マリア・マグダレーナ来日公演『マグダラなマリア~マリアさんのMad (Apple)Tea Party~』を観てきた。
1階の男子トイレが女子トイレに変わっているのを初めて見たw。

歌手で女優で高級娼婦のマリア・マグダレーナと、彼女を取り巻く人達とが、初の来日公演前後で繰り広げる、優雅で珍妙なお茶会と人間模様。
湯澤幸一郎の初舞台演出と脚本。強烈な個性を放つ湯澤さんが、自由気ままに作った耽美作品かと思っていたが、なかなか斬新で面白くて、休憩挟んで2時間ちょっとが短く感じられた。

芝居やトークに、歌ありダンスあり。結構本格的なミュージカルで、見応え聴き応えもたっぷり。日本語の歌詞に慣れてたせいか、ドイツ語やフランス語の歌は新鮮であり懐かしくもあった。
舞台装置や美術は和風エレガンスで細やか。2幕目の回り舞台も巧妙だ。
上演劇場までネタにしたりと、笑いのツボも外さずくどくもない。2幕冒頭のトークはかなり弾けているが、タイムリミットはきちんとあるw。客席通路を使った演出だけでなく、観客のいる座席まで使われて爆笑。どんどん会場中を巻き込み、手拍子や拍手と共に満足度も増していく。
そんなハチャメチャな中でも、キャラクターの個性や人間関係と共に、マリアさんの誇りと信念ある生き方をきっちり描き出して、淡い感動までそそる。

キャストは、ミュージカル『エア・ギア』と『家庭教師ヒットマンREBORN!』の融合+アルファ。皆さん身体が細くて美形で、その中で女性役は4人。
湯澤幸一郎は、熟年の美しさと妖艶さを漂わせ、歌唱力も素晴らしい。もっと高ピーかと思われたマリアさんだが、意外と理解者でもあり人柄が感じられる。
津田健次郎は、包容力ある理知的な美人さん。味わい深くもコミカルな演技で、”戦友”であるマリアさんとの関係を心地良いものにしてくれた。
一番ビックリしたのは永嶋柊吾。しばらく見なかったうちにヒョロヒョロ細長く伸びていて、声変わり後の低音があどけない顔から飛び出して、息子のような変貌ぶりw。身体だけでなく、芝居も歌も成長してて頼もしい。
KENNは表情も所作も男らしくなって、これまた嬉しい驚き。演技や歌にケレン味と深味が出て、役者としての幅広い上達ぶりにときめく(*^^*)。
『YooSoRo!』から1ヶ月、RUN&GUNの米原幸祐は小柄な身体でキュートに丁寧に熱演。女性声でも女性的所作でもないのだが、どんどん可愛く映ってたまらん。
齋藤ヤスカは、柔らかな高音声も麗しく、肌も綺麗、裾から除いた足もセクシー。あの月川悠貴に匹敵するほどの完璧な美しさで、何度も見惚れてしまった。
市瀬秀和は『YooSoRo!』の井上優と似た格好で、思わず獄寺&山本コンビを連想w。チョイ役かと思いきや、美味しい場面を拾い喰い^^;、ユニークでござった。
藤原佑規は軽妙に話を転がし、小林健一は変幻自在に話を盛り上げ、どちらも豊かな経験を生かす。

KENN&米原くん、津田さん&市瀬くん、ヤスカさん&柊吾くんの絡みが、思う存分やりきっちゃってて愉快痛快(^o^)。みんな其々が誰とも関わり合っているのがイイね。
最初は”蝶々夫人”を、やがて”聖母マリア”を連想させてくれたマリアさん。また来日してステキな歌声を聴かせていただきたいわ。紅茶を飲みたくなる舞台だった。

来春舞台のDVD化も決定。
キラキラACTORS TVのDVD、キラキラMOVIES前売券と、ここまで販売侵略。湯澤さん次回出演の『オアシスと砂漠(仮)』前売券まで販売中。これ、Wイッキ(@エアミュ)で興味大だが、チケット代がちと高過ぎる^^;。
シアターアプルとはこれが最後かな。残すはコマの『SAMURAI7』。
舞台『表裏源内蛙合戦』を観てきた。
パンフはいいとして、オリジナルグッズが高過ぎるっ^^;。
端だけど前方席なのでとっても観易い。今回は客席通路を使った演出はナシ。

井上ひさし×蜷川幸雄がタッグを組んだシリーズ第4弾。『天保十二年のシェイクスピア』に匹敵する約4時間の長さ。前半は興味がてらそれなりに面白かったが、後半は飽きや眠気もきて、時計も気にしつつ、観終わった後はグッタリ疲れた^^;。トイレが近かったのが救いw。

江戸時代の奇才・平賀源内の一代記。当時の社会や風潮を盛り込みながら、”表”と”裏”に二分されたキャラクターによって、源内の悲喜劇を描いていく。
『道元の冒険』と同じく、井上ひさしの初期の傑作戯曲を蜷川幸雄が演出。「伝説の抱腹絶倒音楽劇」と銘打ったが、悉く裏目に出てしまったようだ。

思えば、全員による長い前口上で、既に言い訳やフォローをしていたのだ。
歴史を大きく逸脱したキャラクターや展開、猥雑すぎるほどの卑猥さ、下ネタや性的描写も満載。ほんの少しが小気味よかったものが、やたら多くてやたら長過ぎる。しつこい脚本と、更にクドい演出が、観客をだんだん引かせてしまう^^;。
お得意の語呂合わせやギャグや漫才も、いまひとつパッとせず、笑いも尻すぼみ。”長崎”はどうしても「雨だった」にしたい意図が分らんw。
音楽も『道元』のようなバラエティさが足りず、インパクトもあまり無い。まともにしっかりと唄えている役者も少なく、電光掲示板の歌詞で確認したくなるほど。

博物学者で科学者で、文筆家で芸術家だった平賀源内。私の中では、日本のレオナルド・ダ・ヴィンチだと密かに慕い、ユニークな天才ぶりが描かれるかもと期待してたが、その活躍は曖昧なまま。周りからはヤマ師・ペテン師と言われながらも、世評をはね返すような飄々としたマイペースぶりも描かれていなかった。
ただ、源内の人生を細切れに追っていくだけ。立身出世を切願し、知恵と才覚を働かせ邁進するも、世間からは結局認められず追放された、夢破れた男のアンサクセス・ストーリー。観終わった後に、爽快感や満足感が得られずに残念だ。

表・源内は、蜷川氏とは初顔合わせの上川隆也。赤ん坊の時から演じるなんて!w 舞台上で、衣装だけでなく鬘の取替えまであるんかw。真面目に誠実に熱演されてるが、何か面白味がないのは何故だろう。
裏・源内は、勝村政信で、上川さんと結構シンクロしていたのが妙。自由奔放で快活で腹黒くて、表源内ではできないことを生き生きとやれて、こっちのほうが楽しそう。上川さんよりも源内らしくて好感度大。

高岡早紀の青茶婆は、妖艶さが足りない。むしろ二役だった篠原ともえの清純な色気のほうが上手く出ていて綺麗。
二役の豊原功補と高橋努は、ハチャメチャなコンビっぷりが愉快。六平直政の重厚な演技が際立つ。

カテコは1回、予想通り少なかったか。長過ぎたのか、途中で帰るお客も見られた。


テアトル・エコーの初演では、『道元の冒険』と同じく、表・源内を山田康雄、裏・源内を熊倉一雄が演じて好評を博したようだ。ある意味、平賀源内はルパン三世ともカブリそうなのでw、山田康雄さんの源内はさぞハマっていただろうと思う。

劇団俳優座の65周年記念公演『村岡伊平治伝』のチラシがあった。伊平治の一代記のようだが、源内よりは心に迫る快感を得たいものだ。
NHKBS2では14日(金)24:55から、俳優座50周年記念のてらそままさきの『村岡伊平治』を放送。私はお初なので楽しみ。
ドラマティック・カンパニー公演『birthday~2008~』東京・千秋楽を観てきた。

他のお芝居やイベントを蹴ってまで選んだDCのこの楽だが、いつも張り詰めたような高揚感が、開演前から会場を包むこと。そして楽は沢山の知人に出会えることが嬉しい。
初めて観るのが千秋楽という観客も結構いたのか、舞台の内容やネタひとつひとつに、周りが小まめに反応され笑いやツッコミがいっぱい起きて、客席も初日のような賑やかな雰囲気に包まれた。

3回目の観劇は、ちょっと観難いフラットの前から3番目の座席。真ん中なのでどちらにも目がいくが、首を左右に動かさないと肝心の場面が全く見えなくなる状態^^;。身体がちょっと疲れてきて、初日の頃のようには集中できなかったかな。
でも相変わらず、DCの良心が感じられるあたたかくステキなお芝居だった。例えていうなら、”木綿”のような、素朴でしなやかで誰にもしっくり馴染むような手触り感。
キャラクターの造形も見事。特に女性キャラをあんなにも生き生きと愛らしく強く描けるのは、やはりTARAKOさんのお人柄と力量によるものだろう。
初日で感じた、台詞が一部聞き取れないところや、暗転の多さやテンポが若干悪いところは、楽になってもあまり改善されてなかった模様^^;。でも暗転中に役者がテーブルや椅子を運んだりする光景が微笑ましかったりと、演出上のツッコミもプラスにしちゃうDCさんの底力も伺える。
何度も何度も笑ったり、切なくさせたり、懐かしいネタに苦笑したり、自分の人生と生活を振り返らせてくれたりもした今回の作品。今までにありそうでなかったDCさんの味だったが、これこそ11年目を迎えた新生DCさんのお誕生日的作品だったなぁと思う。


千秋楽恒例のカテコは、中尾隆聖と関俊彦が両側に立って出演者のご紹介。「中尾さんからですよ~」と促す関さんw。「川島得愛」のところで一呼吸ついたりして。
ゲストお三方には花束が贈呈されるが、袖から花束を持ってくるタイミングを計る中尾さんと関さんの姿がお茶目。渡辺菜生子さんには当然中尾さんでしょ。麻生美代子さんへの花束を持ってくる関さんだが、とりわけ花束が大きく見える。
今回初めてDCさんの脚本・演出を手がけたTARAKOさんも予想通り登場。劇中でバイキンマンのエプロンを着た人が出てきたが、TARAKOさんがそのエプロンを着用してて笑いが起きる。「DC、鈴舟、WAKU」の今後の活動を祝したコメントだった。
TARAKOさんと渡辺さんが隣同士に並んで、まる子&たまちゃんだ~と一瞬嬉しくなったが、二人の間を割って入るバイキンマン@中尾さんw。

中尾さんからお仕舞いの挨拶の後、関さんから恒例の大阪公演の告知になるがなかなか出てこない。中尾さんから可愛く促され、慌てて関さんがにっこりと「大阪も、きてね」。ぷぷぷ。
客演の方、メンバーが舞台袖にはけた後、残った中尾さんと関さんが真ん中で両手ポーズで「ウイッシュ!」(^.^)。やるゾやるゾと思ってたので、私も一緒にポーズ付けちゃったv。劇中では関さんは、このポーズは全くやらなかった、というか、やれなかったんだものね。最後の最後にやって貰えて良かったv。

そして拍手が鳴り止まずアンコール。ステージにみんなが再登壇する中、関さんだけがなかなか現れない。下手からやっと登場した関さんは赤いアノ衣装で、とっても照れ臭そうw。客席も大ウケする中、中尾さんらの「ありがとうございました!」で幕が下りた。
幕が下りてからは、恒例のホスト達のナマラジオ。ゲストで喋った麻生さんは、否定してても舟さんだったw。おまけに「ジャン・ケン・ポン!」(笑)
皆さんお疲れ様でした。ありがとうございました。大阪公演の成功もお祈りします。


次は中尾さん客演の12月のヘロQ。麻生さんの1月のお芝居も観たいな。

今回の関さんは、20代後半から30代前半という男の役で、それはそれで関さんらしさが出て良かったと思う。でも10年以上前から、ずっとこういった役どころで、殆どが本人よりも若い役ばかりで、それはそれで物足りなさを感じてしまう。
DCさんの舞台でムリなら、いっそ他のカンパニーに客演されたりして(岸野組さん以外で)、関さんの目新しい役や年相応の役と出会いたいなと願う。関さんご自身はそういう冒険をあまり望んでいないようだが、関さんの役者としての「birthday」をちょっと考えたりもした。

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観劇後、娘と合流して自宅近くのスーパーへ。最近男友達ができた娘は、今まで全く興味がなかったのに、急に自分の服や小物を新しく買いたいと私に頼んできた。ずっと青系や黒ばかりを好んでいたのに、進んで赤やピンクを合わせる娘。可愛い!とか、似合うかな?という言葉も口にして、娘のあまりの変貌ぶりに私は呆気にとられた。
やっと自分の周囲に気を配り、自分の服も気にするようになって、そんな娘の姿は嬉しいが、こんなにも急激に変わるなんて親はすぐについていけない。
帰り道、そのことを娘に言ったら、テレながらこう返してきた。
「わたし、生まれ変わったのよ」
”リアルbirthday2008”ってわけね!(^o^) Happy Birthday to you♪

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その日はもちろんTVで『ちびまる子ちゃん』と『サザエさん』。その前に『ガンダム00』でピーターも活躍w。
30-DELUX The Eighth Live『ファミリア』3回目を観てきた。
東京、大阪公演を経て、昨日からは国立劇場へ居を移し、客席四方囲みコロシアムスタイルバージョンでの上演。リングのような四角いステージを見事にグルリと囲む客席で、バルコニー席も人で埋め尽くされて大人気。

パンフは別バージョンで、内容もかなり違ってて楽しめる。ダブルキャスト座談会ページは、前作『シェイクス』や舞台『最遊記』ネタも喋っていて、まさに運命の巡り合わせw。しっかし4人とも関西系だったのね。
開演10分前から、タイソン大屋と清水順二による前説が始まり、慌てて座席着。内容的には10月の東京と同じなのだが、なんでこんなに笑えるんだろうw。

お話はもちろん同じ。居合道場の親子と門下生たちが織り成す、ハートフルアクションコメディ。
ステージ四方に小階段があり、会場四方から役者が出入り。どうやら私の座席の右手が上手で、左手が下手らしいと把握。
四方囲みだと、役者の立ち位置によって観難いシーンが結構ある^^;。お目当て役者のお尻しか見えなかったり、こちらに顔は向けているが遠くだったり、せっかくの表情やショットが前面に立つ役者のために全く見えなかったり。
暗転も多くならざるを得ないようだ。一方向だとそれほどでもなかったが、会話場面や暗転時で眠気が加速した^^;。身体の調子も関係しているかもしれないが。

その代わり、役者が近い! こちらのほうに来てくれると、あまりの近さに嬉しさを通り越すほど興奮。目が合いそうになるとドキドキしてしまう。
歌の場面では特に顕著で、最初は沢木順、中盤以降はON/OFFが歌を唄いながら、ステージではなくその周りをグルグル回ったりして、ライブ感覚が強くなった。
ステージから降りて、身だけを潜めてひょっこり顔を出したりと、自由活発な演出が観客との一体感を深める。歌の時にも自然に手拍子が出たりと、役者・スタッフ・観客一丸となって賑やかに盛り上がった。

御之寺拓道役は、加藤巨樹から同じAxleの柄谷吾史へ。誠実で真面目で堅物な雰囲気だった巨樹さんと比べ、柄谷さんは何だか調子がよくて胡散臭そうw。最初から葵ちゃんへのスキスキ光線が出ているし、オーバー・リアクションと関西系の笑いのノリが前面に出ていて、かなりお茶目なキャラに変貌してる(^o^)。真面目な表情やドスの効いた声などは決まるし、立ち姿も存在感がありさすがに格好良い(*^。^*)。靴下で歩く時が多く、身長に比べ意外と足が小さいんだなと気付く。
巨樹さんがずっと白と袴姿だったのに比べ、柄さんは途中からジャケットに着替えちゃうところが惜しいな。あの格好で剣を奮ってもちょっと迫力不足。そしてやっぱり出番が少ない。
先週まで同じ劇場で『斜塔』のインテリ役をこなしていたのだし、一週間でよくぞ別キャラに成りきったなと思うと、柄さんの役者魂を感じ入った。

カムラ役は、林修司から鈴木拡樹へ。こちらは設定そのものが変更。林さんは今現在のもうひとりの真金自身だったが、拡樹くんは昔の真金ということになっている。そのため、ステージでもステージ外でもよく跳ね回り駆け抜ける軽やかさで、純粋な子供らしさを表現。声も話し方も表情も子供っぽいので、今の真金となかなか重ならない。
やる気を出した真金が、カムラと共に稽古を積む場面がすっぽり抜けていたのが残念^^;。林さんと清水さんの白熱の殺陣アクションを見せてくれただけに、拡樹くんには殺陣はムリだったのだろうか。お話的にも真金が自分自身と修練する様子は不可欠だったと思う。
でも林さん以上に拡樹くんは出番が多いと感じた。四方囲み故に増やすことも可能だったのか。

中村誠治郎は、殺陣アクションにまたキレと迫力が見られ上達していた。それに笑うとやっぱり可愛い。坂本直弥&和弥の歌も冴えるが、やっぱり弟くんのほうが好み。
植原卓也のアクロバットにあらためて拍手。彼はまだまだ伸びそう。

ラストの「絆♪」は、ステージ四方を役者が囲んで其々の決めポーズで唄う。こっちのほうには柄谷さんが来てくれて、ステキな表情で唄っていた。歌詞ちゃんと覚えているんだwと思いながら、格好良い柄さんにしばし見惚れてドキドキv。殺陣ポーズの時は『ピスメ』の土方さんを彷彿とさせる。柄谷さんに釘付けのあまり、横上にいて唄っていた清水さんにはしばらく気付かなかった^^;。座席位置もお目当て的にはラッキーだったようだ。

後説はまたタイソン大屋と清水順二。前もって観客に一斉メールがしてあったのでw、ジャパネット森大がケーキを持って登場、他メンバーも集合する中、「Happy Birthday♪」のサプライズ。そう、今日は清水さんの36歳のお誕生日なのだ。まだ36だったの!? 彼もさそり座の男なんだね。おめでとう!
ケーキはタイソン&清水が向き合う人形付き(?)。勘のイイ清水さんだから気付いていたのかもだが、クールに驚いて、「これからも頑張ります」と得意のアドリブも出さずに喜んでくれた。

名古屋のお母様のことも話題にしてた清水さんだが、来週はいよいよ名古屋へ凱旋公演。東京公演が長かったら、私ももう1回は観に行きたかった。
演劇集団円 公演『孤独から一番遠い場所』を観てきた。
2回目の円ステージだが、トイレにフックが無く用足しが大変^^;。
スペース107と同じく、自由席が前なので、フラットのA席はとっても観難いと気付く。おまけにA席には防水シートも配布されない。

戦時中の九州の漁村と、平成になった頃の街の会社。二つの世界を交互に映し出し、人々の孤独と安らぎを浮き彫りにする、鄭義信の書き下ろし脚本。
水を張ったステージは今やあまり珍しくない。だがこれほどまでに舞台が水浸しになり、役者もずぶ濡れになり、こちらにまで何度も水が跳ねてくるとは思わなかった。それぐらいエキサイティングで長い芝居である。

雨漏りで足首まで水に浸かった社内と、雨水と波と砂で覆われた寂れた土地。「ギラギラ」「ジメジメ」「ジリジリ」「ズキズキ」といった擬音と湿気が充満する2つの世界。真夏に観てたらイライラしてただろうw。他の共通項を考えた時、会社員の年齢に思い至った。
どちらも水に翻弄されながら、逃避と性欲に囚われる人たちと、食欲と笑欲に囚われる人たち。まともに見えながら、彼らはどこか歪んでいる。

役者たちは衣装も体もビショビショにしながら、エネルギッシュに熱演。火照りと湿り気がこちらにも伝わる。わざと客席に小物を投げ入れたり、頻繁にかかってくる水しぶきといい、観客をも容赦なく芝居に巻き込んでいく。
上演中ずっと揚げ物の匂いが鼻につき、劇中で使われる煙草や火薬の臭いよりも濃密だった。これは階下にあるスーパーの商品のものだろうが、演出の一部としても効果的だったw。

朴路美は、貞淑と奔放の二面性の女を、けだるさの中に表現してエロイズムをそそる。
石田登星は、金も女も自由も子分も何もかも欲しがる、野心ある男でハマリ役。
路美さんと登星さんの絡みで、去年の『オセロー』のような激しさが感じられた。
渡辺穣は『ER』でお馴染みのモリス声で、しつこく引っ掻き回す。吉澤宙彦は難役を力強くこなすが、モノ凄い水しぶきはワザとに違いない^^;。

濡れた男や女はそそるが、照明が映し出した水の螺旋や人の影は、幻想的でこの上もなく美しい。
「めくら」「びっこ」「ちほう」こういう言葉はいつから使われなくなったんだろう。身体的に不自由な人が、希望に満たされて見えるのは何故だろう。
人は孤独であるほど透明で平安であり、人と群れるほど不自由で狂気を帯びてしまう。
「涅槃で待つ」という言葉が浮かぶが、ステージの水が”三途の川”のようにも思えた。
先日観た『斜塔~シャトウ~』は乾いた感覚だったが、メッセージのベクトルはこの作品と同じ方向なのかもしれない。

『ウルトラヴァイオレット』の宣伝が、ロビーやパンフまで席巻。座長とはいえ、路美さんづくしのお芝居だったのが腑に落ちない。
その作品でも共演された小山力也さんを発見。マスクをされてても、コーヒー飲んだり声を出されるとすぐに分っちゃうw。
高橋直純さんの花壇札で、『デジモン02』が懐かしくなった。
ドラマティック・カンパニー公演『birthday~2008~』の2回目を観てきた。
千秋楽を迎える中ホールからは、何だか異様な空気が伝わってくる。

今回も抽選はハズレ。賞品が判明したが、「タイガースリー」の名刺が欲しかった。今日の私はピンクを着てきちゃったw。
またも最前列、しかも真ん中で緊張。
前説は録音かな。細かい秒単位が笑える。

ストーリーが分ってるせいか、初日観た時より、うんと短く感じられた。1時間38分だから、やっぱり短くてイイ。休憩がないのもよい。
テンポやリズムも初日よりスムーズで軽快。たまにストップモーションのシーンがあって笑えるが、緩急のメリハリが上手くて観易いこと。
細かいところで演出がちょっぴり変わっていたような。衣装も人物によってちょっと変わっていたかな。クドイと思ってたキャラも、それ程クドさは感じられなかった。

渡辺菜生子@千代ちゃんが可愛くて可愛くてたまらんv。過激でキュートでしっかり者。耕ちゃんひと筋の純粋さ。こんな奥ちゃまに憧れちゃうな(^.^)。
波岡晶子@夕子さんも颯爽としてて可愛いな。暗い過去をバネにして、明るくカラリと生きていく。頭もキレるし優しいし。耕ちゃんに惚れてたのに、最後は違う男?w
二人とも、これまでに辛く哀しいことをたくさん経験してきたのだろう。だからこそ自分の風で、自分の道を歩いていける。二人のしなやかな生き方がとても好きだ(^^)。こんなステキな女性たちを、作品の中で生み出せるTARAKOさんも、きっとステキな方に違いない。

千代ちゃんをはじめ、みんなが芝居の中で結構過激な言葉を口にするのに注目。「刺しちゃう」とか「殺す」とか、言ってる本人たちは決して本気ではないのに、状況や心情ついでにポンポン飛び出しちゃう^^;。
その台詞がやがて伏線ともなってくるのが巧妙だ。日常の中で突然襲い掛かる非日常。非日常を日常へ覆すことが出来るのも人の思い。もしかして私達も知らぬうちに誰かを傷つけているのかもしれない。もしかして私達も知らぬうちに誰かを誤解しているのかもしれない。
人と人との繋がりの難しさを鋭敏に描く一方で、TARAKOさんや演じ手のお人柄も反映され、作品全体に性善説と安らぎが貫かれていて面白い。これが今後DCさんのカラーになるのか、または、更に上回って良い意味で裏切れる芝居を作れるのか、これからの課題となってくるだろう。

お隣の年配のご婦人が、笑って笑い過ぎて咳き込んだり、ハラハラと涙ぐんだりと反応がとても素直で、こちらまでホックリ和ませて頂いた(^^)。特に田中完さんの言動に夢中で見入っておられたが、もしや役者さんのご家族の方なのだろうか。
歌も音楽も、お笑いネタも、私の年代に合わせたように古臭くて懐かしいのが可笑しい。「ねるトン」なんて30年前じゃなかったっけ!?

「美穂ちゃん」の名前で、『ちびまる子』の穂波たまえ(@渡辺菜生子)が浮かんだ。たまえも純粋で賢い少女。たまえの父も娘を溺愛するあまり、趣味の写真もいっぱい撮る優しい親バカぶりだ。たまえの父を、何故か美穂の父と重ねてしまう。たまえ父@飛田展男のお芝居もズバリ来週。
色々と着替えた関俊彦。上が赤なら下も赤にすれば、ナマモモタロスになったのに~。クリーム色は穏やかな心の表れか。

最後に全員がステージに揃ってお辞儀。クリーム色の中尾さんが今公演の宣伝、関さんが大阪公演の宣伝。ところが関さんがちょっと噛んで、すかさず中尾さんがツッコミw。「今日は1回だけ」と言う中尾さんと関さんの小さなやり取りが微笑ましい。
後説は、ジョニー@堀本等とピーター@川島得愛の流暢な掛け合いとグッズ宣伝。途中、二人から突然促された関さんは、アドリブもままならずグダグダ(笑)。ナマならではの楽しさ。最後まで場内はあたたかい拍手で満たされた。

残すは東京千秋楽。ポスターは透明ホルダーに納まらない大きさだから、1階のみだったのね。
デジタルハリウッド・エンタテインメント プロデュース公演『斜塔~シャトウ~』を観てきた。
今をときめく俳優たちの競演舞台で、さぞかし混み合ってると思いきや、私の隣も周りも空席が多くてガックリ^^;。プレ公演や前夜祭で盛り上がりも終ってしまったのか!?

巨大地震で沈没寸前の日本列島。自衛隊によるシェルターへの搬送をめぐって、激しく争い揺れ動く人達を描いた、近未来パニック群像劇。
作・演出は、映画『僕らの方程式』を執筆した岡本貴也。
現代の地球や日本が抱える闇を露にし、危機と警鐘を真剣に訴え、平和ボケで疑問も持たずにただ生きていく人達の愚かさと汚さとやるせなさを浮き彫りにする。私達が目にしてきた史実を隠さず率直に語るので、リアルで痛恨な気持ちにさせる。問題作ではあるが、作り手の真摯な気持ちとやる気は伝わってくる。

話は複雑で手強い。選ばれた者と選ばれたかった者と選ばれなかった者。役に立つ者と役に立ちたい者と役に立つか分らない者。そんな風に選り分けられた10人が、どのように変わっていき、どんな道を歩んでいくのか興味を持って見守っていたが、何の解決も進展もせず後味は苦かった。人も考え方も、根本はそう変わることはないというわけか。
常に冷め醒めとした乾いた空気が充満する舞台。誰もが自分本位で、愛する人の為というよりただの自己満足で自分の為。白と黒で区別できずグレーの人達ばかり。誇張された個性とクドい場面が多く、途中で眠くなってきた^^;。どの登場人物にも共鳴できなかったのが辛い。

DボFCツアー以来に観る荒木宏文は、弟思いの兄貴役で、純粋すぎる献身ぶりがよく出ている。
全く逆な役どころが、柄谷吾史(Axle)演じる自己チューで高慢な男だろう。”悪役”に徹した柄谷さんのクールで激しい芝居は、舞台に緊迫感と活気をもたらして凄い。日本と日本人の茶番について語る、強気でインテリな饒舌ぶりも見事で、つい弾き込まれて納得してしまうw。「負けたからだよ」なニュアンスの台詞が飛び出した時は、柄谷さんが菊池化(@ジパ)したのかと思っちゃった(^.^)。
アラヤンと柄さんの後半の逆転劇が見どころだが、そこまでの過程や状況があまりに唐突で都合よくて、話をつまらなくさせる^^;。

『遙か』の安倍泰明で知った八戸亮が、柔らかで誠実な役どころだが、柄谷さんより背が高かったのか。『かかって…』ライブ以来のDAIZOは病身の役だったが、後半はケロリと治ってしぶとかったのが不自然^^;。兄ちゃん@アラヤンの気遣いシーンもすっぽり抜けていたので苦笑。
SHUNの自衛隊員は骨太で良かった。遅れて出演決定となった永山たかしだが、あの役に髪型や口調が合っていない。自衛隊的にあり得ないやり取りに呆気^^;。
災害真っ只中というのに、女性たちの衣装もあり得ない^^;。単にセクシー度を強調したかったのか!?

音響がリアルでインパクトがあった。揺れるライトや書棚など、舞台装置も単純な中によく計算されている。斜めな世界観は歪んだ人達を映し出しているのか。
自衛隊バンザイ気味だったが、自衛隊ものはやはりアタラナイのかと空席に目がいく。着眼点は面白いが、メッセージ的にも中途半端だった。

来週土曜日も30-DELUXの舞台でまたこの小劇場。今度は愉快な柄谷さんと爽快感を期待したい。その前に今度は映画でズッキーを観なくては。
ドラマティック・カンパニー公演『birthday~2008~』初日を観てきた。
中ホールに行く人も小ホールの前にいたりと開場前も賑やか。

ロビー物販でパンフとCD-ROMを購入。アナログ派なので、紙の写真集がよかったんだが^^;。DCカードでクジ1回。ハズれたが、賞品はいったい何だったのか?
最前列の座席でやはり緊張。客席には関係者や俳優さんの顔もちらほら。

とある田舎のホストクラブを舞台に繰り広げられる、笑いと涙と人情のハートフル・ストーリー。
作・演出はTARAKOさん。TARAKOさんならではの賑やかで柔らかな脚本が、DCメンバーの雰囲気とぴったりと重なる。細やかで情感溢れる演出により、忘れていた優しい大人の時間を生き生きと紡ぎ出した。

クラブの名は「タイガースリー」。物語では”名前”が重要なポイントとなり、名前だけでも笑う(^o^)。見知らぬ男がキーマンであるが、記憶と時間も大きく関わってくる。
登場人物の誰もが、重く辛い過去を抱えていたり、秘める想いに悩んでいるが、人との出会いや触れ合いが彼らに笑いをもたらし、”柳”のようなしなやかな生き様を見せてくれる。

中尾隆聖と渡辺菜生子が、まるで本物の夫婦のように、息ぴったりの仲の良さで羨ましい。中尾さんは、軽妙で粋な外面の奥から陰影を覗かせ、味わい深い台詞の数々がジンと胸に沁みて涙が出そうになった(;_;)。ちゃんちゃんこ姿がよく似合うw。渡辺さんはキュートで大胆で逞しくて、一番共感ができた。麻生美代子はさすがのポイントゲッターの貫禄。パンフにもあったが、『サザエ』の舟、『ちびまるこ』のたまちゃん、『アンパンマン』のバイキンマンと、錚々たる家族構成に笑い。たまちゃんが『ハレグゥ』のグゥに変貌する辺りも愉快。

波岡晶子は語り部的な、全てを超越したような空気みたいな存在感でほっとさせる。堀本等は笑いも力もw一手に引き受けるムードメーカー。長身の川島得愛は確かにイイ男っぷりで、片思いの切なさもさりげなく上手い。
コメディタッチの田中完だが、緊張感で上手く引き締める。グラサンを取った表情も見たかったな。

物語を時に緩やかに、時に強引に牽引していく役が関俊彦。一番難しい役どころだが、前半と後半との表情と演技のメリハリが見事に出ていて惹き込まれる。衣装もグダグダからキラキラへと目まぐるしく変わり、どれも似合っちゃうから面白い。
関さんがあまりに近過ぎて、嬉しさを通り越し、まともに顔を合わせられないv。特にこちらのほうまで寄ってくる場面では、状況が状況なだけに^^;、顔をこわばらせてビクついてしまった。
関さんの歌もチラっと聴けるが、泣きや絶叫に凄みを感じさせて胸うたれる。

スライド式の舞台装置がスピーディな展開をもたらし、飽きさせない作り。
くどく感じさせる人物もいたり^^;、もう少し掘り下げて描いて欲しかったと思わせる人物もいて惜しい気もする。
笑いネタが、一部ウケはするが、よく分らないものもあったり^^;。

最後に全員がステージに揃ってお辞儀。中尾さんが今公演の宣伝をすると、関さんが大阪公演もあるとフォロー。いつもの和気藹々ぶりに、ほっくりと癒される。
月曜と楽日にまた観る予定。細かなところで進化しているかもしれない。
ミュージカル『テニスの王子様 The Imperial Presence 氷帝 feat.比嘉』東京凱旋公演初日を観てきた。
4年ぶりの中ホールになるのか。そして2年ぶりの氷帝オリジナルキャスト。近場もあって、開場前から気合入りまくりw。

黄色いパンフは青のと殆ど同じようで、色々と違って面白い。2年前のようにソロ写真も購入。
ラッキーにも取れた座席はちょい後方。段差もあるし観易い。開演前から注意事項ばかりだが、帽子を被ってる人は開演直前に促されて脱いだ模様。

8月に観たストーリーと同じ、青学VS.氷帝の決戦についに決着。
見どころはもちろん、愛知公演から復帰した、加藤和樹@跡部景吾と斎藤工@忍足侑士だ! 二人とも今をときめく有名人に出世しちゃったので激戦必至。

「待ってたぜ♪待ってたぜ♪」「今までと違う♪」まさに冒頭の歌の通り。和樹@跡部と工@忍足がステージに出てきた瞬間から、空気が研ぎ澄まされたような心地良い緊張と興奮に包まれる(*^。^*)。
夏の氷帝Aと比べてしまうが、和樹と工の芝居はやっぱり上手い。声が違う。発声も違う。目を瞑っていても誰が喋っているか分る。台詞もよく通り分り易い。観客に明確に伝えられる力量を持ち合わせている。やはり経験と修練の賜物なのだろう。

和樹の歌がすっごく上手く聴こえる。周りのメンバーと比べてしまうせいか^^;。良い声が会場全体に凛々しく響いて嬉しくなっちゃう。歌詞がはっきり聞き取れたおかげで、今まで跡部が何と歌っていたかがようやく判明したw。
大きいアクションやジャンプも喜ばせるが、リョーマ戦で打ち負かした後に何度か見せる、斜めに構えたキリっとした姿勢の美しさには惚れ惚れするv。ニヤリとした表情や閻魔のような見開いた瞳など、細やかで深い演技も魅力。
氷帝メンバーを束ねる貫禄とカリスマ性も兼ね備えた和樹はとにかく格好良く(*^^*)、皆からも愛されているなと実感。

工の忍足はクールなだけでなく人情味が滲む。声がたまらなくセクシーで蕩けそう。静と動のメリハリの芝居が上手い。
和樹や工の勢いに負けじと、氷帝メンバーも洗練された芝居で全力を注ぎ、分り易く魅せる芝居へと向上している。
中でも、やっぱり鎌苅健太@宍戸はやんちゃでカッコイー。彼だけが「跡部!」と呼び捨てにする反逆性と、跡部戦で見せる信頼と思いやりとのギャップが面白いのだ。

青学4代目も全体的にレベルアップ。歌もかなり稽古したようだ。
特に渡辺大輔@手塚国光の色気あるボイスが、オッキーを彷彿とさせてステキv。歌も格段に上手くなっていてビックリ。手塚以上に手塚らしく格好良かった。
阪本奨悟@リョーマの熱演に目を瞠るが、英語だけはどうしても聞き取れない^^;。DボFCツアー以来に観る牧田哲也@桃城は粘り強さに注目だが、オデコの赤インキに目がいっちゃう。1年トリオでは、カチローだけが初かな?

比嘉中からは、Luke.C@木手、篠谷聖@甲斐、齋藤ヤスカ@平古場がゲスト。木手の「リーゼント」に全てもってかれたがw、愉快なコミュニケーションだった。

手塚のスクリーン映像は前と少し違ってたようだが、やっぱり意図するものが伝わってこない^^;。「完治したんだ」と手塚を信じながら、雨が降ると「もうやめろ」と言い、リョーマに引っ張られて「手塚なら」と二転三転変わる青学チームには苦笑するしかない。リョーマの前に落ちるライトも、暗転ですぐ終っちゃう。原作未読者でももう少し分り易い脚本と演出を望みたい。

決戦終了後の跡部がアノ髪型だったのは、和樹がイヤがったからか!?^^;
氷帝チームの歌って夏にもあったっけ? 「桜♪」とかの歌詞が出ると、今公演が和樹らの卒業公演のように聴こえてしまう。
会場一丸の手拍子で盛り上がるオーラス。こっちの通路まで来てくれたのが忍足で、工くんの端整な顔を間近で拝む。忍足と入れ替わりに今度は手塚。左側通路には平古場で、微笑むヤスカさん。跡部は左前列のほうであれこれ。座席通路的にも美味しかった。

これが氷帝戦最後、氷帝の和樹や工を拝める最後かと思い、かなり集中して見入り、存分に目と脳裏に刻み付けた。切願の想いが叶えられて満足v。拝めた幸運にも感謝したい。
関係者や俳優さんと思われる方も結構いらしてた模様。年末の四天宝寺戦も1回は観劇したい。

明日夜は小ホール。ポスターが岸野組になってたがDCだよ~。
RUN&GUN Stage『YooSoRo!~日本を変えたヤツらを変えたヤツら~』東京公演初日を観てきた。
RUN&GUNの4人が、本格的に”演劇”に挑戦する「R.G.S.」シリーズ第2弾。
今回は、*pnish*から2人が客演するなど豪華ゲストも実現し、先週までの神戸公演を経ての東京の舞台となる。
『最遊記』以来の劇場だが、運良く段差のある座席でとっても見易い。

時は幕末。幕府自慢の黒船の狭い船底で汗水流して働く若者たちが、時代を動かした様々な人々と絡みながら、日本中の海原を駆け抜けていく、幕末青春アドベンチャー。
勝海舟、坂本龍馬、榎本武揚など、歴史上の海の男たちも登場。彼らの姿を、底辺で石炭をくべて船を動かす、あくまで無名の若者たちの目から見据えたのが面白い。

異色な切り口で激動の時代を痛快に描いたのは、カムカムミニキーナの松村武。あて書きではなく、今回はRUN&GUNに挑戦させ育てるというコンセプトのもと、あえて彼らの今までのイメージとは違った配役となった。
役者としてはまだまだ”未熟”な彼らを、劇中の人物とも重ねて、船ごと舞台ごと変えてやろうという気魄で演出されたのも松村氏。俳優としても出演、劇中でも羅針盤となって彼らを導き、狂言まわしの役割も果たした。

RUN&GUNの永田彬は、いわば船の舵取りのような重要な役どころ。真面目で誠実で柔軟な雰囲気をよく掴んでいて、努力と根性の成果を出していたと思う。
石炭をくべる水兵たちのリーダーが宮下雄也だが、リーダーらしからぬ寛容な仲介さがポイント。純粋そうな笑顔がよく似合っていた。
身長ですぐ分る米原幸佑は、当初はキャラクター像が掴めず、ようやく百姓だが物知り博識な男だと分った。冷静沈着ぶりをもっと見せていても面白かった。
上山竜司は、なかなかその役だとは分らない程化けていたw。短気で乱暴だがノリもよく柔軟、だが暗く複雑な過去も持つという難解な役を丁寧に演じていた。
衣装や髪型のせいもあるが、ホントにみんな上手く化けていたと思う。永田くんの滑舌も気にならないしw、通りのいい声で台詞もしっかり発声できてて良かった。

ストレートプレイではなく、男気溢れるダンスやリズミカルな歌もふんだんに盛り込まれている。特に、若いRUN&GUNのシャープでキレのあるダンスは見どころ。
*pnish*のダンスは若さではもう叶わないかもしれない。だが演技面ではランガンに比べると、経験値の差による圧倒的な凄みと余裕を見せ付けた。
同じ底辺の男を演じながら、鷲尾昇は役としっかり溶け込んでいる。細やかで大胆な動きと共に、観客に”魅せる”演技でレベルの高さが伺えた。
森山栄治はどんな役でも変幻自在に自分のものとして、安定感と逞しさがある。栄治さんの登場シーンはパーっと華やかになり、話がドンドン転がって楽しい。

井上優の舞台は初めて観たが、声優的にいうと、まさに檜山修之風のキャラでビックリした。刀をもって振り回す姿は、リアル山本武(@REBORN!)の狂乱ぶり(笑)。
最年少の風間由次郎ともお初。5人の男たちの中で一番よく掴めなかったキャラだが、後半でようやく存在感が示せたかも。
紅一点(?)藤田記子は、2役とも凄まじい印象のひと言。「パニッシュ」とやたらワッシーを標的にしてたのは何故?

注目どころは、徳川慶喜の福田元首相化(笑)。「アナタとは違うんです」とか「他人事です」とか、小宮孝泰の怪演もあって、重ねながらも爆笑した(^o^)。意外にも周りの観客は平静だったが、政治ネタはウケないんだろうか。
とにかく松村さんサイコー! こういう脚本こそロビーで売ってたら買いたいところだ(千円なら)。

「ジャパニーズ・スピリッツ・オブ・ボトム」に、『ボトムズ』のアニメタイトルが浮かんでくる。いつの時代もそういった底辺で働く名もない男達の手で、実は歴史が動かされてきたのだ。
「よーそろー!」と劇中で叫ぶ若者たちの汗と水のきらめきを観ながら、今のこの鬱屈した時代も、彼ら若者達に変えて欲しいなと願ってみたり。
1作目の『ブルーシーツ』と比べても、役者としてみちがえるほど大きく成長している若者たちを、眩しく嬉しく思った。3作目を観るのがまた楽しみだ。

新しい時代を伝える松村氏のナレーションを挟み、あっという間の若者たちの早替わりがお見事。
最後は明るい音楽の中で、全役者の登場とお辞儀。拍手と共に、お礼の手拍子で楽しく迎えたが、周りが殆ど手拍子をしてなくて、私だけ浮いちゃいそう^^;。楽に向けて、ここはどうしても観客の手拍子で盛り上げて頂きたい。
ステージにランガン4人。マジシャンにピアノ奏者?w 公演告知とハイタッチする役者の名前を発表。アキラとしたかったw。

終演後、アンケを書いてから両手ハイタッチ。お初の風間くん。帽子を被ったワッシー。米原くんと宮下くん。宮下くんの真ん丸眼がカワイイ。
宮下くんには『遊戯王5D’s』から花壇。永田くんにはJAEの金田治氏から黄色い花壇。
30-DELUX The Eighth Live『ファミリア』2回目を観てきた。
お目当ては、観劇というより、その後のイベントやサイン会。
当初はサイン会詳細も発表されず、10月は1回の観劇でいいだろうと油断していた。1回目の観劇ですっかりハマリ、どうしてもサイン会に参加したくなって、今になって当日券を求め劇場に早めに行く始末^^;。

私のような人も少なくなくて、予想通りに列が並んでいた。本日サインする誠治郎くんファンが圧倒的に多し。
ラッキーにも、ギリギリで当日券をゲット。席はフラットの右端のパイプ椅子だが、ちょっと身体を斜めにすると、人と人の隙間から充分ステージを観ることができる。

清水順二とタイソン大屋の前説は、毎回ネタが同じみたい。コール&レスポンスでいっぱい「みちよ」を聴いたな。前列右に座っていたイケメン男性陣が、まるで”サクラ”のようにノリノリ。マスコットキャラ「よつば」と「ハナ」の中に入ってる人のことまで言及w。

1回目は前方席で緊張しながらの観劇だったが、今回はもう少し視野が広くなり余裕が出たのか、前回よりも更に楽しめた。
コーヒーも飲んでないのに、眠くならなかったのがフシギ。色々なネタにも素直に笑えたし、手拍子にも素早く反応できるノリも出た。観客が手を挙げて言うシーンもしっかり台詞発声(言う度に『マ王』兄を思い出すw)。

音楽はYUKIYOSHIだが、オリジナルの「絆♪」が聴けば聴くほど良い歌で心に沁みる。前半で沢木順が凛々しい歌声で響かせるが、ON/OFFがその歌を更に2回に分けて熱唱。シーンごとに様々な色合いをもって歌が見事に盛り上げてくれるのだ。ON/OFFは、劇中に登場したDVD主題歌の「宝物♪」も明るく唄う。
主人公の妹役で好演された若木志帆の歌も、劇中で少し聴きたかったが、これは21日夜のイベントでしか聞けないらしい。

1回目で観た時よりも、全体的に殺陣アクションが冴え渡っていた。
特に、清水さんと対峙する中村誠治郎は、殺陣にキレと濃くが出てきて白熱した場面を見せる。コミカルな演技とのメリハリもよくて、「ミトコンドリア」では一部観客が大笑い。
林修司の役どころは、予め伏線か何か欲しいところ。妖しくも爽やかなのが良いが、11月の鈴木拡樹はどんな演技を見せるのだろう?

今回お目当ての加藤巨樹は、いわば”悪者”を自ら買って出た役どころ。冷静沈着で誠実で真面目な中に、コミカルな可愛さを内包させて最高に格好良くてステキ(*^。^*)。普段は静かなのに、怒鳴ると雷のような迫力があるのもさすが。巨樹さんをじっくり観察すると、細やかな表情と柔らかい所作が実に美しくて、隅々まで役に成りきっているのが分る。
巨樹さんと誠治郎くんの2ショットもあるが、師匠と弟子という信頼感も伝わり、ほのぼのと気持ち良い場面。
結局「天才」だったのは清水さんと誠治郎くんの役で、それを充分承知した上で行動した巨樹さんの役。羨ましそうに呟く巨樹さんからは、努力の人だという印象を受けた。

父親が最初から最後まで、自分の息子を信じていた姿が素晴らしい。最初は反発していた息子も、悪友の誘いが功を奏し、出直していくきっかけとなる。
「挫折は何度もするがいい」と父親の言う通り、挫折した後に立ち直る男の姿はホントに好きだ。沢木さん@父親のひと言ひと言が胸に熱く残った。

公演後は、清水さん&タイソンさん&ジャパネット森の後に、日替わりの小イベント。
今回は「知ったかぶり」トーク。観客からお題を貰い、ソレについて、エキスパートの方々が語るという趣向。清水さん&若木さんが司会。答えるのは山岸さん、巨樹さん、坂本直弥&坂本和弥、誠次郎くん、タイソンさん。もちろんみんなお題は知らず、徐々に推測し当てるゲーム。
山岸さんだけリポビタン、他はチオビタを飲んで、先ずはイッパーッツ! 和弥くんは何故かカミカミw。誠次郎くんは考え込んだり。タイソンさんはオチか!? 真面目な顔して巨樹さんが珍答をはき、「全裸になる」にはみんな爆笑。山岸さんが一等早く正解したのかな。前方だともっと楽しめたかも。


終演後は日替わりサイン会。お当番は巨樹さんと誠次郎くん。
巨樹さんの左ページには先日の林さんのサインがあったが仕方ない^^;。「k」をモチーフのサインだが、相変わらずよく分らんw。下を向いてた巨樹さんがやっと目を合わせてくれたのも束の間、次の誠次郎くんへ。誠次郎くんのは中村優一のサインにも似てる気がする。笑顔でしっかり目を合せてくれて可愛かった。
観劇もイベントもサイン会も存分に楽しめたし、当日券でも行って良かった!

Axleの『11人いる!』のフレイヤーもようやく手に入る。大阪のイベントで配布済みかな。この舞台でも巨樹さんと林さんが共演だし、隣同士のサインもイイよね。
30-DELUX The Eighth Live『ファミリア』を観てきた。
1年ぶりの30-DELUX。今回は3都市4劇場の最長ステージ数で、演出も2バージョンを用意、10月の東京は客席一方向プロセミアムスタイル。
会場に入った時から、ロビーはお祭り騒ぎのように賑やか。
今回も、愉快な前説あり、終演後のイベントやサイン会もありなど盛りだくさんな内容で、観客をとことん楽しませてくれる。

居合道場の親子と門下生たちが織り成す、ハートフルアクションコメディ。
今回も、笑いあり、涙あり、歌やダンスもあり、アクションと殺陣もふんだんにあり、気魄こもった展開で熱くさせる。その中で、身近にいる人の大切さ、家族の素晴らしさを伝えて、心がほっくりくる爽快感を味わう。
脚色は『BLUE』にも出演したIKKAN。演出は『シェイクス』に続き毛利亘宏。30-DELUXとも馴染みある方々だからこそ、「不破流」「天下一武道会」「T1グランプリ」などファミリア世界の用語も違和感なく物語に溶け込んでしまう。

清水順二は、居合道場の跡取りだが、やんちゃな放蕩息子・真金役。軽めな前半と真剣な後半のメリハリに注目か。神がかり的な殺陣は、いつもと違う”居合”型で、お得意の二刀流は1回のみ披露とややオトナシメ。キレとツヤとコクのある殺陣を観るだけでも満足。
「ミチヨ」な(笑)タイソン大屋は、元門下生の一人で、真金の悪友役。小汚い悪事をしでかすが、憎めない可愛さもある。ヤクザや妻やらの設定がよく見えないので心傾しにくく、あっけない元鞘決着も腑に落ちない^^;。

今回のゲストは特に豪華で、ゲスト目当ての観客も多かろう。とにかく、天真(@遙か)と朽木白哉(@BLEACH)と沖田総司(@ピスメ)が束になって30-DELUXに挑戦してくるのだw。
中村誠治郎は、キュートなイケメン剣士役w。台詞は少ないが、漢字や単語に弱い設定が面白い。清水さんと堂々と渡り合って、溌剌とした若さを発揮。
林修司は、出番は少ないが、妖しくも実直な個性を見せて存在感。
加藤巨樹は、静かで誠実な佇まいで、抜群に爽やかで格好良い(*^。^*)。ダメだ。沖田に続き、また惚れたv。思ったより出番も多く、殺陣も優雅で声も綺麗。こりゃまたファンが増えそう~。今頃、大阪ではAxleのイベント中だろうが、今度は柄谷さんがこの役をされるのかと思うと、今からワクワクだ。

ON/OFFの坂本直弥と坂本和弥は、ボケとツッコミの白い袴の王子w。どちらが兄で弟だかは、もうしっかり区別がつく。台詞よりも、「ファミリア」オリジナルの歌で何度も話を盛り上げた。
ミュージカルの巨匠・沢木順も、凛々しい歌唱力を披露。重厚な演技と華麗な動きと殺陣で、若者たちをしっかり支える。たまに見せるコミカルさがまた楽しい。
森大、植原卓也、岩田栄慶、押田美和の面々が、アクションや殺陣やダンスでも大活躍。森さん&押田さんが微笑ましいw。植原くんはテニミュ出演おめでとう。山岸拓生の一人5役にも注目したい。

中盤は、アクションもなくやや緩慢な流れで、ほんの少し眠気が出てきたり^^;。
設定的にも色々ツッコミ所はあれど、30-DELUXの方向性を見事に打ち出し、常に満員御礼の客席なのも胸を熱くさせた。

約2時間の公演後は、ジャパネット森の後に、日替わりの小イベント。今回はON/OFFのライブで、唄う曲はオリコン20位内をキープしている「輪廻-ロンド-♪」。前曲も『ヴァンパイア騎士』のイベントでナマ歌を聴かせて貰ったが、この双子ちゃんとはヴァン騎士繋がりで縁があるらしい。


また終演後は日替わりサイン会。お当番の林修司さんと、そのON/OFFから、パンフにサインを頂いた。林さんは11月のルドビコの芝居でも観るから楽しみ。双子ちゃんのサインはやっぱり違うんだw。

物販では、初登場のTシャツとマイブームのマフタータオル。
11月の客席四方囲みコロシアムスタイルでも、別バージョンのパンフが出るので、さすが関西風な商売上手w。

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午前中は、サンシャインで開催の『コープたべる、たいせつフェスティバル』へ。
あちこちに食べ慣れている食品の試食コーナーがあり、試食だけでお腹いっぱい、昼食代わりとなったw。野菜も百円均一で、他食品も安く販売。クイズやゲームコーナーもあり、思った以上に楽しめた。
彩の国シェイクスピア・シリーズ第20弾『から騒ぎ』を観てきた。
すべての役を男性俳優が演じる、オールメール・シリーズの4作目。
演出は、本日がお誕生日の(!)蜷川幸雄。’世界のNINAGAWA’が旬の若手俳優を起用して挑むシェイクスピア喜劇だ。

良き策略により結ばれてしまった男女と、悪しき陰謀により引き裂かれた男女。2組の若者たちに、貴族たちや下層民衆らが入り交じって繰り広げる人間模様。
2組の若者という点で『夏の夜の夢』が真っ先に浮かんでくるが、中味はそれ程単純ではない。裏切られたと突然手を返したように、恋人を罵り嘲る男。会うと喧嘩ばかりだったのに、周りの空気に流されて突然好きだと思い込む男。登場する男達はみんな、状況によってコロコロと気持ちが様変わり。その身勝手ぶりには呆れるが、男達の愚かさや可愛さも感じられて憎しみはわかない。

シェイクスピア独特の言い回しが今作品は特に凄まじい。台詞の応酬や言い間違いや、言葉の乱発が、物語の骨組みとなる。緻密に計算された皮肉や毒やギャグ、流れるような畳み掛ける言葉が笑いのポイントともなる。
しかし、今回はその笑いが半減化されてしまったのが惜しい。一つには主演の若手俳優の台詞使いのせい。もう一つは、下層民衆のややクドイ描き方が要因だろう。

ベネディック役は、ドラマや映画で活躍中の小出恵介。初舞台だが、堂々とした振る舞いで、動きやアクションは楽しいものがある。だが肝心要の台詞の発声がなっていない(~_~)。膨大な台詞を覚えるのも大変だったろうが、間違わないようにと思うあまりか、とにかく早口早弁。おまけに語尾が不明瞭で言葉が飛んでしまう。これではいったい何を喋っているのか、観客には伝わり難い。独白シーンで、たまに前方席から小さな笑いが起きるが、こちらには中味がさっぱり分らず白ける^^;。
ビアトリスとベネディックの言葉の応酬が目玉の一つなのだが、ビアトリスの台詞しか聞こえない^^;。既に声だけでベネディックが負けているじゃん。折角の笑いどころなのに、ホントに勿体無くて残念だ^^;。
台詞が明確でないため、ベネディックの童顔がますます子供っぽく見える。クローディオとのライバル関係もそうとは見えず、ビアトリスらの引き立て役にさえ思える。舞台に立つなら、小出さんはもっと基本から学んだほうがいい。

高橋一生のビアトリスは、見た目は普通の大雑把な顔で^^;最初はちょっと抵抗感。でも膨大な台詞をしっかり発声するし、ベネディックを捉えたやり取りは上手い。親友の窮地に本気で泣く姿には素朴な可愛さが感じられて、見事な好演である。
長谷川博己のクローディオは、背が高くてハンサムで誠実そうな好青年風。出演された蜷川演出3作品とも観てるが、観る度に違う色合いを感じさせる。台詞を発する以外のところで、細やかな芝居を見せるなど深味と濃くもある。
月川悠貴のヒアローは、美しく優雅だが、今回はシンプルな細身のドレスなのが意外。何も隠し事はありませんという強い意志とキツメの瞳が、共演者や観客をも魅了。

本作の主人公はこの人なのか?と前編で思わせたのが、吉田鋼太郎@ドン・ペドロ。恋バナには何でもかんでも首を突っ込みお節介を焼くが、まさかクローディオ@長谷川さんとのキッスまで見られるとはね(^.^)。陽気でノリのいいイタリア男は、ホモっ気まであったのか(笑)。吉田さんのリアルな楽しい演技が最高! でも領主として権威もあり部下にも理解を示す一方で、身内の悪事を見抜けずまんまと騙されたベドロに後半は絶望したーっw。
後半は、嵯川哲朗@レオナードの見せ場。愛する娘を信じられず絶望してたのが、コロっと変わり、娘を信じて真実を待ち続ける。父親としての信念を情感豊かに表現されて素晴らしい。
吉田さん&嵯川さん&長谷川さんによる軽いダンスも颯爽として楽しい。3人の策略的飲み会は愉快痛快で、後半の仲違いをいっそう哀しく残酷にさせる。

後半の下層民衆の登場が唐突なので面食らう。陰謀の露呈には大きく関わってくるが、いかんせんまどろっこしい展開^^;。意味不明で無駄な乱チキ騒ぎも、くどくてヒいてしまう^^;。たぶんキャラクターに思い入れがわかないせいだろう。ドグベリー@妹尾正文の大きな声には圧倒されたが、彼の性質がうまく伝わってこない。ヴァージスの存在が分らないし、夜警たちのお馬鹿ぶりもわざとらしい。井出らっきょのアドリブもしつこいと鼻につく。

あらゆる状況場面で対極化しているのに注目。沈黙のカップルに騒々しいカップル。知事の仲良き兄弟に、領主の反目兄弟。ククローディオの名前まで「黒」「白」と茶化されてた。結婚式から一転、葬式で、白いドレスと黒いカッパが印象的。
太めのマーガレットは小煩いが、「男の重み」と「夫の重み」という下ネタに笑い。「私に任せて下さい」とベネディックは言ったが、ドン・ジョンの措置はどうなったのか?見抜けなかったドン・ペドロの陰影ももう少し描いて欲しかった。
つまりは、シャナもどきのビアトリス&ベネディックという、ツンデレ同士(笑)が一緒になるには、周りのお膳立てと騒動が必要だってこと。

華やかなダンスを眺めながら、腹七分目の笑いで物足りなさ感がいっぱい^^;。
最後は皆さんがステージに揃いお辞儀。中央扉から飛び出した小出さんは、主人公らしからぬ存在だったな。そんな小出さんも、3回の熱烈カテコにはややビックリした様子。月川さんはお辞儀も優雅なまま。

演じ手によってはもっと面白くなる作品なので、機会があるなら、Studio Lifeによる、明るくポップな『から騒ぎ』を観たいものだ。
石井光三オフィスプロデュース かし☆きり企画『やかましい人々』を観てきた。

本来ならこういった舞台は観ない私だが、今回のお目当ては*pnish*のtuti。
家を出る前に聴いてたラジタロスの中で、てらそままさきさんと松村雄基さんが話した楽屋がある劇場。4ヶ月ぶりに行く慣れた所なので、休憩中に食すオニギリも買い準備万端。
優先予約なので、前から2番目の真ん中ブロックの座席。見知らぬ隣の人もtutiファンだとすぐ分るが、私も含めて、周りの客層とは明らかに浮いている^^;。

とある鷺橋家の三姉妹に、彼女たちを師匠とあおぐ女たちも加わり、一丸となって一世一代の大仕事に挑むコメディ。
冒頭のスクリーンは、懐かしい昭和テイストのホームドラマ風なオープニング。
中島敦彦の達者な脚本が花開き、三宅恵介の絶妙な演出が冴える。
お馴染み芸歴50年の「かしまし娘」(正司歌江&正司照枝&正司花江)に磯野貴理が参戦。「やかましい」女性たちに、佐藤B作らの芸達者な役者陣が加わり、豪華で賑やかな宴となった。

こんなに笑ったのは久しぶり。涙まで出るほど笑えるなんてホントにすごい(^o^)。
流行や特別のネタは仕込んでないのに、なんでこんなに笑えるのか。かしましさんの笑いのツボがマッチングしたんだろか。まさに「芸人」の真骨頂を味わった。
かしましさん三人の個性も見えてくるが、三人が一つに纏まった時のエネルギーが凄い。70代という年齢にはとても見えない、生き生きとしたパワーとバイタリティには圧倒。明日からの活力まで与えられた。私も何十年かしたら、こんな風に生きたいものだと、眩しくて羨ましくて泣きそう。

公演2日目だし膨大な台詞量もあって、ド忘れしちゃうのか、かしましさんの台詞がたま~にストップ^^;。アドリブも上手く繋がらない上に、周りのフォローはたじたじで、ムリヤリくっ付けたり、忘れたのは私じゃないと言い出したりw。忘れた本人よりも、周りのリアクションが愉快痛快で、笑いが込み上げてしまう。ミスまで笑いにしちゃう、強気で前向きな芝居だ。
かしまし娘の照枝さんは、貴理さんにとっては義理の母。母ネタがふんだんにある中で、照枝さんと貴理さんが二人きりで嫁姑話をするのが、リアリティ過ぎてスリリングで爆笑(^o^)。

歌江さんはキュートで真面目。照枝さんはクールで美人で気が強い。花江さんは柔軟で軽快。実際の個性が役柄にそのまま反映。貴理さんは、TVで見るよりもずっと可愛くて綺麗で口達者。佐藤B作さんも味わい深くて髪が濃いw。

お目当ての土屋裕一は、白い上下スーツに派手なシャツと、いかにも安物のホスト風w。背は抜群に高く格好良く見えるが、胡散臭い容貌が生かされているw。たまに挙動不審なトコもお愛想^^;。今まで色々な女性と共演されたが、こんなにも年上の方を相手にするなんて、tuti本人も想像だにしなかったんじゃないかな。
でも、かしましさんのほうが一枚上手。テレもなく甘える彼女に、tutiももっとイチャイチャしてもいい。大御所さんと一緒でまだ手探り状態のようだが、楽しみながら学ぶべきことも多そう。これがまた貴重な糧となりそうだ。

カラオケで賑やかに歌う場面がとにかく楽しい。ナツメロや好きな歌が多くて涙が出そうだがw、替え歌にも大笑い。花江さんが一番歌が上手そう。
井之上隆志のギターや、花柳輔蔵の舞踊など見せ所もある。tutiもちゃんと唄っていたのかな?w

「お金は汗水たらして一生懸命働いたものこそ」とか「こうして三人一緒にやっていること」などと、「芸人」たちのリアルな生き様が見えてくる真実の言葉に感服。
笑い泣きする中、ほろ苦くもジンと心あたたまり、元気も出てくる。ちっとも「やかましくない人々」の人間ドラマを満喫できた。
休憩中、見知らぬご婦人と色々お話できたのも良きこと。人との出会いってステキだな。

 ̄ ̄ ̄
12日は、『電王』イベントの前にもうひとつ、某TV番組公録イベントに参加することになった。
以前からお目当ての人の公録回があったら行きたいなと思っていたが、抽選に申し込んでみたらまさかの当選。嬉しいけど、またもやハシゴか。
過去2回ともそうだったが、電王イベントの日って、どうしてこう別のものと重なっちゃうんだろう。時間が違うので参加はできるのが幸いだが。
とにかく当日は時間を気にしつつ現地に向かうつもり。ダブルで楽しんでこよう。
平塚まで遠出し、第7回市民演劇フェスティバルへ行ってきた。観たのは、劇団湘南アクターズの舞台『12人の怒れる男』。

映画や舞台で何度か観たことのある、レジナルド・ローズの作品を、郷田ほづみが演出。来年から日本でも始まる、裁判員制度を意識された公演のようだ。

スラブ街で起きた、ある殺人事件の容疑者の少年の有罪無罪をめぐって、12人の陪審員による白熱した審議が展開する。
劇団湘南アクターズには珍しい社会派法廷サスペンス劇。お笑いは殆どなく、真面目さを貫いている。

元々の脚本の良質さと面白さもあるが、サスペンス・タッチと吟味された台詞劇が邁進し、全く飽きさせない。
人種差別や貧富の差が顕著なアメリカ社会が舞台なので、日本人が演じると難しさや違和感も出てくるが、なるべく現代日本に合わせたような脚色となっている。
12人の陪審員には名前は付いてないが、個性と役割が徐々に引き出される。骨太でセンシティブな演出が冴えて、今まで観てきた同作品の中では一番分り易く、幅広く楽しめる味わいであった。

茂木修二は、先陣をきって挑む勇気ある役どころ。歯切れのいい凛々しさで好演。後で、アキレス腱をきったとかで松葉杖で歩かれていてビックリ。ステージでは気付かなかったがどうぞお大事に。
マイミクの米丸照二は、冷静沈着で知的で思慮深い役どころが、今までにはなく新鮮。嫌味がないのがイイ。後で、握手とお写真もお願いした。おめでとうです。
杉山弘子は、包容力のある深い演技に惹かれる。
仲野元と小林貴は、激しく強くけたたましい存在感で熱演。
台詞劇は難しいとは思うが、前半、一瞬台詞が止まって、観るほうも焦った^^;。郷田さんも心臓が止まるかと思ったとw。テンポや台詞の掛け合いが何よりも大切な芝居。更に力を注いで、完璧な舞台を目指していってほしい。

”合理的な疑問”についての難しさと易しさ。既成概念に縛られない考え方と発想の転換と仮定。もし裁判員に選ばれたとしたら、私は12人のうちの誰に最も近いだろうか。
映画の吹替えで、郷田さんは陪審員5号だったが、ここでの陪審員5号が女性なのがちょっと面白い。見た目だけの概念と、その裏に隠された暗い過去や苦い経験が表現されている。其々の人間模様と共に、抱えている事情を想像する事も出来る。
飲料水は役者たちの喉や唇の乾きにも効力。ナイフはよく見つけてきたこと。

終演後、ロビーで役者さんとの歓談。米丸さんや、お越しの金津氏にもご挨拶。
郷田さんとは開演前と後でご挨拶。1回だけの舞台では勿体ないので、ぜひ再演を希望。でも東京ではやらないそうで、アトリエでロングラン計画もあると郷田さん。11月の羽衣さん絡みの舞台では、出番は少しだけらしいが楽しみv。

それにしても平塚は遠い。片道2時間半から3時間もかかる^^;。でも舞台は面白かったし、郷田さんともお話できたし、行った甲斐はあって良かった。
劇団大富豪第5回公演『ETERNAL BLUE』を観てきた。
お初のカンパニーさんだが、お目当ては客演の稲田徹さん。

公演場所が駅から結構歩き、劇場内も狭く、トイレも別階段に1つしかない、ちょい不便なところ。
いつものように最前列に座るが、ステージとあまりに近くて後悔^^;。

女子高生とその兄が、一人の少女と出会うことで、幼い頃に亡くなった母と再会し、願いと想い出を遂げていく話。
女子高生リンがメインの話かと思いきや、正義感の強い熱血刑事の兄ヒカルが活躍したり。不思議な少女アンビを追いかける謎の人物と国家機密もあり。強引ヘンテコなカップルもいたり。SFとサスペンス調を絡ませたハートフル・ファンタジーではあるが、あれこれいっぱい詰め込みすぎた感^^;。
約2時間20分が長く感じられた。焦点をもう少し絞って練り直したら、2時間弱ですっきりと納まっただろうと思う。
舞台が関西だからか、Axleを彷彿とさせるお笑いネタやギャグやアドリブが満載。笑えたり息抜きになることもあるが、早く本筋に戻ってよというシツコサも感じ、少々ウンザリしてしまう^^;。

稲田徹は、リンとヒカルの父親テツジ役。兄弟&母親は関西弁で、父親だけが標準語。稲田さんにも関西弁を喋って欲しかった。妻からは「テツ」「テツ」と呼ばれるが、まんまやんw。音楽家というがピアノを演奏するでもなく。おとなしい男かと思いきや、これがはしゃぎ回って子供っぽい。やたらプロレス技をかけたりと、ハデなアクションで場内を沸かす。衣装もブルー、グリーンと派手だった。見どころは何といっても”学ラン”とゲタだろう(爆笑)。大柄の肉体をフル活用し、アドリブにも拘る、稲田さんらしい役だった。

そのテツジの妻ミカは、回想の中だけではなく、リンとしっかり肩を並べた存在感が逞しい。舞台の豊嶋真千子を初めて観たが、柔らかいキュートな関西弁が聞いてて心地良い。素朴で爽やかな笑顔がまた和ませて好演。
リン@安西英美の関西弁は歯切れはいいが、煩くてけたたましくてちょっと苦手。ヒカル@宮原弘和の関西弁は生粋かな。肩肘はらないナチュラルな演技がいい。兄妹の背が同じ位だったのがちょい気になった^^;。
田中秀幸の声の出演はほんの少し。

よくあるタイムスリップ・ネタでもあるが、携帯に目を輝かせる場面が楽しい。着信音の「お父さま~♪」にも笑ってしまう。はめ込み式のソファとか手作り感がいい。薔薇の衣装が暑苦しかったw。拳銃がいっぱい登場し、銃声がいつなるのかとビクビク。

亡くなった母に聞きたかったこと、知りたかったこと。抱き合う母と娘の場面には思わずジンときて、永遠の家族の絆を思う。リンのついた嘘も、嘘を見抜いた母も、互いの思いやりを感じさせて切なく嬉しい。
ともすれば、ジメっとしがちになる家族話だが、関西弁の明るさもあって、すっきりした後味に仕上がった。アンビを取り巻く残酷な運命や家族の思いが、しっかりと伝わってこなかったのが残念。

終演後、役者10人が揃ってお辞儀。宮原さんが演出だったのか。稲田さんは日替わりネタを真剣に思考中w。

劇場外で役者と歓談。時間がおしたので、稲田さんに短いご挨拶だけ。「また最前列にいらっしゃいましたね」と言われてしまったw。次の舞台出演も楽しみにしていたい。
シス・カンパニー公演『人形の家』を観てきた。
ヘンリック・イプセンの名作劇を、英国の演出家デビッド・ルポーが洗練された手腕で現代的に演出。
当初チケットを取った時は、てっきり蜷川氏の演出だと勘違いしていた^^;。

シアターコクーンの劇場中央に四角い舞台をしつらえ、観客が四方から囲んでみるスタイルは、蜷川氏の『キッチン』を思い出させる。
開演前は四方を白いカーテンに仕切られていたヘルメル家居間の舞台は、始まると場面に応じて回転し、戯れや葛藤や対立といった様々な色合いを見せる。
その舞台も2~3段の階段ほどの浅いリングで、客席のすぐ目の前を役者が通ったり走ったり、目の前で踊ったり、通路から出口へはけたりする。
舞台と客席との程よい近さや密接感が、この芝居が現代の我々の社会や男女間とまだまだ繋がっている、普遍的なものなのだと教えてくれる。

夫や子供達と仲睦まじく幸せな生活を送る妻が、夫に隠していた秘密を暴露されることで、夫の真実の姿を知り、己が取るべき道を知る話。
様々な媒体で見聞きしてきた作品。夫を助けるためにサイン捏造という犯罪と借金に手を染めた無知な女ノラが、全てを暴露すると脅迫され、家族の破滅に慄きビクビクする生活を送る。だが本当に哀しく恐ろしかったのは、脅迫でも家族の破滅でもない。夫がきっと自分を擁護し守ってくれると信じ込んでいたのが、あっけなく裏切られたことだ。

父と夫に従う可愛い妻、夫婦間の上下関係など、昔ながらの縛りやイメージが存在する世界。そこでは、世間体やプライドで固められ、己のみの「守り」を考える夫と、閉塞感と孤独を感じながらも、夫を信じて家庭を守ろうとする妻がいる。
休憩2回を挟み3幕もあるが、徐々にノラのドレスが変化するのが面白い。まるで鳥カゴのようなコルセットがドレスの右側面からだけ見え、カゴから外を眺めている彼女の心情を映し出す。2幕目は左側面からもコルセットが見え、いよいよ世間を知っていく彼女。きっとコルセットは取り払われるの予測通り、3幕目は妖しく自由な衣装で踊り、抑圧から解放されていく。やがて細身のパンタロンとジャケットで、彼女は信念と行動を体現していく。
それにしても約2時間半の上演なのに3幕もあるのは、観客にとっては疲れる。ノラは殆ど出ずっぱりで着替えも必要なのは分るが、一人の女性の生き方として一気に見せて欲しかった。

彼女で『人形の家』をやりたい、とプロデューサーに言わしめたノラ@宮沢りえは、まるで10代のような子供っぽさの中に、無邪気な可憐さと臆せぬ強さと気が狂うような葛藤を上手く表現する。
お目当ての夫ヘルメル@堤真一は、若々しい精悍さの中に、厳しさや強引さを見せる。ヘルメルの台詞でやけに笑いが起きてたが、堤さんの関西風のノリがちょっと出てしまったのか。贔屓目が禍したのか、ノラを罵倒する最も悲惨なシーンでさえも、ヘルメルにあまり嫌味を感じなかった^^;。
宮沢さんと堤さんは、夫婦というより兄妹にしか見えないのが困る^^;。口づけしたり抱き合ってイチャイチャしてても、ちっともイヤらしく感じないw。ヘルメルの口から「兄弟」という言葉も飛び出し、笑いまで起きたが、始めからそんな風に思っていた私にはちっとも笑えなかった(-.-)。

円熟された演技が光る神野三鈴@リンデ夫人が、一癖も二癖もあるように思えて、彼女の生き方に注目させられた。
リンデは、昇進した夫と子供達と召使いに囲まれ裕福な生活をしてはしゃぐノラを、密かに妬んでいたのではないだろうか。仕事の口利きをしてくれたノラに確かに感謝はしていたが、苦労し犠牲を払ってきた己の生き方とはあまりに違うノラの姿に、嫉妬と復讐心が少なからずあったのではないかと思う。
だから、クロクスタが手紙を処分しようとした時、ご丁寧にもそのままにしなさいと止めたのである。ノラたち夫婦も真実を知らなくてはいけないのだと。
一見、正論に思えるし、それがリンデなりの思いやりで、ノラの幸せを願ったからだと言えば聞こえはいい。だが秘密や真実は、隠したまま知らないほうがいい時もある。無かったことにして丸くおさめて、また子供達と楽しく暮らすことのほうが、どうして不幸せだったといえよう。要は、自分に誠実に生きるか、閉鎖された中に自由と楽しみを見い出して生きるかの違いである。
社会で働く賢いリンデは、全てを予測できていたのだろう。秘密が暴露された後、ヘルメルがどういう反応と態度をとり、対してノラがどういうリアクションを起すかということまで。
だからリンデはきっと、コートを着てやってきたノラを迎え入れるため、暖かいお茶を用意して待っているだろう。リンデは自らを犠牲にして自分を助けてくれた、とノラは思っている。ノラはリンデに一生頭が上がらず、頼りにしていくだろう。そうしてノラは、苦労し辛酸を舐めてきたリンデと同じような人生を歩んでいくことになろう。ノラを励ましつつ、リンデは陰でこっそりほくそ笑んでいるに違いない。何て、したたかで恐ろしい女なのだろうw。

そもそも、簡単に他人を信じ、借金したのがノラの浅はかなところ。あの人ならきっと擁護してくれるだろうと、奇跡を願ったのも失策。親友だと秘密を打ち明けてしまったのも早計だ。
”他人”の線引きは微妙だが、他人をむやみに信じるな!他人をアテにして期待するな! これは、ノラがこれから人生経験をするにあたって、何よりも心に留めておかねばならないこと。もうそのことは充分に勉強したのだから。
先ずは、その細っこい身体を何とかしなくてはならん。料理を覚え、洗濯掃除も覚え、いっぱい食べて体力をつけねばならない。生きることは戦いなのだから。
「大人の階段のぼる~♪」のメロディが浮かびそうな、シンデレラの旅立ちであった。

終演後は、堤さんら全出演者が先にステージに出てから、階段から駆け降りてくるりえさんをお出迎え。長い鬘を取り、短い髪でTシャツ姿で溌剌としたりえさんがいた。
前後左右にお辞儀をする出演者たち。堤さんが女児の肩に手をおいて、りえさんと神野さんが男児二人を支えながら何度も何度もお辞儀。みんながはけた後、最後にりえさんが丁寧にお辞儀をして出口へ。

次の堤真一さんの舞台は『舞台は夢』。フランス古典劇の「問題喜劇」。笑えそうだ。
Studio Life公演『マージナル』都市編womb(ウーム)チームを観てきた。
もう、これでマージナル最後かと思うと何だか寂しい。だって何度観ても、色々な発見や感動があって飽きないんだもの。
今日は最前列だが右ブロック。wチームの観劇だとどうして左右に分散されるのか^^;。

サイトをチェックしてなかったが、『タネ』DVDの劇場先行限定販売の初日で、早くから並ぶファンの列。よく飲み込めないまま、ノリでDVDを買う。岩崎大くんが売り子やってるしね。DVD特典のCDはまだ出来てないとかで、引換え用のCD券を貰う。終演後に受付で名前を書いて下さいとのこと。「必ずお届けしますので安心して下さい」と大くんが大きな声で説明。終演後の受付でも誘導するのは大くんで、用紙を切り取って渡すなど、舞台でお疲れなのにテキパキと何でもこなす大くんの健気さ。しっかし役者にそこまでやらせるのか!?

その岩崎大くんは、前半はモブで色子役。はしゃぎながら誘っていたのが分った。グリンジャとチトの会話の間、ずっとこちらのほうに視点があって緊張w。本役はエドモス。愛するエメラダを奪われて憤る激しさが印象的。仲原裕之@エドモスよりも、情熱と嫉妬を剥き出しにした感じ。そういえばエドモスは最後まで描かれていなかったな。

倉田氏の独自の解釈によるオリジナルシーンや追加シーンがあったのをもう一度確認。
エメラダが最期に「エドモス…」と呟く場面。これが良かったのかは分らないが、エドモスの切ない表情から、通じ合った刹那の想いが痛々しく伝わる。
ナースタースが「愛のほかは」と嘆き悲しむ中、メイヤードが現れてグラサンをゆっくり取り「愛のほかは…」と微笑むシーンも切なくて美しい。
ミカルの「あおい星…」を独白するシーンにも希望を感じさせて救われる。

随所に、女性ならではの細やかで抒情的な演出やこだわりが見てとれる。今回は見事に私のツボに効いたようだ。原作よりも深く濃密に理解できたし、毎回涙まで付いてきた。
キャラクターにも思い入れがわいた。アシジンはもっと好きになったし、キラはもっと愛らしく身近に感じられた。特にメイヤードは複雑で切ない気持ちが分って、原作よりも好きになったな。これも青木隆敏さんがメイヤードを演じてくれたおかげだろう。ひたすらクールで繊細で格好良くて、原作以上の魅力が溢れていた。今までノーチェックだった青木さんだが、見事な出世作ともなった。今後の活躍も楽しみにしていたい。

これもひとえに、倉田氏やスタッフが萩尾望都ワールドと「マージナル」世界を深く読み込んで、真剣に芝居作りに取り組んでくれたからだろう。舞台の隅々にまで、倉田氏らの原作への愛情が滲み出ているのが分る。
そしてキャストの皆さんも、『トーマの心臓』から始まった萩尾作品への免疫があるからこそ、自分たちなりの『マージナル』世界の構築が出来たのだろう。少なくとも、みんなこの作品が好きなんだと思う。だからオリジナル+アルファのキャラクターを作り出し、原作以上の魅力を引き出せたのだと思う。

贅沢にも「砂漠編」「都市編」2チームを観劇できたが、時間とお金が許せば、まだもう少し観たいと思ってしまう。それぐらい、私には大好きな忘れられないお芝居となった。今年も色々と観劇してきたが、たぶん私の中で今年のベスト5に入るくらいの、素晴らしい舞台だったといえる。

Studio Life次回公演は、女性作家によるナチス世界へのアプローチ2作連続上演。『死の泉』『パサジェルカ』とも再演だが、『死の泉』は未見なので観たい。でも銀河劇場は遠いから1回ずつだな。

萩尾作品の舞台化としては、Axleの『11人いる!』リニューアル公演が待っている。『マージナル』と同じSFで閉鎖空間での人間模様。男性の演出により、『マージナル』とは全く違うテイストとなっていようが、楽しみにしていたい。


終演後はトークショー。司会はポール@曽世海司。
お題は、持ち役以外の好きな役でやりたいシーンを再現する「俺にも言わせろマージナル」第4弾。第1弾と第2弾も観たかったな。

ミカル@三上俊は、1回きりのメイヤードとのシーンを逆バージョン。青木隆俊さんとグラサンとベレー帽を交換。メイヤードの格好にベレー帽被ると某アニメみたいに格好イイ。でも青木さんが突如カマっぽく「あの…」。三上さんは男っぽく「あ~あ」。いつもイジめられているから気持ちよかったと感想。
ネズ@奥田努は、ラストのローニとネズのシーンで、ローニ役。ネズは前田倫良さんご指名。前田さん@ネズの袖を何度も引っ張りながら「あれが地球?」と何度も聞き返すローニ@奥田さん(笑)。あまりにシツコイので、仕舞いにはバーン!の音響と共に倒れるネズ。
「スズキ・ガオです」と山崎康一は、既にロングコートを着用し「メイヤードです」とヤル気満々。マルコやネズと一緒のシーンで、客席の皆さんに「私達の未来は…」と言わせる。グラサンして「失敗しません」と言うメイヤード@山崎さんに照明があたり、劇的な音楽が…w。
石飛幸治は、奥田くんに往復ビンタをしたいがいつでも出来るのでw、聖者の歌を唄いながら歩くシーン。松本くんが持ってきたマントを頭から被り、低く唄いながら歩く。「聖者の歌♪」は作曲家と石飛さんが実際に唄っていて、多重録音しているとか。貴重な聖者ライブだったw。
オオトリは河内喜一朗さん。図書館のエスパー合戦のキラをやりたいと、もう裸足になってるし、キラ衣装を既に下に着てるし、鬘まで用意。グリンジャとアシジン、上階にはセンザイとメイヤードまでスタンバイw。「誰かいるの?」とキラ@河内さんが、張り巡らせた境界に飛んだり跳ねたり、鬘が飛んだり大暴れ(爆笑)。「捕まえてしまった」とセンザイw。境界バクハツ! 「アクションをやりたいなと」と満足気の河内さん。めったに観れない面白爆笑ものに会場も役者も大ウケ。

最後に曽世さんが丁寧にお辞儀。盛り上げた司会もお疲れ様でした。
Studio Life公演『マージナル』都市編uterus(ジュテレス)チームを観てきた。
今日は真ん中ブロックの座席に返り咲いて観易い。

やっと都市編を観劇。センターやカンパニー、シティや図書の家の詳細な話が中心となる。
冒頭のマザ6代目からキラが登場するまでは、実は砂漠編と全く同じ展開でカブる。私は都市編を観にきたんだよね~と少々不安な気持ちにもなる。
舞台の2階からキラが登場し、ようやく安堵。その後は都市編を描きながら、時系列的に砂漠編のエピソードの一部や触りだけを盛り込んでいく。砂漠編のストーリーは把握できているので、フラッシュバックのように場面が蘇り、全部を見たような気分になり理解できる。

「都市編」はメイヤードを中心に、ミカルとキラの3人がメインのようだ。
メイヤード@青木隆敏は、独特の声だが安定しており、淡々としながらも熱演。微動だにしない機械的でスマートな立ち姿がまた綺麗。グラサンを外した顔もやっと拝めたし、視力のない目力の表現も上手い。ヤマ場でアシジンに本音を叫び嘆くシーンは、ちょっぴりオカマっぽくはなったが、感心させられた。
ミカル@三上俊は、原作から抜け出たような可愛さ、純粋な優しさと強さもしっかりと伝わる。
そしてキラ@松本慎也は、とにかく愛らしくて手強くて、最後まで大熱演。

ネズ@奥田努は、お笑いだけじゃなかったw。何でも知ってるくせに真面目ゆえの困惑と狼狽ぶりが堂に入ってる。
エメラダ@舟見和利は、台詞が不明瞭で聴き取り難いが、無言の静かな佇まいは綺麗。
ナースタース@吉田隆太は、キツイ高慢ぶりも嫌味なく聞ける。ローニ@渡部紘士は、ちょっと身長的にキツイw。

砂漠&都市編の両方を観てきて残念だったのは、イワンの扱いだろうか。砂漠編ではキラがイワンを、都市編ではゴーがイワンを回想するが、ひとりの人生をバラバラに構築することになってしまった^^;。これではイワンという人物を深く追求できないのではないか。
難しい長台詞もこなしたイワン@石飛幸治の演技が上手かっただけに、創造主イワンの全貌を一気に見せて欲しかった。
やはり願わくば、3時間半~4時間近くかけてでもいいから、いつか砂漠編&都市編を合体させた完全版の舞台を観てみたい。

地球の律動を感じたキラのシーンは、今回も涙腺が刺激されたが、都市編ではもうひとつ心に残る情景がある。
メイヤードがアシジンに独白するシーンに心が痛み、メイヤードとナースタースの屈折した愛がたまらなく切なかった。これもエゼキュラ因子の為せる哀しみ。原作を読んだ時は胸にチクリと刺さるだけだったが、舞台では台詞ひとつひとつが激しさを伴って心に沁みこんでくる。いつの間にか涙が流れて止まらず(;_;)。

都市編では2人の女性がクローズアップされたが、生みの女神である”ウーマン”こそ、実はこの世界の”破壊者”なのだと分った。
夢の子供キラ計画を潰そうと、カンパニーに告発したのはアーリン。メイヤードに寿命を知らせたりと軽率に行動し、プロジェクトの中止を願っていたのはナースタース。
人工的に命を作り出そうとする男たちに対して、女は原生の本能で、人工の命を壊そうとする意思があったのだろうか。自分たちの”子宮”を守るために。彼女たちは知らず知らず、脳ではなく、子宮で考え子宮に命令されていたのかもしれない。


終演後はトークショー。司会はグリンジャ@曽世海司。曽世さんがマイクを取りに行ってる間、鬼の居ぬ間にと(?)アシジン@岩崎大とキラ@松本慎也がニコニコ見つめ合って手を繋ぐw。

お題は、持ち役以外の好きな役でやりたいシーンを再現する「俺にも言わせろマージナル」。
ナースタース@吉田隆太は、ミカルがハレルヤから衣を受け取った後で、台詞を言うお付きの人の役を希望。笠原さんと荒木くんが「お~、ミカル様!」と見本をされるが、とりわけ笠原さんの声がデカイ。しかも客席の皆さまと一緒にやりたいと、あれこれ仕切る吉田くんw。会場全員で「お~!」「ミカル様!」とやっちゃったよw。
メイヤード@青木隆敏は、砂漠編でグリンジャに抱かれるキラを希望。メイヤードの衣装のままで、しっかりと抱き締めるグリンジャの胸に顔を埋める青木さんの表情はマジ!そのキモさに、アシジン@岩崎大も笑いを堪えながら台詞を言ったりw。「こいつを買い戻す」「どうぞどうぞ」なんてお笑いやり取りまでサービス。
7代目マザ@舟見和利は、ホントは激しいアクションをやりたかったがこの衣装ではダメなので、ミカルとエメラダの出会いで鳥を見て言ったミカルの役。ひとりで充分。7代目マザ風にマントを広げて「わぁ、喋った」。
ラストは「私に言わせろ」とマルコ@藤原啓児。大洪水後に、胎児のように身体を丸くしたキラの台詞を言いたいと、キラ風の鬘まで登場し雰囲気バッチリw。センザイ・マスター@林勇輔とゴー博士@山崎康一が、「フジワラは病んでいた」「動機が激しくなって」「キノクニヤ規模で」と、面白可笑しく台詞をアレンジ(爆笑)。最後に、真ん中で膝を抱えた藤原キラがにっこりと「同じ夢を見ている」(^o^)。気分は「萩尾先生ごめんなさーい」。
音響や照明も場面ごとにバッチリだったのも嬉しい。拍手喝采。

明後日は、私にはラストになるwチームの観劇&トーク。何度観ても飽きさせず、涙まで出させる芝居。
上出来な舞台に比べ、物販ではお粗末だらけで不快感。どうしてバランスが取れないのだろう。

 ̄ ̄ ̄
今日は娘の学校の文化祭へ。広くて人も多くてやっぱり構内で迷う。部とクラスの展示を見て体験もしたり。カレーライスが安くて量もあって美味かった。
頼んでいた舞台のチケを息子が取っていてくれた。ありがとう。
Studio Life公演『マージナル』砂漠編womb(ウーム)チームを観てきた。
uterus(ジュテレス)チームのを観てから3週間近く経ってしまった。偶然にもまた砂漠編なので、前回の記憶を辿りながら確認できるので助かる。

ロビーのテント小屋は、女性スタッフのところだけスキスキ。綺麗な布を被った松本慎也くんが売り子として奮闘。でも今頃、舞台写真が販売されるなんて。
座席は前方だが端っこ。年配や男性もチラホラ見かけ、客席はほぼ満杯。

グリンジャ&アシジン&キラのメイン3人はキャスト変更。
久しぶりの笠原浩夫@グリンジャは、罪を重ねる”陰”の部分が濃いだろうか。キラを抱き締める様子が力強く、本当に愛おしさの気持ちが表現されている。凛々しい身体で華があるが、後半は”静観”な役どころなので、ちょっと勿体無かった感。
アシジン@仲原裕之は、前半はやや頼りなげな感じで、やんちゃぶりが目立つ。後半は歯切れのいい台詞と共に、強く激しい演技やアクションが冴え、大くん@アシジンのような格好良さも見せた。
荒木健太朗@キラは、強気の行動力が印象に残り、男前度が出たキラという感じw。背が高いので周りとの釣り合いが難しいが、座ったり姿勢を低くしたりと細さや可愛さを表現。グリンジャに抱かれた後に見せた表情は、ハっとさせるほどに艶っぽかった。
後半戦で疲れが出たのか、笠原さんと仲原さんは台詞がちょっと不安定だったか。荒木さんが大きいので、仲原さんが抱っこするのが大変そう^^;。笠原さんのほうが安定感があり、グリ×キラが強調された感w。

uチームの3人が、モブであちこちに出ていたのを確認。曽世海司は声が綺麗で台詞も明確ですぐ気付き、アシジンの叔父も良かった。岩崎大@エドモスはやけに存在が目立つが、カゴから小鳥を出すマイムも丁寧にこなす。松本慎也のキラはやっぱりイメージ通り、裸のキラも色っぽかった。
逆に前回観た時、wチーム3人のモブをしっかり観ていなかったのが悔やまれる^^;。笠原さんの叔父さんはもう少し年を食っていたっけ。

センザイ・マスター@林勇輔、ゴー博士@山崎康一、マーゴ@前田倫良らベテラン陣が脇を支え、堅実で安定した演技が光る。
三上俊@ミカル、奥田努@ネズは、原作そのままのイメージで、醸し出す笑いも素直に楽しめ、都市編も楽しみにさせる。
フェロペの村の「茶」といい、若手たちの楽しそうなアドリブが笑いのエッセンスとなる。

前回と同様、山崎さんの深味のある台詞も相まって、ゴー博士がキラを抱き締める場面から、私の涙腺が刺激される。
青い照明がパーッと広がり、ステージを埋め尽くす水はまるで妊婦の”羊水”のようだ。命を宿すキラは、地球の律動を感じて夢を叶えようとする。
ドックン、ドックン、ドックン…。私の耳元を通じて胸に迫るのは、紛れもない「人の鼓動」だった。その音は、原作では想像はできても、実際には聞こえてこない。それが舞台化によって、たくさんの観客と共に、その「音」を共有できるのだ。
その音は紛れもない「生への鼓動」。お腹にいた頃から、みんなが聞いていたヒーリング。ずっと聞いていると、何と暖かく優しく安心感を与えてくれるのか。
どこかで今、自殺しようとする人も、誰かを殺めようとする人も、この鼓動を聞かされたら、きっとそんな負の気持ちは萎えてしまうだろう。
耳いっぱい胸いっぱいに鼓動を浴びながら、舞台を観続ける私の目からは涙がポロポロ溢れてくるのだった(;_;)。感極まるラストに心から喝采したい。

全員が揃ってお辞儀をされた後、一枚絵のようなシーン再現。キラを真ん中にアシジンとグリンジャが優しい笑顔で囲むが、位置的に笠原さんの顔が観難かったのが残念。
終演後は握手会。役者がまだ現れないため、藤原啓児さんのリードで、ロビーバザールにいた神野明人くんが自己紹介と海外旅行話を照れ臭そうに披露。おかげで楽しめたし名前も覚えた。
ようやくロビー出口付近で、三上俊さん、荒木健太朗さん、青木隆俊さんとの握手会。ミカシュンはにこやか。アラケンはやや疲れ目かな。タカシュンはちょい緊張めで、手がヒンヤリ。
出口でまた「芽が出るしおり」配布。2コ目♪

次はいよいよ都市編。青木さん@メイヤードがメインとなり、違う視点でマージナル世界を見せてくれる。

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