『大江戸鍋祭~あんまりはしゃぎ過ぎると討たれちゃうよ~』千秋楽を観てきた。

明治座公演もこれが楽。物販は寂しくなってたが、会場の熱気もひとしお。
今回はD-BOYSで取った下手寄りの席。
舞台が広いから、初日で把握できなかった部分まで補完できた。

第一部【芝居「最後の最後に忠臣蔵」】
初日と驚きぶりと比べるとだいぶボルテージは下がったが、パロディーやネタには相変わらず笑わされ、ダンスや殺陣には夢中にさせられ、時にジンと心にきたりと、存分に舞台を楽しめた。

一幕中盤の「元禄」サンバから、早々と金テープが客席に舞うのが一興。初日も随分飛び込んできたが、今回はそれ以上の数が舞い込んできて、足元まで金ピカだらけw。今回も記念にちょっぴりお持ち帰り。
紙吹雪の量も半端なく、序盤からチラチラと降っていたが、一幕も二幕もドーン!とかなりの量が降ってきて、客席にまで舞い降りる。
どれもこれも、楽ならではの大盤振る舞いなのかw。

Wキャストの町医者は山崎樹範。平方元基の時は花道から唄って出たが、やっぱり山崎さんは唄わずひとり芝居のみで進行。山崎さん相手だと、龍馬@平田裕一郎の男前度が上がってくるw。平×平コンビのほうが互いに好きオーラが出ていてイイ感じだったw。
今回のエチュードは浅野内匠頭@矢崎広&徳川綱吉@村井良大。内匠頭の人質女を銀行強盗から助け出すため、綱吉が仮面ライダーに変身してライダーキックの図(笑)。
上様を思って唄う柳沢吉保@三上真史のギターも絶好調。二人のシーンで一番ウケたのが「上様といつも書かれる領収書」だったw。歌詞を変えたこの歌、どこかで聞いたことあってつい一緒に口ずさんでしまう。
源五右衛門@大山真志が、内蔵助@大和田獏の心を唄った歌も覚えがあって、やっぱり一緒に唄ってしまった。「ハマミズキ」だったっけ。今回、歌も芝居もダンスも抜群に上手くて光っていたのがマーくん!『銀英伝』でも唄って踊って欲しいな。
お岩さんを交えた、群兵衛@寿里と安兵衛@兼崎兼太郎の歌も伸びがあってステキ。黒天使ならぬ、黒スーツの4人のダンスがクールで格好良かったv。初日は下手側がよく見えなかったが、村井良大&井澤勇貴&中村龍介&大山真志という極上のメンバー。
龍介くんといえば、ステージの盆が回る中で、自分もブレイクダンスで頭をクルクル。これぞ二重回転かw。回り舞台で一番効果的だったのが、一学@小谷昌太郎を相手に数右衛門@小林且弥と安兵衛@兼太郎の大立ち回り。迫力ある三人の殺陣に釘付けだった。
内匠頭のジュリー風フライング、スッポンからお岩さんと、どちらも1回ずつしか使われず、あの舞台ではちょっと勿体無い感じ。お岩さんの正体がやっとわかったw。
吉良@岩崎大はどんどんフリーダムになっていくw。一幕前半の吉良と内匠頭のガチシーンは、アドリブも弾まないし何とかならんのか。私的にはそそられる二人なのだけどw。
エンディングのオチはDVDでということで。幽霊はひとりだけ。犠牲者もひとりだけ。もうひとひねり欲しかったかな。
吉保が言った「きっと春はめぐり来る」にしみじみと思うのであった。

休憩中、電光掲示板に「あと○分」と出るのね。
明治座店内の試食食べ歩きがちょっと楽しい。


第二部【元禄夢宴~大江戸SAMBAで無ト~】
MC進行は、三上真史、小林且弥、穴吹一朗。
脚本の穴吹氏は、且弥さんはじめキャストのみんなから、ムラのある出番についてダメ出しされてたりw。

☆松の廊下走り隊7「キラ☆キラ KIRA Killers」
すぐ死んじゃう三平@白又敦がヤリ玉にあがるのは毎度なのか。浅野大学@五十嵐麻朝が目の前で振り付けをリードしてくれた。
☆KIRA feat.近松門左衛門「清しこの夜」
マエストロのネタ「プシュ」ポーズは流行りw。
☆YASUBEI and GUNBEI「War War War」
お客もスタンディング。ステージの吹雪をチラす安兵衛さん。握り拳を上に挙げて熱気。
☆特別ゲストは、マンショとジュリアンで「ごきげんよう」。ちょいテンぱり気味のマンショ。
☆元禄生態 生類アワレンジャー「わんわんLOVE」
小芝居と殺陣からスタート。足に拘りたくないイエローの案で手も使ったのに、必殺技の“ケマリクラッシュ”は今日も失敗、5人で切腹w。決めポーズはカッコイーのに。

出演者全員で大フィナーレ。みんなで「第九」!
スクリーンに映された日本語の歌詞をみんなで唄って、思いをひとつに結んだ。

カテコは3回!
大阪で控えるカウントダウン公演は、役者人生で初めてだと感慨深い獏さん。
会場からの歓声もあって、感無量の座長の三上くん。ついに、ついに座長の目に涙。人前で泣くなんてはじめてだと強がる三上くんがステキ。舞台でみんなから胴上げされる三上くん。
沢山のあたたかい拍手と歓声が鳴り止まず、大盛り上がりで終了した。
岸田今日子記念 円・こどもステージ『宝島』を観てきた。
演劇集団円+シアターX提携公演。

故・寺山修司が、スティーブンソンの名作を下敷きにした児童劇で、過去に上演されることがなかったという幻の戯曲だとか。
寺山氏といえば、先日『あゝ、荒野』を観た記憶が残るが、子ども達のためにこんな作品も作ってくれていたのかとあらためて知った。

海に憧れる少年ジムとその仲間、海賊シルバー率いる海賊たちとの“宝のありか”が記された地図をめぐっての冒険を描いた音楽劇。
全編に言葉遊びや謎解きを交え、たくさんの歌が会場を温かく包み込む。

前半は名作『宝島』の筋書きに忠実になぞらえていて、後半は宝の島を舞台にサスペンスありアクションありと賑々しい。
子ども向けだからたぶん無いだろうと思っていたのに、“銃”が出たり、「殺せ」や「死」の言葉が出てきたりと、割とシビアで容赦ないw。
場面が効果的に変わり、映像や照明や音響も素晴らしくて、飽きさせない展開。
クリスマス・チケットの2000円では安すぎるぐらいの、本格的で楽しいお芝居だった。

演出の平光琢也氏が、超久しぶりのアノ格好で(笑)ご出演。通路側の席を取ったが、何度も横を通ったりしてと忙しい。主に桟敷席の子どもたちを相手にして、大人たちはPTA扱いでw、愉快痛快にナビゲートしてくれる。
会場みんなで、劇中歌を唄ったり手拍子をしたりと盛り上がった。
でも「海賊」大好きな私には、アノ言葉を言うのはちょい辛かったりw。

終演後、ロビーの一角に海賊集団w。
平光さんにもご挨拶。お子様や若い方にもモッテモテv。

記念プレゼントのお煎餅も頂戴した。ありがとうございます。
スーパーミュージカル『聖闘士星矢』銀河公演を観てきた。

車田正美原作でアニメも大ヒットした名作の舞台化。
今年7月に上演された舞台を、キャストを一部変更しての再演となる。
スペースゼロは満員御礼だったが、キャパを変えた銀河劇場は年末も影響して、後方席から2階以上はガラガラ^^;。
おかげで前方中ブロックの観易い席で拝めたが、ステージとは近くなったのに、作品とは遠く離れてしまったような違和感をもった。

1987年公開の映画『聖闘士星矢 邪神エリス』を基にしたストーリー。
かつてアテナと戦い、黄金のリンゴに封印されていた邪神エリスが、依り代となる少女の肉体を得て蘇る。アテナである沙織を救うため、星矢たち青銅聖闘士が、過去に命を落とした亡霊聖闘士たちと激しい戦いを繰り広げる。

新キャストを得て、演出も少々変わりパワーアップしたのかと思ったが、それほどでもなかった。
相変わらず、舞台最初の歌が絵梨衣の「お掃除しましょ」でテンションは上がらない。ここはやはりオープニングからアテナかエリスの歌でバーンと聴かせていただきたい。
戦闘シーンや必殺技は、今回も映像を使わずに、布やアンサンブルでアレンジして見せるのみ。小劇場ならいいが、銀河劇場だとどうしても小さく迫力不足に映る。
客席通路や出ハケの演出を少し変えてきて、ダンスのフォーメーションも少々変更。これはやはり中ブロックで観たほうが綺麗に揃って見える。

鎌苅健太@ペガサス星矢は7月のままの熱気で好演。植原健太@辰巳とのガチキスシーンを2度も目の前で見ちゃってビックリw。
富田麻帆と湯澤幸一郎は、先月の『源氏物語』の紫の上と紫式部の関係から一転、敵同士なのが可笑しい。スペースゼロで響き渡っていた歌声が、ここでは音響の関係からかそれ程でもなく、喉もお疲れなのだろうか。
広瀬友祐と藤原祐規も『源氏物語』からすぐこちらへ。フェニックス一輝の鬘がちょっと違って見えた。

『裏僕』の大河元気に替わり、松岡佑季が矢座の魔矢役。元気くんと比べるとちょいとおとなしく見えた。魔矢との対戦で、聖矢が矢を拾い損ねたようなハプニング^^;。
キグナス氷河もアンドロメダ瞬もキャスト変更。福山聖二はヴィジュアル的に似合う。氷河は思ったより台詞が少ないなと思った。西村ミツアキの瞬は、笑顔が最高でしなやかな動きでとても可愛らしい。
絵梨衣の加藤茜は芝居にイヤミがなく、徐々に歌の調子を上げていた。

7月のリベンジとばかりに、今回は目の前でキャストを拝めて、一輝にじっくりと注目できて良かった。
全員で「ありがとう」の歌の後、カテコでテーマ曲を熱唱。でも客席からは手拍子が起きない。
キャストと観客との一体感は、ここではあまり生まれないのかと思った。
7月のDVDも既に買ったし、再演はもういい。どうせなら聖闘士星矢の新しい舞台を望みたい。

クリスマス・イヴの公演だから、アフタートークか抽選会か何かしら観劇特典でもあるかと思ったら、リピーター特典のみで何も企画されておらず、呆気ないなと思った。
『大江戸鍋祭~あんまりはしゃぎ過ぎると討たれちゃうよ~』初日を観てきた。

今年1月に上演された『新春戦国鍋祭』シリーズの第二弾。
今回は何と由緒正しき明治座。7年ぶりだろうか。劇場前には6本の「のぼり旗」がはためき踊る。
明治座といえば幕間のお弁当ということで、「大江戸鍋弁当」を綺麗さっぱり頂戴した。
1部はお芝居、2部はLIVEの二部構成。
初日はStudio Lifeで取ったおかげで、またも前方通路席に恵まれた。

第一部【芝居「最後の最後に忠臣蔵」】
元禄14年。接待役として吉良上野介に恥をかかされた赤穂潘主浅野内匠頭は、江戸城松の廊下にて吉良に斬りかかる事件を起こし切腹。赤穂潘お取りつぶしを受け、城代家老・大石以下、赤穂潘の武士たちは、御用人の柳沢吉保や徳川綱吉らの密かな策略に踊らされていくが…。

突飛な前口上には笑わされたが、本編の基本ストーリーは意外と「仮名手本忠臣蔵」通り。
ただし、ご存知の“鍋”バージョン。
パロディーやネタ満載のミュージカル風忠臣蔵アクション・コメディーで、見応えバッチリの痛快娯楽時代劇に仕上がっていた。笑ってジンときて、存分に舞台の醍醐味を楽しめた。さすが、穴吹一朗×板垣恭一の黄金コンビ。

キャストの顔ぶれからして、今回も『テニミュ』や『ベルばら』は外せないw。ねっとりとBL風味があったり、今年お約束の『仁』ネタもあったり。目玉のひとつ“元禄サンバ”の他、歌や踊りが思った以上に多く、本格風味もプラス。
髪型は鍋風だが、衣装には力が入る。殺陣やアクションにも稽古の成果が現れていた。
明治座の目玉である花道やセリや盆の説明もあり、若いキャストたちが初々しい気分で舞台を回っていて可愛らしい。「ワンポイント忠臣蔵」というウンチクコーナーもあり、観客にも親切なナビゲートを提供する。

メインキャストはみんなよくハマっている。
座長の三上真史@柳沢と、鍋座長の村井良大@綱吉との変態な絆が可笑しい。三上くんは予想通りギター弾き語りw。
『戦国鍋祭』には出られなかった矢崎広@浅野内匠頭は、一幕は同情させたが、二幕からも何やかやと出番多し。歌の声量が足りないが、可愛い系から女性系まで楽しませ、裏番な雰囲気も覗かせた。
CMをPRな中村龍介、光秀だった小林且弥、忠義な滝口幸広、歌も芝居も光る大山真志、BEIコンビの兼崎健太郎と寿里などに存在感。井深克彦&井澤勇貴のワンポイント説明は滑舌がいまいち。丸山隼、二瓶拓也らは経験豊か。
岩崎大@吉良上野介は、ねちっこさとキュートさで三段階に変貌。大くんの本来の持ち味が生かされていたか。
小林健一と佐藤貴史の狂言回しもオツ。石井智也が達者でクセのある芝居。Wキャストの平方元基は期待通りに唄ってくれたw。
立役者の大和田獏@大石内蔵助は、包容力ある力の篭った存在感だが、後半はちょっぴりライト感覚。
オマケで穴吹さんもご出演、最初ダレなのかと思ったw。

これだけたくさんのイケメンが出ると、衣装やメイクで当初は誰なのか分からなくなったり^^;。
芝居経験豊富なメンとまだ浅いペーペーなメンが、共に同じステージに立つと、演技や歌唱の差が如実に現れてしまう。芝居が上手い人は気持ちがイイし、イマイチな人には歯痒いものを感じた。これも鍋ならではの一興か。
もう一回観て、キャストをあれこれ確認したい。


第二部【元禄夢宴~大江戸SAMBAで無ト~】
MC進行は、三上真史、小林且弥、そして穴吹氏。
ソング&ダンスのオンステージ。『戦国鍋祭』と違って、ユニット全部を拝めるから嬉しい。

☆松の廊下走り隊7「キラ☆キラ KIRA Killers」
リーダーってこんなナルシーなキャラだったのかw。ダンスがクール。
☆KIRA feat.近松門左衛門「清しこの夜」
マエストロの指揮、みんなのハンドベルで近松が歌。
☆YASUBEI and GUNBEI「War War War」
ここからお客もスタンディング、思わず握り拳を上に挙げちゃう。
☆元禄生態 生類アワレンジャー「わんわんLOVE」
本編と同じく三上くんがブルー。教わってもいないのについ振りをしちゃうw。

出演者全員で大フィナーレ。みんなで何を歌うのかと思いきや…「第九」!
唯一ドイツ語で唄える曲だと意気込んだが、スクリーンに映されたのは日本語の替え歌の歌詞。
本年の出来事を振り返り、みんなの思いを一つに結んだ、意味深い歌詞であった。

A席なので開場時にCDとフォトを引き換え。
物販列が凄かったが、パンフのみ買い。
東京楽日はD-BOYSでチケット取りしたが、出入りしにくそうな席だな。
舞台『裏切りは僕の名前を知っている ~キミという名の光の中で~』を観てきた。

小田切ほたる氏の人気原作コミックを舞台化。
漫画は少々読んだことがあるが、アニメの印象のほうが強い私。今回はお目当ても出るキャストに充分期待を持っていた。

天涯孤独な高校生・夕月が、異母兄を名乗る祗王天白のもと、上級悪魔だというルカや祗王一族のツヴァイルトたちに守られながら、やがて己の運命を受け入れてデュラスと闘うことを決意。だが夕月たちの前に、宿敵・泠呀が立ちはだかる…。

知っている作品の舞台というのは、先が分かっているだけに、どのように作られるのかとワクワクドキドキさせる期待感がある。
板やシートを駆使させたスピーディーでダイナミックな展開。抜群なフットワークの照明や音響。“裏僕”ワールドを彩る切なげでエロティックな音楽。
原作を読み込み、キャラクターのヴィジュアルや雰囲気から感情や裏の気持ちまで、練り上げ作り込んだ出演者たち。
舞台ならではのリアルで美しい表現力と分かり易さに、作り手の真摯な思いが伴って、舞台はファンの思いを裏切らない、とあらためて確信できた。

大河元気は舞台が進むに連れ、どんどん夕月と一体化していくような感じ。夏の『abc』では森久保祥太郎に似たイメージだったがw、ここでは保志くんのイメージに近付いていて、変幻自在のカメレオン役者だとあらためて感心した。
汐崎アイルは、筋トレなど外見だけでなく内面性からもルカに近づけていくアプローチ。繊細な包容力と共に、アイルならではのコミカルな面もあって楽しめる。
根本正勝は、出番的には少ないが、関係性や内面など熟考させた深い演技が魅力。表情や声の変化など、二面性も見どころだ。
川隅美慎は予想通り、焔椎真のイメージにピッタリ、思わず格好良いなと思ったw。
三木崇史が、思った以上に天白のイメージで、落ち着いた声音と佇まいが美麗。

ルカの「俺はおまえを裏切らない」は、アニメよりも舞台のナマのほうが胸が騒ぐ。
十瑚ちゃんとアシュレイのスカート下につい注目w、溌剌さと色っぽさを出していた。
アシュレイ役の新良エツ子が歌う主題歌「キミという名の光の中で」が抜群の世界観を生んでいる。
憑依やガチ対決シーンで、キャストが声を合わせてセリフを放つ場面が印象的。
博品館で制服姿でアクションをすると、3月に観た『華鬼』を思い出す。あの時も激しいアクションをするには舞台が狭く感じられた。

スケジュール的に余裕があれば、もう一回観たいところ。
予想通りというか、今回の舞台はシーズン1まで。
Vol.2の上演は来年8月に前進座劇場にて。花道やセリや盆を存分に使ってくれそうw。
出演は、大河元気、汐崎アイル、根本正勝は同じ。他キャスト陣がどこまで続投してくれるか、新キャラクターは誰がやるのか、注目どころは盛りだくさん。


アフタートークショー。
アンサンブルのデュラスたちが、唸り声をあげながら、椅子や水を準備する様子が可笑しい。
出演者は、大河元気、汐崎アイル、苅羽悠、知念沙也樺。MCの三木崇史の質問に答える形式。苅羽くんは「つっくん」呼びが定着w。

みんな原作を随分と読み込んでいて、ヴィジュアルからモチベーションと役作りを相当頑張った様子。これが初舞台という知念さんは「明るく」「お姉さんらしく」を心がけてるとか。
他でやりたい役は?で、元気くんのアシュレイには納得w。「奏多」と言った苅羽くんに、何故か元気くんが敏感に反応して涙目に…。隣のアイルがすかさず袖からティッシュ箱を持参したりと、世話好きな一面を見せて微笑ましかった。
好きなセリフは?で、元気くんは「絆ですの3文字」ときっぱり。アイルはあの決め台詞について「元気やお客様を裏切らないという気持ちでやってます」と力強く答えると、感極まったのか元気からまた涙が! おいおい…と見守る中、またティッシュで涙を拭く元気。昨日の初日前も今日の本番前も緊張で泣いたそうだが、元気ってこんなに涙もろい子だったっけ?カワイイけど、リアルで「元気総受け」な感じがしたw。
知念さんのお気に入りの台詞「今度お揃いのハンカチ買おうな」は台本にはなくて、アニメの予告にあった台詞を美慎くんが気に入って使いたいとプッシュしたそうだ。

パンフ購入者の色紙抽選プレゼントもあり。
色々な話や素顔がわかって、それなりに面白かった。
舞台『ジパングパイレーツ!!!』初日を観てきた。

錚々たる一流のスタッフ陣と人気の若手役者が勢揃いする、amiproの今年を締める自信作。
元劇団四季の下村尊則を出演者に迎え、重厚な味付けも加えたようだ。

地図に無い孤島・九鬼那島(くきなじま)が舞台。映画撮影クルーの面々が、タイトルロール「ジパングパイレーツ!!」に出てくる、かつて日本に現存した海賊「赤鯱団」と出逢ったことで、不可解な出来事と闘いに巻き込まれていく物語。

amiproらしい『ふしぎ遊戯』と『リバースヒストリカ』の海賊版といった感じ。
全体的には、見どころである殺陣やアクション、凝った衣装やメイクに彩られたキャラクター、ドラマチックな音楽など、Z団の雰囲気に近い。
痛快娯楽冒険アクションコメディーを狙ったようだが、ちょっぴり笑えるハートフルなアクション活劇といったところか。

日本にもかつて“海賊”がいて、弾圧や戦闘の中、彼らなりの信念と平和をもって海を駆け回っていたのだろう。
ここでは、豊臣政権下に処刑された石川五右衛門との繋がりや、朝鮮出兵や世界征服を目論む野心家らの欲望も含め、しっかりした設定や背景があるようだ。ただし、2時間弱の上映時間では丹念に描き出すのは難しいかもしれない。
戦う海賊と平和ボケの現代人とが織り成すギャップと、時空を超えた人々の平和への思い。書き手の遊び心と傲慢さ。演じ手が知る本気で生きる大切さ。あれこれと欲張り過ぎたメッセージを感じたが、作り手の真摯な取り組みは伝わってきた。
それにしても“魂”を宿す「こくこんせき」という言葉はみんな言い難そうだw。

ザンギの下村尊則は凄みがあって強烈な存在感。
紅一点・ハカナの棚橋幸代は難しい台詞も完璧にこなして美しい。
ナギの平野良は見る度に演技も殺陣もパワーアップしていて頼もしい。
太田基裕、北村栄基、森渉が生き生きと個性的で、いいチームワークだ。
ヤマトの末野卓磨は黒髪に長身と雰囲気抜群だが、ちょっと噛んだかなw。セツナの鳥越裕貴が殺陣で目立っていた。
加戸臨王は統率力のある芝居が光る。井上優は後半の雰囲気が中井和哉に似ていたかもw。
剣武会が何気に大活躍だがw、濱口文哉演じる八千草の活躍が目立つ。

惜しむらくは、前半でもう少し井上優さんキャラにスポットを当てて、後半への布石を作って欲しかった。衣装ももう少し派手にして、ナギの生き様を受けて立ち上がり成長した姿を明瞭に見せてくれれば、より分かり易いメッセージになったろうと思う。

リピーター特典もあり、とりあえずスタンプカードを受け取り。
もう一つの目的、4月の舞台『ふしぎ遊戯~青龍編~』の先行予約も受付中。今回の観劇チケットも必要。
舞台『恋する私のベーカリー』を観てきた。

舞台×LaLa TV×LISMOドラマで連動するミステリアスラブコメディー、略して“恋パン”。
舞台とドラマは同時進行で稽古と撮影をされたのかな。
ドラマは来年の放送だが、舞台版はコメディー色が強いという。

イケメンだらけのパン屋「ブーランジェリー・セレスティン」に、記憶喪失で非モテ系な娘・小早川花が舞い込んできて働くことに。パン職人の間宮黎司と花は徐々に惹かれ合うが、怪しい影が花に忍び寄り、やがて花の記憶が戻り始める…。

テンポが良くてコミカルで、キャストやキャラクターが魅力的。ライトコメディーとして楽しめた。
だいぶ前の『Cafe’吉祥寺で』を思わせるお店の雰囲気。パンを買う人よりお茶を飲む人が目立つし、BL色も挿入されてオタク風味もある。
“完全紹介性のベーカリー”という上目線(笑)がどこかブルジョア系。イケメンがいなくても、誰でも気軽に入れる安くて美味しいパン屋さんのほうが私は嬉しいがw。
予想通り「お金」が関わってくる物語になっていた。お金が必要になり他店へ行こうとする男。お金を男に貢ごうとする女。そこに本人の真摯な思いや職人としての信念が、仲間との繋がりや思い出が、どのように作用していくかがポイントだったが、割とあっさり描かれていたのが残念。

天然系な花役の市川由衣は、さっぱりとした可憐な印象。黒タイツの緩みが気になったw。
超ツンデレな黎司役の古屋敬多は、硬派で頑固で男っぽい印象。ライバル職人との張り合いが生き生きと映る。
聖役の橋本汰斗(D-BOYS)は、女性絡みの役どころが新鮮、クールかつシビアな演技が光る。
体育会系な丈太郎役の佐藤永典は、明るく野生的でオタクな職人を達者に演じて熱く盛り上げる。
店長・周作役の橋本淳は、包容力のある演技が頼もしい。葉月役の菊地美香は、透き通るような歌声を聴かせた。
マジレッドとデカピンクの姉弟設定は、身長差はあれどなかなか面白いコンビ。
W橋本や佐藤くんは、実年齢より上の役どころのようで、しっかりした味わいが良かった。
鈴木拡樹がクセのあるミステリアス探偵とメイクなオカマを兼ねる。

最大の見どころは“セレスティン体操”と“セレスティン決めポーズ”。店長のリードとイケメンたちの無表情な動きに会場も笑いが絶えない。
小道具のパンが並べられているが、匂いが伝わってこないから美味しさも想像力のみ。
度々パンが床に落ちるが、会話が先行してパンをなかなか拾ってくれない場面が気になった。手製の売りものなんだから、落ちたらすぐ拾うのがパンへの“愛情”だろう。

舞台版の続編はドラマで。伏線となるキーマン・成瀬隼人役の加藤和樹が映像で出演。エピローグのはどう見ても悪党だろうw。
LaLa TVは視聴不可の環境なので機会を待つのみ。コミックス化やドラマCD化など、メディア展開させても面白いかもしれない。


日替わりアフタートーク。
出演は、市川由衣、橋本淳、上遠野太洸、村上東奈。
女子高生な村上さんがテンション高くサイコロを振り、小堺さんのマネでリアクションを観客に求めたりと盛り上げる。
失敗談では、稽古中に由衣さんがジャージ下を村上さんのと間違えて履いてしまったとか。
最近のキュンキュンは、『ベム』の福くんだと嬉しそうに話す淳くんとか。
劇中アンサンブルで登場した竹岡常吉さんなる人が、トーク中ミステリアスに登場したりと、ふわふわとした中で終了した。
ミュージカル『テニスの王子様』青学VS六角を観てきた。

いよいよ2年目に突入するテニミュ2ndシーズン。
ドリライを終えて一段と成長した青学キャストと、六角の新しいキャスト、そして氷帝キャストも華を添えた、新生六角公演。

氷帝戦で肩を痛めた手塚部長を欠いたまま、準決勝戦の相手・千葉の六角中学校と対戦する青学レギュラー陣を描く。

1stシーズンでも観た六角戦は、キャラクターは覚えていても、試合の内容を殆ど忘れていた。
先の氷帝戦と比べると、やはり印象強さやドラマ性が薄いと実感。
六角戦だけだと実質1時間ほどで、すぐに終わっちゃうもんね^^;。試合前に青学サイドや手塚の思いをあれこれ挿入、六角との1試合が終わるごとに氷帝を登場させたりと、だらだらと引き伸ばしばかり。あの手この手でどうにか2時間強まで伸ばしてあった。
だからテンポが悪くメリハリがなく、贅肉ばかり目立って、これぞ!という場面や台詞が掴めない。キャラクターやお笑いは悪くはないが、表現性や演出力がいまひとつ。集中力がわかない、面白味に欠ける舞台であった。

1階端ブロック席だったが、思った以上に見切れがあったのにもガックリ^^;。
“切り株”ならまだしも、試合中のプレイヤーの姿やベンチワークがすっぽり見えないのは辛い。誰が喋っているのか分からず、台詞までしっかりと伝わってこない。何を喋っているのか、何が起きているのか、試合の内容そのものまで分からず仕舞い。ダブルス1なんて、あれよあれよという間に終わってしまい、観た気分がしなかった。
これだから青年館はイヤだ。かえって2階席のほうが観易かったかも。こんなに見切りがあるなんて、演出やスタッフはよく考えもしないでセットを組んだのだろう。見えないことがこんなに作品に影響するのも、テニミュならではの欠点だろうと思う。

青学チームは、部長代理の大石がなぜ試合に出ないのかの理由が台詞でも語られてなかったような^^;。手塚は手塚らしくない踊りがあって苦笑。
六角チームの6人は少なく映る。一年生部長の葵剣太郎は溌剌と好印象だったが、歌詞の「女の子」がプッシュされてから軽薄に見えそう。佐伯の格好良さがあまり見えない。黒羽の飛び蹴り、天羽ダビデのダジャレはオモロイが、どれもパワーがない。身長が高い樹が一番上手そうに見える。木更津亮は声がいいが、テニスの活躍がなくて呆気ない。
氷帝チームはネタとして可笑しかった。跡部のバスタブにナルシーにキラキラ。氷帝が私服で踊ると、なんだかWSSみたいな雰囲気w。

前説アナウンスは我らが宍戸。
お見送りアナウンスは滝と樺地。1階のお見送りは河村と滝と、六角は佐伯だったか? 河村以外の2人は笑顔もなくてお疲れな感じ。

次に観る六角戦は、来年の東京凱旋。
DOME CITY HALLになるのはいいが、もう少し分かり易く楽しませて貰いたいと願う。
23stage Vol.1 舞台『念友・本能寺~鬼を愛してしまった男~』を観てきた。

未だ明らかにされていない「本能寺の変」の真実を、明智光秀を中心に、織田家の家臣たちの運命と共に描く。
先日の『真田十勇士』の小野真一による脚本・演出・振付。
迫真の殺陣構成を指導するのは高瀬将嗣。
実力派の豪華俳優が集まり、新解釈によって描いた、本格的なアクション時代劇といえよう。

前説で3人のサブキャストが「笑ってください」と話していたが、一幕は特に意表をつくコメディモードが挿入、私も何度か笑いが込み上げた。
てっきりチラシのように、全編が真面目モードかと思ったw。
7人のメイン男たちの台詞や所作がとにかく熱い。真剣な魂が篭る演技力だ。
殺陣がダイナミックで力強く、リアル感にあふれる。音響効果も抜群だ。
スタッフもキャストも力の篭った作品作りで、気迫や熱気がストレートに伝わってきた。

『リバースヒストリカ』の織田信長と明智光秀と羽柴秀吉の関係を、新たに再現させた物語に見える。
実は堅い絆で結ばれた信長と光秀。己の野望のため、彼らの絆を崩そうとする秀吉。この舞台は、男と男の関係に「愛情」を挿入したのが斬新的だ。
「念友」とは、男と男が愛し合う関係。つまりボーイズラブw。信長と森蘭丸なら納得もできるが、そこに光秀まで入るのが解せない。
信長と光秀、どう見てもドSとドMにしか映らないが、それも愛情故だったという理由に説得性が欠けこそばゆい。柴田勝家、丹羽長秀、滝川一益ら重臣たちも、実は三成を愛おしく信じていたというのも信じがたいw。
信長や蘭丸の情の深みが細やかに描かれてなかったため、感情移入はしにくくなった。

『リバヒス』では秀吉、『戦国BASARA3』では石田三成を好演した中村誠治郎が、満を持して光秀をやるのが面白い。信長への一途な想い、平和への純粋な祈りが静かな佇まいでよく表現されていた。三成の居合いとは一変した、品のある綺麗な殺陣も上手い。
市瀬秀和の羽柴秀吉が、飄々とした愉快なテンションと非情なクセ者の雰囲気を使い分け、新鮮な魅力を発揮。
光秀と秀吉の関係が、前半と後半でガラリと変わっていくのも印象的だ。
荒々しく凄みのある狂気めいた真島公平の信長。武骨で豪快で厳しくも優しい武智健二の勝家。真面目な芸利古雄の長秀とお茶目な玉城裕規の一益は共にムードメーカー。可愛らしくも小悪魔的な松村泰一郎の蘭丸と影丸。
個性的な面々を盛り上げ、ガイズエンタテイメントらのアンサンブルの男たちが熱気あふれる舞台を支える。

誠治郎は体も大きくさっぱり感があるので、色気やエロさはあまり感じられない。
玉城くんと松村くんは何となくタイプが似てるな。もうひとり強そうな家臣を出してもよかった。
それにしても秀吉は強い! あれでは元百姓じゃなく忍者だw。今までで一番秀吉を憎んだ作品であった。

花道では殺陣や長いシーンをコミカルに使い、ここぞという時に舞台の盆を回してドラマッチック演出も効果的。
カラー分けされた衣装やヘアメイクが綺麗で、着替えも入れて華とする。
2時間強の作品ながら、キャストや雰囲気を楽しむのに相応しい舞台であった。

花道席チケットが何故かプレミアムチケットに。プロモーションDVDは正月にでも観よう。
2Lプロマイドは7人集合写真(直筆サイン入)。

前日は関智一の舞台で、翌日は智一さんとも縁深い中村誠治郎の舞台というのも面白い。
誠治郎と同事務所の玉城裕規が、昨年のヘロQの舞台にメイン出演したというのも面白い。
その誠治郎&玉城は根本さん&良輔と共に、年末の忘年会イベントに出演。
劇団ヘロヘロQカムパニー第26回公演『ホタエナッ!! ~Who Killed Ryoma?~』を観てきた。

坂本龍馬暗殺にまつわる大胆な新説を説いた大作映画『ホタエナッ!!』。その撮影中に急死した巨匠・鈴森清十監督を引き継いだ代理監督・星間太郎の前に、撮影前の台本が失われていた事実が襲い、撮影スタッフも出演者も大混乱。坂本龍馬を殺した犯人をめぐり、途方もない工作と騒ぎが巻き起こる話。
ヘロQさんにはお久しぶりの伊福部崇の作品を、座長の関智一がテンポよく演出。
「ホタエナッ」は、誰じゃ!?という意味かと思ったら、「うるさい」という方言らしい。

当初は、舞台『abc★裏』みたいな、裏方スタッフや出演者による映画版メイキングの話かと思ったが、中味はもっと濃い。
かつて鈴森監督の助監督としてしごかれ、今や人気ドラマも手掛ける新進気鋭の星間監督がホームベースに戻り、鈴森組を思い出しながら、覇気があった昔の自分を取り戻していくという話だった。
坂本龍馬を殺した犯人は誰だ!?をめぐって、歴史的見地や解釈も入り、ちょっとした幕末の史実も楽しめる仕掛けになっている。
スタッフ側も出演者側も設定がしっかり作られ個性的で、ドンデン返し的な重要な役割を担う者もおり、群像劇といってもいい。
二重三重に練り込んだ緻密なストーリーと緩急あふれる展開ながら、フレッシュかつ重厚な役者陣のハーモニーが生きて、面白くも心あたたまる舞台となっていた。

関智一の星間太郎は、中堅の監督で小太りw、ラストにかけて熱演を披露。老舗スタッフから「ホシ」と呼ばれる度に、個人的に妙な気分がしたw。
長沢美樹は溌剌としたお調子者的プロデューサー。自演の“結婚”ネタが多くて笑う。
柗本和子のセカンドが明るくさっぱりしたノリ。永松寛隆と下川真矢がクール&チャーミング。
初日と本日のみ出演の小西克幸はやはり出番や絡みは少ない。ジャンフェス出演と重なって残念。

小川輝晃がバラエティに富んだ新鮮な芝居を見せて、とても楽しそうだ。
歴史研究家の置鮎龍太郎は格好からして可笑しいが、お茶目な演技で知性を見せていた。
中博史の木村が、いかにも現場にいそうな渋い佇まいと言動で、最初見た時は鈴森監督に見えてしまう貫禄があった。
魚建の由利も、髪ネタでイジられていたが、温厚な雰囲気が頼もしい。
中さんと魚さんのオジサマ組がいればこそ、この舞台に説得力ができて成立するんだなと思う。

鈴森清十と星間太郎。リーフレットに智一さんが書いていたためか、何となく「石ノ森章太郎」の名前を連想してしまう。
どのように映画を完成させるのか。どんな犯人をもってくるのか。ひょっとして曖昧なままで終わらせるかと思ったが、最後まできっちりと収めてくれたのが嬉しい。
あり得そうにない説だけど、誰も見たわけじゃないのだから、真実や虚実なんて誰にもわかりゃしないw。
作品を完成させることが、故・鈴森監督へのメッセージになるのだから。

次回公演は、日替わりゲストの即興芝居。
ヘロQ公式ファンクラブ設立のお知らせ。チケットを買うために入らにゃならんか。パンフ代をこっちに回そう。
ミュージカル『GOLD ~カミーユとロダン~』を観てきた。

『機動戦士Ζガンダム』のカミーユ・ビダンと関連付けて、フランスの女性彫刻家カミーユ・クローデルのことを聞いた方もおいでだろう。1980年代からは、何かにつけてカミーユとロダンの関係を知る機会があり、特集を組んだテレビ番組も見た。
そのカミーユ・クローデル役を私の好きなミュージカルスターの新妻聖子さんが演じるという。「GOLD」というタイトルに“百式”を重ねながらw興味深く思った。

19世紀のフランス。全能の彫刻家オーギュスト・ロダンの元で才能を発揮し、彼の愛人となるカミーユ・クローデルだが、女性に門戸を閉ざす芸術家協会と妻子のあるロダンとの苦難に阻まれ、ついに壮絶な幕引きを迎える物語。
『ガブリエル・シャネル』とか『MITSUKO』とか、実在した女性をミュージカル仕立てに描いた舞台が流行だが、カミーユは今まで観た中で一番、激しくも狂おしく切ない人生だった。

フランク・ワイルドボーン作曲のミュージカルナンバーは、情感にあふれて結構好みだ。
メイン三人は素晴らしい歌唱力で場面を彩るが、半分は芝居の中で音楽を語るかたちとなり、バラエティある世界観には乏しい。

新妻聖子は、ほとばしる感情を美しくのびやかなハーモニーにのせて圧巻。一幕の若くて気の強い雰囲気がキュート。オーガニックから赤や黒へ変わる衣装の着こなしも色っぽい。ただ、晩年の鬼気迫る芝居にもう少し深みが欲しかった。
ロダンの石丸幹二の男らしい歌声が心に響く。表現力豊かな芝居も魅力的だ。
二人の初めてのラブシーンが官能的でダイナミックでドキドキさせた。ロダンの腕に抱かれるカミーユの健気で美しいこと。場面転換の薄暗い中で、脱いだ服をまたひとつひとつ着ていく二人の様子が愛らしく思えた。
カミーユの弟ポールの伊礼彼方は、一幕の若々しい様子が新鮮でステキ。巧みに年齢を重ねて見事に変貌していく。柔らかな歌声が潤滑油の役割だ。
カミーユの厳粛な母クローデルの根岸季衣、カミーユのただ一人の理解者だった父クローデル氏の西岡徳馬が、共に味わい深い芝居を見せるがもう少し唄えていたらと思う。
男女アンサンブルの面々が、細かい段取りも含めて大活躍。筋肉質や可愛い子など、個性的な男性陣にも注目w。

カミーユの若さと美貌と才能を愛したロダン。献身的な支えと安らぎを得られる内妻ローズ。どちらも選べない中年男ロダン。「芸術家に家庭は不要だ」というロダンと、カミーユの妊娠中絶。ドロドロの三角関係とボロボロの破綻。
当時フランス芸術家協会は女性の芸術家を認めず、やむなくブリュッセルで個展を開いたカミーユ。だがカミーユに未練たらたらなロダンのせいで、またも復縁してしまう愚かなカミーユ。彼女はあのままフランスをずっと離れるべきだったのだ。たとえロダンを愛していても、愛よりも自分の人生を選ぶべきだったのだ。
愛し合ったかと思えば、すぐにまた罵り合う二人。彼女をとりまく中傷と将来への絶望、挫折も嫉妬も何もかもに襲われ、彼女の憎しみはすべてロダンへと向けられる。孤独な魂は徐々に精神を狂わせていく。

カミーユの芸術を理解せず、早く結婚させようとした母親が、ついにカミーユの存在そのものを排除しようと精神病院に入れてしまうところが性急な展開だ。同じ立場から見ると、母親の心の流れをもう少し細やかに描いてくれたらと思う。
当初はカミーユの味方だったポールも、何故か突然宗教に目覚め、保身のためとはいえ、姉の排除に力を貸すようになる展開が分からない。
激しく辛い場面が続く割には、晩年のロダンの活躍や心情など曖昧な部分もあり、ストーリー的には不完全だろうと思う。

カミーユとロダンが心を繋ぎ合う場面で、照明が光り輝いて金色に映る。人と人との繋がりこそが“GOLD”なんだろうか。
数体の白い彫像が置かれたステージを、小道具に変化をつけて場面転換させる演出で、白井晃氏の緻密さとスピーディさが現れる。
観劇前に「物語に登場する彫像リスト」が配布され、観劇の理解に役立つが、彫像は絵画や音楽と比べてより具体的で官能的な芸術だと思った。
舞台の小道具として、カミーユ製作の彫像をあらたに10体ほど作り上げて下さったようだ。「ワルツ」「ロダンの彫像」「分別盛り」…二人の愛と憎しみを思い起こしながら、悲劇のカミーユが遺した“こどもたち”をしみじみと味わえた。

カテコは、赤と黒と青と紫と茶の5色の衣装に包まれたキャストが並ぶ。まるで戦隊カラー。カミーユ戦隊とかw。
カミーユと一体化したかのような新妻さんらの満ち足りた笑顔に、会場がホッと包まれた。
Zero Project ミュージカル『リズミックタウン』千秋楽を観てきた。

今年6年目を迎えたファミリーミュージカルを、新メンバーでバージョンアップして創り上げたクリスマスの心温まるストーリー。
お初に観る舞台で、Studio Lifeの三上俊をはじめ、キャストに興味を持った。

大人には見えない、毎晩ダンスを楽しむ妖精たちがいる町が舞台。
少女メイは、歌手で母親のリンが音楽祭に出るという夢を、公園に住みつくホームレスのダボと語り踊る。クリスマスを控えたある日、メイの父親が実は大富豪という事実と、ダボが実は伝説の大泥棒ではという疑惑が起こるが…。

クリスマスにはサンタクロースがやってきて、願いをかなえプレゼントを運んでくれる。
歌とダンスに包まれた、子ども向けの心温まるミュージカルだった。
親子で観るにはいいけれど、大人には少々かなり物足りなさが残る。
すべてを肯定して受け入れて、軽くやわらかく感じるのが一番か。多少、眠くはなったけど^^;。

未来の舞台芸術を担う子供たちを育てたいという思いから製作された作品らしい。
劇団ひまわりの『モモ』みたいに、歌やダンスを楽しく披露する子どもたちがいっぱい登場。
メイン出演の中川瞳や平松來馬がハキハキした芝居で歌もこなす。
ただ、他の子どもたちがみんな女の子ばかりで、男の子がいなかったのが惜しいかな。
共演する大人たちも、子どもたちと一緒になることで、全編があたたたかい雰囲気。
父性本能を刺激された三上俊はじめ、みんな優しい眼差しを子どもに、舞台に注いでいた。

座長の大澄賢也は年齢の割によく踊り、のびのある良い歌声。鈴木蘭々は柔らかな歌声。
IZAMとSACHIの夫婦の歌声が素晴らしく響く。佐伯太輔の落ち着いた芝居が心地いい。
新聞記者ラオ役の三上俊は真面目でクール、ホームレス仲間カイ役の小野健斗は大澄さんとの踊りもあり、運転手ロック役の高崎翔太は明るいムードメーカー。
大澄さんと健斗のバランスがよく、サンタの格好が意外と似合っていたw。

終演後、リースコンテスト。
司会のミカシュンが流暢な進行ぶりで、若手男性キャストが客席降りでエスコート、大澄さんは大澄賞のプレゼンターを務めていた。
舞台版『ミラクル☆トレイン~大江戸線へようこそ~ 大江戸線開通記念日・前夜祭』の昼の部へ行ってきた。

来年4月に第2回好演を迎える舞台版『ミラクル☆トレイン』の前イベント。
前回イベントと同じく時事通信ホール。チケットと座席の列の呼称が違って混乱する人多数。

出演は、KENN(六本木)渡辺大輔(新宿)大山真志(両国)杉浦功兼(月島)植田圭輔(汐留)汐崎アイル(車掌)。MCは田口治(とくがわ)中代雄樹(国立競技場)。
昼の前説アナウンスは、エロイ声の新宿さん。オープニング入場時、車掌が敬礼&ドヤ顔。
KENNと大輔と真志は、先日終わった三ツ星キッチン『ESS』からそのまま流れてきた感じw。

第1回 ミラ☆トレクイズ大会。
キャストから二択クイズが出され、観客が配られたフリップのAかBで答える。紙をなくした人はジェスチャーでw。用意されてた第6問までいってもまだ人が減らず、続きの問題を出したり、KENNがアドリブで“もんじゃ”の問題出したり。ようやく残った10人ほどの人とKENNとがジャンケンの勝ち抜き。KENNのジャンケンは後ろから振り向きざまに出したりと爽やか~w。残った5人に、キャストからピンクの袋に入ったプレゼント&握手。アイルはプレンゼンターでもないのに客席降りしてニコニコw。

ショートショート朗読劇(ミニ音声ドラマ)。加藤陽一氏によるオリジナル台本。
300人のお客様!に向けて、ぬるく熱いドラマが展開。
くじ引きで当たった月島から、レベル3のロマンチックでクサイ台詞とエアキッス。やった本人が照れるw。
テンションが上がって、早く4月にならないかな~と待ち焦がれる出演者の中で、ただひとり真志だけが寂しそうに「大人の事情なんだよ」「俺は宇宙で戦ってくるよー!」(笑)ホントは出たかったと、役にも思い入れがある真志は、銀英伝の稽古の合間に何とか1回は観に行きたい、次こそ出たいと熱い思いを語ってくれた。

どっちの駅DEショー。
今度はお客がAかBの二択で答えて、どちらが多いかをキャストが予想して答える。
考えてる間、中代さんがアドリブで、シンキングソングやシンキング一発ギャグを披露w。
正解したキャストには中代さんが「とくがわのメダル」をかけるが、紐がからまるからまる。このメダル、リアルとくがわでめっちゃ欲しい~w。
結果は大輔と真志がパーフェクトで、譲られた格好の真志に、ふりかけのプレゼント。喜んでる時に、KENNの座ってた椅子の棒がおちてカタンとなるハプニングが。

イベントプレミアム発表もあり、第2弾の意気込みや、イベントの感想など。
第2弾の衣装は前回よりも発色がよくて、キャストのテンションも上がってる様子。
前回、急遽代役出演した大輔が電話で相談した相手が真志で、大輔と真志との絆も認識。第2弾も話の中で両国が出てくるだろうが、その時はパペットを出そうとか、時間があったら出ちゃいなよ~なんて和気藹々に盛り上がった。

最後は、大江戸線開通記念日の誕生日を祝して「ハッピー・バースデー!」。
灯りが消えた中、会場からピンクのサイリウムがいっせいに光って、キャストもビックリ。事前にスタッフで用意されたサプライズにお客様も協力した成果で、キャストもホントに嬉しそうだった。
約1時間のひと時、期待と共に楽しめた。

銀英伝の楽は結局取れなかったし、同時期上演のミラ☆トレは3回観ちゃうことになりそうw。
abc★赤坂ボーイズキャバレー Spin Off『2回裏!』を観てきた。

この夏、赤坂で上演された『abc★赤坂ボーイズキャバレー 2回表!』のスピンオフ作品。
上演前の仕込みから、上演中の楽屋ではこんなことが起きていた…!! 
いわゆる「裏方さん」と呼ばれる直接舞台に関わるスタッフ9名と、楽屋に出入りした3名と、『2回表』の出演者2名が登場する、演劇界の裏側を描くバックステージ作品。
原案:松野一茂、脚本・演出:堤泰之によるabc★シリーズの第5弾。

昨年の『1回裏!』や『ゲネプロ!』から続投のキャラクターもあれば、新キャラ&新キャストもいたり。
『abc★表』と同じく、みんな其々詳細なバックボーンや過去があり、少しずつ判明してくる(パンフにも掲載)。

開演前から、ロビーの練り歩きならぬ、客席歩きがある。
オープニングは、もはや恒例となったw、利根川渡のひとり芝居「ダダンダダン!」。

今回の話の中心は、劇団天空旅団に内緒で『abc★2回表』に客演する利根川と、客演をやめさせようとする同劇団の現座長のチャーリー若松(水谷あつし)、元劇団暴走艦隊カオスの座長で今は舞台監督助手として働く水口慶(河野まさと)の3人。
天空旅団と暴走艦隊はかつてライバルだったようで、「空軍対海軍」だと笑って話題にする輩たち。これに河野さんが所属する劇団☆新感線が加われば「陸軍」になるかなw。
グダグダと売れないまま、齢35になっても役者をやめられない利根川。前座長に恩を感じ、客演を繰り返す利根川に苛立つ若松。結婚し子供もでき劇団もなくなって、俳優から足を洗い裏方に就いた水口。
そして『abc★2回表』の劇中の殺陣の中で、自分の本音が飛び出した村井伝次郎。演じた清水順二は昨日の『ザ・ナード』で観たけれどw。
売れないままで歳ばかり食い、役者を止められない男たちの葛藤と悲哀、切なさとやるせなさがリアルに描かれていて、じんわりと込み上げるものがあった。中年の男たちを新たに登場させることで、『2回表』であったジレンマがより明確に表現され、“裏”の効果をあげていた。

寡黙な舞台監督の大和田(佐藤雄一)の頼もしさ。厳しくも的確な照明の早瀬(舟見和利)。気が合わなかった音響の亀田(小野健太郎)と馬渕(平山佳延)の信頼関係。ヘアメイク以上の雑用と人間関係をこなす南(長谷川桃)。スタッフをサポートし手伝い動く、前向きな榎木田(永岡卓也)と若手メンバー。
彼らの仕事への誇りと情熱が眩しくも格好良くて、妙に楽しい涙となってあふれてしまった。
『2回表』も楽しくて良かったが、『2回裏』はそれ以上に感動させてくれた。

エンディングは全員揃ってお馴染みのテーマソング。若手を中心の躍動感あるダンス。彼らの中からまた『表』へ繋ぐ者も出てくるのだろうか。
「まわせ!さわげ!」で恒例の手フリとタオル回し。abcのタオルをすっかり忘れてきた。

次は『ゲネプロ』か、それとも『3回表』に続くのか。
『abc★総選挙!』も既にスタート。AKBの気分を想像しながら、計64役の中から3役を選んで投票したいと思う。
ちなみに、ゴーカイシルバーこと池田純が演じた桧垣って、若松や利根川と同じ天空旅団だったねw。

仲原裕之繋がりでStudio Lifeの『OZ』と、水谷あつし繋がりでルドビコ★+の『花咲ける青少年』のチラシが入っていた。
この後に行った、池袋の『樹なつみ原画展』には同じチラシが置いてあったw。
FAKE STAR 2nd skit『THE NERD ザ・ナード』を観てきた。

海外戯曲ストレートプレイ専門のユニット【FAKE STAR】の第2弾。
昨年の第1弾の『ザ・フォーリナー』は、劇団あかぺらさんで以前観ていたのでスルーしていたが、今回も同じラリー・シューの傑作コメディーで未見の作品。
キャストにも興味がわいて、30-DELUX絡みでチケットを取った。

舞台はベトナム戦争後のアメリカ・インディアナ州。仕事や恋愛に悩むウィラムの元に、軍隊時代の恩人というリックがやって来る。しかし彼は想像を絶するトラブルメーカーのKY男で、同居人のアクセルや恋人のタンジー、仕事のパートナーのウォルドグレーヴ一家は散々な目にあってしまう。ついにリック自らが帰るように仕掛けるが…という話。

「ナード」とは「KY男」という意味らしい。
ウォルドグレーヴ一家の息子ソアの破天荒な小生意気ぶりもウザかったが、後から現れたリックは更に上をいく図々しさとしつこさとウザさ。リックが行動し喋る度に周囲が振り回される様子は、ウンザリして腹立たしくもなってくる。

昨年に続き主演の馬場良馬は、34歳で仕事ができる設計士にはあまり見えない。せいぜい25歳の普通の青年か。
タンジーの平田裕香は、お天気お姉さんな雰囲気ではないが、キュートで明瞭な芝居が痛快。
アクセルの大口兼悟が、この舞台に一番相応しく男前でダンディ、ソフトな美声とスマートさには痺れそうだ。良馬と兼悟はテニミュのダブル手塚になるのかなw。
ウォーノックの清水順二は、勇ましくも甘い父親ぶりと、良識的でクールなビジネスマンぶりを発揮。妻役の武藤晃子の芝居が愛らしい。ソアの吉田仁美は溌剌と体当たり。
プロデュース公演ではお馴染みの我善導が、リックの奇人ぶりを達者にこなす。

滑舌やテンポの鈍さでキャストの台詞が掴み難く、破壊的なリックにもついていけず、一幕目は世界観に入っていけず疲れも感じた。この舞台を芝居の上手い劇団あかぺらでやってくれたらと、何度も思った。
だが一方で、このままでは終わらないハズだぞという期待もあった。リックの所業はサイテーだったが、彼のおかげで、女性たちは割れるお皿仲間になったし、バラバラだったヴォルドグレーヴ一家は結果的に一つに纏まって家を後にできたのだ。アクセルの小さな暗躍も気になるし、電話の相手も不審だった。

この舞台の真の見どころは二幕から。リックを帰す奇策で、わけのわからぬモンスターや儀式をでっちあげるアクセルやタンジーたち。兼悟や平田さんが、今まで見たことのないような面白い表情や動きをするからたまらない。二人の早口の台詞で「○○バスターズの6人」というのが耳に入ってきたが、来年からの新戦隊のことも予言しちゃうのか?(笑)そりゃ平田さんは『ゲキレンジャー』のメレだったからねw。
中盤からはバカらしいと思いつつ、つい笑って笑ってまた笑ってしまう展開。キャストの熱演がウソのように冴える。ラストは小気味よいドンデン返し、それまでの不快さがいっぺんで爽快な気分になるのが楽しい。
この舞台は『検察側の証人』と似た味わいで、“声”が布石なのだ。いち早く気づくと、タネ明かしが分る。
終わってみると、これは妥協するダメ男を気骨ある男にさせるための話だと分った。ほろ苦く手間のかかる授業料だったが、友情とお遊びを大切にするアメリカ気質ならではのテイストだ。

休憩挟んで約2時間20分。お手洗いの少ない小さな劇場は惜しい。
思った以上に濃厚で楽しい舞台で、一度観るとクセになる作品だと思う。大阪公演もあり。

終演後、アフターイベント。
順順と晃子の部屋に、キャスト5人が登場。馬場くんの出入りはクローゼットw。我さんのことを「我どうぜん」と清水さんw。
周りが見た共演者について。チーズトッピングしてて遅刻した平田さん。演出家の野坂実氏は一日7~8時間稽古で休憩が5分を2回とハードらしいw。馬場くん「僕の心にもエンジェルがいるよ」大口さん「僕の心にはアクマが…」。馬場さんと平田さんは「はじめまして」じゃなかった。風邪気味で医者に行った清水さん「水をかぶりました。チーズもかぶりました(笑)」。トランクスを履いた吉田さんが見せてくる。兼ちゃんは天然さんで、素もまんまのリアクションw。我さんが同い年でビックリした兼悟。それ以上に天然なのが武藤さんだったw。
トーク終了後、ポスターが当たるプレゼント大会。馬場くんのフォトがトイレに置き忘れ~(笑)。
順順と晃子の流暢な進行もあって、本編よりも面白かったかも(^o^)。
続いて小劇場へ。

舞台『みんな我が子』を観てきた。

1947年のアーサー・ミラーのトニー賞受賞作品を、33歳の若き新鋭ダニエル・カトナーの演出で贈る。
第二次世界大戦後のアメリカが舞台。戦争成金の父ジョーと戦争で生き残った息子クリス、戦争で行方不明になったクリスの弟の死を信じられない母ケイトの家の裏庭。家族の元に、クリスの恋人だったアンやアンの兄ジョージが訪れたことから、すべてが狂い始めていく。

息もつかせぬほど、とめどなく流れて展開していく会話劇。
豊かな演技力と強い存在感で、圧倒させ唸らせる、実力派の俳優たち。
深みと濃くとクセのある脚本の力、繊細で的確で品のある演出、役者の渾身の芝居。それらが見事に溶け合って、演劇の凄さと面白さをしみじみと感じさせた舞台だった。

すべてが会話の中から生まれ、会話が進むにつれて明らかになっていくサスペンス風味。
表向きは円満に見えた家族生活や近隣との関係は、どんどん化けの皮が剥がされて崩壊していく。
優しく誠実そうに見えた登場人物も、やがて裏の顔が見えてきて、隠された真実が露呈していく。
本当だと思っていたものが嘘だとわかり、正義だと思っていたものが悪だとわかり、会話そのものにも表と裏があることを知る。
其々の登場人物に表の顔と裏の顔があるように、誰もが強さと弱さを持ち合わせていて、人間の業を身近に感じさせる。
一個人の考えと問題なんだと思わせながら、実は社会とも密接に結び付けて考えさせる普遍的な物語に違いない。

自由と信念と誇りのために戦地で命を落とした若者たち。一方で、醜悪な方法で国内で私腹を肥やした戦争成金の男たち。認め合い和んでいた父と息子を、最後に徹底的に戦わせることで、“反戦”と“好戦”の矛盾した気質が人間の中にあることを、アーサー・ミラーは匂わせていたのではないだろうか。
人は“愛情”を持ち合わせる一方で、“金銭”と“保身”に執着し、幾らでも裏切れるし惨いことをできる。
若者らを戦場に送り出して儲けた男たちは、自らの息子の命と引き換えに金を掴んだ親たちに他ならないのだろう。
表向きだけを繕って、地位と金銭の関係だけを大切にする日本人には、とりわけ手痛い作品だろうと思う。
そして、いかなる時でもファイティングポーズを続ける強き誇り高き父親ジョーこそが、戦中戦後のアメリカそのものなのだろう。

ラッキーにも最前列の真ん中で観劇できて、役者から伝わる緊迫感と臨場感がものすごかった。
長塚京三の力を抜いた台詞は流暢で完璧、まるでジョーと一体化しているような迫力。ラストの顔を真っ赤にさせた表情と動作は、息を飲むほど圧巻だ。
麻美れいは品良く豊かで繊細な演技。朝海ひかるは可憐で華麗な美しさ。
お目当ての田島優成は、金髪や着こなしや振る舞いが立派な外人青年然w。明るく素直で爽やかな中、額の皺や目の表情がナイーブで、若かりしジェームズ・ディーンとも重なりそう。滑らかな台詞で好演したが、「ぶどう酒」と言い間違えたところが可愛かったw。
柄本佑を観るのは『僕たちは世界を変えることができない。』舞台挨拶以来。よく喋る風変わりでクセのある俳優だが、予想をイイ意味で裏切る表情やリアクションが面白かった。
D-BOYSの加治将樹は、星占いに凝る少々変わった幼馴染みのフランク役。戦後は妻と三人の子に囲まれて暮らす父親ぶりで、ある意味成功者といえようか。場をいっぺんで陽気にさせる痛快な存在で、加治くんらしさが出ていた。柄本くんとはNHK『ゲゲゲの女房』と共演し絡みもあったが、この舞台では絡みがなかったのが残念。
子役ダブルキャストで坂口湧久くん。『仮面ライダー電王 お宝DEエンド・パイレーツ』に出ていた子も、随分と逞しく成長していた。
新国立劇場の中劇場と小劇場の舞台を続けて観劇してきた。

アトリエ・ダンカンプロデュース ミュージカル『ア・ソング・フォー・ユー』を観てきた。

1974年のベトナム戦争中。横田基地の近くのライブハウスを舞台に、カーペンターズシンガーの女とカーペンターズ嫌いのロッカー男との不器用な愛と、彼らを取り巻く人々の姿を、カーペンターズ・メロディにのせて描くオリジナル・ミュージカル。

アメリカは戦争をしてるのに、奇妙に明るい「ラブ&ピース」の時代。
学生運動を通り越した日本は、アメリカに憧れながらも、独自の文化を模索する時代。
脚本の鈴木聡の思いや祈りが全編に散りばめられたお話で、台詞や言葉がストンと胸に飛び込んできた。
「幸せとは…居場所があること」人生で苦渋を舐めた孤独な者たちが、心を寄せ合う場所がライブハウスや仲間たちなのだろう。
なぜカーペンターズなんだ!?と問われ、学生運動を経験し、米軍兵士を相手に歌うSHOKOは「戦争反対の歌ではなく、戦争の反対側を歌いたかった」と答える。傷ついた人や幸せを求める人たちに向けたのがカーペンターズの曲なのだと。
それでも戦争は繰り返される。「意見が違っても、争っちゃいかん!」太平洋戦争も経験したであろう、上條恒彦演じるジョーの言葉が深く重く響く。
ハートウォーミングな装いの中、これはひとつの反戦をテーマにした作品だった。

既成の曲を使ったミュージカルは万人向けといえよう。前方を中心に手拍子も自然に沸いた。
カーペンターズ世代ではなく特に好きだったわけでもないが、どこかで聴いたメロディーは耳に溶け込み、思ったよりも馴染んでいたようだ。其々の曲に合わせて、当時の自分も思い出されるようだった。
「JOHNNY ANGEL」にことのほか懐かしさを覚えたが、数年前のDCさんのミュージカルで、天使の羽を付けた女性陣が唄っていたのがよほど印象強かったようだw。
唯一、原語で何とか歌えた「YESTERDAY ONCE MORE」は、残念ながらサビ以外は日本語で唄われてしまった。
凛と響き渡る「TOP OF THE WORLD」はカテコでも登場。みんなで楽しく原語で唄っていた。
でもカーペンターズの曲は踊りや動きが少ないせいか、どうしても歌い手の表情が正面だけに偏ってしまう。端ブロック席のほうまで、彼女たちの視線が伝わって来なかったのが切ない。
サンタ袋から紙飛行機を投げる時も真ん中ばかりで、こっち側には一つもこなかったな。

川平慈英は豪放かつ繊細な表情で、ポジティブでエネルギッシュな演技力。ロックサウンドな征司の姿に、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』がフラッシュバック。男前な羽場裕一とも雰囲気が似てる。征司の妹役の大和田美帆が可憐な明るさ。
春野寿美礼、松本紀保、吉沢梨絵が歌い上げるカーペンターズ・ソングがバラエティー豊か。
尾藤イサオと杜けやきが歌う、夫婦の絆を感じさせるメロディーのほうに感じるものがあった。尾藤イサオといえば「ジョー!」だがw、ジョーの上條恒彦のダンディな歌声が素敵。
D2の山口賢貴と上田悠介は、フラワーボーイズのトニー&テリー。当時の服装と鬘で着こなしているが、あの時代のドロ臭さがないw。肩を抱いたり手を繋いだりと、二人とも女性絡みの役どころが新鮮w。サンタ帽を落とした悠介くんに、拾った上條さんが被せようとした光景が微笑ましかった。

ダブルカテコではバンドメンバー5人も出てきてラインナップ。
川平さんと春野さんの締めで楽しく閉幕した。

アフター・ステージトーク・フォー・ユー。
ゲストに保坂知寿を迎え、出演者の吉沢梨絵が登場。
劇団四季の思い出や、『マンマ・ミーア』共演について、双方に抱いている思いなどを語り合った。
保坂さんはどうやら私と同年代w。カーペンターズの曲について、その頃の自分が一気にフラッシュバックしたとか、感じた思いは私と同じだったようだ。思い入れのある曲も「JOHNNY ANGEL」で、吉沢さんも歌うにつれてやっと思い入れの曲になったとか。吉沢さんはホントに小柄だけどエネルギッシュな人だと思った。
告知では、保坂さんが来年4月の『道化の瞳』に出演。小西遼生さんも出演予定なので、たぶん観ると思う。

舞台トークショーゲストも最近はギリギリで決まるので、先にチケットを取ってると悔やまれる。
昼に『みんな我が子』夜に『ア・ソング・フォー・ユー』を観劇していたら、お目当てさんも拝めたのだが仕方ない。
舞台『真田十勇士~ボクらが守りたかったもの~』を観てきた。

入場プレゼントで入浴剤など。
チケットに付いてた特製グッズはトートバッグなど。
チラシが2種類で、衣装をつけたキャスト編をギリギリで間に合わせた感じ。先の『三ツ星キッチン』といい、チラシに随分お金がかかっている。
中ブロックでかなり観易い席だが、周りに関係者も多く空席も多い。キャパが広すぎたようだ。

非道な手で天下を取ろうとする徳川家康を倒すため、真田幸村のもとに集まった猿飛佐助を始めとする十勇士が、命をかけて大切なものを守ろうと、壮絶な戦いを繰り広げる物語。
映像やアニメで見知っていて、朧に名前を覚えていた真田の「十勇士」たち。
舞台上に新たに“ヒーロー”として蘇り、“悲劇の美学”として若者たちの生き様を鮮やかに見せてくれた。

どの人物も生き生きと個性的で、其々に様々な過去や繋がりを持っていて興味深い。『SAMURAI7』を思わせるようなエピソードもあり、打倒徳川を目指す彼らの復讐や信念は何かしら共鳴させるものがある。
衣装やメイクのセンスがお洒落で凝っている。真田の“赤”、徳川の“青”がモチーフで入っていて分りやすい。かなりお金がかかっていると思う。
見どころは軽快でスピーディーな殺陣とアクション。基本の忍者な構えや二刀流に、長刀や棒術、アクロバットなど、本格的に楽しませてくれる。
加えて、映像によるドラマチックな構成も素晴らしい。忍術による瞬間移動や金縛りなど、舞台上ではこうなるんだなと想像力を刺激させる。

脚本の小野真一は、劇団ヘロヘロQでもお馴染みの作家さん。ヘロQさんでこの話をやったら、どんな風になるのだろう。
脚色と演出を担当した岡本貴也は、『タンブリング』など若者たちを描く舞台で力を発揮。今回もキャストの持ち味を充分に生かしたようだ。

激しくも冷静で人情深く本音まっしぐらに生きる猿飛佐助を、稲葉友が熱演。軽妙なアクションも冴え、構えなどがとても格好良い。はきはきした芝居も好感がもて、座長としての存在感を示していた。
ロックミュージカル『BLEACH』では堂々たる座長だった伊阪達也が、装いも新たに軍師の穴山小介として好演。落ち着いた芝居を見せて、成長ぶりを際立たせている。
三好入道晴海と三好入道伊三には、斉藤祥太と斉藤慶太。双子として似てはいないが、仲良き兄弟としてのシンクロ率が高く、ムードメーカーとして楽しませた。
森大が、発明家の海野小平太として味わい深い芝居。鬼束動歩も、鉄砲の筧十蔵として要所を押さえる。
劇団EXILEから二人。秋山真太郎の霧隠才蔵は、前半はニヒル後半は人間味が滲む。根津甚八の小澤雄太が明るくお喋り。
特筆すべきは、吉田友一の服部半蔵。長身が映え、殺陣の量が多く出番も予想以上にに多かった。圧倒的な強さを示し、冷酷非情な男として十勇士を翻弄させるが、ラストで見せた狂人ぶりは吉田くんの持ち味だろうか。
紅一点の新垣里沙(モーニング娘。)が、芝居に殺陣にと大活躍。思った以上の出来ばえで、真剣味が感じられた。
真田幸村の忍成修吾が渋くてハンサム、義理人情に熱く愛すべき男を演じきる。徳川家康の下村尊則は狂人めいた凄みで圧倒させた。
たくさんのアンサンブル・キャストなど、マンパワーが時代劇の醍醐味を提供し支えていた。
豊臣方の声出演で、宮野真守、内田直哉、堀内賢雄、木下紗華。賢雄さんは先日のイベントでお会いしたし、宮野さんと内田さんは映画出演をされてたし、無機質な映像の顔と本人を重ねながら聴いていたw。

見応えのある時代劇であったが、やはりキャストの知名度や宣伝が足りなかったのだろうか。
もう少し練り直して、また再演を望みたい。

カテコは2回。笑顔を見せた稲葉くんや吉田くんが可愛かった。
アフタートークがあることを初めて知ったが、時間がなくて参加せず劇場を出た。
新宿までの道のりは遠い^^;。
三ツ星キッチン『EAST SIDE STORY』を観てきた。

オリジナル・ミュージカルを創り続けるという「三ツ星キッチン」。
私はお初だが、客層が自分の年齢に近いみたいw。
開演前にメンバーによる前説や恒例の撮影タイムがあるところは、30-DELUXのノリに近いかな。
今回、三ツ星キッチンの新たなるステージ「MKDF」(三ツ星キッチン・ドリーム・ファクトリー)が始動。豪華客演を迎えての、お祭りのような大きなプロジェクトである。

現代の新宿が舞台。「EDGE」と「VAGUS」という2つのグループがダンスと表現力で争っていたが、双方の若い男女が偶然に出会い、たった1秒で恋に落ちる。だが互いの父親には因縁があり、其々の友人にも因縁があった。

タイトル通り、『WEST SIDE STORY』のパロ。東京が舞台なので「EAST」。
現代の若者たちの生き方を描くが、かつて若者だった親世代の話も盛り込んで、厚味のあるストーリーになっていた。
「WEST」のトニーにあたるのがKENN。アニメーターになりたいオタクで金持ち息子という設定。
マリアにあたるのが佐藤美貴。誰からも愛されるしっかり者な娘という感じかな。二人が演じる潤と鮎の恋物語は障害が多いけど、誠実でひたむきな思いがみずみずしい。「トゥナイト」ならぬ、デュエットでは伸びやかで柔らかな歌声が綺麗に合わさっていく。思ったよりもKENNや美貴さんの出番が多く、ラブシーンもたっぷり。それにしても美貴さんは足が細いなぁ。

二手に分かれた客演のダンスチーム。
渡辺大輔ことアツシが率いる「EDGE」と、寿里こと健が率いる「VAGUS」。KENNが親友の大輔を「あっちゃん」と呼ぶところが好き。寿里は「ジーザス」とも呼ばれていて、『bambino』のザウルスってあだ名を思い出したw。
加藤良輔や大山真志ら客演と三ツ星メンバーがチームに加わり、激しくクールなダンスを披露。左右の花道の前まで来て踊ってくれるので、結構間近で拝めて臨場感たっぷり。殆どのキャストが揃ってステージに立つと、かなり狭さが感じられて迫力いっぱい。
でも見知った客演の顔ぶれは分るが、どこからが三ツ星メンバーなのかさっぱり判別できず。男女ともに人数が多く、女性陣は皆同じ雰囲気に見えちゃう。皆さんおおむね歌もダンスも上手いこと。

三ツ星でお馴染みの人気キャラなのか、「安男」さんが要所要所で登場。その場をかっさらっていき、笑いや拍手も起きる。時に女だったり?男だったり?と強烈な個性のキモキャラで、最初のうちは呆気に取られたりw。
これは高田安男さんが演じてるのかな?
脚本・演出は上條恒、構成は伊藤俊彦、音楽はKAZZ。もちろん3人とも出演。上條さん演じる武骨な父親ぶりが頼もしい。
客演の宮川浩が演じる頑固な父親も印象的で、KENNとの親子関係もいい雰囲気だった。
寿ひずるがゴールドな姉御肌で存在感バッチリ。香子の颯爽とした様子もキュートだ。

三ツ星ならではの生演奏が素晴らしい。ステージ中央に設置されたバンドが、場面によって前後に動いたりと、舞台そのものの要になっている。
バックの映像も見どころだ。柔らかい風景やパワフルな映像を巧みに組み合わせ、歌の世界観を明瞭に伝えてくれる。潤と鮎が歌う場面のアニメが可愛かったが、これは宮川さんが描いたというからビックリ。潤の父のほうが実はアニメーター志望だったのだw。

ロミジュリやWSSと同様、『ESS』でも犠牲者が出たのが残念だ。正直、刃物の出番は怖くて見たくなかった。
最も哀しく残酷な出来事に対して、復讐という形で性急に動く若者たち。対して大人たちの動きは緩慢でイライラヤキモキ、せっかくの切ない流れがコントや祭りで止まってしまう。しかも罪を犯した者がどうなったのか最後まであやふやなまま。何だか嫌な後味だけが残ってしまった。
芝居や音楽や歌はよかったのに、物語性が中途半端なのはいただけない。こういうやり方が三ツ星の持ち味だとしたら、私には合わないかもしれない。

カーテンコールはタオル回し。事前にメンバーから、しつこくタオル販売宣伝があったが、これとて手持ちのタオルでも可にしてくれるような広い心が欲しかった。
キャストが前まで来てタオルを楽しそうに振り回す様子を観れたが、実際客席で振る人は多くはなかった。

『ESS』のアフターライブが1月に六本木で開催。抽選で各回限定100名。出演キャストはこれから。
アンケ裏の申し込みフォームに一応書いておいたが、アンケ回収が幕間とは早すぎw。
ミュージカル『ダンス・オブ・ヴァンパイア』を観てきた。

弁当土産特典付きの優待チケット。
帝劇100周年の最後を飾るのが、この作品になるとはちと興ざめ。
2006年に一度観た舞台だが、新キャストを迎えての帝劇再々演である。
『レ・ミゼ』等で少しは役者を見知ってきたので、5年前よりは幾分楽しめそうな気もした。

極寒のトランシルヴァニア。ヴァンパイア研究の教授と頼りなげな助手が、宿屋の家族と関わりながら、ヴァンパイアのクロロック伯爵たちの欲望に立ち向かおうとする話。
ロマン・ポランスキー監督の作品を舞台化した、ウィーン初のネオゴシックミュージカル。
客席通路をフルに使った演出で、最後はお客も一緒に歌って踊る、舞台と客席が一体となる公演がウリだ。

演出は初演からの山田和也。妖艶で幻想的な世界観だが、あくまでも明るく活動的なコメディー・タッチ路線。キャストの魅力やアドリブもあって、前に観た時よりもトボけた味わいが多くなったようだ。
初演と同じく上島雪夫の振付で、激しくも軽やかでリズミカル、どこか『テニミュ』が浮かぶような熱気があふれる。ことにアンサンブルのしなやかでパワフルなダンスが見どころ。
ミュージカルナンバーもほぼ変わらず。ガーリックを下げた村人たちが逞しく騒ぐ「ニンニク」、サラたちが軽やかに歌う「外は自由」、教授の信念が篭る「本だ!」が印象に残った。

クロロック伯爵の山口祐一郎は、幅広いキーのセクシーな歌声は圧巻。翼は前よりも大きくなった感じで、より楽しそうな雰囲気だ。
石川禅のアプロンシウス教授は初見だが、エキセントリックで味わい深く、溌剌とした厳しさがあっていい。
シャガールのコング桑田は、イヤらしいオヤジっぷり。マグダのJenniferは色っぽすぎる。
クコールの駒田一、レベッカの阿知波悟美は初演から続投。クコールはいっそうお客様と馴染んでいたw。

サラの知念里奈は、表情や身体がキュートで色気たっぷり。特に肌が白くなめらかで美しいこと。あれでは伯爵も襲いたくなるw。のびやかで可憐な歌声と綺麗なバレエをふんだんに披露し、とても惹き付けられた。
アルフレートの浦井健治は初演からの参加で、臆病で危うげなキャラを余裕のある芝居で見せる。知念さんとのデュエットも綺麗に決まった。
Wキャストの高橋愛と山崎育三郎は今回からの参加だが、どのようなキャラ作りなのだろう。
特筆すべきは、ヘルベルトの馬場徹。メイクも決まって美しいが、アルフレートを襲うゲイっぷりが愉快。『幕末純情伝』では赤いブラを披露したが、今回は黒いシュミーズ姿でクネる様子が楽しそう(笑)。ハケる時の尻出しもたまらんw。

自由と快楽を求めて、自ら伯爵のもとへやってきたサラ。
伯爵の腕に抱かれたサラの表情には、陶酔感と恍惚感があった。知念さんが実に上手い。
この世界で、「噛む」と「噛まれる」は、セックスと同じなのだ。
人類の英知VS.ヴァンパイアの欲望ではなく、ヴァンパイアと人間の戯れという曖昧な構図。
キャラクターの造形は面白いが、キャラやストーリーそのものは面白いわけではない。
歌やダンスに時に酔いしれるも、キバではなく眠気のほうがふっと襲ってくるような舞台であったw。

クコールの駒田さんから、震災の募金箱の告知もあり。
カーテンコールは、いっせいにスタオベと手拍子。「ストリート・オブ・ファイア」の曲に合わせて、振付を見よう見まねで一緒に踊る。前の時は冷めていたが、今回は体を動かして楽しむようにした。ノったもん勝ちの舞台か。
欲望がテーマのこの舞台。「ヴァンパイア みんなでなれば こわくない」に尽きるだろう。

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