AND ENDLESS 15th Anniversary Special Program vol.2『美しの水』大千秋楽を観てきた。

物語は「白」から始まり、「青」を宿して「赤」になる…。
源義朝と、その子・義経の宿命を描いた「White」「Blue」「Red」に対して、渋谷金王丸、平教経、木曽義仲、藤原泰衡を主役に据えて各々の宿命を描く短編「Purple~黄金~、~御伽~、~息吹~、~願い~」を加えた、三部作+番外編。
そして合計15時間に及ぶ壮大な物語を締めくくるエピローグ「Purple~大地~」。
本来なら全色を観たいところだが、時間的にも叶わず。今回はキャラクター全員が出てくるという、1回公演の「大地~松尾芭蕉編」を観劇した。

松尾芭蕉と弟子の河合曾良が、源平の縁の地を旅しながら、案内人としてこれまでのエピソードを振り返る物語。

ゲストやメンバーを含めた、総勢30人の役者とキャラクターが登場。一人二役も何人かいる。
他の“色”の舞台は観ていないが、こういうシーンやエピソードがあったのか、と想像させる。
もちろん観劇された人は、見知ったシーンに笑うやら反応するやらで、思いもひとしおに違いない。私もできれば共有したかった。

作・演出の西田大輔が、義朝と義経の一人二役。衣装やメイクや演技で雰囲気が少し変わる。
アンドレでお馴染みの田中良子、村田雅和、中川えりか、平野雅史はそういう役どころだったのかと納得。藤原泰衡の窪寺昭がとても艶っぽい。伊勢三郎義盛の村田洋二郎は客席からマラソンしてステージへ、笑いがいっぱい起きていた。
ゲストで興味があったのは古本新乃輔(ジャングル大帝のレオだよね)だが、渋い異色な味の源頼朝だった。JAEの金田進一の湯浅宗重が男前だった。久保田悠来、広瀬友祐らイケメンが平家として活躍したBlueやPurple(御伽)だけでも観たかった。入場プレゼントのポスカはBlueを選んだw。
千秋楽はさすがに、ウリの殺陣や立ち回りが殆どなかった。格好良いアクションも観たかったな。

語り部の松尾芭蕉は、老人に扮した森田成一。懐の水筒に水はなく、マルイのお菓子が食べ難そうw。曾良の武舎祐里との空気感がイイ。前回の『堕天』では勝海舟先生、今回は芭蕉先生で“先生”役が続いた(笑)と本人が後で語ってた。

舞台監督はお馴染み清水スミカ。滝や川の“水”を表現する布のセットが見どころか。
テーマソングのひとつ、石川智晶の「それは紛れもなく~選ばれし者のソリチュード~♪」を聞くのも観劇の目的のひとつ。
エンドロールが流れる中、Whiteの締めを飾った音楽が「月の繭」でビックリ。『ターンAガンダム』のエピローグが脳裏にカブったw。

カテコでキャスト全員が出揃った様子は圧巻。皆さんやり遂げた感で満足そうな笑み。
西田さんが、15年やってきて今日が最高です!と感無量の笑顔で御礼を述べた。
トリプルカテコはもちろんスタオベ。会場いっぱいの拍手がキャストを包んで、感動のフィナーレの幕が閉じた。

10月の舞台『戦国BASARA3』には、西田さんの構成・演出・振付で、広瀬さん、久保田さん、ダブル村田さん、金田さんらが出演。
舞台『身毒丸』(しんとくまる)を観てきた。

本来は彩の国さいたま芸劇で開催される予定だったが、改修工事期間延長により銀河劇場へと変更。おかげで早い段階から良席のチケットを頂けることになった。

寺山修司作(岸田理生との共同台本)による伝説の作品を、蜷川幸雄の演出により、新たなキャストを迎えて新たな結末での舞台化。
初演、武田真治&白石加代子、藤原竜也&白石加代子バージョンは未見。ロビーに過去のポスターが飾られており雰囲気を感じ取れる。もちろん、今回の舞台と見比べることもなく、結末がどう変わっているのか知るよしもない。

母を売る店で買い求められた撫子を母と認められない身毒丸は、反抗的な態度を取り疎外感を味わうが、義理の息子の態度に業を煮やした撫子はついに身毒丸を折檻してしまう。家を飛び出した身毒丸は、やがて壮絶な復讐へと追いつめられる。

「母」の“S”の部分と「女」の“M”の部分が一気にほとばしる、哀しくも鮮やかな撫子の姿である。
義理の息子が十八歳というのも妙。彼の凛々しい褐色の肌を見た時から、女の性が疼いたのだろう。彼が自分を嫌って避けられるのは、彼女には耐えられない苦痛と屈辱。アノ子を振り向かせたい、自分を好きになってほしい、自分のものにしたい。欲望はやがて情念となって燃える。
あの年頃の「息子」を純粋にイジめてみたくなる気持ちも分るw。大きな体で大きな口を叩くのは憎らしくもあり、甘えと寂しさを引き摺るのは愛おしいものだ。
肌の露出が多いが、絡み合う姿はそれほど官能的なものではない。撫子と身毒丸より、身毒丸が男の子を襲う場面は、子役のこともあり、ちょっとショッキングに感じた。義理の母子はありがちだが、義理の兄弟のレイプはそうそうあるもんじゃない。

大竹しのぶは、前半はけだるさとドライな雰囲気、後半にわたる鬼気迫る演技が絶品。小娘の様相から夜叉まで、いかようにも演じる変幻自在ぶりは大したものだ。長い髪を振り回しながら木槌で釘を打つ大竹さんが、実に楽しそうだったのが印象的。大竹さんの生々しい演技が、甘い快感をもたらすのが面白い。
オーディションで選ばれた新人・矢野聖人は、野生味のある風貌で体当たりの演技。台詞使いが荒いのが惜しい。映画『もしドラ』の時よりもうんと痩せていた。
六平直政が世間体を重視する頑固な親父から、家を失う哀れな老人までを明瞭に表現。初演に続き、蘭妖子、石井愃一が世界観を構築する。せんさく役の少年が明るく逞しいムードメーカー。

家族間の世界なのに、登場する者は思ったより多い。世の中には様々な家族が存在し、其々に問題を抱えながら家族を造り出しているということか。
可動式セットが大胆にゆるやかに場面を変化させ、“家”そのものを造り出す。銀河劇場で人力による可動セットを拝むのは珍しい。盆があまり使われないのも珍しい。
地下へ通じる「穴」に『ドラえもん』が浮かんだがw、派手な彩色のパレードに故・今敏監督の『パプリカ』が思い出された。
ズラリと並んだ“印鑑”に、自分の苗字をつい探してしまうが、我が身を振り返させる警鐘とも取れそうだ。子守唄や演歌がしつこいほど流れ、俗世間を繋げさせる。
少年のみずみずしさと女の濃厚さがぶつかり合った、スリリングでリアルな“おとぎばなし”にも思えた。

ダブルカテコでも、大竹さんと矢野くんが手を繋いでハケていく姿がカワイイ。
矢野くんはこの舞台によって、成長と飛躍をしていくのかもポイントだ。
D’TOT 3rd act『FRAG-新撰組Vermilion Order-』を観てきた。

TUFF STUFF 3ヵ月連続横浜公演の第3弾。
横浜を経て、念願の東京公演2日目である。
お初のキンケロシアターは、愛川欽也さんが作られた劇場だという。
客席は綺麗で観易いが、お手洗いの数が少なく開演前終演後は長蛇の列。

幕末の京。後の新撰組の「旗持ち」として、誠一文字の隊旗を振り続けた尾関雅次郎の入隊と成長を、新撰組隊士内の壮絶な闘いを絡めて描く。

史実を基にしたオリジナル・フィクション。幕末だけど、ちょんまげもなければ侍の衣装もない、現代的なコスチュームやメイクがクールで破天荒。
男たちによる殺陣を中心にした熱気ムンムンのアクション活劇は、いつぞやのAxleの劇風に似ている。

主人公の青年・尾関の目から見た新撰組は、新しいテイスト。近藤・土方・沖田など有名どころがすべて悪役みたいな様相なのが面白い。てか、みんなイカれてるだろ!?(苦笑)
新撰組内で最強かつ最愛の人物が芹沢鴨。この作品の芹沢には坂本龍馬な風味が加えられ、世情を幅広く見渡し世界に目を向ける、勇猛果敢で知的な風格を持つ人物として描かれる。もちろん女性にもモテて、美しき愛人もいるという設定。実は芹沢こそが、いち早く尾関の才能と気風を認めて入隊させた張本人。尾関もそんな芹沢の大らかな魅力に惹かれていく。

「芹沢」「近藤」「山南」の3大勢力による、新撰組内の派閥と権力闘争。まるでどこぞの政治の世界かヤの付く世界だね^^;。駆け引きもあれば裏切りもあり。史実通りの結末ながら、中味はどろどろした壮絶な闘いが繰り広げられる。
今まで観た新撰組関連の舞台では、山南の存在がどうも薄かったが、ここでは山南の内面性まで掘り下げてクローズアップ。
今まで悪役だった芹沢鴨が、ここでは正義の味方のヒーロー然。だが、悪貨が良貨を駆逐する時代。信念と目的のためには正義さえ邪魔になってくる。芹沢の最後の言葉が凛々しくも切ない。
勝者が積み上げてきた歴史だし、案外、こういう芹沢も存在したのではなかろうかと思いたくなってくる。

とにかく全編、スピーディで迫力ある殺陣とアクションが見どころ。暴力沙汰多し。お子様にはちょいと見せられない残虐性もある。
尾関@高崎翔太は、甘い台詞使いだが、生き生きと体当たりの熱演ぶり。
芹沢@唐橋充は、見た目はニィ健一(@最遊記歌劇伝)そっくりで胡散臭いw。中味は男気に溢れた大物の風格たっぷりで、時に可愛くも優しく人間味のあるステキな芹沢だった。
ミュんたまで頂いたチラシで興味をもったが、お目当ての沖田総司@末野卓磨は、明るい色気と飄々とした柔らかさで、キレのある華麗な殺陣を存分に見せて格好良かったv。
土方歳三@富田翔が「うぜぇ」を連発する冷酷非情なアバレっぷり。近藤勇@井上賢嗣、山南敬助@聡太郎、島田魁@磯貝龍虎の大柄な体格が頼もしい。斎藤一@柴木丈瑠、大石鍬次郎@松本寛也のアヤしげな言動も目立つ。
尾関弥四郎@増島愛浩の色気のある雰囲気が、元アクサルの加藤巨樹に似ていた。梅@長澤奈央の麗しい色気も好ましい。

ロビーには、「スーパー戦隊シリーズ」スタッフ一同から7人のキャストにまとめて花壇。ハリケンブルー、アバレブルー、腑破十臓、ゲキチョッパー、マジイエロー、ガオブルー、ブルーレーサーと錚々たる顔ぶれだw。
帰りに入場者プレゼントのポスターを頂いた。行き帰り、雨にあわなくてよかった。
『abc★赤坂ボーイズキャバレー~2回表!~‐喝!&勝つ!‐』東京千秋楽を観てきた。

千秋楽とあって、開演前のロビーや踊り場は女性たちでもの凄い混雑^^;。
先週1回観ただけだが、開演前の役者たちの練り歩きパフォーマンスも衣装も違っており、新しいものも拝めるので、ワクワクしながら待ち続けたり。DVDには収まらないかもなので尚更貴重。
潮見慶介(兼崎)と福本亮(浜尾)によるチラシとティッシュ配りを囲む群れがもの凄いw。おかげで今回もまた頂戴できたv。
ステージでは京晋一郎(大河)の録音歌が流れ、最初から手拍子いっぱいの微妙な盛り上がり。
もちろん満員御礼。2階席までビッシリで、立ち見もいた模様。

キャストは(50音順)、赤堀二英(SET)、岩崎大(Studio Life)大河元気、大塚庸介(イッツフォーリーズ)大橋智和、柏進、加藤良輔、兼崎健太郎、川隅美慎、斉藤慶太、齋藤ヤスカ、汐崎アイル、清水順二(30-DELUX)、寿里、鈴木拡樹、DAIZO、知幸、仲原裕之(Studio Life)、中村誠治郎、成松慶彦、浜尾京介、福山聖二、前山剛久(D2)、柾木玲弥、三浦涼介、三上俊(Studio Life)、森大(少年社中)、国井夏樹の計28人。
残念だったのは、吉田友一が初日から千秋楽まで体調不良でずっと休演したこと。代役で奮闘した国井くんの写真でも用意して貰って、パンフに挟みたかった。

先週あった、オープニングの歌&ダンスがすっぽり消えていたような^^;。スリリングな音楽に合わせたキャスト紹介の映像が楽しい。
とにかく、開演前の利根川渡(柏進)の前口上からスタートし、終演後のカテコ挨拶も利根川の締め口上でエンドとなった舞台w。利根川さん、すっかりこのシリーズで存在感を確立。まるで利根川も天空旅団もリアルに存在しているような。

役者の名前だけでなく、劇中ではキャラクターの名前も知っておく必要があるが、2回目になると自然に頭に入ってくる。京さんしかり、愛川先生しかり、田中和男に柏木に星野、どんどん馴染んでくる。会場外で男優の名前を思い出せなくとも、合田さん!って言えばすぐ意志疎通できちゃう可笑しみもあるw(電車内でそんな会話を聞いた)。演ずる役者たちも、自然な演技のためにも、日頃から自分の役名を使ってる人がいるかもしれない。ブログにも「○○です」と役名を書き込んでいる役者も少なくない。
ブログといえば、女装写真がいっぱいアップされてて笑った。劇中でいくつか女役もあり、女装情熱抜群の某人の影響も受けたのか、急に女装が楽しくなった男優もいたようだ。今後の配役にも繋がるのか。Studio Lifeの3人も負けられないw。
間近でキャストを拝められるためか、皆さん悉くお痩せになったと思う。ハードな稽古で痩せたのかもしれないが、本番を迎えた初日ぐらいからグングン痩せてきた人もいた。体脂肪率がまた下がったのだろうか。顔の頬がこけると化粧にも影響しそうだ。緊張感と集中力も伴う舞台だが、其々体調管理だけはしっかりお願いしたい。

あらためてもう一回観ると、今回は殺陣や立ち回りのアクションが実に多いw。
チケットを取る時に、何が楽しみですか?というアンケがあって「殺陣とアクション」と答えた私だから、殺陣が多いのは大いに結構! 今回、殺陣も目的のひとつだったから。
劇中では殺陣チームが目立つが、劇中劇ではキャストの半数以上も殺陣や立ち回りもこなすので、様々な活劇を目の当りにできる。役柄によって殺陣やアクションや闘い方も異なり、其々に共闘したり対決したり劇中の役と絡めたりと、見事な二重構造がこの舞台の見どころのひとつ。
今回は劇中劇が統一され、其々の役どころと見せ所も明確だったので、より分りやすくより込み上げるものがあった。
シェイクスピアの名言ではないが、この舞台の上では誰もが主役、誰もが自分の見せ所を心得て生かしていける場なのだろう。

とはいえ、カテコでタキシードの役者が二人ずつ出てきてお辞儀をする場では、予想通りの舞台の中心人物が最後のほうになっている。
潮見(兼崎)と愛川(岩崎)の後にくる、オーラスの柏木(斉藤)と光石(三浦)だ。一幕モノローグの福本(浜尾)は俯瞰的位置づけだった。本当のメインは前作から出演した柏木であり、同じチームだった柏木が出演した去年の『abc★』を観に来て、刺激を受けて今回出ようと決めた光石なのだった。そのへんのことはパンフのHISTORYにも書いてあるが、三浦くんが本当に去年の夏に『abc★心ごと脱げ』を観に来ていて、自分もずっと『abc★』に出たかったというから、まさにリアルな設定だとニヤけてしまったw。
だから劇中で潮見慶介が弟のことを思った時、千秋楽なんだし、客席向こうのドアからホントにケンケンが出てくるんじゃないかとちょっぴり期待してしまったw。
ケンケンとか前回のキャストは、今回の舞台を観に来たのだろうか。それともニューフェイスの若手が観に来て新たな刺激を受けたんだろうか。

一幕ラストのショットは、前回より長かった。真っ先に目に入ったのが福本w。
DAIZOの「abc★」、京晋一郎が唄う「エナメルラバーズ」はすっかり定着したが、今回ダンスチームが踊った「風花歌」は、堤泰之が作詞なのも興味深い。
カテコは「まわせ!さわげ!」でキャスト全員とお客でミニタオル回し。ブログにあったので「abc come on!」のレスポンスも何とかやってみたw。

ダブルカテコでは千秋楽恒例、年長の赤堀さんのリードで役者28人が其々ひと言ずつ挨拶とお礼。赤堀さん、全員のフルネームを間違えずに言えてさすが。急遽代役をこなした国井くんが涙ぐみながらお礼、頑張ったね。皆さん、大阪公演に向けて新たに意欲を燃やしていた。大阪ではまた別のパフォーマンスもあるんだろうな。
最後の挨拶は、もとい利根川の締め口上「ダダンダダン!」。ちゃっかり大阪公演一人芝居も宣伝していた。

キャストと客席との一体感の興奮の中、最初から最後までいっぱい刺激を受けて大いに盛り上がったひと時。
満足感と充実感でゆるやかな幸せを味わった。観るほうにも元気をもらえる作品。だからこそ舞台も芝居も必要なのだろう。
今日は開演前から終演後の喫茶まで、ライフ仲間の方ともご一緒できて楽しかった。

『abc★2回表』の後は、『コントンクラブ5』『abc★2回裏』『BARABAN』と続く。
堤泰之氏絡みとして、来週のSPC鈴舟『ベイビー★フェイス2』も楽しみなところだ。
BLEACH連載10周年記念公演『ROCK MUSICAL BLEACH』千秋楽を観てきた。

さすがの満員御礼。立ち見までいる盛況ぶりだった。
7月から始まった公演。中には、空席が目立った回もあっただろう。
だがいつも真剣に舞台に臨んだキャスト陣にとって、これが本当に最後の晴れ舞台。

「護りたいものはあるか!」「護れるものはなんだ!」
力強いミュージカル・ナンバーの中には、何度か聴くと味わい深いものがある。

一幕から黒崎一護と射真の激突。歌の競演も聞き所だ。
主演の法月康平は、ミュージカル界のスター・新納慎也を相手に、己の全身全霊をぶつけて挑んできた。歌唱力では勝てないまでも、絶対に負けないでいようという心意気。そのひたむきで一途な様子は、一護の姿とも重なって、とても好感がもてた。

ラストシーンから法月くんがうっすら涙目なのが分った。ミニライブの時も必死に涙をこらえている様子が見てとれた。
カテコで全員が立ち並んだ時、何とか抑えつつ苦笑しながら「ボロボロです」と法月くん。千秋楽恒例、隊員から順番に一人一人が挨拶とお礼。

7/1から始まり、地方公演も含めて、全52公演。
長丁場の間、誰一人として怪我もなく、無事に千秋楽を終えられたのが素晴らしい。やり続けること、やり遂げることが凄いと思う。
一緒にいるキャスト、支えてくれたスタッフ、そして劇場へ足を運んだお客様へ、心から感謝を述べるキャストの皆さん。素晴らしいカンパニー。みんな、大好きだ! 愛すべき作品だ!と嬉しそうに笑うキャストたち。
白哉役の太田基裕、冬獅郎役の木戸邑哉は、お礼を言いながらも涙が滲んでいた。恋次役の鯨井康介はつとめて明るく楽しいコメントでお礼を。浮竹役の西島千博は一気に込み上げてきたのか、まさかの涙を流しながらのコメント。バレエダンサーの彼にとっても大いに刺激を受けた舞台だったのだろう。西島さんの涙を大らかにフォローしたのが京楽役の石坂勇で、自分も泣きたくなりそうなのを「涙は若い人に任せて」とやんわりと留め、「ここにいるみんなをこれからも応援して下さい」と年長らしいエールを添えた。

ルキア役の佐藤美貴は、絶対に泣かないで強気のコメントをするだろうと思ったら、まさかの涙でビックリ。本人も泣かないと思ってたのに自然に涙が出てきたのに自分で驚いた様子。自分だけ前作からの続投で、みんなから受け入れて貰えるだろうかと思っていたという。
射真役の新納慎也は、感無量ながらジョーク交じりで「次回ブリーチがあるなら、僕と彩乃かなみさんはどうなっちゃうの?」と。でも「なんらかで出演したい」ようなことを話し、拍手がおこった。

そして法月康平。隣のニイロが肩を抱く。法月くんはまだ刀を持ったままw。ゆっくりと前に出て「前の一護と比べられるんじゃないかと、公演が始まってもずっと気にしていた」「でも地方公演を経てみんな仲良くなって、そういうことはあまり気にしなくなって肩の荷が下りた」キャストやスタッフにはもちろん感謝だが「特に演出家のきだつよしさんには色々教えて頂いて感謝しています」と立派にお礼を述べた。
10ヶ月前に一護になった法月くん。思ったよりも、強くてしっかりしたものを持っている青年だ。法月くんの一護がいたからこそ、座長が法月くんだったからこそ、52公演も無事にやり遂げられたのかもしれない。

トリプルコールからスタオベ。ここはやっぱり彼らに大きな拍手でしょ。
4回目のカテコで、幕がしまったままで法月くんだけステージ前に照れ臭そうに出てきた。「こうやってお客さんの拍手を頂き、カーテンコールを頂くのが夢でした。夢が叶いました」と頭を下げて、拍手の中を手を振って去った。
いやいや、夢が叶ったで終わらずに、これからもっともっと成長し飛躍して、また舞台というステージで活躍していただきたい。
とても気持ちの良い千秋楽だった。皆さん、お疲れ様でした。ありがとう。

前回に続き、また抽選の舞台写真が当った! この前は恋次で、今回は射真。どちらも写真が赤っぽいw。ニイロの写真も嬉しい。
テニミュと違って、ブリミュとは縁があるんだろうかw。

今回はBLEACH連載10周年記念公演と銘うっていたから、オリジナルストーリーでも良かった。
だがもし、同じキャストで同じようなカンパニーでまた舞台をやるのなら、やはり原作&アニメに沿った展開で、護廷十三隊メンバーも増やして頂きたいなと思う。

abc★2回表!

2011年8月26日 舞台演劇
『abc★赤坂ボーイズキャバレー~2回表!~‐喝!&勝つ!‐』を観てきた。

昨年に続き、【abc★赤坂ボーイズキャバレー】(新作・書き下ろし)キャストオーディションに集まってきた男たちが、切磋琢磨し稽古をして成長しながら、ひとつの舞台を作り出して観客を楽しませてくれる話。
昨年の『表~心ごと脱げ!~』『SpinOff裏』『SpinOffゲネプロ』に続く、abc★シリーズ。
原案は松野一茂、脚本・演出は堤泰之(プラチナ・ペーパーズ)。
松野氏によると、野球の「オールスターゲーム」のような夢の競演を目指しているようだ。

芝居とは?舞台とは?役者とは?仲間とは?家族とは?
そして、自分とは? 自分が本当にやりたいこととは?
堤泰之節が作品の隅々までいっばい詰まっていて、あっという間の面白さだった(^o^)。
この作品のキモというべきバカ役者・利根川が、土壇場で自らの思いを吐き出す場面で静かに音楽が流れるなど、堤テイストの演出が気持ちよく光る。
去年よりも分り易い仕上りでメッセージ性も強く、観客との距離もまた縮まったように思う。
観るほうを最初から最後まで存分に楽しませ、あたたかいものが込み上げてくる舞台だった。

出演者28人のうち3分の1が、昨年の『表』などからの続投。役柄と共に、彼らの成長や変化も味わえる。
同時に新しく加わったキャストが、役柄においてどう関わり、どのような化学反応や影響を見せるのかも見どころ。
役柄ひとりひとりに、バックボーンと個性と性格が丁寧に配置され、演じるキャストと共に味わえるのも妙。
舞台にお目当ての男優はいっぱい出るが、自分の贔屓の役者だけでなく、他の役者を知ったり新しい魅力を知る機会にもなるから美味しい。
若い役者や俳優にとって、この舞台そのものが出会いと成長の場であり、この舞台に一度は出たくなるのも頷ける。

マジメなことはさておき。
昨年同様、開演前から客席外から、キャストの愉快なパフォーマンス。銃をもったボディガードに、カップラーメンに、自前のウェディングドレス(ブーケトスまで)。abcのチラシとティッシュもいただけた。今年は数を増やしたのか配布サービスがイイw。
前方ちょい端の席だったが、目の前で愛川先生がひとりで発声練習v。いま思うとこれも布石のひとつだったんだねw。

登場する三つの劇団の違いや共通点が興味深い。ミュージカルが入ると世界観が深まってイイ。
ダンスチームと殺陣チームが特に目立っていたかな。
其々のキャスト紹介で、コロスとして登場する人の女装もなにげに見どころw。
個人的に、堤氏の傑作シリーズ『bambino』が思い出されて懐かしかった。オープニングの歌&ダンスからしてそうだし、メンバーが集まったし(一人だけ体調不良で欠席なのもバンビーノらしい^^;)。オーナーの名セリフも出てきた。お兄ちゃんはカンボジアから帰ってきたんだw。
殺陣には、リアル師匠弟子の図が組み込まれ、30-DELUXの『ファミリア』が思い出された。
テニミュ組はいうに及ばず、特撮組やネオロマンス組も個性発揮で頑張っていた。
Studio Life組が思ったよりも目立つ役どころで嬉しい。
はじめて知る多才なベテランから経験の少ない若手まで、40代から10代までの男たちの熱演や奮闘ぶりが伝わってきた。

1幕ラストの脱ぎは一瞬過ぎっw。
時代劇になると扮装するので、役名で呼び合ってもダレなのかすぐに分らない人もいたり。
カテコはもちろんタキシードで、リズミカルにタオル回し! 一体感の興奮の中、最後まで盛り上がった。

パンフはもちろん割引価格で。
会場内は「ラッシードくん」(名前ができたんだ!)のみ撮影可。
キャスト人数に比例して花壇の数がもの凄い! 『199戦隊』に負けじと『劇場版オーズ』からの花が並んでた(笑)。
次は千秋楽に観劇予定。
アトリエ・ダンカンプロデュース公演『ピグマリオン』を観てきた。

誰の発話からも出身地を当てるという音声学の天才である言語学者ヒギンズと出会った花売り娘イライザは、彼の家に押しかけ、淑女の喋り方を教授してくれと頼む。実験精神に富んだヒギンズは彼女を家に住まわせ、淑女へと変えようとするが…。

『ピグマリオン』は、ギリシア神話を元にしたジョージ・バーナード・ショーが書いた100年前の戯曲。
映画『マイ・フェア・レディ』『プリティ・ウーマン』の基となってる作品で、日本でも1993年から『マイ・フェア・レディ』として上演された。
この戯曲があらたに赤堀雅秋の手によって蘇り、フレッシュなキャストで演じられる。

興味のある題材で期待していたが、あらたな物語はやや緩慢で物足りない。ヒギンズがイライザのスラム街風の発声を矯正する方法や、イライザに淑女としての振る舞いを特訓するシーンがすっぽり抜け落ちている。ヒギンズの苦労やイライザの頑張りが全く見えないので、ヒギンズの天才的手腕も彼の言葉にも説得力が感じられない。結果として、いつの間にか美しくなっている着せ替え人形が登場するだけだ。
つまり、イイとこ取りだけを寄せ集めた浅い物語になってしまったようだ。
ヒギンズが予想より若い設定なのもいただけない。あれでは10代のマザコン!せめて20代半ばだったら、学者としての雰囲気も出ただろうに。

一番難だったのがヒギンズ役のミスキャスト。市川知宏は確かに長身でイケメンで舞台向きかもしれない。初舞台で初主役だが、物怖じしない様子も悪くない。だがドラマの演技と違って、舞台ではなんたるダイコン!^^; 台詞全てが一本調子でがなり立てるだけ、動きも硬くてまどろっこしい。元々毒舌で命令口調なヒギンズ像だったが、市川くんが喋ると、横柄で我が儘で軽薄で底意地が悪いヒギンズになってしまう。主役だから出番は多いが、市川くんが喋る度に気分の悪さが増して中盤から帰りたくなってしまった^^;。いったい誰が彼をどうしてこういう役で起用したんだろう?

脇を固める役者陣はまずまずの出来。フレディーの加治将樹は、市川くんと比べると演技力の上手さが際立つ。イライザへの一途でひたむきな様子が丁寧に表現されて、生き生きとした新たな魅力も光っていた。誰だって、あんな威圧的で性根の腐ったヒギンズより、素直に思いを寄せてくれる優しいフレディーのほうがイイに決まってるだろうw。
フレディーはヒギンズと会話するのも多く、その間はヒギンズの喋りを我慢して聴いてたが、ヒギンズがいない場でフレディーがイライザと語る場面は、一心に集中できてとても心地良かった。ヒギンズがいなければ、いい舞台なのかもしれんw。
なのに、イライザが立ち去ろうとする場面で、性懲りもなく引きとめようとするヒギンズ。強情としつこさに嫌悪感が増した。
イライザの高野志穂は、キュートな表情と仕草で逞しく熱演して好感がもてた。
ピッカリング役みのすけは達者だが、ヒギンズとの会話にリズムが生まれなかったのが残念。
尾藤イサオはクセがある濃い芝居で好みが分かれそう。浦嶋りんこの「アメイジング・グレイス」の歌が聴き所のひとつか。

いっそ、市川さんと同年齢の小野田龍之介さんを、ドラキュラから引き抜いてヒギンズ役に据え、ミュージカル化して歌の力を加えていただきたいものだ。でもそうなると周りも歌える人に替えなければいけないか。
どうせなら、知的雰囲気もあり演技力抜群のズッキーにヒギンズを演じて貰って、加治くんのフレディーといっしょに、D-BOYSの劇団BACCASとして上演して貰いたいなとも思ったw。
ミュージカル『ドラキュラ』を観てきた。

2004年にブロードウェイで初演後、フランク・ワイルドボーンの楽曲で、日本初上陸。オーストリア・グラーツ版だという。
今回は主演のドラキュラ伯爵を、元宝塚トップスターが演じ、世界初の女性ドラキュラとしても注目されている。

トランシルヴァニア城に住むドラキュラ伯爵が、イギリス人青年ジョナサン、ジョナサンの婚約者ミーナの親友ルーシー、本命のミーナを次々と襲うが、ヴァン・ヘルシングによるドラキュラ退治隊がその野望を打ち砕かんとする話。

一幕の初っ端から、お目当ての小西遼生@ジョナサンの歌。最初はドラキュラの歌で幻想的世界へ煽っていくのかと思ってたので、大いにビックリw。唄いながら階段を降りてくるが、少々声量が乏しくて、ヒヤヒヤしながら見守った。
その後も、ソロが3曲ぐらいあったり、デュエットにアンサンブルと、思った以上に唄うので胸のときめきを超えてドキドキしながら聴き入った。難しいメロディーラインばかりで、遼生さんはソツなくこなし丁寧に唄い上げるが、ミュージカルという場的にはいまいち声量が足りない。
一幕最後で、和央ようか@ドラキュラと花總まり@ミーナを相手にして歌う場面は、正直、聴いていて辛かった^^;。元宝塚のあの二人に勝てないまでもせめて釣り合うように、もっともっと突き抜けた声を張り上げて欲しかった。
ミーナとのデュエットは、ミーナを思う気持ちが溢れていて情感たっぷりの歌声なのだが、花總さんの声が高らかに響くので、遼生さんの声が消されてしまうようだった。まだ公演序盤なので、これから遼生さんの歌がもう少し進化成長していくと信じたい。

歌は別にして、遼生さんのジョナサンはスラリとした長身にエキゾチックで誠実な顔立ちで、いかにも品よく知性のある紳士ないでたち。英国製風なスーツやベスト、結婚式のスーツもよく似合っていた。
舞台のジョナサンはまさに総ウケ!(*^。^*) 3人の男性ヴァンパイアにブラウスを剥ぎ取られて上半身を裸にされ襲われてw。遼生さんの二つの乳首が目に飛び込んで、ドギマギしながら笑いが込み上げたりw。綺麗な褐色の肌で腹筋もまずまず逞しくて凝視v。その後もドラキュラに羽交い絞めにされて血を吸われるジョナサン。ライブで言ってた「恍惚」としたジョナサンの表情と、エロチックな場面が目の前に広がってニンマリ。
血を吸われた後に出てくるジョナサンは、白毛が混じり急に老けた感じで何かを達観している様子。それでもまた、ヴァンパイアの指先ひとつで倒れてしまったりと頼りないw。
妻ミーナがドラキュラ伯爵と睦まじく愛を確かめ合いながら唄う場面の間、ずっと倒れたまま動かないでいる遼生さんも大変だろうなと思う。

ミーナ役の花總さんは、綺麗だけど大人っぽい顔立ちと喋り方で、遼生さんと一緒に並んでもあまり釣り合わない。ジョナサンへの気持ちも淡白な感じ。
最初っからドラキュラとミーナの運命の恋を描いたものだから仕方ないが、もう少しジョナサンへの思いを表現して欲しいし、愛する二人の間で揺れ動く純粋な心も表して欲しかった。
安倍なつみ@ルーシーは、お人形さんのような可愛らしさ。ウェディングドレス姿も可憐。『嵐が丘』は観てないけど、思ったよりも歌えるし演技も情感豊か。ルーシーの空中浮遊は上手く細工されていて、ちょっとした見どころ。ヴァンパイアなルーシーもなかなかの力演だった。

ルーシーと一緒になるアーサー@矢崎広も、舞台では割と目立つ役どころ。『オレンジ』効果か感情表現が豊かで、歌も結構上手く感じられた。なつみさんも釣り合いがとれてイイ雰囲気だったが、育くんと違って今度は噂にならないで欲しいなと思うw。
上山竜司@ジャックは、抑えた演技で知的で快活な雰囲気。松原剛志@クインシーは、大らかで野生的でハデw。二人ともぴったりの役どころだが、其々のソロの歌や歌う場面がもっと欲しかった。
小野田龍之介@レンフィールドは、まるで『最遊記』の紅がい児なメイクw。出番的にわかってはいても、歌う場面も少なくて実に勿体無い使われ方。せっかくの賞もちょっと残念。遼生さんの歌が多くて、かえって申し訳ない感じがする。

鈴木綜馬@ヴァン・ヘルシングはさすがの凛々しい歌いっぷり。ヘルシングのリードで、ジャックやアーサーやクインシーが加わった、やっつけに行くぞー的な歌がまるで四銃士のような凛々しい格好良さで、もっと聴きたかった。

和央ようかはさすがの存在感とカリスマ性。会場の前方から中ほどはほぼファンたちでいっぱい。男声の歌唱もかなり迫力があったが、宝塚特有のクセがありちょっと私にはいまひとつ。
冷淡なドラキュラを印象付けるためなのか、微動だにしない目や表情がなんか無機質な感じで、ドラキュラを魅力的には捉えられなかった。
二幕に入るとドラキュラとミーナの歌も多くなり、どれも同じようなゆるやかなメロディーで、次第に飽きて眠気さえ出てきた。これが「宝塚」なんだと思ったが、私にはどうも合わない。

昨年もStudio Lifeで『ドラキュラ』を観ていたし、筋もだいたい分っていたが、予想通り、「ゆり」な舞台だった。ライフさんのは女性役も男性が演じてたし、ドラキュラとジョナサンの交流も熱く深いものがあったので、何となく「BL」な雰囲気もあって面白かったが、今回の舞台は丸っきり逆なものだった。
ライフの舞台では、ルーシーが最後の最後に純粋な心を取り戻してアーサーと口づけを交わしたり、クインシーが仲間に後を託したり、ミーナがジョナサンの元に帰ったりと、きめ細やかにキャラの心情を描いて後味の良い展開を見せてくれた。
今回の舞台は全くそういうものが省かれて、味気なく後味もいまひとつな物語となっていた。
宝塚ファンを喜ばせる舞台なのだと、あらためて思い知った。

パンフは、和央さんの写真集みたいな作りで高い。


この後は水道橋へ。ドラキュラは一日1回公演なので、また松原剛志さんに会えるw。
こまつ座 第九十四回公演『父と暮せば』を観てきた。

1994年に鵜山仁の演出で初演されて以来、既に十四回目を数える、こまつ座のライフワーク的作品。
2008年度からは栗田桃子と辻萬長の父娘で上演をかさねている。
ずっと観たかったお芝居で、ようやく念願が叶い、前方席までいただいた。

原爆投下後の広島を舞台にした、娘と父の二人芝居。
市立図書館で働く娘・美津江は、お客のひとりに抱いた恋心を必死に押さえつけようとする。父・竹造は全身全霊に娘にエールを送るのだが…。

故・井上ひさし氏の「原爆」そのものが詰っている作品。
こういう時期だからこそ…ではなく、どんな時にもやり続けなければいけない、次の世代に語り継がなければいけない舞台だ、と書かれてあった。

「言葉」ひとつひとつを大切に紡ぐ、お二人の会話がとてもゆうるりと心地良くて分りやすい。
まるで“水”のように、聴いている私の体内に染み入るような心持ちだった。
照明の作用が大きく、薄明かりのぼんやりした室内で交わされる会話は、まるで子守唄のようにとろとろと眠気を誘ってくれる。お隣の年配の男性など、スヤスヤと寝息をたてていらしたw。
ところが空が晴れたり真昼間に変わると、照明が突然明るくなり、急に観る目もらんらんと輝いて舞台に集中できてしまう。舞台を彩る、暗と明のメリハリが実に上手いこと!
照明の中でも印象的だったのが、「太陽が二つ」を回想する場面の白い光。とても不気味なのに思わず凝視したくなる光だった。

「言葉」は聴くほうに強い想像力と刺激を与えてくれる。ピカドンの会話だけなのに、きのこ雲の下の光景が、とても生々しく脳裏にイメージされる。自分が創り出した地獄図に、自分で驚愕して胸が疼くようだった。
でも最後は、娘のあるひと言で、思わず笑みがこぼれてしまった。ちょっと間を置いて、竹造も満足そうな顔になる。
娘と父のたった四日間の話で、もうこれでお仕舞いかと呆気なく思ったが、一週間後に8月6日を三度迎えるとなれば、ここでスッキリ終わらせて娘の幸せを祈ったほうがいい。
井上氏は故郷の東北・岩手に思いを馳せたようだが、どこの地にいても“平和”を祈らずにはいられない。

宮沢りえと故・原田芳雄の映画版を先日テレビで観たが、画面や雰囲気が何となく暗く感じた。舞台版はかけ合いやキャストの持ち味もあって、テンポのいい明るさがある。
恐ろしくも哀しいけれど、滑稽で深くて温かい物語だった。

昨年に辻さんがご出演された舞台アフタートークで、井上氏が生前に構想を練っていたという話が出たが、母と息子を描いた『母と暮せば』という舞台がもし実現していたら、ぜひ観たかったなと思った。
帝劇開場100周年記念公演ミュージカル『三銃士』を観てきた。

安いチケットを取ったら端ブロックでゲンナリしたが、前に人がいなくて観易くはあった。
私の周りは殆ど空席で、平日の人気のなさに唖然^^;。

2003年オランダのロッテルダムで初演され、 2005年ドイツ・ベルリンで上演されたミュージカル。
私が初めて観た映画として記憶に残っている、1973年のイギリス映画『三銃士』やその後の『四銃士』が面白かった。
日本では最近まで放映された三谷幸喜脚本の人形活劇があるが、私は1987年に放映された『アニメ三銃士』が好きだった。

“銃士”になることを夢みてパリへやってきたダルタニャンは、三人の銃士アトス、ポルトス、アラミスと出会い、アンヌ王妃の侍女コンスタンスと恋に落ちる。一方、王宮で暗躍するリシュリュー枢機卿は目的のために王妃を騙し、その騒動と策略の中にダルタニャンたちも巻き込まれていく。

5月の製作発表にオーディエンスとして参加した時は、キャストの元気で力強い歌声に胸を弾ませ、結構期待していた。
「みんなは一人のために、一人はみんなのために」を合言葉に大活躍を繰り広げる三銃士とダルタニャンの姿を楽しみにしていた。
でも実際の舞台は、陽気でエネルギッシュな反面、苦さや肩すかしがあって、真に満たされないものが残った。

今、一番ぴったりくる豪華キャスト陣だが、キャラクター性がやや中途半端なのが残念。タイトル通り、三銃士たちをもっと個性的に描き、彼らにしか出せない出番を持たせて欲しかった。
こういう物語のヒールは存在感があるが、主役たちを食うほどの目立ちぶりなのに、生き様に徹底した悪が貫かれていないのがもどかしい。
原作と異なり、コンスタンスがボナシューの妻ではないところがネックかな。結末的にも、時には明確な枷が必要だと思う。
ダルタニャンを行かせるためにアトスたち三銃士が次々と脱落する肝心な場面がゴッソリ省かれていたり、カレーの安宿やパリへの帰途の場面にも物足りなさがある。
要は、元のオランダ版の脚本や演出のほうに問題があるのかもしれない。日本人好みのテイストや見どころや真骨頂が抜けていて、面白さとエキサイティングに欠けているように思えた。
達者な俳優たちにより、アドリブやネタで面白くさせようとしてくれるが、度が過ぎるとシリアスとコメディのメリハリ感も薄れてしまいそうだ。
端ブロックで、セリフや歌詞が少々聴き取りにくかったことも要因しているだろう。
特別にお目当てのキャストがいない私には、少なくともリピートしたくなる舞台に思えなかった。

井上芳雄@ダルタニャンは、登場時から『BLEACH』の黒崎一護に見えてしまったw。前向きでがむしゃらでセンチな性質とか行動とかがソックリじゃん。フェンシングな刀なので、斬るより突く殺陣がメインだが、結構出ずっぱりで頑張っていた。芳雄さんは歌の上手さというより、はちきれんばかりのパワフルな歌声が若者らしくてイイ。
橋本さとし@アトスは、冒頭の後ろ向きの姿ですぐ判るが、ソロの歌声が凛々しいこと。
石井一孝@アラミスは、もう少しお洒落で品があるところを見たかった。
岸祐二@ポルトスは、詰め物をした太っ腹な体型作りで機敏な動き。
三人のハーモニーは高低音が綺麗に響き、元気と勇気がわくようで、もっとずっと聴いていたかった。

コンスタンス@和音美桜が、純粋可憐な面立ちで可愛らしい。頼りなさから一転、輝くような凛とした歌声も聴かせる。
吉野圭吾@ロシュフォールは『黒執事』に出てきそうなネタキャラw。伊藤明賢は『ガンバの冒険』のノロイが記憶にあるが、背筋がピンとしたハンサムなバッキンガム公爵を好演。坂元健児が役者をやったりアクロバットを見せたりと器用に活躍。
瀬奈じゅん@ミレディは、動き易さのためとはいえ、網タイツに皮パンはちょっと引く^^;。作品中の立ち位置といい、午前中に観た峰不二子と重なったw。
シルビア・グラブ@アンヌ王妃、今拓哉@ルイ13世は、仮面夫婦的にもピッタリ。
山口祐一郎@リシュリュー枢機卿は、御本人キャラと相まって、二重三重人格ともとれる掴みどころのないクセ者ぶり。たまに見せる低音声が不気味で凄みがある。

アンヌとミレディとコンスタンスの歌競演では、先輩に遠慮しながらも抜群の歌声で存在感を示したコンスタンス。
二幕最初に派手な格好でマイクでガンガン唄う枢機卿は、まるでロックミュージカル『リシュリュー』な感じで笑いが込み上げたw。色んな歌声を聴かせて芸達者な山口さん。孤高な役どころと御本人は言ってたのに、存分に楽しんでる様子が見てとれたw。
立ち回り場面はみんなまとめていっせいにやるので、どこを見てどこを聴いてよいのやら。個人別の殺陣も披露して欲しかった。
ラストで落ち込むダルタニャンに、真っ先に声をかけて勇気付けたポルトスが、まるで戦隊のお兄さんのように見えたw。
盆でスピーディな場面展開を成功させる。生オケを挟んで花道を置き、立ち回りにも臨場感を持たせ、キャストを身近に感じられたのは良かった。

カテコ2回の後、ダルタニャンと三銃士の4人が出てきてミニ挨拶。今日は特別に三銃士の皆さんからひと言ずつ…と芳雄さんが言ってたが、毎日のようにやってるらしいw。
橋本さんからは「灼熱の三銃士」「暑い熱い芝居」とか言って、毛布なマントをめくって衣装をチラ見せたりw。
「帝劇のハンカチ王」と称した石井さんからは、ハンカチが正方形になったワケ。アントワネットの要望でルイ16世が1785年にハンカチは正方形じゃなければダメとお触れを出したとか。あまり役に立たない豆知識に結構拍手がw。
「オチを」「年長の座長に敬意を」とプレッシャーがかかった岸さんは、「レディファーストは騎士から始まった」豆知識を披露。「我々キシ」と自分の名前を連呼するのもねと自分で苦笑w。
観客をひとしきり笑わせてから、和気藹々に手を振ってハケた騎士さんたちだった。

日本人好みにもう少し練り直した脚本での再演も望みたいが、このキャストが再び揃うことはないようにも思う。
帝劇100周年を祝うお祭り興行としては、充分に役割を果たしたであろう。

10月の新作映画『三銃士/王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船』では、オーランド・ブルームがバッキンガム公爵役。「ハデにいこうぜ。」の合言葉で、思わずレッツゴーしたくなっちゃうw。
Studio Life『Real Cinderella Story リアル・シンデレラ・ストーリー』金の靴チーム初日を観てきた。

文化庁委託事業「平成23年度次代の文化を創造する新進芸術家育成事業」日本の演劇人を育てるプロジェクト新進演劇人育成公演、のひとつ(長~いタイトル^^;)。
今公演にも育成対象者である若手8人が投入される。

昨夏以来の、駅から遠くて蒸し暑くて狭くて窮屈なスタジオの自由席。
寄りかかれる観易い場所をキープできたが、ステージの役者の視線がストレートに届くのでちょっとアタフタ^^;。

「女性にモテたい」「彼女が欲しい」の情熱と欲望丸出しのサエない3人の男子が、Mr.ウォルトの導きと教師たちの試練として、ある物語の世界へと誘われ、薄幸の美少女を幸せにしようと奔走する話。

グリム童話でディズニー映画の『シンデレラ』がモチーフのファンタジーかと思いきや、『シンデレラ』の本当のシンデレラと真実の物語を抉り出す。結構シビアでリアルチックなエンディングは、古めかしさと新しさの中に残酷で切ない感情を紡ぎ出す。
ただ、前半の女にモテるためのトレーニングと、後半のシンデレラ物語とが、直接に分り易く結びついていかないのが難。ああいった結末を見せられて、3人の男子たちは考え方を変革させたり男として成長できたんだろうか。
それとも1回観ただけでは、この舞台の醍醐味を知ることはできないのだろうか。

新人とベテランの配置が絶妙。
ベテラン陣のアプローチがいつもと微妙に違って興奮のるつぼw。1年ぶりのライフ公演の石飛幸治、冒頭からハイテンションの倉本徹、濃ゆくてくどい芝居が絶好調の林勇輔、デフォルメキャラに徹する山本芳樹と、見どころも盛りだくさん。
冨士亮太、青木隆敏、関戸博一が、後輩たちをリードして盛り立てる。ほぼ出ずっぱりで汗びっしょりの熱演を見せた奥田努にも拍手を贈りたいが、もうひとつのチームで同じ役をする関戸くんが畏怖な苦笑を見せていて同情を禁じえないw。
それにしてもライフの劇団員は、男性の役よりも女性の役をやってるほうが、うんと光り輝いて美しく見えるから始末に困るw。

ネタが古くて笑うに笑えなく、ツッコミ所も色々あったが、劇団員のがむしゃらな熱気がムンムンと伝わってきてw、熱い世界観に飲み込まれたようだった。
終演後の舞台挨拶で石飛さんがおっしゃってたが、倉田淳氏のこのオリジナル脚本は23年前の作品だという。バブル期を彷彿とさせるような、熱くて緩くてキラキラな物語。実はこの劇団員の誰ひとりとして初演を経験した者はいなく、再演も今回がはじめてだという。結構長い間埋められてきた、宝箱のような作品だったのかもしれない。

初演を経験された大御所の河内さんが、客席でご覧になっていた。
もうひとつのガラスの靴チームは来週観る予定。
終演後の物販に松村泰一郎くんがいたが、こうして劇団員の中にいるととりわけ美形で物静かな雰囲気で、和モノで使いたくなる魅力があるなと思った。『念友・本能寺』も観たくなってきた。
舞台『冒険絵本 PINOCCHIO -ピノキオ-』を観てきた。

昨年夏の『BLACK&WHITE 悪魔のテンシ天使のアクマ』に続く、【BLACK&WHITE】プロジェクト第2弾。
今夏もアミューズの若手俳優が絵本の世界を突っ走る。

「どうせ」が口癖の後ろ向きな中学男子が、不思議な絵本と出会い、コオロギと女神の導きによって、絵本の世界のピノキオとして様々な冒険を経験していく物語。

人気童話『ピノキオ』をモチーフに、高崎卓馬によるオリジナル書き下ろしで、広崎うらんが演出や振付を担当した。
歌とダンスがふんだんに盛り込まれた、ミュージカル風のパフォーマンス・エンターテインメント。
ミュージカル『オオカミ王ロボ』のような着ぐるみも登場し、親子で充分楽しめる内容だ。
作夏の『悪魔のテンシ天使のアクマ』よりは分り易く、若者らしい前向きで明るいメッセージには心がじんわりと温かくなった。

10代を多く投入したキャスト陣。彼らが、歌やダンスやバレエやパフォーマンス、ジャグリングまで果敢にこなし、汗びっしょりでひたむきに取り組む様子は好感が持てる。動物の着ぐるみなどはさぞ暑くて大変だろう。
メインのメンバーより年上が3人いるが、芸歴や経験も含めて先輩後輩を超えたところで、舞台で合致しているのも微笑ましい。

植原卓也は『黒執事』のグレルとはまた違ったアプローチで沸かせるが、彼はいったい幾つ引き出しを持っているんだろう。濃い芝居といい、Studio Lifeの林勇輔と似たタイプに見えた。
『タンブリング』組も好調。平間壮一はまたも狂言回しの役どころで牽引役だが、軽妙な芝居と見事なパフォーマンスが際立つ。水田航生はメリハリを重視した着実な芝居で、繊細かつ大胆な魅力を発揮。
栁澤貴彦が味わい深い芝居を見せる。桜田通がのびのびとした芝居で、飛び蹴りも格好良く決める。戸谷公人が派手でワイルドな様相の中に、柔らかさを滲ませる。吉村卓也は鳴き声が可愛かったw。吉沢亮は頭がポイントかw。

流行の“海賊”や“キャプテン”が出てきてワクワクさせるが、別に『ゴーカイジャー』ネタを含まないところが潔い。
何故か“焼きそばパン”がワンサカ出てきて、つい「やきそばパンマン流れ旅」が浮かんでしまうが、全く関係ない。
せいぜい「ポポポポーン」ぐらいで、世相や人気とあまり関係なく作られているのが、かえって普遍的でイイのかも。

最前列端で見切りが少々あったが、ヘンテコでカラフルなファンタジー世界に入り、どんどん展開するページにいつしか夢中になって、ほんわかと楽しませてもらった。
また次のBLACK&WHITEに期待したい。

終演後にハイタッチ会。キャストの一部かと思いきや、キャスト全員!皆さん汗もひかぬままでにこやかに左手を出してくれたが、私は右手でやって貰った。仮面ライダー的には一応、NEW電王やディエンドと出来たのかなw。

秋は【宝石】シリーズの舞台『Mystic Topaz』。1回のみ観劇予定。
冬は恒例の『SUPER ハンサム LIVE』。歴代仮面ライダーがズラリw。
アミューズ主催の舞台『バッド・アフタヌーン~独立弁護士のやむを得ぬ嘘~』を観てきた。

独立したての弁護士が、事務所兼自宅の立ち退きを迫られ、今日中に裁判の依頼を取り付ける必要に迫られる。友人や妹の力も借りて、やむを得ず嘘をつくハメになる男の慌しい午後を描く、シチュエーション・コメディー。

注目の若手作家・小峯裕之の書き下ろし。強引な手法ながら計算された作風は、ぬるい笑いを運んでなかなか面白い。先の浅沼氏の作品が冷静緻密な攻めとすれば、小峯氏の作品は感情優先の熱血正攻法といえるだろうか。
土田英生(MONO)の演出も相性がよく、活き活きとした会話と軽快なテンポで見せ、いつしか舞台に引き込んでいく。
なにより個性豊かなキャスト陣の達者な芝居あればこその舞台だろう。

自虐ネタで一世風靡したヒロシは、初舞台でほぼ出ずっぱり。演技力はまだまだだが、独特の表情が面白い。じっと耐え忍ぶ顔は、何を考えているか分らない不気味さもあるw。今日は特に段取りであれこれミスがあったようだが^^;、誠意をもって熱演する様子は好ましい。

ヒロシを脇で支えるのが友人役の土屋裕一(*pnish*)。真面目で暗のヒロシと、飄々とした調子の良さと明瞭で頭のキレがいいtutiのコンビは、双方が引き立ってなかなか合っている。tutiの存在感あればこその舞台で、彼が物語をどんどん牽引して場を作り出す。tutiの個性と芝居が存分に発揮され、やってる本人もさぞ楽しかろうと思う。
菅原永二と今井隆文のコンビも、メリハリある芝居が引き出され、暗と明がドライに柔らかく噛み合って膨らませる。
芸達者な平田敦子が、キーマンとして舞台をパワフルに席巻する様子が痛快。対比するように細身の松田沙紀が、パジャマ姿も可愛らしく強気で逞しい妹ぶり。大村学の熱く爽やかなエッセンスも効果的だ。

キーワードは「ともだち」。都会の隅で切々と生きる大人たちの孤独と寂しさを垣間見せて、ドタバタな中にもハートフルな味わいを添えてくれた。
ラストでひょいと交わされたミステリアスな恐ろしい推理も、ヒロシの眉を寄せる不気味な顔を見たら、あながちウソではないかもと思ってしまった^^;。

終演後、日替わり出演者によるアフターイベント。
tutiがMCを兼ね、ヒロシ、菅沼永二、松田沙紀、大村学が登場。みんなカラー違いのポロシャツ着用。
事前に募集した質問に答える形式。本日のテーマは夏の失敗談(夏限定じゃなくても可)。
ヒロシが真っ先に「今日のお芝居です」と悔やむw。台詞が出てこなかったとか、電話の受話器もオカシかったとか色々^^;。一度ハケた時は汗がスゴかったという。
tutiが昔酔っ払ってエレベーターホールで寝てたという失敗談(?)から、沙紀さんや大村さんからもエレベーターに関した失敗談がw。
「土屋さんって女性に人気でしょ?」とヒロシに言われたtutiはまんざらでもなく苦笑するが、tutiの髪に何故かゴミがついているのを見つけたヒロシが取ってあげる図もw。ただの質問用紙なのに「上手く引くなぁ役者の人は…」と言うヒロシは、共演者になかなかの気遣いぶり。
ヒロシと菅原さんは「人ごみが苦手」「アウトドアでも人が少ないところ」が好きらしい。自分から告白することについて、「昔はそうだったが、ガッツだけでやって14人にフラレた」とホスト時代を振り返るヒロシ。
笑ってごまかす学さんは「笑顔がカワイイ」「河村隆一に似てる」と言われたが、肩に五十円玉の心霊体験話をしたら大いに盛り上がって、最後にオイシイとこをもっていったw。

節電のため冷房を抑えているのか、レッドシアターの客席内がねばっこい暑さのままで、観劇中も舞台になかなか集中できなかった(~_~;)。「夏の暑さも吹っ飛ばす…」という前フリだが、開場したら先ず「劇場の暑さ」を飛ばしてもらいたい。

平田敦子さんは、アミューズの次はD-BOYSの『検察側の証人』。
沙紀さんと学さんと今井さんは同じアミューズ。学さんと今井さんは、去年の『BLACK&WHITE』にも出ていたが、明日はB&Wプロジェクト第2弾の舞台を観劇予定。
WBB vol.1『サムライ・ナイト・フィーバー』を観てきた。

WBBとは、佐野瑞樹・佐野大樹による兄弟プロデュースで、『みず=WATER』『だい=BIG』『兄弟=BROTHER』の頭文字を取っている。
佐野兄弟によるエンターテインメント性の高い至極の作品作りで、年二回程度の公演を目指しているという。
佐野兄弟が念願であった兄弟公演の実現は、ファンにとっても見逃せない。記念すべき第一回公演は豪華客演とスタッフを迎えて、幸先良いスタートをきった。

とある雪の夜。「決戦の日」を待ちわびる忠誠心とやる気に満ちた赤穂のサムライ三人の長屋へ、寝間着姿の老人が一人で現れ、いつの間にか意気投合してしまう。ところが剣客・堀部安兵衛が突然現れたことで、衝撃の真実と運命が待ち受ける。
ご存知『忠臣蔵』から派生したオリジナル・ストーリー。
浅沼晋太郎のテンポ良い脚本、伊藤マサミのキレのある演出で、谷口賢志が熱く客演する、bpm尽くしの作品でもある。

佐野瑞樹と佐野大樹が、素を含ませた剛柔・暗明の魅力をふんだんに表現して、とても面白いコンビだ。二人だけで語り合う場面もあり、息ぴったりのやり取りとリアクションに、思わず笑いが込み上げてホックリとさせる。
年少の井出卓也が二人のアニキ分を大らかに見守り、鋭いツッコミで沸かせる潤滑油として活躍。
三人が立ち並ぶと、井出くんが一番背が高いw。大樹くんのテンションの高さとノリが芝居をぐいぐいと引っ張っていく。
谷口賢志がワイルドな男っぽさの中に重さやキュートさを滲ませて、とても新鮮でカッコイー。
岡幸二郎のストレートプレイははじめて観たが、ひょうひょうとした佇まいの裏で、時おり見せる眼光の鋭さはさすがの存在感。よくぞ化けたなというメイクとジャベール風の帯がポイントかw。出演者5人の中で一番背が高く凛々しくも見えた。

“歌”は出てこないが、“踊り”もそれ程出てこないのが惜しい。土曜日ではないが、“フィーバー”する程のめり込むラストではなかった。
大樹っちゃんと岡さんの師匠弟子の会話で、大樹っちゃんが岡さんに“芝居”の醍醐味や稽古についてとくとくと語る場面が可笑しくてたまらない。これが“歌”だったら、なおさら現実との比較と皮肉を反映させて面白かっただろう。
皆さん、マイク無しでも声の通りがよい。佐野兄弟は掠れ気味の声だったが、パワーと気迫が払拭する。大樹っちゃんが言うと、「ビンゴでボーズ」と軽く聞こえるから苦笑w。井出くんはココア男。よりもこちらのほうが生き生きと見える。谷口さんは粘りと力押し。岡さんの声が一番安定し余裕と活力が漲っていた。

観終わってみると、小さな会話や台詞も含めて、最初っから布石が丹念に練り込まれ計算され尽くした話だったのだと気づく。
堀部安兵衛や吉良上野介の他にも、名だたる名前がちゃんと配されていた。“かつお”で笑わせたが、この話では「名前」が重要なキイになってくる。同時に、歌舞伎や人形浄瑠璃でお馴染みの「口上」や「名乗り」も重要なモチーフなのだ。岡さんが見得をきったのは、実は大きな意味が含まれていた。
そういえば春の『写楽展』で観た、浮世絵の高師直の顔は岡さんにそっくりだったなと思い出した。顎や鼻の辺りがニヒルでキリリと男前だった。見事なキャスティングだったといえよう。

笑いと熱気のシチュエーション・コメディに、サムライのほろ苦さと魂と可能性を描いた、大人のためのエンターテイメント作品。
実は、昔の芝居と作家たちに向けた、脚本家・浅沼氏の深いオマージュとレスペクトの思いをいっぱい込めた作品だと思う。

終演後、5人が立ち並んで其々告知と挨拶。
谷口さんは同じbpmで今度は旅館の『池田屋』。井出くんはココア男。の新曲。大樹っちゃんは*pnish*の『トラベルモード』。岡さんはチャリティー続きの公演。岡さんは共演者についてちゃんと調べ上げているようで、大樹っちゃんが「大阪」と言い間違えたのを「名古屋」とさりげに訂正してくれたり。大樹っちゃん、素でも忘れっぽいのかw。瑞樹さんが「もうお前をフォローするのはやだよ」とツッコミw。

スケジュールが丁度重なった土屋裕一は、自分は見れないけど今公演の感動を胸に、『バッド・アフタヌーン』にも足をお運びくださいませ、と宣伝チラシw。大樹っちゃんの芝居を胸にしたため、15日にtutiを観に行く予定。
明日夜は『サムライ・トルーパー・ナイト』に参加予定。“フィーバー”と“トルーパー”、フレーズが一つ違うだけで、全然違うサムライ・ナイトを体験できそうだ。
舞台『こころ』を観てきた。
DVD撮影日。

夏目漱石の原作。日本文学作品を舞台化するのは珍しいが、『戦国鍋』でお馴染みの、る・ひまわりが企画・製作するというのも面白い。
原作はかなり昔にざっと読みしたことはあるが、3年前に出たドラマCDのほうが記憶に新しい。

鎌倉の海岸で出会った「先生」にむしょうに惹かれていく「私」。ある日、先生から一通の手紙が届き、そこには先生と友人「K」の物語が綴られていた…。
「私はこんな風に生きてきたのです」。

舞台では、主人公である「私」と若い頃の「先生」を重ねた表現形式なのかと当初は思ったが、一人二役として村井良大が演じていたようだ。
村井くんはほぼ舞台に出ずっぱりの熱演。台詞や動きに特に難もなくパーフェクトな出来だ。
もう少し髪を切って清々しさもアピールして欲しかったが、書生風な格好がよく似合う。

壮年時代の「先生」を演じた遠山俊也は、落ち着いた佇まいと品のある物腰で重厚な雰囲気。
「私」の兄を演じた佐藤貴史は、貴重な潤滑油として活力を与える。
前半の眼鏡の場面で繰り広げられた、お二人のアドリブとユーモアは舞台ならではの面白さだ。

上田悠介のKが、短髪も出で立ちも爽やかでいかにも古風な漢らしさ。寡黙で真面目で朴念仁な雰囲気がよく似合い、情熱的な瞳と手の数珠の動きが魅力的に映る。私の座った席ブロックの前が丁度Kの座る位置で、無言で本を手にするKの姿をとくと味わえた。
テニミュ2ndの不動峰の橘として、先日のイベントでも凛々しさを発揮していた上田くんだが、こんな味わいある演技をするとは嬉しい驚きだ。D2の山口賢貴と共演する次回作『ア・ソング・フォー・ユー』も観たくなってきた。

円形劇場の丸いステージいっぱいに、天井から木々の花葉を模したものを垂らし、白い岩めいた物を三個置いた、シンプルでエキセントリックなセット。海岸のざわめきや木々の揺らぎの音が効果的に広がり、自然と人間を巧みに表現する。日差しの明るさや夜中の灯りなど、照明が繊細な効果をあげている。

若い頃の先生とKとの取っ組み合いが、迫力があって印象深い。ちゃんと背負い投げをやっているのもイイ。
Kとお嬢さんがステージの周りをぐるぐると歩く場面は、前に観た『千年女優』のような、輪廻の雰囲気も感じさせる。いつの世も若者の苦しみや孤独や絶望は普遍的なものである、というメッセージにもとれそうだ。
ステージをまんべんなく使って、どの座席位置からもどの場面も観易く配慮されているのが良い。
ただ、村井くんの演技が達者だからか、若い頃の「先生」がとても腹黒に見えてきてw、「私」まで純粋な若者として見れなくなりそう^^;。

淡々とした芝居が繰り出される幻想的な世界観で、時に引き摺り込まれるように眠気がわいてくるのが辛かった。
間近にくる役者の存在が何とか瞼を留め、向かいのカメラレンズが現実を認識させ、原作にもある数々の台詞が意識を引き戻した。
円形劇場ならではの臨場感と緊迫感が柔らかく溶け合い、いつしか弾き込まれる興味深い舞台であった。
BLEACH連載10周年記念公演『ROCK MUSICAL BLEACH』を観てきた。

キャストもストーリーも一新された、新生ロック・ミュージカル・ブリーチ。
原作者と同じように、6年前の初演からのファンにとっては、期待よりも不安のほうが大きかった。
今回はきだつよしの脚本・演出によるオリジナル・ストーリー。もうひとつの『BLEACH』の物語だという。

7月から上演がスタートし、地方公演を経て後ようやくの東京公演。
シアタークリエがいつもの様相とちょっと違っていたw。着ぐるみコンまで登場し、気軽に一緒に撮影も可能。
前方真ん中のとても観易い席でテンションは上る。

現世・空座町。謎の赤い月調査で派遣された死神たち殺害の真相を追って、“死神代行”黒崎一護と死神のルキアや護廷十三隊らが、血に飢えた“罰刀”を持つ謎の男・射真と壮絶な闘いを繰り広げる話。
細かい説明や設定や状況は1回観ただけでは把握できないが、キャラクター紹介も含め、『BLEACH』を知らない人にも何とか理解できる話だろうか。
フレッシュなキャストが、原作や前回の舞台をリスペクトしつつ、新しいBLEACHの世界をパワルフに細やかに作り上げていて、まずまずの面白さだった。

オーディションで選ばれた法月康平の黒崎一護は、前向きでがむしゃらで、声がよく出ていて頼もしくて好感がもてる。
舞台経験豊富な鯨井康介の阿散井恋次はパワフルな存在感。若い実力派な木戸邑弥の日番谷冬獅郎はクール&ホット。独特の雰囲気をもつ太田基裕の朽木白哉は冷徹な中に温かさを秘める。みんな前回のキャストを意識しつつ、自分たちなりの役づくりで仕上げて平均点以上だ。特に基裕くんは思った以上の歌声を聴かせて驚かせた。
前回の舞台にいなかった京楽春水と浮竹十四郎を配したのが新鮮。ベテラン陣の石坂勇と西島千博をはじめて観たが、パフォーマンサー&バレエダンサーという畑違いの旨味が舞台で充分に生かされていた。

朽木ルキアの佐藤美貴だけが前回から続投。ルキア役7年目突入だが、美貴さん以外にルキアをやれる人はいないのだろう。難しいメロディーラインが多く、唄い方を少し変えてきたようだが、凛としたしなやかな歌唱力を披露してくれた。兄さま絡みの台詞が多いが、白哉と一緒に唄う場面もあり。『ラムネ』の時は遼生さん、『BLEACH』では基裕くんとで、美貴さんはどうも不動峰の伊武深司と縁があるらしいw。

オリジナルキャラの新納慎也と彩乃かなみは別格。二人の歌も動きも他と雰囲気が違っていた。特にラストで、二人が自分たちの世界観に入っちゃうところは、後ろの一護が逆に置き去りになっていて気の毒^^;。新納さんと彩乃さんが唄う場面だけを観たら、いったい何の作品なんだろうと思うだろうw。
「BLEACHであってBLEACHでない。」ときだ氏も掲げていたし、これが見せ所の一つなんだろうから仕方ない。
ある意味、この作品の影の主役である新納さんは、顔はサッパリなのに胸の辺りが汗ビッショリだった。36歳であの激しいアクションや立ち回りはさぞシンドイだろう。随分お痩せになったなと思ったが、あれでは食べても太らないだろう。

隊員や虚を兼ねるアンサンブルは7人。JAEの六本木康弘さんは目立つなぁ。
舞台上では巨大パネルが6枚動いて、設定や場面や時空を作り出しているが、実はアンサンブルの彼らがパネルを動かしながら、さっと出てアクションもしたりと、影ではかなり大変な作業を繰り返しているそうだ。
この巨大パネルに、照明や映像を組み合わせる演出が斬新で見事だ。必殺技の見せ方もパネルや小物で工夫され、前作の時よりも迫力と立体感がある。

実は一幕ラストからものすごく眠気に襲われて、休憩中も色々試したがダメで、二幕はじめもやっぱり眠くなってしまった^^;。
ところが、客席から現れたルキアの歌で目が覚めた! 歌声の力ってホントにスゴイ。
ルキアの声は、一護にちゃんと届いていたのだ。対照的に、遥華の声は射真には聞こえていなかった。遥華の必死の願いも祈りも、射真の心には届かなかったのだ。この舞台のテーマのひとつは、大事な人の「声」かもしれない。ルキアの唄う「言霊」の歌詞がとても深く感じられた。
こういう風に感情移入できるところは、ものすごくBLEACHっぽい…かもしれない。

ラストは、客席に降りて、みんなひとつになって歌う。
アンコールは、前作にもあったキャラソン・ミニライブ。
カテコでは、座長の法月くんが先ず挨拶。毎回自分でやるメイクの盛りが舞台のテンションにも関係するらしく、何度も観る人は内容じゃなくそこも観て欲しいとw。もっくんからは、今日は左目メイクの調子がよく、自分はSかMかで悩み中w。もっくんはMだと思うw。

日替わりトークショー。司会の森貞文則さんに隊員2名が加わり、今回の当番は石坂勇さん。
赤いバラを銜えて客席に投げて登場w。酒と女が好きな、リアル京楽さんでした!(^o^) カンパニーでは一番年長だが、とにかくお茶目でトークが達者。七緒ちゃんオーディションしちゃうし、ホロウがフォローってw。
約20分のトークで、結局3時間たっぷりの舞台だった。

テニミュでは全く当たらないのに、ブリミュで舞台写真が当たった! 恋次だったw。
千秋楽にもう1回観る予定。
ミュージカル『テニスの王子様』青学VS氷帝の東京楽を観てきた。

念願の東京楽日。
お譲りいただけたおかげで、アリーナ前方のほぼ真ん中の席で、かつてないほど観易かった。
ハイタッチ的にはアレだけど、リョーマが真正面に立つだけで価値がある。
おかげでステージ上のキャストの視線がビンビンに注がれてくるようで、ドキドキしまくりv。
この舞台、やはり真ん中で観るのが、みんなの熱量を一番ストレートに感じ取れる。

15日から始まった氷帝戦。初日と比べると、楽日は見事に変化進化しているのがわかる。
青学も氷帝も、サポーター校も日替わりも、歌も芝居も踊りもだいぶ馴染んでいて、少しずつ洗練されていた。
徐々に人に見せる舞台、人を楽しませる作品へと練りこまれ作り上げられている。

一幕の青学では、平牧仁@大石の歌がすっかり楽しみになった。こんなに良い歌だったんだと2ndシーズンでようやく気づいたがw、仁さんの歌はホントに好きだ。大石に釣られて菊丸の歌唱力もアップ、小関裕太の成長ぶりには目を瞠る。
氷帝戦ではじめて手塚の公式試合が披露されたが、和田琢磨のクールな中に表現された情熱的で繊細な芝居も見逃せない。苦痛に歪んだ手塚の顔がホントに見事だ。手塚に釣られて越前リョーマの芝居も一段と輝き、小越勇輝の成長ぶりにも驚かされた。今回はじめて自分から帽子を脱ぎ、オレは上にいくよ!とアピールしたリョーマの姿とも重なって見えた。
青学10代メンバーの飛躍が目覚しい。 1stシーズンの青学メンバーと比べると全体的に若いっ!
この調子で2年間かかろうとも、全国大会決勝戦まで、この同じメンバーでずっと続けていって欲しい。

氷帝メンバーもどんどん氷帝らしい顔つきになって凄みが増した。歌は全体的にまずまずの及第点だし、不安気な要素もあまりない。年長や経験者が若い子や新人を巧みにリードして、新しい氷帝を作り込んでいる感じ。
青木玄徳の跡部が、もうセクシーで凛々しい跡部へと進化。あの射さすような目付きで指をさされると、やっぱりドキドキしちゃうv。歌も初日と比べて上手くなった。みんなから「つねちゃん」と呼ばれてたが、玄徳という名前と共にインパクトは強い。昼公演に和樹が観に来ていたようだが、カトベのような独特のオーラもいつか身につけて頂きたい。
アニメではなく、テニミュの宍戸はやっぱり好き。気づくと桑野晃輔@宍戸をいつも見てしまう。セリフや演技にいつも妥協がなくて力強いところが桑野くんの持ち味だと思う。楽とあってか、伸び上がる様子や倒れ込む動きにいつも以上に迫力があった。
そういやベンチワークで、芥川@赤澤燈から帽子を奪われた宍戸が、メガホンで芥川の頭を叩いていたが、そういった3年生の力関係の様子が可笑しかったw。
嬉々として脚を揃えてジャンプする慈郎は可愛い。対戦相手の不二にも影響を与えてるしw。
跡部のキラキラマフラーに客席からあまり反応がなくなったが、歌ラストで氷帝メンバーがいっせいに歩いて来る様子は、音楽の厳かさと相まって何度見ても格好良い。2ndは氷帝の歌がだいぶ新しくなったが、馴染むとイイ歌ばかりだと、佐藤俊彦さんの音楽にあらためて共鳴。

日替わりは不動峰の内村と森。初日は3階バルコニーだったから、間近で拝めて良かった。
「バーニング♪」で暴走する河村を二人がかりで抱っこするが、聖ルドルフの木更津と柳沢は重そうにしてたのに、内村と森はタッパ的に軽々。山吹の南と東方の当番回はまだ見てないので、こちらもどうなるのか楽しみだ。

前説ナレは氷帝の跡部。
二人で2分間スピーチは、不二と内村。不二の回は既に見ていたが、今回は内村と一緒に魂が入れ替わった設定のエチュード。加藤真央が顎に手を当てるだけの仕草なのに、三津谷亮は口調を変えて生き生きと内村を表現。森と肩を組んだりするから、陽ちゃんと一緒だと、つい『ミュんたま』が思い出されてしまったw。二人で考えたネタだろうが、もはやスピーチというよりコントじゃん!w
最後に氷帝代表でつねちゃん、青学代表でタクちゃんから挨拶があり、勇輝から締めの挨拶があって、楽が無事に終了した。

8月と9月は、大阪・名古屋・福岡の地方公演を経てから東京凱旋公演。皆さんしばらく東京ともお別れ。
凱旋公演は初日に行けるので、また一段と凛々しくなった彼らの姿を観たいと思う。
スーパーミュージカル『聖闘士星矢』前楽を観てきた。

車田正美原作の同名ミュージカルもいよいよ佳境。
ニコ動閲覧があるとはいえ、リアル舞台が4日間全8ステージというのはやはり短い。
それだけキャストの負担も考えて、1公演1公演を濃密な仕上がりにしているのだろう。
だが観たくても観れなかった人もいたようだし、早くも再演希望の声があがっているようだ。

今回は右手通路側で、初日よりはやや観易い。先行より一般のほうがイイ席なんてw。
張り出し舞台を仕込んだ特殊形態の座席で、通路を使った演出も多いが、右手側はどうやら主人公・星矢が行き来する場所のようだ。
今回も二回、星矢@鎌苅健太が目の前までやって来てちょっとドキドキ。他キャラは左手側を使うし、この舞台はやっぱり違う場所からも観たかったな。

作品的に普遍的なものが満ち満ちていて、舞台という形に変えても、いつの世でも受け入れられるものなのだとつくづく思った。
佐藤俊彦の音楽、茅野イサムの演出、歌詞も振付も芝居も、初心の頃のミュージカルに立ち返っていて、純粋な面白さと魅力を伝えてくれる。
「アニミュ」初心者にも高い壁を作らない、生き生きとした庶民的な感触と確かな手ごたえが感じられた。

ただ、スーパーと名うってる割に、その1曲目がメイドの歌というのはいささかゲンナリ^^;。
冒頭は一気にエリスやアテナの歌で引き込むとか、聖闘士の歌で魅了させるとかのインパクトが必要だろう。
聖衣の出来はまずまずだろうか。青銅より亡霊のほうが出来具合は良さそう。前方席だと細部まで分るだろうが、アラが見えない中程の席でよかったw。ただ着脱に時間がかかりそうで、ラストはもう一度、青銅聖衣を着た星矢を観たかった。
必殺技は、歌や動きや殺陣を工夫しての表現。魔矢の高速移動にコロス、氷河とクライストの技にもコロスを駆使して、よく考えついたと思う。だがどうしても迫力不足と分り難さがあって、物足りなさ感は残った。今回はあえて演劇的要素に拘ったようだが、映像での表現も試みて貰いたいと願う。それこそスーパーに値するものだと思うから。

キャラクターの中で一番ぴったりきたのが、フェニックス一輝の広瀬友祐さんだったのは嬉しい驚き(*^。^*)。見た目の体つきがソックリだし、技ポーズも拳も忠実だし、低音の静かな声がアニメの堀秀行さんの声とも違和感なく溶け込む。
アニメでは弟・瞬の危機に、一輝が颯爽と駆けつける場面が好きなのだが、舞台でもお約束の萌えシーンがあって、つい顔がほころんでしまうv。
ジャガーの必殺技で一輝がヤられてしまうところも見応えがあった。
ジャガーの松崎裕は別の意味でハマリ役。重量感ある効果音とダッシュがとてもイイ。松崎さんは濃い芝居が上手かった。

楽曲タイトルは分らないが、青銅聖闘士の歌と亡霊聖闘士の歌は、胸が熱くなる。亡霊歌はちゃんと名乗りが含まれていて、亡霊キャストの声量もよく出ていた。
対決の歌は、其々の個性が光る。盾座のヤンの「矛盾」の歌が印象的、よくあんな歌詞を考えつくな~とw。琴座のオルフェウスのワルツめいた曲も妖しく、齋藤ヤスカの高低音がよく生かされていた。
アテナ、エリス、絵梨衣ら三人の重唱が美しかった。アテナ・沙織役の富田麻帆が思った以上の歌唱力だったのも嬉しい。
ラストでみんなが歌う「ありがとう♪」が、爽やかなフレーズで心に染みる。
エンディングの聖闘士の主題歌は、仲間と信頼をうたい上げ、勇気と不屈の魂を奮い立たせるような曲調で普遍的。

全員が立ち並び、今回もケンケンから、大震災にも言及した誠意のこもったメッセージ。舞台を通して、彼らの思いは伝わったと思う。
千秋楽は、会場の誰もが小宇宙を燃やす、熱い舞台で無事に幕を閉じただろう。

チラシにもあったが、アニメ『聖闘士星矢』劇場版が、TVアニメ化25周年を迎えた今年、完全Blu-ray化。2004年に公開した分まで一気に観れる。
どうせなら、1988年3月に公開された『神々の熱き闘い』も、この調子でスーパーミュージカルにして貰いたい。ケンケンが歳を取らないうちにw。

エグゼクティブプロデューサーの片岡義朗が【アニミュ】について語っていたが、私とアニミュの出会いは、ミュージカル『HUNTER×HUNTER』といっていいだろう。『H×H』から『テニミュ』へと続き、どんどん枝分かれしていったのだ。
その『HUNTER×HUNTER』が装いも新たに今秋アニメ化されるという。声優さんは変わるだろうが、音響監督さんも変わるのだろうか? お願いだから、キャストを変えた舞台化はやらないで頂きたい。前作のミュージカルが“神”だったのだから。
スーパーミュージカル『聖闘士星矢』初日を観てきた。

車田正美原作でアニメも大ヒットした名作が、1991年の上演を経て、新たに舞台化。
劇場公演のほか、ニコニコ動画を通じて舞台も生中継される。

原作&アニメファンであり、スタッフ&キャストファンでもある私。聖闘士の舞台なら誰が出ようと観ていただろうし、今回のキャスト面子ならどんな作品だろうと観ていたと思う。

今回の舞台は1987年に公開された映画『聖闘士星矢 邪神エリス』を基にしたストーリー。
かつてアテナと戦い、黄金のリンゴに封印されていた邪神エリスが、依り代となる少女の肉体を得て蘇った。アテナである沙織を救うため、星矢たち青銅聖闘士が、過去に命を落とした亡霊聖闘士たちと激しい戦いを繰り広げる。

一幕はやや緩慢だが、二幕はスピーディでパワフルに展開し、ラストへとランニングアップ。
映画原作をうまくアレンジして纏め上げ、音楽と歌とアクションと芝居が程よく融合されて、すべてのファンを満足させる出来上がりだった。
生身の人間が演じるからこその熱量や意気込みが、聖衣や衣装やメイクによる再現と共に、観るほうの小宇宙にそそぎ込まれてくるようだった。
特に注目していた戦闘シーンや必殺技は、歌や効果音や動きで魅力的に見せる。流行の映像を使えばもう少し明瞭に表現できたか。
だが新しい聖闘士の舞台として、次のステップへと繋げる超ミュージカルとして、みんなの記憶に鮮やかに刻まれることだろう。

女性役の俳優は歌も上手いし素晴らしい。
湯澤幸一郎@エリスは、高低音を響かせた歌声で圧倒させ、毒々しげな存在感が際立つ。衣装で胸の膨らみを作っていたw。
富田麻帆@アテナ&沙織は、可憐な中に高低音を使い分けたセリフが上手くて場を引き立てる。紫の長い鬘が何ともいえんw。
吉田仁美@絵梨衣は、原作とは違う破天荒なオリジナルキャラでハル(@リボーン)みたいだが、歌の上手さは抜群。

聖闘士キャストは、ほとんどが元テニミュメンバー。『テニミュ』や『エアミュ』『ディアミュ』が一緒くたになった馴染みのある面子ばかり。
鎌苅健太は、原作やアニメにも思い入れがある分だけ、ペガサス星矢を嬉しそうに好演。
植野堀まこと@ドラゴン紫龍がよく合っていた。いまだに星宿のイメージと重ねてしまうがw。
広瀬友祐@フェニックス一輝は見た目も闘い方もソックリ。特に「鳳翼天翔」の動きとかドキドキ。私は一輝ファンなので注目しながら満喫できたがv、10月には広瀬さんは『戦国BASARA』で徳川家康かと思うとw。
篠谷聖@アンドロメダ瞬と、阿部直生@キグナス氷河は、雰囲気はあるがもう少し作り込みが必要か。キャストの中では阿部さんだけ馴染みがないので、これからどう化けるか注目。
亡霊聖闘士たちがとにかく生き生きと楽しそう。歌でも声がよく出ていて青銅を圧倒しそう。
松崎裕@ジャガーは迫力たっぷり、芝居がかった演技も味がある。林野健志@ヤンは力強い長身。藤原祐規@クライストは男前な自然体。齋藤ヤスカ@オルフェウスは高音と低音を使い分けた歌声でピッタリ。大河元気@魔矢は活発で熱気ムンムン。
上原健太はブッチャーとは真逆で、執事の徳丸としてコミカルに盛り上げる。

1stシーズンのテニミュがつい思い出されてしまう。
比嘉中キャストが4人いるが、ゴーストに3人いるので、何となく“紫”な世界観を表現w。
以前から宍戸と赤也は似た者同士だと思っていたが、まさかここで対決が見られるとはw。二人の歌詞に「勝者」がつくと、つい「敗者」が浮かんでしまうw。
踊りの振付が、南次郎の本山新之助なので、団体で踊るところはやはりテニミュを彷彿。
話の流れもテニミュっぽい。星矢がだんだんとリョーマに見えてきたり。同じ13歳だけどねw。
佐藤俊彦の音楽はとてもイイ。対決の時の歌は、氷河と紫龍のが特に良かった。
演出家の茅野イサムはDボの舞台も手掛けられた方。男性俳優の魅力をいかんなく発揮させていたと思う。

エンディングの歌は全員で。人間味あふれた生き生きした舞台だった。
終わりの挨拶は、ゴールドがちょっと重そうな星矢のケンケンから。車田正美氏もおいでになっていたという。ロビーでチラとお見かけした人がそうだったのかな。
DVDを勢いにのって予約。劇場特典は青銅と亡霊の聖闘士集合写真。

まだまだ可能性が秘められている舞台。これからどんどん進化成長しながら、千秋楽まで怪我のないように小宇宙を燃やして欲しい。
もう一回、前楽を観る予定。
舞台『太陽に灼かれて』を観てきた。

1936年、モスクワ郊外の豪勢な屋敷。家族と共に穏やかに暮らすコトフ大佐のもとへ、ある夏の日、フラリと現れた男は、妻のかつての恋人ミーチャだった。彼を歓迎するムードの中、コトフは不気味な不安を感じる。

実話に基づいたフィクションとでもいうのだろうか。
1994年に映画にもなった名作たそうだが未見。
主演のひとり、コトフ大佐を演じる鹿賀丈史は『レ・ミゼ』でも観たし、上映中の『忍たま』でもミュージカルをしているw。
ミーチャを演じる成宮寛貴の舞台を観るのは久しぶりだが、これが4年ぶりの出演だとか。
興味のある組み合わせに、ベテランが脇を固めて、自ずと食指が動きそうだ。

最初は『嵐が丘』のような、ミーチャによる愛憎の復讐劇かと思った。邪魔なミーチャを異国に飛ばしておいて、その間に彼の恋人マルーシャを横取りして妻にしたコトフ。あげくに娘まで授かり、のうのうとセレブを満喫するコトフ。充分、復讐の対象となる男。
だがここはロシア、1930年代のスターリンの大粛清時代。復讐という単純な感情論ではなく、もっと深い思惑と揺るぎない信念と緻密な策謀がミーチャにはあったのだ。

当時のロシアの時代背景は殆ど知らないので、そういった執拗で残酷な弾圧があったんだなということしか分らない。
ラストのミーチャの行動も納得し難いものがある。すべてが煙に包まれたようで、表向きは美しく取り纏めているが、日本人には分らない部分が多過ぎる。
物語的には完成度が高いのだろうが、舞台としては咀嚼しきれておらず、人間ドラマの奥深さまでは伝えきれていなかった。
何よりも、役者のセリフが聴き取り難いこと!(~_~;) あの劇場の前方の端っこは最悪だ。
セリフが耳に入ってこなければ、伝わるものも伝わらず、余計に分り難くしている。
淡々とした心地のまま進行し、いつの間にか終わってしまったという味気なさ感も残った。

成宮寛貴が力の篭った演技。最初はサングラスの髭面の老人で現れるが、声ですぐ判明。成宮さんだけは舞台左右をよく動き、こちらのほうまで目を配って、セリフも全体的に聞き取れた。
ピアノ演奏(ホントに弾いてるのかは見えなかったが)やタップを披露する場面もあり、芸達者なところも見せる。ジャム入りコーヒー(!)に笑ったが、煙草をくゆらせる様子が男っぽく映った。
鹿賀丈史は、男として夫として軍人として家庭人としての生き様を力強く見せて、骨太な内面性を表現。軍服姿がちょっと暑そうだ。

妻マルーシャ役の水野美紀は、清潔感の中に妖艶なものを覗かせる。「もっと、もっと」と踊り狂う姿が印象的。
娘ナージャ役は美山加恋だったか。はきはきして利発そうだが、我が儘娘ぶりもアピール、見た目ちょっとウザかったw。
恋仲になる雰囲気の大鷹明良と竹内都子が、其々曰くありげな感じにも見えたがそうでもなく。
檀臣幸が、青年らしい溌剌さと陽気さを備えた役で若々しく見えるが、本筋には絡んでなかったようだ。
今陽子は老けメイクで最初は分らなかったが、凛々しい歌を披露したりと、発声でようやく分った。

庭に面したダイニングとリビングを盆で稼動させて、奥行きのあるスピーディな場面展開を成功させた。
深くて官能的な音楽がなかなかいい。マルーシャの一枚布のドレスも色っぽい。
役者のセリフが聞こえ難いのに加え、拡声器の声も大き過ぎて煩くてこれも聞こえ難い。
性能のいいワイヤレスマイクとかを使ってもらいたい。
エンディングで舞台上部にテロップが映り、登場人物の末路が記されるが、これがまた字が小さくて一瞬なので見え難い。端の観客もちゃんと読めるよう配慮が欲しい。

「ミーチャ」って可愛い名前だと思ってたら、苗字の「ミハイル」の愛称だったようで。映画ではファーストネームの「ドミトリー(ディミトリ)」を使ってる。
「コトフ」の本名は「セルゲイ・ペトローヴィチ・コトフ」で、家族間では「セルゲイ」呼び。
娘ナージャのその後のストーリーも作られていて、映画『戦火のナージャ』が新宿で上映されてたようだ。
てっきりナージャは、コトフと結婚する前のマルーシャとミーチャとの間にできた子ではないかと、舞台を観ながら思ってたんだけどねw。

< 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 >

 

お気に入り日記の更新

最新のコメント

この日記について

日記内を検索