トライフルエンターテインメントプロデュース『Panelist Drive』を観てきた。

2009年の『真夏論』、2011年の『KEEP OUT!』に続く第3弾。
佐野瑞樹、川本成、湯澤幸一郎がまたまた集結。
今回は町田慎吾を加えた布陣だが、チケットが取り難かったのは、ジャニーズの先行でもあったのか? 結局、一般で取って後方席。

幼馴染の女性の難病を治すため、新薬開発のためお金が必要な兄と、海外手術でお金が必要な弟が、1億円の賞金が手に入るクイズ番組に参加。果たして、クイズに勝利して賞金を手に入れられるのは?

前半1時間は、なぜ大金が必要なのかを、優秀な研究員の兄と何のとりえもない弟を比較させながら、彼らの切実な思いに言及。ただ、その説得性や布石が弱くて感情移入がしづらい。番組スポンサー側が彼らを選ぶ理由も曖昧でこじつけ感がある。
後半1時間にして、ようやくクイズ番組。たぶん、賞金が欲しい理由はお涙があれば何でもいいのだろう。美術セットをスタッフがいっせいに動かして転換させていくところは見事。「いっせえの!」な掛け声もナマナマしくて可笑しい。その間、追加キャストの福澤重文がフロアディレクター役で会場を何とか盛り上げる。着替えてきたキャストが再び登場。
番組は一応ナマ放送中なのに、スポンサー@湯澤さんの道楽ぶりの暴言や、調子のイイ司会者@川本さんの進行で、結構やりたい放題。

新しい形の観客参加型のステージなのだろう。ただし、抽選で選ばれてクイズに参加できるお客さん1人以外は、みんな観覧席要員。練習もあり、番組中もたえず拍手を要求される。だんだんウザくなってしなかったけど。
そもそも、クイズ番組でカブらせたこの舞台自体が大いなるヤラセ。出演者も答えを知らない真剣勝負のクイズだというのもアヤしいw。参加したお客さんには途中でクイズの答えを全部教えるし、点数もいかようにも左右されるし、答える順番も途中で変えるし、どこまでがガチンコでどこまでがマユツバなのか分かりやしない。予め、明示された答えを暗記するのも俳優なら得意だろう。
ガチンコなら、役と同じく、佐野さんはなかなか頭がキレるが、町田さんは頭がワル過ぎだろうw。1から4ステージ&ファイナルまであり、CMが入る度に天に扇ぐ兄と祈り続ける弟を演じるのもクサい。お客さんのジョーカーが、ニコニコしてるのが面白いアクセントになっていた。
「カ」が「ガガ」に負けたような結末で、易しい問題に呆然。あまりに容易く手に入る1億円だったw。

ウリのマルチエンディングは、どちらに転んでも、兄の先輩の研究員(郷本直也)か、弟の同僚の金持ち(田中康寛)が関わってくるのだろう。ジョーカーが仮に勝った場合は、女性の友人が関わってきそうだ。郷本さんや田中さんはED要員なので、ジョーカーよりも出番が少なかったかも^^;。
CM前に流れる「パネリスト・ドライブ」のチェンジャーボイスは郷本さんに聞こえた。

目新しさでそこそこ面白味はあったが、ヤラセを逆手にとった設定で、あまりノれない舞台であった。
舞台『遙かなる時空の中で2』再演を観てきた。

昨年、好評を博した『遙か2』を、キャストを一部替えての再演。
ファンの期待が集まったロビーの花壇が、とても華やかで美しく一見の価値あり。

『遙か1』から100年後の京が舞台。
異世界・京に召還された少女・花梨が出会ったのは、帝側と院側に分かれて対立していた八葉たち。怨霊がはびこる末法の世で、破滅へと向かう人々と京を救うため、龍神の神子となった花梨と八葉が力を合わせて、“鬼”と黒幕に立ち向かう。

初演と大まかなストーリーは同じ。よく練られた山田由香の脚本はじわじわと心をうつ。
花道をふんだんに使い、アクションも活発。スピーディーでテンポいいキタムラトシヒロの演出が冴える。
ネタやギャグのコミカル部分はちょこちょこと変更。キャストのアドリブも快調だ。

見どころのひとつは、『遙か1』から返り咲いたキャスト、成松慶彦の源頼忠と八戸亮の安部泰継だろう。
ナリさんの殺陣はやや大振りだが、安定感のある芝居でよく馴染み和ませる。
加藤良輔の泰継も悪くはなかったが、ハッチの泰継のほうがやはりピッタリきて心地良い!(*^。^*) 泰継がもつクールでエキセントリックな魅力、アクションやスマート感、石田さんに似た声音、どれもドキドキ感に包まれるv。先代・安部泰明にも言及する展開なので、邪香妃たちの「顔が同じ」にも納得感w。

その分、今回から初参加の土井一海の平勝真はまだ不安定な面もあり。初見の土井くんは遙かがあるので、メンタメの少年ハリウッドに出れなかったのか。見た目や雰囲気はいいのだが、台詞や動きの力強さや逞しさがもっと出ればいいなと思う。楽にはもっと進化してくるだろう。
他は前回キャストと同じ。中島愛里の藤原紫が、前より語気が強く聞こえたが、演出上なのだろうか。愛里さんは『青の祓魔師』のしえみといい、しっかりした芝居がいい。
平田薫の高倉花梨は、愛らしく凛としていて、芝居が随分こなれて成長が見られた。夏の映画『るろうに剣心』でも注目したい。

今回の再演でオリジナルキャラとお別れの真山奈緒と中村英司が、ストーリーテラーと共に、笑いをとって盛り上げる。
惨魏によって、マック店員となった泰継さんw。邪香妃とのアイスネタはそのままのパピコ。泰継の胸ポケットはあれこれ入って、まるでドラえもんか!?
京の人間ではないけど「京の人たちが苦しむ顔をもう見たくない!」。花梨の決意が初演の時よりも伝わった。
モチーフの紅葉から、一転、桜へ。美術セットも綺麗。戦闘中の音楽や照明も抜群。

マルチエンディングは、安部泰継と源泉水。ひとりじゃなくセットかw。
タイミングは、イサト&彰紋に泉水がきて、三人で白い布を振って踊る。
カテコは、四神ごとに仕込み。泰継をバチバチぶつ泉水、幸鷹にナイフを向ける翡翠、勝真を抱っこの頼忠など。
ロシアンスポットは、彰紋の植田圭輔。よく喋り、トークは面白いものが見れるとハードルを自ら上げるw。


10分後にミニトークショー。天の声はキタムラ氏。
左から、黒須あゆみ、小野麻亜矢、JIN、植田圭輔、土井一海、八戸亮、中村英司、能登有沙。のっちがMC。
他キャストはテキトーに入場して、ステージ後ろへ思い思いに座るが、ガヤを入れたりムービー撮ったりとフリーダム過ぎるw。団扇で仰いでた汐崎アイルのお館様は、まあやさんの時にもウハウハw。

「今回戻ってきて嬉しい」と言うハッチは、また惨魏が配下だと笑う。まあやさんも「ついつい泰明って呼んじゃう」とニッコリ。
初登場のカズミンは「カンパニーのチームワークがイイです」と満足気。
稽古中のエピソードで、まあやさん考案の「体内クレンジング」の話。英司さん、薫さんに伝わったが、その間、圭輔&泰一郎(スタジオライフ仲間だ!)はパスタを食ってたとかで「ワイルドだろ~」w。

感謝祭の宣伝で、恒例の“方言遙か”もあるかもと。本日夜公演はいつもとバージョンが違って、どこかのシーンの演出を変えているとキタムラ氏。
遙か2はお祭り的公演だと、みんな楽しそうにトークを繰り広げた。
最後はハッチの声で締め。全力で楽しくやり抜きたいと意気込みを述べた。

遙かはいつも2公演観劇。次は千秋楽。
シス・カンパニー公演 朗読『宮沢賢治が伝えること』の2回目を聞いてきた。

今回のトリオは、鈴木京香、堤真一、風間壮夫。
チケットが取り難かった公演のひとつで、後からその理由を知ったw。つい先日まで『シダの群れ』で共演してたお二方が朗読で顔を合わせるのも興味津々。京香さんを拝見するのは昨年の『たいこどんどん』以来かな。

映像に小さな文字も多いので、オペラグラスも使用。
共通した朗読演目と同じに、出演者の服装もある程度決められているのか。杏さんと同じく京香さんも白地のブラウスで、堤さんも黄色地のシャツだった。風間さんは上品なモスグリーン。
だが同じ演目なのに、土曜日とは雰囲気が全然違っていて、キャストの様々な面が垣間見えて興味深かった。

「注文の多い料理店」は、青年二人がとにかく仲良さげで楽しそう。シダを引き摺ってるのかw、堤さんが笑いながら投げれば風間さんも愛想よく返し、テンポいいやり取りが可笑しくて、客席からも笑いがこぼれる。二人の掛け合いに釣られて、京香さんのナレーションの声もやや明るめ。土曜日に聴いたような、おどろおどろした感じがあまりしなくて、いつの間にか終わっていたw。

「よだかの星」は、殆どが堤さん&京香さんパート。堤さんのナレーションは、言葉一つ一つを味わうようなテンポで聴き取り易い。京香さんのよだかは、声音をあまり変えず淡々と紡いでいく感じで、すっと耳に溶け込む。二人の穏やかなハーモニーが物語をじっくりと奏でていくようだ。途中、よだかの弟で登場した風間さんの声が若々しい調子で、まだこんな声も出せるんだと新たな発見もさせた。

風間さんの「春と修羅」は、張りのある声が漢詩を凛々しく詠んでいるような雰囲気。
「永訣の朝」の京香さんは、何と静かで慈愛に満ちた声で読むのだろう。杏さんが感情的だったのに比べ、京香さんは母性的だ。途中で立ち上がるのは演出上のことだと分かったが、表情を崩さずゆっくりと立ち、最後まで声音を荒げず柔らかく言葉を紡いでいった。どちらがいいというわけでもないが、同じ鈴木さんでこうも朗読の色が違うのも面白い。
「雨ニモマケズ」の堤さんは、大地に根をはったような揺るがぬ意思が感じられて力強い。最後のフレーズで顔を上げた、堤さんの表情が愛らしいこと。
短歌の「なつかしき/地球はいずこ」には思い入れがある風の堤さんは、じっくりと声を響かせた。

「ポラーノの広場より」は、堤さん→風間さん→京香さんのキャッチボール。声が言葉が、弾んでいくような躍動感があった。
「報告」は三人が同じフレーズを順繰りに読む。雰囲気は違っているハズだが、何故か三人とも息がぴったり合っているように聞こえた。

堤さんも風間さんも朗読中は足を組んでいて、堤さんが右足上で風間さんが左足上、対照的なのが面白い。堤さんはそこかしこで表情が豊かで楽しませる。風間さんはあまり崩さず味わい深いオーラを纏う。京香さんは楚々とした柔軟な空気に包まれていた。
終わってみると、誰も最後までつっかえもせずパーフェクトな出来。さすがだと感心させた。
拍手が鳴り止まない中、アナウンスが入ってカテコはなし。妙にあっさりして物足りなさもあったが、抜群の組み合わせに違いない。

この朗読シリーズ。やはり違うキャストで2回以上観て聴いたほうが、より味わい深く楽しめたのだろう。
青山円劇カウンシル#5~true~『リリオム』を観てきた。

円形劇場×演劇をプロデュースする「青山円劇カウンシル」の第5弾。
第1弾の『ウラノス』を観て以来4年ぶりのシリーズだ。
今回は舞台初主演の池松壮亮はじめ、個性的なキャストが集結している。

札つきのワルでろくでなしのリリオムは、妻のユリにも暴言をはき1回だけ暴力をふるってしまう。ユリの妊娠を機に、相棒と強盗を働こうとするも警察に捕まったリリオムは、自らの命を絶ってしまうが…。
ハンガリーの劇作家モルナール・フェレンツによる100年以上前の戯曲で、何度か舞台化や映像化をされたという。

回転木馬がモチーフか。舞台上に置かれた円形の台がぐるぐると周り、出口のない世界観が紡がれる。殺風景なセットが、暗転の度に物が配置されては消えて、ラストは花やテーブルで急に華やぐ。
酒瓶やスープの液体、洗濯物やナイフなど、細部に練りこまれた小物が生活感を漂わせる。

粗暴で高慢なリリオム。一緒にいても不安と心配にさいなまれるユリ。仕事と金でリリオムをつなぎ止めようとするムシュカート。思いを素直に伝えられない不器用な者たちと、彼らを見守るも俯瞰する周りの者たち。
どの登場人物にも感情移入できず、苛立ちと憤りが広がる前半部分であった。
中盤で主人公が突然亡くなってしまう展開に、原作未読の私は少々面食らう。

物語の真骨頂は後半に集結する。長い年月を焼かれたリリオムは1回だけ家族と会える機会を得るが、成長した娘にも不器用にふるまってしまう。
だが、その瞬間こそが家族にとって唯一の団欒であったのだろう。リリオムにとって、贖罪と救いの場でもあったのだろう。“生”の息づかいが繋がれた時、切ない安らぎに包まれるようだった。

池松壮亮は25歳のリリオムを、男っぽく荒々しく演じる。のびのびした身体能力を見せる狂気乱舞ぶりがキュート。美波は楚々とした深みのある表情が美しい。
二人ともメリハリある演技だが、円形劇場を念頭に入れない発声なのか、小さな声や言葉が聞き取れなかった。言葉が耳に入ってこないと、場への興味が薄れてウトウトしそうになる^^;。
カツ舌優れた演技派の銀粉蝶と、基礎が作られた可憐な武田杏香が素晴らしい。二人のおかげで眠らなくて済んだ舞台だ。

来月の円形劇場は、回転木馬ならぬ観覧車だ。
シス・カンパニー公演 朗読『宮沢賢治が伝えること』を聞いてきた。

未曾有の大震災から1年。
“鎮魂と復興協力への新たな思い”を、宮沢賢治の言葉に託す朗読プロジェクトというのが主催者側の意図らしい。“言葉”の世界に携わる38名の舞台人の組み合わせで、5月9日から6月3日まで計42公演。

基本、朗読は自分の興味のある人の声を聞くものがベストだと思っているので、日時の都合も含めて2公演のみチョイスした。
今回のトリオは、鈴木杏、松坂桃李、段田安則。桃李くんと段田さんは何度か共演してるが、杏さんが出るのはこの回のみである。

朗読演目は共通しており、10編ほどの長短編と短歌、そして「星めぐりの歌」だ。
栗山民也は、宮沢賢治の言葉を“生命”と繋げ、大地や宇宙へと創造させる演出。中村友子のマリンバ演奏が、美しくも透き通った世界観を紡ぎだす。縦長の映像の字幕が小さく読みにくいが、賢治の生誕から永眠まで文字にして映す。朗読演目のタイトルもアップされる。
たくさんの本が積まれた長机に、3人はやや向かい合って座り、思い思いな姿勢で読み進めていく。

声優のドラマCDで既にお馴染みの「注文の多い料理店」、昔教科書で読んだ「よだかの星」、「永訣の朝」「雨ニモマケズ」「ポラーノの広場より」が印象深かった。
短歌は3人が別々のものを読むが、長編ものは3人がドラマ仕立てで進行。セリフ部分は得意分野だろうが、ナレーションが重要な役割で、これが明瞭に聞くほうに伝わらないと物語のテイストが薄れてしまう。

桃李くんの朗読を聴くのは初めてだ。「注文」では野太い声でコミカルに台詞を発して役作り。「よだか」では長いナレーションが続き、末尾の声が沈んでやや聞き取り難い。声もいいし誠実な雰囲気なので良いが、もっと腹から声を出して貰いたい。「雨ニモ」はひとりでの朗読だが、馴染んだ詩なのか、声に力が入って芯の強さが現れて一番良い出来だった。

杏さんは演技経験が豊富なためか、やはり発声がキビキビして耳に心地よい。「注文」のナレーションはたおやかに読み、一転「よだか」では男の子らしい逞しさを表現し、声優としても幅広い芝居を発揮。賢治が妹をうたった「永訣の朝」では、自分の妹のことも思い出されたのか、気持ちを込めるあまり立ち上がるほどの迫真の声で、表情にも哀しみが宿っていた。杏さんらしい生々しい言葉と力量に胸を打たれた。

段田さんはさすがに存分の経験者。まろやかでクールな声と表情で、聞く方に伝わりやすい言葉と調子で、実に朗読らしい朗読の本髄を見せてくれる。桃李くんとの掛け合い、杏さんとの掛け合いも自然で良かった。

最後の「報告」は同じフレーズを三者三様で喋るが、桃李くんが感情的に、杏さんが凛とした感じで、段田さんが淡々と発し、全く趣が違うのが面白かった。
3人の個性と経験がステキな化学反応をおこしてくれたかもしれない。段田さんとは今度は『温室』で再見。

チケット代から上演は90分位なのかと思ったら1時間! 演目的にもちょっと物足りないだろうか。
30日は堤さんが桃李くんのパートかな。また違った趣に期待したい。
舞台『ロミオ&ジュリエット』の2回目を観てきた。

初見ほどの大きな興奮はない。驚くほどに俯瞰的に観てしまう。
演劇の醍醐味かもしれないが、逆にいえば、作品の世界観にのめり込めないのだ。だから、ジンとくる切なさや面白味は感じにくい。何か舞台と客席との間に壁があるようにも思う。
昨年のミュージカル版では、それを取り払ったのが歌やダンス。テーマ曲のひとつ「世界の王」といい、作品のムードにどっぷりと浸れたものだ。
シェイスクスピアの言葉を味わう妙はあれど、ストレート芝居の平坦さを知ることとなった。

東京千秋楽を前に疲れが出たのか、佐藤健の台詞はややキレがなく、何箇所か聞き取り難い部分があった。
ベンヴォーリオの尾上寛之は、見た目がハデじゃないせいか、存在感がおとなしく頼りない。モンタギューの4人が仮面をカブって踊る場面は、ベンヴォーリオが一番慣れてない感があった。

仮面舞踏会の仮面は、稽古中の写真では普通の白いものなのに、本番ではなぜ“鬼”の仮面なのだろう? 鬼の上部分を模したヴィジュアルなので、健が被ると、モモタロス・ハーフを被った良太郎を思わず連想してしまいそうだw。バックの大きな“鬼”も怒ったモモに見えるw。ジュリエットが背に白い羽だから、ジークを模したようにも見えてねw。

若者たちの関係はやはり大雑把に見える。両家に確執があるのは置いといて、前フリがないままで、ティボルトがなぜあんなにロミオを憎み「アクマ」とまで罵るのか、どうしても理解できない。ジュリエットとティボルトの絡みもないので、彼女がティボルトにどんな思いを抱いていたのかさえ分からない。ロミオとベンヴォーリオの友情も薄っぺらく見えた。若者たちに仲間同士の信頼関係が伝わってこないのだ。
この舞台のジュリエットは情熱的で実に現代っ子。でも自分の娘を「我がまま」で「できそこない」と言い放つ父親は何と残酷な男だろう。この作品で一番の悪役となったのが、このキャピュレットだったんだろうと思う。人間の業を生々しく演じた長谷川初範さんはさすがの演技派だろう。

白っぽい衣装が、腹からの血をより鮮明に映していた。霊廟の暗さからか、黒い服装の彼からは血が見えなかったが、流していたのだろうか。
みんなよくナイフを持っているが、護身用としても多すぎてデンジャラス。しかも性急にすぐナイフを振り出して向かって来るのだからたまらない。ヴェローナはイカれてる街としか思えない^^;。

カテコ1回目の時、橋本さとしとキムラ緑子が手を繋いで出てきて、ロミジュリよりもアツアツな感じw。
2回目には前方スタオベ、3回目でも全体的にスタオベは多くなかった。前方に笑顔で手を振っていた健くんとさとみさん。最後に両脇に立って爽やかに座長の締めを務めていた。

本場だけでなく宝塚でも『ロミオ&ジュリエット』上演。
でもロミジュリはそろそろ飽きてきた^^;。
舞台『シダの群れ 純情巡礼編』の二回目を観てきた。

ハジキの音が鳴るタイミングも掴んだし、思ったよりもドギマギせずに冷静に観られた。
でもこういう任侠ものは、映画やテレビでやったほうがいいんじゃないかと思う。役者を間近で拝める楽しさはあるが、舞台でわざわざやる作品ではないような気もする。
村治佳織のギター生演奏を耳にする価値はあるだろう。

先ほど観た映画『ダーク・シャドウ』と似た様相だなと思った。
ネタ的にクスリとさせる箇所はあるが、特に面白いというわけでもない。愛憎の深さや絆の重さもストレートには伝わらず、感動させる程のイイ話でもない。登場人物はみんな何かに流されているような曖昧さがあり、生き生きとした活力がない。
それが作者の狙いでもあるのだろうが、中途半端で微妙なテイスト、観た後もスッキリしない苦味が残った。

私にとっては、映像などで活躍中の俳優を観ることが目的。
“イタリアの干物女”の映画予告で見たばかりの松雪泰子は、スレンダーな体と足元ばかりに注目。小池徹平は頑張っているが、台詞がたまに聞き取り難い。太賀のほうがしっかりした芝居をする。倉科カナのフワリとした衣装は好みだが、彼女の印象は前半と後半でガラリと変わる。
荒川良々が演じる役者は、なぜ“片目忍”という芸名なんだろうか。清水優がイケメンで、役者のマネが似ていたw。
風間壮夫はシリアスとコミカルのメリハリある芝居が素晴らしく、抜群の存在感に圧倒される。
“カミオ”とか“タカヒロ”とか、舞台に登場しない人物の名が頻繁に飛び交うので、彼らのビジュアルは想像するしかないのが辛い。

「教会に行くの」と弾んでた看護婦は、水野と待ち合わせしていたのだろうか。水野は彼女に自分を発見して貰いたいと願ったのだろうか。
「俺は利用されてなんかいねえ!」と叫んだ堤真一の声が幼い感じに思えた。40代なのに二十歳の若者にも見える役者は、堤さんぐらいかもしれないw。実際、坂本は周りの人に思いっきり利用されていたんだが、自分で認めたくない男の弱さや未熟さがある。結局、坂本は何もかも失ってしまったんだろう。

前方通路側席なので、表情や僅かな動きが目に入る上、役者の通りがあって実に美味しかった。矢嶋組のヤクザ三人が通った時はちょい緊張してしまったが、吉崎が走り込んで来た時は臨場感を伴った。
堤さんは舞台前に寄った芝居も何度かあり、声が溶け込み目線が流れてときめく。客席降りの堤さんが隣を通った時はドキドキしたv。

カテコは3回。3回目にしてようやく笑みがこぼれた堤さんたち。お隣の風間さんと目を合わせて微笑み、姿勢よくお辞儀をしていた。
通路を挟んだブロックの後方で、男性の咳がわざとらしくて煩かった。どんな人かと思ったら、ハデなシャツを着た強面の中年で、本物のヤーさんに見えたw。

30日は堤さん&風間さん&京香さんによる宮沢賢治の朗読があり。
1ヶ月に3回も堤さん(&風間さん)を拝めるのは嬉しいかぎりv。
舞台『燕のいる駅』を観てきた。
Cucumber+三鷹市芸術文化センターPresents 土田英生セレクション vol.2。
三鷹の駅から歩くと、とっても遠い劇場だった。

燕が巣をつくる、一昔前のローカル駅が舞台。突然、町中から人が消え、駅に残った人々は列車を待つために、穏やかな時間をひたすら過ごす。やがて、見上げる空の雲がどんどん大きく近づいてくる。

土田英生の『その鉄塔に男たちはいるという』みたいな作風で、昨年観た『バッド・アフタヌーン』(演出)のような雰囲気でもあった。
穏やかな中の不気味さ、日常と背中合わせの恐怖、ゆるい会話と悲壮な緊張感。言葉が目や耳をチクリと刺激し、わざとらしく嘘めいた会話がまざまざと想像させる。観終わった後もずっしりと残る重苦しさと余韻。
こういう作品は、観るほうの人を選ぶと思う。残念ながら私は苦手な口だが、日常と近未来を重ねてあれこれと考えさせ、後味の悪さと切なさが襲ってくるように感じた。

土田氏が15年前に書かれた作品で、今回、自ら演出するにあたり、“震災後”の状況を踏まえて、大幅に書き換えての上演という。
人っ子ひとりいない普通の町並み。広がる巨大な黒い雲。外人排斥と差別。作品の架空世界に、現実がどんどん重なってくる。じわじわと近づく“死”を知らずに過ごす、“終末”の恐ろしさがそこにあった。

主演は誰なんだろうと思ったら、酒井美紀と久ヶ沢徹。酒井さんは『劇場版オーズ』のガラ役が記憶に新しい。久ヶ沢さんは『豆之坂書店』の好演が浮かぶ。お二人とも達者な俳優だが、演じる役がどうも好きになれない。のんびり鈍い駅員と、やたら明るく強引な売店の店員。二人の関係にもイライラした。
土屋裕一が演じた、素っ頓狂で煩い葬儀屋の男のほうが、よっぽどマトモに見えてシンパシーがわくw。仕事も経験もイマイチで頼りない女性上司を演じる千葉雅子が面白く、tutiとの漫才風なコンビぶりが愉快。いわば部外者なこの二人がアクセントとなって、逆転オチも微笑ましく見えた。
内田滋、中島ひろ子が活発に喋り動く。尾方宣久が静かな変人ぶり。
ハキハキしたイイ声だと思ったら、列車到着アナウンスで朴路美が出演。

「イイ天気ですね」とか「しりとり」とか、のどかな日本の光景が急に始まるのに付いていけない。
退屈さに途中から眠気が起きて困った(隣の人も俯いてウトウトしてた)。しかも時おりセリフの語尾がよく聞き取れない。
劇中の彼らとあまりに似た状況に陥り、リアルにぞっとしそうだった^^;。

早期割引とお天気なのは良かったが、この劇場は遠いので、もう行くことはないだろう。
路美さんは夜公演を観劇したのかな。
DHG@stageプロデュース『源氏物語×大黒摩季songs ボクは、十二単に恋をする』再演を観てきた。

急遽カンフェで取った本日分のチケット。
初演時も良かったが、今回も前方下手席で観易かった。

優雅に適当に生きる恋多き男・光が、父親の再婚相手・藤壺を初めて愛するも手に入れられず、本当の愛を求めて様々な女たちと恋をしていく、現代版源氏物語。
初演と同じく、大黒摩季の数々の名曲に載せて、主演の紫吹淳はじめ豪華キャストが歌って踊るミュージカル・コメディである。

初演の5人以外は、全て新キャストのようだ。
紫吹さん@光は、二幕から新しく衣装替え。シルバーのスーツと肩ケープが凛々しく光り輝き、和装よりもよく似合って、ファンにはたまらないだろう。
中澤裕子@藤壺は、新婚効果かw、初演よりも色気が増して慈愛と深みがあった。
チャーミングな川上ジュリア@紫は、一番溌剌とよく響く歌声で気持ちイイ。須藤温子@明石は光との空気感がうまい。DAIZO@花散里は変わらずキュートな味だが、歌声にもドスが入ってるw。
AKINA@葵、赤澤セリ@六条は、初演と雰囲気がそっくり。ダンドイ舞莉花@朧月夜はグラマラスでアメリカンで、ひと味違うテイスト。

OL姿やドレスの女性陣に比べ、男性陣は平安和装な衣装は変わらず。今回の男性キャストは名前に「き」が付くのが特徴w。
大河元気@頭中将はなかなか男前で格好良いこと。恋人の折井あゆみ@夕顔にボカスカ殴られる様子も微笑ましい。
山口賢貴@朱雀は爽やかで、弟・光との背のバランスもいい。もう少し朧月夜とのラブラブっぷりが出てもいいな。
鈴木拡樹の惟光は目立たず出しゃばらずの立ち位置。衣装のせいか、前かがみでちょっと姿勢が悪そう。
岸田敏志の桐壺は柔らかく深みがある芝居。中澤さん@藤壺との息ぴったりのやり取りがいい。
岡崎大樹@弘徽殿は一番キレのあるダンスで、人呼んで“ダンス番長”。タクシーを呼ぶ時のアクロバティックな動きにも注目w。

みっちり稽古をしたのか、みんなのダンスもよく合っていて魅せてくれる。若手はダンス時の光との絡みやフリーな踊りなど、思い思いにこだわって楽しそう。
楽曲は初演とほぼ変わらずだが、DAIZOは歌の比重が増したようだ。紫吹さんの歌の負担が減ったようにも思える。
岡本貴也の演出は細かい部分でちょこちょこと変化。自販機の朧月夜や、六条のナイフや怨念の高ぶりなど、キャラに肉付けがされているようだ。
光と葵の別れの切なさ、絆の深さが、前よりも伝わってくるような出来上がりだった。

日替わりゲストは、初演もゲスト出演した良知真次。『陰陽師』絡みだが、二ヶ月後には同じ劇場に立つ前フリにも思える。予想通り白いハットと白いスーツで、二幕冒頭から「いちばん近くにいてね」を凛々しく熱唱。客席から手拍子もあがり、軽く踊ったりムーンウォークを披露したりと楽しそう。紫吹さんとも肩を合わせて唄って盛り上げた。白地のせいかヒップラインがピチピチに見えたが太ったのかな?w ロビーに3rd LIVEのチラシがペタペタ張ってあった。

アフタートーク。登壇者は大河元気、須藤温子、鈴木拡樹、杏さゆり、仲原舞、赤澤セリ。夜公演は時間も急いているのか、MCの元気がちゃっちゃか進行。自分の好きなシーンと好きな歌を訊いていく。「ら・ら・ら」を好きな人が多く、会場全体で盛り上がる歌としてクローズアップ。みんな、紫吹さんに見つめられるとポワーンとなるそうで、紫吹さんと肩を合わせると僕でもドキドキするという元気くん。カネが鳴って二つの質問で終了。10分の短さか。劇場の遠さがネックだな。

今日は下手側が紫吹ファン席だったのか、劇中は紫吹さんの視線が何度も流れてきた。カテコでも、紫吹さんと良知さんの視線がダブルで飛び込んできて、私もドキドキしてしまったv。
舞台版『WORKING!!』を観てきた。

入場プレゼントはイラスト写真。
物販は盛況なのか、パンフが残り1冊!ということで、つい買ってしまった。あとは通販だとか。
トークもあるせいか、ほぼ満席で男女比3:7な感じ。

北海道某所のファミレス「ワグナリア」を舞台に、バイトで働くことになった男の子と個性溢れる店員たちを描くコメディー。
アニメはずっと観ていたが、三次元化にあまり期待していなかった。
ところが百聞は一見に如かず。思った以上にキャラの再現度が高く、テンポ良い会話とぬるくてシュールな世界観はそのままで、とても面白い舞台になっていた。

キャストはよく研究してしっかり役作りをしている。写真で見るよりも、動いているのを観たほうが断然イイ。ナマの芝居や存在感は、アニメで見てる時よりもキャラに思い入れが沸くから面白い。
分かり易いキャラ紹介とイイとこ取りのエピソード。親切だが押し付けがましくない映像。カウンターと休憩室をメインに、客テーブルは盆で再現。伊勢直弘は『PEACE MAKER』とはうって変わり、生き生きとコミカルな演出が冴える。宗太の週7日シフトを「一週間」の替え歌で表現するのも愉快だ。

小鳥遊(たかなし)宗太の浜尾京介は、スマートで眼鏡がよく似合い、受けのM芝居が意外とぴたりとハマる。ゴボウのように細い脚を出した女装も必見w。マオファンにはたまらない役だろう。
ぽぷらの宮崎理奈は、そんなにはちっちゃくないもん!w でもテンションも喋り方も走り方も動きもアニメそのままの可愛さで、「カタナシくん!」の声も阿澄佳奈に似ていたw。
阪田瑞穂のまひるは、父との絡みもあって注目の役どころ。宗太にボカスカやる動きや表情にも活力や愛らしさがあって良かった。
八千代の杉本有美はオットリ度よりも白藤ラブ度が高い。白藤の水谷妃里は本番中もいっぱい食事ができて、ある意味オイシイw。山田の大野未来は「山田」とイヤミなく言えてチャーミング。
大山真志の佐藤は結構ハマっていて格好良い。『銀英伝第二章』では太って見えたが、今回は痩せたように見えたw。金髪の前髪は地毛らしい。佇まいも迫力もまさに佐藤くんで、小野Dの声と似ていて上手いなと思った。
相馬の加藤良輔はもう少し背が欲しかったが、満面の笑顔を胡散臭く見せて腹黒さを出しているw。ドMの良輔でもドSになれるんだねw。佐藤とのポンポンしたやり取りは痛快で、フライパンでボコられる時は嬉しそうw。
キャスト同士のコンビネーションも良く、唄って踊れる男の子トリオで主題歌CDでも出したら売れそうに思ったw。

今回の常連客役ゲストは 米原幸佑。職業は俳優。盆が客テーブルに回り、ソファに座ったトークがリラックス感覚。
マオとの絡みで、マオがゴセイブラックの変身ポーズを披露w、客席から拍手喝采。どうやらどのゲストの時もゴセイブラックをやってくれるようだが、どうせなら杉本さんのゴーオンシルバーも見たかったw。
マーシー&良輔との絡みでは、コウスケがリュックからごちゃごちゃアイテムや物を取り出して、三人でいきなりのエチュード。ムチャぶりとツッコミ捲り。ノリのいいコウスケが二人と深海で遊んでて愉快。

アフタートーク。大山、加藤、杉本、水谷と、ゲストの米原。キャラの決めセリフと自己紹介で、「それが大人の対応ってもんだ」とマーシー。コウスケまで「ちっちゃくないよ~」と言って、リアルな決め台詞に聞こえたw。「自分と役とのジーエイピーを楽しむ」と言う良輔がちょいハイw。司会の良輔より、コウスケのほうが会話を展開させていくw。本番中に台詞飛ばしのハプニングが二度あったそうで、会話が重要な舞台だとあらためて思う。あと5公演の意気込みを述べて終了した。コウスケが、土曜ゲストの彬は要注意だと念を押していたw。

こんなに楽しい舞台なら、先週のうちに観ておいて、リピーター割引チケットでもう1回観たかったな。『戦国BASARA2』を優先したから仕方ないか。ぜひ再演か、続編をお願いしたい。
舞台『シダの群れ 純情巡礼編』を観てきた。

増岡組組長とその女・ヤスコの狙撃に失敗した泊を始末せずに、密かに志波崎組の水野に預けた矢嶋組の若頭・坂本だが、ヤスコたち女の存在が、いつしか三つの組の反逆と共闘と新たな闘いを呼ぶことになる。
岩松了の任侠シリーズの第二弾だという。
ヤクザものは大の苦手なので、もちろん第一弾は観ていない。今回は堤真一がお目当てなだけの観劇だが、やっぱり観たくはなかった作品だ。

水野役の風間壮夫以外は新キャストらしく、第一弾を観ていなくても何とか入っていけるが、名前がとにかく覚えられない^^;。パンフも買わないから、「矢嶋組」「増岡組」「志波崎組」も正確な漢字が当てられず。
堤さん演じる坂本がいる矢嶋組目線で観ていたら、増岡組は父と息子の間で厳しい躾があるし、今は壊滅状態らしき志波崎組の水野は看護婦とイチャイチャいい雰囲気で、所々で面白さが盛り込まれているようだ。

役者は昭和40年代のようなステレオタイプの衣装。
堤真一さんはオールバックでヤクザ風なスーツスタイル。インナーは一幕は紫、二幕はストライブでネクタイもキツメ。ビシっと決まった渋さに男の色気が匂い、実に格好良いこと(*^。^*)。よく響く低音が心地良く、立ち姿や歩き方にも貫禄が漂い、実直で頑固だが人望ある役どころだ。
今回は周りがワタワタ動き、坂本が後始末を付ける形が多く、「受け」の芝居が多いという。1ヶ月前に同じ劇場で観た『淋しいマグネット』に出てくるゴンゾが成長したらこんな感じかなとも思うw。台詞よりも表情の比重が大きく、堤さんにとってはキツイ芝居ではないかと思った。

坂本はヤスコ(松雪泰子)と濃厚なキスがあったり、ヤスコを押し倒し羽交い絞めにしたりと、激しく繰り広げられる絡みには観てるほうもドキドキ。
でも坂本とヤスコの本当のラブシーンは、その後で起こる、絡み合わないコミカルでシュールな会話のほうだろうw。堤さんと松雪さんは、舞台『吉原御免状』や映画『容疑者Xの献身』でも共演したし、年季を感じさせる息ぴったりのコンビ。
水野と看護婦(市川実和子)の従順な信頼で結ばれたラブシーンも愉快だ。一方的に恋心を押し付ける坂本の妹・可奈子(倉科カナ)をウザく考える泊(小池徹平)が、仲間の吉崎(太賀)に渡そうとする若者関係も興味深い。
女性三人は胸や足をおしげもなく披露するが、セクシーさに乏しく濃密な女のサガが感じられない。

岩松作品は『国民傘』ぐらいしか覚えがないが、やはり私の理解しがたい難しさと空気感があって手強い。
増岡組組長の石住昭彦と吉岡の太賀も『国民傘』で好演していたっけ。着実な芝居の太賀さんは誠実そうな雰囲気で、メインの小池徹平さんより印象に残った。
舞台初出演という小池徹平さんは、良と悪の間をいったりきたりの曖昧な感じ。冒頭のバーテンダーのほうが、髪型も動きも綺麗に決まっていて良かった。
増岡組会計士の吉見一豊は演劇集団円の俳優さんだが、こんなコミカルでオモロイ芝居をされるのか。
風間壮夫は台詞の軽妙さと重厚さをバランスよく配合、場を席巻するさすがの存在感だ。堤さんとの緊迫感あるやり取りは息を飲む迫力。

村治佳織のギター演奏は、時に女の揺れ動く心を表現しているのか。場を繋いで世界観を切なく紡ぐ。
コーラスガール三人娘(兼ね役)が、なぜ鯉のぼりを持って歌っていたかは不明。
ヤクザものだから覚悟はしてたが、全編にわたってハジキの音が容赦なく飛び、その度にビクついてた私^^;。だが思ったより“血”は目にしない。ラストの堤さんの頬の赤だけだったのがかえって印象強い。
客席降りもあるが、こちら側にきた堤さんの顔が真剣そのものなのも怖かった。

ともかく、一回観ただけではよく馴染めない人間模様。ドキドキよりもビクビクだった舞台。
二回目は前方席なので、銃声を腹の底から覚悟していかないと。パンフ購入は迷い中。


渋谷へ行ったついでに、スペイン坂へ。
本日から公開の『スリル・ミー』ポスターを撮ってきた。
「さあ、どの スリルが 見たい?」
あまりにBLなので、凝視できんw。ちなみに日本人キャスト3組とも観る予定。
舞台『負傷者16人』を観てきた。
いつものように、海外戯曲の三作品通し券で取った第一弾。本命は『サロメ』である。

オランダ、アムステルダムの小さなパン屋を舞台に、ユダヤ人パン職人ハンスと、彼に助けられて店で働くことになったパレスチナ人青年マフムードとの交流と葛藤を描く。

ミニチュアも飾られていたパン屋の舞台美術を見ると、昨年から今年にかけて上演された『恋する私のベーカリー』や『ラ・パティスリー』が浮かんでくる。店内と厨房に仕切りがないのは開放感をもたらすが、“与えるもの”と“取るもの”がどんどん変化し逆転される意味合いなのかもと思う。
年季の入った感じの厨房と整然とした店内で、本物のパンや生クリームも出てくる。タネを作ったりこねたりとキャストの職人ぶりも達者。ハンスにとって因縁のあるチョコレートケーキを、自らの手掴みでマフムードの口に運ぶ場面は、一瞬だけでも微笑ましく安堵させる。だが空腹がそそられるというより、喉がカラカラに渇くような緊張感を伴う場面でもあった。

ユダヤ人を敵視する過去が明かされ、バス爆破事件で死者を出したテロリストの一面を見せるマフムード。かつてナチスに同胞を売って裏切り、パン屋に盗みに入って助けられた過去をもつハンス。徐々に明るみに出る二人の真実は、スリリングでショッキングで根っ子の奥深さを知る。
恋人ノラが妊娠したことで父親として新しい生活を始めようとするマフムードの元へ、彼の兄が忘れさせない過去と新しい仕事をもってくる。
過去から逃れた男と逃れられない男。家族を手に入れる男と手に入らなかった男。相反する二人は、パンを媒介にして互いに共存することはあっても、理解し合い親交を深めることは決してできないのだろう。
テロリストに戻ろうとするマフムードに、切々と説得し思い留まらせようとするハンスは、ある意味、逃れられた成功者の言い分にすぎない。故郷の弟と新しい家族を守るため、ひいてはハンスとこのパン屋を守るため、マフムードはもう逃げられないのだ。それが今のマフムードにできる決死の“恩返し”なのだろう。

だがハンスやノラと過ごした時間は、マフムードにとって決して無意味なものではなかった。復讐の連鎖があるように、希望の連鎖だってあるハズだ。
自爆テロの死者10人の他に、負傷者が16人もいる! 生き残った彼らがまたパレスチナ人に復讐するかもしれない。だがマフムードは生存者を選べたかもしれない。負傷者16人の殆どは子供や赤ん坊だったのだと信じたい。何故ならマフムードにも生まれてくる赤ん坊がいるから。負傷者の中から、別の未来を呼び起こせる者が出てくるのなら、希望へと繋がるだろう。

ミュージカルや公開中の『宇宙兄弟』と活躍中の井上芳雄は、頑固な自信家ぶりが初々しく、多感で激しく悩める青年を生き生きと演じる。歌がないのは残念だが、腹から出すアザーンの声が凛々しく美しかった。
増岡徹は辛抱強くも包容力のある実直な芝居。愛人ソーニャとのじゃれ合いぶりには愛嬌がある。
ノラの東風万智子は、話し方や声が朴路美さんに似ていて小気味いい。

舞台全体を映像が覆い、時計の針が動いたりニュースが映されたりと、退屈させず分かり易い演出がいい。
作者のエリアム・クライエムは父親がイスラエル人、母親がユダヤ系米国人だという。アムステルダムが舞台であり、アラビア語を少々入れたりと、色々な工夫や気遣いが感じられる。
1993年のイスラエルとパレスチナが握手するニュース写真は、私もよく覚えている。当時は、またアメリカがしゃしゃり出てきたか!と苦々しく感じる一方で、歴史的幕開けになるのか!?と僅かに希望が過ぎったものだ。
舞台『戦国BASARA2』東京千秋楽を観てきた。

満員御礼。平日夕方にも関わらず、ル・テアトルがこんなにビッシリと埋め尽くされているのを見たのは初めてだ。

初日は前列で気づかなかったことが、今回はやや後列になったことで、色々と分かり味わえたことが多かった。
音楽や効果音など音響の存在が大きい舞台だ。ゲームそのままの臨場感には欠かせないものだろう。新曲がいち早く使われ、ゲームから取り入れた音楽もあり、ゲームをやってた人はシーンを思い浮かべながら楽しめる。
映像はやはり中ほどの列から観たほうが綺麗だ。OPのキャスト紹介に家紋まで入ってたんだね。慶次の“恋”が一段と目立つw。

キャストもアンサンブルも疲れはピークに達してるだろうが、初日よりも一段とキレのあるアクションと迫力ある殺陣に進化。
初日は硬さがあった女性陣の殺陣が随分と滑らかになっていて、公演中の成長が見られた。
今日の幸村は床を滑ったり槍が一本折れたりと、東京公演ではホントに色々あった男だw。三成も5人の殺陣シーンで刀が折れた。ナマならではのハプニングだが、キャストに怪我がなかったのが幸い。こんなに激しい運動量なのに、バージョンアップした衣装だけは何も不都合はなく、しっかり作られているなと感心させた。

ネタやギャグシーンは、客席も一丸となって拍手や手拍子で盛り上がる。
「お館さま~」「わしじゃあ」のお館様祭りも好調。“サスケ佐助”にゴールはあるのか。替え歌と「片倉」「小十郎」「政宗さま」の遊びがイマイチだが、政宗より左手の幸村のほうが笑ってる。しょーもない遊びの後、一瞬で真面目モードに転換するところが好きw。
半兵衛と三成の「許可の要らない許可を…」も大ウケw。謙信とかすがのピンクのラブモードは沸くが、とし&まつの息ぴったりのラブラブぶりも見事。

でも三成と家康が秀吉側にいたため、半兵衛の小十郎誘拐事件がなくなったのがホントに残念。受けの小十郎を見たかったな。肝心要の半兵衛は一幕は出番があるが、二幕中盤からすっぽりいなくなり、最期の場面も描かれてなかった。半兵衛ファンには物足りなかったかもしれない。

『2』は初日と千秋楽のみだったが、今までにない良席をゲットできたのが幸い。いっそう舞台を楽しめた。
通路演出はなくなったが、劇場を変えて良かったと思う。


カテコで小林裕幸氏が挨拶。丁度同じ列の前に座っていたのですぐわかった。
恋次の肩に夢吉が乗ってて(カワイイ)、いつも懐の中に入れておいてくれたんだと伊阪達也を褒めていた。

カテコ2で、キャラ団扇をもってキャスト登場。その団扇で幸村も三成もステージ前に散った花びらを扇ぐから、前方席にいっぱい飛び散る。すかさず秀吉から「みつなり~」と諌める声が上がり、「はっ」とひれ伏す三成。おまけに秀吉の「お手」に犬になる三成。キャラでアドリブきかせる小田井涼平と中村誠治郎に拍手。マスクがキツイと言ってたが、「マスクを上の人に取る許可を三成に」と半兵衛が言い、ここでも誠治郎が許可を取るナイスアドリブ。コバPが腕でマルをして、やっと“ひろみ”に戻れた崎本大海は晴れ晴れとした顔w。

カテコ3で、政宗からアンサンブルの紹介。苗字名前まで覚えてる久保田悠来さすが。メインキャストはひと言ずつ挨拶。その度に客席からキャラコール! 挨拶でやっと素に戻れる俳優たち。驚いたのが、佐助の村田洋二郎より信玄の中村憲刀のほうが年下だってことw。本日の“ハプニング”で平謝りの三成と幸村。誠治郎はいつもの口調で、ピンをしっかり止めますと誓う細貝圭。吉田友一が「いつか仙台で」と言えば、涼平さんが「次は本拠地、大阪で」と意気込み。

カテコ4で、拍手いっぱいのスタオベの客席を見て、パラパラと出てきたキャストがみんなビックリしたように感激の顔。最初に出てきたのが貫禄の秀吉で、最後にやっと出てきた謙信が慌てた風なのがイイ。座長の伊阪くんが凛々しくお礼を述べて、キャストも客席もいっぱい手を振ってハけた。秀吉の背中に乗っかる三成クンがお茶目。最後に伊阪くんが深々とお辞儀をして終了。
愉快痛快なカンパニーで微笑ましかった。予想通り3時間半強かかった。

大阪、6月の名古屋公演も一丸となって突っ走って頂きたい。
LIVE ACT『青の祓魔師 ~魔神の落胤~』を観てきた。

加藤和恵原作の人気コミックの舞台化。昨年のTVアニメに続き、劇場版アニメの公開も決定している。
魔神(サタン)の落胤という運命を背負った主人公の少年が、義父の死をきっかけに、魔神を倒すため祓魔師(エクソシスト)を目指す物語。

あまり期待していなかったが、アニメで観ていたツボなシーンやポイントがしっかり押えられていて、深みのある魅力的なドラマを作り出していた。
展開としてはアニメの前半部まで。正十字学園と合宿がメインの舞台で、祓魔塾の講師となっていた双子の弟との絆、祓魔塾の仲間との関係や友情、亡き義父への想いなどがじっくり描かれて爽やかな出来である。

アンサンブルさんの力が絶大。悪魔や怪物から、花壇などの“場”や世界観まで、ひっきりなしに見事に表現している。舞台版『コードギアス』ではロボットが目玉だった大和田悟史の演出だが、今回はラストの巨大悪魔の造詣が見もの。まさにアンサンブルあっての舞台だ。
照明や音響やスモッグが抜群の効果で、炎や魔法陣などを臨場感ある演出で作り出して見応えがある。映像を多用せず、暗転を利用した“演劇”要素があるのも好感がもてる。

キャラクターの再現率は高く、キャストの思いが芝居を通して伝わってくる。
奥村燐の木村了は、『朱雀家の滅亡』から深みのある芝居を見せ安定感がある。身軽な動きで剣の扱いもキックも上手く、躍動感と活気があるアクションだ。どんどん役にハマっていき格好良く見えた。
奥村雪男の戸谷公人は、銃をもつと仮面ライダーディエンドに見えそうw。柔軟性がある俳優で、ポーズも格好良く決める。徐々にハマって、ラストの「兄さん」が福山潤の声とソックリだったw。
二人が並ぶと、木村くんの背の低さが目立ってしまうのが惜しい^^;。戸谷くんはもう少し太めのほうがいいな。

しえみの中島愛里は『遙か2』の紫に続き、和装のほのぼの感がよく似合う。出雲の鉢嶺杏奈のハキハキ感や、朔子の指出瑞貴のおっとり感がチャーミング。ボンの友常勇気、志摩の渡辺和貴、猫丸の丸山隼の関係や立ち位置もいい。
3人組の詠唱ラップが『ALTAR BOYZ』のNumber 918にソックリw。
悪魔に対してボン&猫&出雲が詠唱する姿は、声やポーズがシンクロして決まり実に格好良い。アニメでは味わえなかった面白さだ。上で3人、下で兄弟が、其々に戦う同時場面は一体感を醸して迫力たっぷり。個人プレイではなく、みんなで一緒に戦う大切さがよく表れていた。

藤本獅郎の今井靖彦は情感豊かな芝居。憑依された後の表情やアクションもよかった。『忍たま』の山田先生の教え子たちも観にきていたね。イゴールの中原裕也は声と立ち姿がいい。
最も美味しかったのがメフィスト・フェレスの永田彬。前説、後説も担当する語り部的役どころで出番もいっぱい。でも冒頭から噛んだりとまだ危なげ感もw。徐々にテンションをあげてこなれていく。でも彬はやさしさが滲むので、もっとはっちゃけた狂気を見せてもいいだろう。
アマイモンの玉城裕規は不気味な可愛さでハマる。出番的に少ないのは仕方ない。

その補完のためのエピローグ。
続編もぜひ同じスタッフ&キャストで作っていただきたい。新キャラも増えそう。
配布された札の用途がイマイチ分かり辛い。
ロビーには原作者の原画やフィギュアなどが飾られ、撮影ラッシュだった。
舞台『戦国BASARA2』初日を観てきた。

Gロッソから銀座に場所を移した東京公演。
大掛かりなセットではないが、殺陣やアクションはパワーアップ、賑やかでエキサイティングな舞台だった。休憩含め3時間も長めだ。
アニメはしっかり観ていたが、ゲームやアニメになかった設定も加えられ、芝居にも深みが出る。
まさに「咲いて、暴れて、戦国乱世」の世界観だった。

『戦国BASARA3』をやった後で『2』をやる最大の意味は、新キャラクターの参入。8人も増えて今までにない活気がある。
主役の前田慶次には、黒崎一護に続き二度目の森田成一キャラを演じる井阪達也。大きな太刀は斬魄刀にも見えw、ブンブン振り回す姿がサマになる。明るくて大らかで格好良くて、心身ともに成長を感じさせる凛々しい座長ぶりだった。

前半からアクシデント。殺陣中に真田幸村の鬘がぶっ飛んだ~! 客席が可笑しさに包まれる中、幸村のまま芝居を続ける細貝圭。対する伊達政宗も片倉小十郎もそのまま立ち回りを続けるが、さぞ内心は可笑しさが込み上げていたと思う。さすがプロの役者といったところ。でも、いったんハケたのにまだ鬘を付け直してなかったのも惜しい。その場の助け舟が半兵衛と慶次だったのもオツw。しばらくして鬘を付け直して出てきた幸村を見て、まだ思い出し笑いを出るのを堪えたw。この回だけを観劇の人はちょっと残念だったかな。カテコで「これからはピンをしっかり付けます」と平謝りだった細貝さんだが、後々の語り草になろう。
でも細貝さんの幸村は、ますます声が保志くんに似てきて、体を張った熱演は見ていて気持ちがイイ。

今回からやっと武田信玄が登場。中村憲刀のどっしり感と愛嬌のある表情がぴったり。幸村も実体登場でテンションが上がる上がる。張り倒しに両足ブンブンの熱い愛情表現!(笑)まさに「お館さま~!」祭りに拍手喝采だった。
伊達軍も負けじと、替え歌に踊りとレッツ・パーリィ! レベルアップしてるw。小十郎の畑祭りも愉快。小十郎の吉田友一はどうも都庁さんが抜けないのか、コミカルなイメージが残ったw。

アニメと違ってたのが、半兵衛による小十郎の誘拐事件がなかったこと。半兵衛の前半の台詞が生かされてないw。秀吉側に石田と徳川が参入しているのが新鮮。かねがね半兵衛と三成はどう共存していくのか興味があったが、半兵衛へもガチ忠義を示す三成が熱い。『銀英伝第二章』と並行して出番も殺陣も少なくなるだろうと思ってた中村誠治郎だが、どちらも多くて満足な出来栄え。逆に半兵衛よりも印象がある。
竹中半兵衛の崎本大海は知的な部分は似合うが、背丈とスマートさが足りなく、声も石田彰と大きく違うのが残念。秀吉との会話や最期の場面も曖昧で、出番的に物足りないかな。
そのせいか、小田井亮平の豊臣秀吉はどうも圧倒的な迫力がない。同じ体格のお館様のほうがよっぽど印象に残った。

上杉謙信のAKIRAは声も立ち方も凛としててよい。謙信が伊達や徳川と闘う様子は『花咲ける青少年』の恋バトルのようw。謙信とかすがのラブラブっぷりもイメージ通りで、ピンクの花びらまで舞うw。かすがの知念沙也樺は悪戦苦闘したアクションも頑張っており、佐助との関係も愉快。『裏切りは僕の名前を知っている』は11月のvol.3まであるらしい。
トシとまつのイチャイチャぶりが舞台の万能薬。別府あゆみがとってもキュート。裸の野性味と笑顔がステキな真佐夫は、『忍たま乱太郎』第三弾再演で土井先生をやるが期待ができそう。

ゲームやアニメそのままのキャストの魅力と、槍や長刀など使ったバラエティに富む迫力あるアクションが見どころ。
ゲームそのままの映像や日本地図のバックボードも分かり易い。ゲームの楽曲が活気を与え、石川智晶の歌が切なくも響く。
花びらが無数に降り、華々しいお祭り騒ぎが爽快感をもたらした。

カテコでは、CAPCOMの小林裕幸氏からも挨拶。久保田くんがいつものように仕切り役かw。
最後は達也の挨拶で締め、盛大な幕開けとなった。
舞台『ロミオとジュリエットのハムレット』を観てきた。

「ロミオとジュリエット」の話と、ロミオとジュリエットが読む「ハムレット」の話。
シェイクスピアの二つの作品を、劇作家ブルースカイがひとつにまとめたもので、演出は大堀こういち。
ロミジュリで3時間が耐えられない人は、ハムレットを混ぜて2時間強で済むのだから、お徳感はあるw。

二つの話を交互にクロスさせて進行するが、思ったよりも筋書き通りで、意外と共通点も多い中、とても分かり易くて面白い。
シェイクスピアの有名な台詞を適度に配置するも、全然関係ないセリフまで“それらしく”挿入されてるのが愉快。
しょうもないネタやギャグを盛り込み、強引に笑いを引き出す一方、むちゃくちゃ真剣な展開にはちょっぴり胸にくるものがある。
“山田さん”は確かに切なかったがw、レアティーズとオフィーリアの兄妹シーンは音楽効果もあって、不覚にも涙ぐみそうになった。

主演のロミオとハムレットの2役に、若手俳優の佐藤永典。主役を同時にやれる贅沢なキャスティングだ。演じ方を微妙に変えての熱演だが、やはり集中力と耐久力がものをいう。特に器用というわけではないが、さとちゃんはスタミナと抜群の感性があり、クレバーな俳優だと思った。
レアティーズの中村龍介はさすがにダンスが素晴らしくて、拍手を浴びる。
さとちゃんも龍介も“気分屋のB型”ぶりが可愛い。
対する“卑劣なA型”が岩崎大くん。クローディアス王として威厳たっぷりの飛び跳ねっぷりだが、兼ね役も見たかったな。
ジュリエットの堀越のりは大らかな魅力で、兼ね役にも注目。オフィーリアの皆本麻帆の透明感ある歌声と踊りがステキ。

ラストは想像させたが、毒薬と剣の扱いが見事で、脚本と演出の上手さが光った。
エピローグのオチも綺麗だ。満足感たっぷりの2時間だった。

佐藤くんは一度に二つも主役をやってしまったが、ロミオ役をやれる俳優はハムレット役もやれるだろう。もうひとりの佐藤くんもそのうちハムレットをやりそうだ。二人は1歳違いだったっけ。
舞台『ロミオ&ジュリエット』を観てきた。

互いが仇同士の家に生まれたモンタギューのロミオとキャピュレットのジュリエットが愛し合いこっそり結婚するも、様々な困難と離別が待ち受ける話。
若者の性急な行動が、恋人をも苦しめる、自業自得な話でもあるw。

昨年、同じ劇場でミュージカル版を観たばかり。あらためてストレート版を観ると、あの『戯伝写楽』のように、この場面で音楽が流れてここであの歌が唄われてと、記憶の水を漂うようなフシギな気分になった。

舞台はヴェローナだが、時空を超えた現代の服装。クラシカルな衣装を期待してたのでちょっと残念。冒頭は、これから劇を始めますという前口上付き。この様式はまるでDステの『ヴェニスの商人』ではないか~と思ったら、松岡和子の翻訳に青木豪の脚本ときてニヤリw。D-BOYSがやっても何の不都合もない台本なのだ。現代劇めいているが、携帯は出てこない(笑)。だから手紙は届かなかったという設定だ。
ロレンス神父の立ち位置とかパリスの処遇とか、原作に結構近づいているように思う。シェイクスピア独特の言い回しもこなれており、ストレートだからこその台詞の妙も味わえる。

初舞台で初主演の佐藤健は繊細で柔らかく、石原さとみは清純で可憐。二人とも芯に強い情熱を秘めていて、見た目のバランスもよい、何度も何度もベタベタとひっついて触れ合う場面があり、つい笑いが込み上げる。
健くんの上半身裸は思った以上に長く披露。細身なのにちゃんと腹筋が割れていて、いかにも10代らしい体つきだ。昨日の『海辺のカフカ』と同じく、ロミオも15~16歳の設定だったかな。昨年の城田さんや山崎さんよりもロミオらしい、少年の危うさと強さをもっていた。
己の罪と愛する人との別れに嘆き、女々しく泣き崩れるロミオ。交わりの後で、愛する人の窮地を知り、急に女として逞しく強くなるジュリエット。二人の芝居のメリハリがよく出ていて、結構面白く観れた。

二人を見守り助ける乳母とロレンス神父。キムラ緑子(さっきの『テルマエ・ロマエ』で観たばかりw)と橋本さとしは、確か昨年の『時計じかけのオレンジ』で小栗旬をイジくっていた研究員役でコンビを組んでたっけ。その二人が同じ劇場で今度は佐藤健を助ける役になるとはねw。
乳母の心変わりはジュリ父の激しい叱咤と暴力が要因だとか、踵を返した乳母に見切りをつけるジュリエットとか、愛と憎しみの生々しい芝居が分かり易い。
ロレンス神父の存在感も見どころで、己の計画の不甲斐なさに絶望したり、ジュリエットを見捨てて保身に走るなど、人間味あふれる男を橋本さんが生き生きと演じていた。

その分、若者たちの描写には物足りなさ感がある。友情、憎しみ、結束力。ロミオとベンヴォーリオの絆の深さもいまひとつで、前もって二人のやり取りも欲しかった。
ロミオとマキューシオについては、仮面舞踏会ならぬ仮面ライダー会w。天衣無縫の痛快さで好演した菅田将暉は、健くんよりうんとデカくなってて心身共に成長したなと驚かされた。
ティボルトの賀来賢人は野性味たっぷり。ただ、ジュリエットとの絡みやロミオへの憎しみが明確に描かれておらず、もう少し出番が欲しかった。平間壮一、平埜生成らアミュボーイの立ち位置もよし。昨年の『ハンサム』が思い出された。
パリスが思いのほか出番があり、彼なりの愛情と嫉妬を姜暢雄が品良く誠実に演じる。ヒロインをめぐる対峙は、クワガライジャーVSデンオーといった感じw。

昨年と同じ、右手がキャピュレット側、左手がモンタギュー側。ロミオ的にはやはり左手かな。
テーマソングも唄うSingerの多和田えみが、語り部ならぬ歌り部のような形で、天使のように物語に絡む。
ここではないだろうと思っていた“血”の赤が鮮烈に登場。ロマンチックな古典劇にリアルな芝居を入れることで、現代の人間模様をも表現していた。

カテコ2回目でスタオベもあり。最後に健くんとさとみさんが両脇に立ち、爽やかな座長ぶりを見せていた。
キャストを全部は把握できず、再来週もう一回観る予定。

明日は、ロミオとジュリエットのハムレット。ひとり多いぞw。
舞台『海辺のカフカ』を観てきた。

村上春樹のベストセラー小説を、村上作品を好む蜷川幸雄が初舞台化。
カラスに導かれ家を出て四国の小さな図書館に身を寄せることになる「カフカ」少年と、猫と会話ができるがある事件がきっかけで四国に向かうことになる老人ナカタ。二人の物語がいつしか次第にシンクロしていく。

休憩含めて上演4時間! 原作にも村上氏にも特に思い入れがないせいか、観終わった後はぐったりする観劇だった。
原作そのままをなぞらえてやっているのか、脚本がどうもくどくて長過ぎる。フランク・ギャラティの戯曲で、どうりで日本人の口に違和感がある。尺が足りなくなったのか、二幕は所々を端折った感じで唐突感も多く説明不足、原作未読者には分かり難さが残った。

広さと奥行きのある大掛かりな舞台で、ナチュラルなリアルさをメタファーな迷宮へと絡ませる手法。
蜷川氏の演出は『美しきものの伝説』と『血の婚礼』と『身毒丸』を思わせて、さすがに成立させているが、はたして成功しているかは疑問だ。作り手のビジュアルが先行し、付いていけない観客もいたと思う。
可動式台に載せたガラスのボックスが“場”となり、透明感と閉鎖感が作品のイメージにも繋がるが、これを動かす人力がたくさんの黒子たち。場の終わりで不意に現れる黒子が時に不気味な存在で、黒子によって構築される世界はまさに「黒子のカフカ」だと思ったw。

初舞台の柳楽優弥は、眉が太く目の力と表情でぐいぐいと惹き付けられる魅力。思った以上に張りのある声で台詞も聴き取りやすい。少年らしい喋り方と動作を工夫した役作りの成果が見られる。
ただ、やはり身体はウソをつけないw。シャツを脱いだ上半身裸はやや小太りで筋肉質、15歳ならもう少し細身の透明感が必要だろう。オールヌードまで見せる体当たりの芝居は評価できるが、引き締まった尻のラインや肩幅の逞しさは20代の男のものだろう。

大島さん@長谷川博己の舞台は数年ぶりに観るが、不気味な中性感が面白い。当初は些細な台詞トチリもあって柔らかな物腰が目立つが、後半に連れて妖しさとエロさが滲んでくる。
カラス@柿澤勇人がしっかりした芝居でクールかつ情感豊か。7月の『スリル・ミー』が楽しみだ。
田中裕子は、目の細さがまるで大島さんの母親みたいだがw、立ち方やダンスの動きが颯爽としている。佐藤江梨子は『レシピエント』の時と話し方がそっくり。高橋努の快活な助平さがアクセント。
木場勝己は明るい浮遊感と優しい孤独感を表現して見事。ナガタの話し方は『とある科学の…』のミサカミサカを思い出させたw。萩尾望都氏からお花が届いていたが、萩尾作品に出てくるような存在感だった。

登場人物の殆どがシャツをズボンの中に入れたスタイルがポイント。シャツを出していたのはさくらと星野ぐらいだが、後半のカフカもズボンに入れてない。服装にも閉鎖や抑圧を表現していたのだろうか。
抑圧に負けない「強さ」をもとうとするカフカ少年の姿は、若くして賞を取り世間の抑圧にさいなまれてきた柳楽優弥の生き様と重なるところがある。カフカが放つ台詞ひとつひとつに本物の思いや力が篭っていた。
図書館でユダヤのアイヒマンに関する書を読むカフカと、彼の言葉に聞き耳を立てるナガタの横で猫の腹を裂くジョニー・ウォーカーの場面が鮮烈! 臓物や血などリアル過ぎて悪夢になりそうで、喋るキャストと反対のほうに必死に顔を向けていた。前方真ん中の席でよかった。

象徴的な“血”を際立たせる意味はあるが、このリアルさは苦手だ。キャストの演技だけでも観客の想像力を充分刺激させるだろうに。
透明ボックスを移動させる場作りも世界観の拘りだろうが、それだけ時間を余分に取る。膨大な原作ものにはスピーディな展開や疾走感も必要だろう。
比較するのもアレだが、舞台『ふしぎ遊戯』みたいに、ツボな場面や台詞を押えた上で要所要所を纏めて、場を並行させたりクロスさせたりしたら、休憩込みで3時間以内に収められたのではないかと思う。こういう観念的な芝居をするには、今回のステージは広過ぎたのではないかと思った。
私の許容範囲から溢れ出しそうな物語だったが、スタッフやキャストの熱とパワーに酔えた舞台であった。

夜公演だと終了は22時を回って、帰宅電車に一苦労しそう。昼公演向きの演劇かな。
劇場までの道のりで中学校前に芸劇に功績があった人たちの手形が飾られていた。先月行った時にはなかったのに。蜷川氏の手形に『シンベリン』キャストの手形。阿部寛は指も長かった。
WBB vol.2『プレイスター』千秋楽を観てきた。

佐野瑞樹と佐野大樹の兄弟プロデュースによる第2回公演。
初日を観てもういいかなと思ったが、楽のチケットがあるしで行ってみた。
パンフが完売するほどの盛況だが、満席とはならず。てっちゃんとか、いろんな関係者を見た。

中年ヒーローと現実を絡めたオリジナルの物語として、物足りなさ感はあれど、軽いコメディとしては面白くできている。
ヒーローとしてのクサイ台詞やポーズと、現実のリアルなやり取りとのギャップがよく出ていたかと思う。
効果音が実に素晴らしい。特に佐野大樹@西の珍妙なアクションの音が痛快。ヒーローらしき音楽も程よい。
このテの舞台は少しオーバー過ぎるのがよく、歌舞伎調な趣向を上手く取り入れていた。

ギャグ&ボケ担当の佐野瑞樹は身体をはった芝居で若々しく見える。経験を重ねただけある力が篭った芝居で、芝居が上手い人だなとあらためて思った。
初日から一週間、やや声が掠れがちの津田健次郎は、ネイサンみたいなオカマ風な動きを見せてw、アドリブや芝居をどんどん変えていた。極上の台詞回しや掛け合いなど、津田さんのコミカルな芝居があればこそ活気付いた舞台だろう。
倉貫匡弘は男っぽさと可愛さを存分に生かせる役だろう。
下園愛弓は特撮ばりのアクションと可憐な芝居とのメリハリが際立ち拍手を呼ぶ。

たった10人でこんなにスケールが大きい世界観(笑)にできたのだ。
苦肉の作という感じだが、1時間45分の短さはよし。
二回目でも芝居や演出の面白さを味わうことはできた。

千秋楽恒例、其々の挨拶。劇中の少年役や審査員の声がダレなのかも判明。
先輩諸氏に囲まれ、高木万平や内海大輔ら若手が、この舞台の経験を次のステージに生かしたいと前向きなコメント。アラフォーが走り回る舞台なので、みんな(拳銃バンの)内海くんの役を狙っていたらしいw。トークのネタだったのか、津田さんが「WBB」のアクションをしつこくするので、瑞樹さんが「自分たちでプロデュースするから」とシャットダウンw。ところが池田さんまで「WBB」の手フリをw。会場も一緒になってやっていたので、広めちゃえばいいのに~。
まだざっくりだが、WBB第3回は年末頃を予定。今回は大樹担当だったが、奇数回を担当する瑞樹はシチュエーションコメディをやりたいようだ。

終演後のロビーは、DVD予約受付で呼び込みをかける大樹っちゃんもいて賑わっていた。
幻想少女・アドベンチャー 舞台『ふしぎ遊戯 〜青龍編〜』千秋楽を観てきた。

これがホントに最後の「ふしぎ遊戯」になってしまう…のかな。
千秋楽とあって、初見の人も結構いたようだ。
座席は後ろめだが、食い入るように夢中になって観た。

役者の面々も思うことがあるのか、全体的にセリフが上ずってて、何度か言い直しする場面もあった。
そんな中で、美朱役の橋本愛奈だけはますます艶のある芝居を披露。初演と比べると安定感のある存在で、ものすごい成長が見られる。場面によって少々不細工な少女に見える時もあれば、とても綺麗な女性に見えたりもして、面白い逸材だなと思う。唯役の秋山ゆりかはカツ舌はいまひとつだが、最年少ながら(結蓮役の子以外で)落ち着いた女の色を見せる。
この二人がいたからこそ、成り立つ舞台だったのだろう。

前半で鬼宿が美朱を「子猫ちゃ〜ん」と呼んでるが、『ミラクル☆トレイン』というより、アニメのEDテーマ「ときめきの導火線」を思い出す。あの歌は最後に「にゃ〜お」と付くからw。
柳宿、張宿、軫宿が倒れるシーンは、私だけでなく、周りからもすすり泣きが聞こえてくる。特に張宿の時は、故・川上とも子さんのことが思い出されて重なった。アニメ『ふしぎ遊戯』は川上さんのデビュー作でもあったから。
額の赤い「鬼」と額の青い「心」が、初演と比べて大きくて見易い。場面によってシールを取ったり張ったりする作業も的確だ。

エピローグは、後ろの扉から出てきた平野良。この時ステージ上の美朱が手に口を当てて熱く込み上げる表情がとても素敵だ。音楽が盛り上がって、暗転と共に思わず私の目から涙がこぼれ落ちた。
愛があふれる「ふしぎ遊戯」。やっぱり私の第三の原点であり、大好きな作品なんだと、舞台での再会に感謝した。

千秋楽の舞台挨拶。仕切りは美朱の愛奈さん。
本人の要請で虚宿の小野賢章が、原作にあってカットされたというアノ台詞をアムロのモノマネで披露。アニメが違うんじゃないか、とツッコまれてたが、本人は満足気な様子w。
青龍、朱雀から其々ひと言。林明寛が双子のアノシーンはガチでやってると言い、桑野晃輔がヤル度にアッキーが色っぽく見えてくると告白、今日はベロが少し入ったとか熱いやり取りで盛り上がるw。

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