咀嚼し記憶することが何と難しいこと。
登場するのは個性的な人物ばかりだが、キャラクター性がどうにも薄っぺらい。扮装しての演技じゃないから、キャラの外見が掴み難いのだ。だから人物の感情や立場に寄り添えない。
ドラマCDのブックレットのように、キャラのイラストや関係図がどこかに書かれてあれば、随分と理解の手助けになると思う。
同時に、”声”だけで状況を説明し観客にも伝えるのがいかに困難なことか。いつかの舞台のように、せめてスクリーンでも準備して、場所や景色などを映して欲しかった。

出演者の皆さん、落ち着いた色合いのシックな服装で、場数を踏んできた余裕も見せて、綺麗な立ち姿。
ナレーションの松崎謙二は、殆ど出ずっぱり。背も高く男前な顔立ちで、ハキハキした良いお声が物語をどんどん紡いでいく。
主人公はダンプラン@森岡弘一郎。若々しく快活な声だが、このキャラは一体幾つの設定なんだろう?
ファンファン@寿大聡はやんちゃな感じ。岩城博@スコットは偽善者だったのか? ヴァン@新本一馬はもう少し厭味が欲しい。
平田康之は結局3つの役どころで、ある意味美味しいハズ。殿下をスマートに、ペテル・マウスを狡猾に、フェリーヌを妖しくと、演じ分けしていたら、もっと深味が出て面白くなるだろうなと思う。

お目当ては、ひらり、空中分解。の松川貴弘さん。シャツの上に赤いタイを巻いてお洒落パリジャン風。ラジオアナウンサーかつ、詩人という設定だが、詩を朗読する場面が無いのが残念。出番はそれ程多くは無かったが、最後はちゃっかり美味しいトコ取りだったのかw。
全員で船乗りの歌を唄うところは、何か音頭を取る声もあれば、ヤケっぱちな声もあったりと、かなりお気楽自由w。

もう一つ見どころ聴き所は、榊原大が率いる若手ミュージシャンたちのナマ演奏。榊原氏のピアノの音色も素晴らしく、弦一徹はヴァイオリンとトランペットを曲によって使い分け。竹本一匹のパーカションは様々な楽器とバラエティ溢れる音色で楽しませてくれる。
サンバ、ジャズ、ワルツとサウンドも多彩だが、同じフレーズを繰り返すことも多く、ちょっと飽きて眠くなってきたり^^;。
演奏だけでなく、効果音やBGMでも参加し、見事にドラマを盛り上げてくれた。

でも皆さんの熱演に反して、物語自体はそんなに面白くはなかった。
エディスやヴェリーナという女性の口から真相や過去が語られ、唐突に出てきたデロールから種明かしをされ、ダンブランはエディスを追い求めるだけ、少年二人の役割はよく分らず仕舞い。結局は中年男が若い女を手に入れようと躍起になった話なのか!?
エッフェル塔の構造にも関係する話だが、行ったこともないし、ナレーションだけではよく分らない^^;。
つくづく、”声”だけでむやみに文学作品を語るのは難しいことだと考える。こういう作品に挑戦したい気持ちは分るが、我々も知っている題材を選んでくれたら、聴くほうも大変な思いをしなくて済むと思う^^;。

休憩15分の約2時間半で、思いのほか長かった^^;。たまにウトウトしそうになったが、ドラマCDだと思えば別に構わないか。
Fields presents『エブリリトルシング』A&Bを観てきた。
原作は大村あつしの6つの独立した物語からなる短編集のベストセラー。今回はこの短編6作品をAとBの2つに分け、各4話ずつで構成。
全てがフシギな運命の糸で繋がってる作品のようなので、勢いでAとBのチケットを取ってしまい後悔もしたが^^;、全部観終わってからは後悔など吹き飛んだ。

構成Aは、「クワガタと少年」「彼女はいつもハーティーに」「ビジネスカード」「ボクはクスリ指」。
構成Bは、「クワガタと少年」「ランチボックス」「アフター・ザ・プロム」「ボクはクスリ指」。
ABとも「クワガタ」から始まり「クスリ指」で結する、3世代の縦軸と繋がる横軸で紡がれた物語。毎日の生活の中にある”ほんの些細な出来事”を切り取り描写する。
総勢18名のキャストの構成も複雑。AB両方に出る人もいれば、どちらか片方だけ出る人もいたり。其々が本役や二役、兼ね役やチョイ役でも顔を出すので、混乱や楽しみも引き起こす。

開演前の客席に流れていたのは、EveryLittleThingの歌だったか。
10個以上の正方形ぽい椅子と、浅い段差のあるシンプルなステージが、役者によって次々に場面を転換させ、道具を作り上げる。
上左右のスクリーンには、情景や場所、時にキィとなるモノが映し出されて分り易くする。できれば短編タイトルもチラと流して欲しかった。
役者たちはマイムによって無形のものを有形に変え、ダンスや動きでイメージ表現を試みる。熱く濃縮させた芝居を際立たせるために、周りは極力モノトーンで静かな雰囲気を維持。
展開がスピーディで、小物の使い方もよく練られている。Aパートでは、白く大きな布が場面と共にいかようにも変化して面白かった。
これはAとB、どちらから観たほうが良かったのか。私はA→Bの順だったが、時系列的にはBからだろうか。どの話にも巧みに伏線が張られていて、Bの伏線がAで回収され、Aの伏線がBで使ったと分るなど、やはり両方とも観たほうがより楽しめるようだ。

お目当ての森山栄治(*pnish*)と郷本直也は、声がよく通りメリハリの効いた達者な芝居。郷本さんは眼鏡、栄治は牧師の格好がよく似合うw。栄治的にはBのテネシーワルツが見どころだが、全体を通してのキーマンでもあり重要な役。
永山たかしはAの「ハーティー」の主人公(最初、パーティーと読み違いした^^;)。熱血単純バカな教師役で、大きな声を体現、会場の笑いをいつも引き起こすムードメーカーぶり。初代テニミュメンバーは以上かな。

今のテニミュでも人気の篠谷聖はBの「プラム」の主人公。ひとりアクロバットやダンスは見どころで、大いに観客を沸かせた。
黒川恭佑は、素朴な濃い顔だけで引き立つ。音楽と歌を担当したDAIZOも舞台に出演。岩義人のやんちゃな愛くるしさが演技に光る。

女性陣がみんな同じような雰囲気で、なかなかしかと区別できない^^;。
井上和香は確かな演技力で華のある存在感。その少女役だった水野絵梨奈は可憐な純粋さで好演。青谷優衣が、雄弁と寡黙の二役を演じ分ける。
太田在が、3日目なのに声が掠れていて、劇中で「声枯れ」が散々にネタに使われていて大笑い。「喉を直すんだ」と言ってた黒川くんまで、声枯れ気味で危ないんだけどw。
だいたい、演技がイマイチな人ほど、舞台上でやたら声を張り上げ叫び捲るような気もする^^;。

その点、経験豊かなベテラン2人は違う。長田奈麻と小宮孝康は、熟練の芝居で深く濃く場面を彩る。
長田さんのデカい胸にビックリだが、30代から60代までを見事に演じ分け。
小宮さんは何役もこなし、真面目な中にユーモアを含ませて際立った。

印象に残ったものは、「白地に●」と「ルイ・ヴィトン」か。コンビニの「のり弁」は、家でご飯炊いたほうが経済的だとイマイチ納得いかない。
印象に残った台詞は、「あなたがムダだと思った今日は、昨日死んだ人が生きたかった明日」と「与えられた環境の中で精一杯生きる」。同じ話の同じ台詞でも、2度目だとスッと心に溶け込み、涙が込み上げてくる(;_;)。6作品の中で一番好きなのは「プラム」だろうか。
人を生かす言葉というのがあるが、日常の生活の中でも、誰かのひと言で救われたり、生きる活力を見い出せたりする。明日への希望と光が、役者の熱演で少し伝わってきた。

苦言をいうなら、殴ったり足蹴にしたり身体が吹っ飛んだりする場面が割とあったこと(特にAで)。リアルな効果音が痛々しく、観ていて無性に気分が悪くなる。「生きる」ことのテーマ性と逆行しているように映った^^;。
子供達に、胸を張ってこの舞台を奨められないのが残念だ。20日まで上演中。

終演後は出演役者が勢揃い。郷本さんや青谷さんは、眼鏡を付けたり外したりと区別。
こういう舞台には珍しく、カテコが3回も4回もあり盛大な拍手。岩くんがエンション高くはしゃいでいたが、永山さんまで大きなアクションで拍手に応えていた。
THE 黒帯の第2回公演『妖怪レストラン』を観てきた。
偶然、ロビーでOさんと再会。観劇からお茶までずっとご一緒できて楽しかったです。
座席自由なので、また最前列でガップリ。

今回の「THE 黒帯」メンバーは、岡村まきすけ・小林高之・橋本達也・榎原伊知良・稲田徹の5人。様々なジャンルでも活躍中の”漢”達の集まりである。

とある寂れた洋食店を舞台に、妖怪たちが人間相手の営業を始めようと、レストランをリニューアルするまでの経緯と奮闘ぶりを描く。
世間では『ゲゲゲ…』だが、この舞台では「ケケケ…」となりそうw。旗揚げ公演とはガラリと趣を変えた、笑いと男気と迫力たっぷりのライトなハートフル・コメディとなっている。

人間そっくりに化けてる妖怪たちは、髪型や目付きなどで、それらしく見える。様々な妖怪たちのウンチクも分って、話にも観る方にも広がりを感じさせる。
5人のうち、1人だけ人間なのだが、なぜ彼が妖怪たちと共にこの店に関わるようになったのか、それが回想という形で綴られるのだ。
レストランなので、本物っぽい飲食物が次々に飛び出す。水や酒に得体の知れない飲み物、オムライスにケチャップ、うどんまで。食べている姿から、美味そうにも見えて空腹にはたまらないw。

声のゲストで中井和哉が出演。旗揚げ公演初日にもおいでになってたが、稲田さんとはホントに仲良さそう。ナレーションかと思ったが、実はマヨイガというちゃんとした役。そして思った以上に声の出番があり驚いた。落ち着いた声やひょうきんな声や可愛い声とバリエーションもいっぱい。中井さんの掠れた声は、中尾隆聖さんと似ているなとあらためて思ったり。中井さんファンにも耳のご馳走としてお奨めの店かもしれない。

お目当ての稲田徹さんはパティシエの白い格好。最初はフランケンシュタインかと思ったw。実は、ミニチュアのダイダラボッチという妖怪。ダイダラボッチって?というより、”ボッチ”にすぐ反応する私(笑)。案の定、クワナ@稲田さんの口から「クサカ」という言葉がっ!(^.^) 『HOLiC』ネタだと分るが、六月一日とはね。極めつけは、下だけ白いズボン&白い靴を履いてた稲田さん。まるで海自の夏制服のように見えて、まさにナマ角松!?じゃん(下半身だけw)。
稲田さん御本人も手先が器用なんだろうね。白いナプキンで次々と作り上げる芸術品(?)や、ケチャップで描く「大王」の絵、本格的なプロレス技には、大いに笑わせて貰って感服した。それらが台詞ともぴったり合い、芝居として生きるのだから素晴らしい。
いつもニコニコ、温和で包容力があり、力も技もあり頼もしい、店のムードメーカーたる愛らしい存在のクワナを、稲田さんが楽しそうに熱演。観客にも楽しさを提供してくれる。

ガルー@榎原さんは変身後が見どころ。サトミ@岡村さんは酒ガブ飲みが見どころ。マツバラ@橋本さんは髪型が見どころか。
カミヤ@小林さんは、噛めば噛むほど味が出てくるというか、後半につれ、どんどん存在感が際立つ。

体当たり的なアクションも割とあったが、全体的な雰囲気は、同じように男5人の”ひらり、空中分解。”でよくやるコメディものと似てるだろうか。
最後の最後に、5人の誰かが扮した伯爵が出てくるかもと思ったが…。
店と人間と妖怪の”言霊”の関係性も興味深い。どんな事情や勘違いがあったにしろ、人間と妖怪が「共存」できる場所が復活したのが目出度い。個性的な輩ばかりで、喧騒が絶えない店だが、互いを認め合って助け合ってやっていくに違いない。
そう感じさせてくれる、楽しいレストランのリニューアル・オープンに乾杯!


ロビーに、CLAMPさんから中井さんと稲田さんに其々花壇。中井さんは黄、稲田さんが青なのはイメージカラー?

恒例の役者と関係者の方々との歓談。
相変わらず、稲田さんには次から次へとお声がかかり、Oさんと暫く待つ。
やっと稲田さんとお言葉を交わせて、写真と握手もお願いした。最前列で笑っていらしたと稲田さんに言われて恐縮(^^ゞ。満面の笑みと優しい言葉をまた頂戴した。ありがとうございます。

次回のTHE 黒帯公演は今年の12月頃。その前に、稲田さんは9月の劇団大富豪公演に客演。聞いたことのない劇団と劇場だが、予定がなければ観てみたい。

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