『LOVE LETTERS 2012 Spring Special』を観てきた。

毎回違ったキャストの組み合わせで、20年間読み継いできた朗読劇の傑作『ラヴ・レターズ』。
昨年2月の遠藤雄弥の次に、D-BOYSで読むことになったのは鈴木裕樹。お相手は、私にはお初の真野恵理菜。
原作はA.R.ガーニー。訳・演出は青井陽治。
ズッキーのブログによると、上演前に物語の背景などをレクチャーされた後、通し稽古は1回だけで、ずっと新鮮な世界観を大切にされている朗読劇だという。

一幕はアンディー&メリッサの学生時代まで。ズッキーは白地のTシャツと薄手のジャケットでラフな格好。真野さんも白地のブラウスとフワリとしたスカートで清潔そうな感じ。
ズッキーの声は割と高めで、カツ舌も悪くなく、思ったよりも聴き取りやすい。
ズッキーのアンディーは、知的で堅実で論理的でクール、時にやんちゃで情熱的な部分もあり、気安く声をかけられる優しい雰囲気がある。
3回目のラヴ・レターズだが、アンディーの手紙にあった「ユダヤ人」「カソリック」、そして「オズの国」という言葉が特別な意味をもって耳に入ってきた。この1年間に観てきた色々なものが薄っすらと思い出されたw。
ズッキーのアンディー少年は面白い。手紙についてメリッサから「長いですね」「ボートの話ばかりね」とつっこまれる度に、生き生きしたリアクションを見せる。ズッキーは朗読の中でもちゃんと演じてる! アンディーが自分の高校生活を語る場面は、ハキハキしたやや速いテンポの口調になり、ホントに光景が浮かんでくるようだw。「(言葉を)書くのが好きです」と言ったアンディーの思いは、脚本も書くズッキーの感性と重なるものがありそう。
真野さんのメリッサは可愛らしい声で素直で情感豊か。読み進め方が私の感覚と似ているので好感はもてる。ただ、メリッサの自由奔放で感情的な部分は、真野さんの真っ白な衣装とあまりそぐわない気がした。

二幕は成人期から壮年期。過去のカップルはここで衣装を何らかに変えてくるが、この二人は全く同じ衣装のままで驚いた。真野さんにはせめてストールを羽織ったり、ズッキーには黒っぽいジャケットでも着て欲しかった。
二人の声のトーンも殆ど変わらない。40代50代と年を重ねるに連れ、声を幾分低めにしたりするもんだが、同じように可愛い声と高めの声が交わっていく。後半部で真野さんが「50歳過ぎて…」と可愛い声のまま言うのも違和感。初見の人はここで彼らの年齢をやっと認識するのではないだろうか^^;。
二幕目になると少々疲れが出たのか、二人とも何回か言い直しがあって、完璧という出来にはならなかった。
真野さんのメリッサは、いつまでも少女のままの純粋さと混迷さを持ち合わせている。だが、必死にもがいてあがいて生きようする様子があまり感じられない。いつまでも淡々とマイペースに浮遊しているようだ。
ズッキーのアンディーは、出世するにつれて、かつての子供っぽいところが、保身的でリベラルな大人へと変化していく。「愛を込めて」はジンとくる言葉だが、メリッサを思うあまり、彼女にも高度のものを求めてしまう。家族を自慢げに語る場面はちょっぴり嫌味が出ていたw。

ラスト3分は聴き所。ようやくアンディーの声に太さが出てきて、苦味や葛藤の感情がほとばしる。表情もなかなかリアリティー。そして絶望して俯くアンディーを、「大丈夫よ、アンディー」と優しく見つめるメリッサの眼差しが何と綺麗なこと。真野メリッサは年をとっても天使だった。鈴木アンディーは年をとって老人と化したのか。

二人ともとうとう最後まで水に手をつけなかった。
終了後、ズッキーのほうから手を伸ばして、真野さんと手を繋いで歩いて去っていく。たぶん、いいカップルではないかと思った。
でも色々な意味で、雄弥のアンディーとは対照的。ズッキーのアンディーと結婚したら、幸せにはなるけど、自分も向上しなければならず大変そうだw。

大変静かな作品なのに、開演中の客席で、何度も大きく咳き込んだり鼻をグスグスさせる男性がいて、たまに聞き取れない言葉があった。あげくに近くから男性のイビキまで^^;。今回は特に煩く感じた。
雄弥の時は柳や真吾くんが来ていたが、今日はダレが来ていたのだろう?
雄弥の時は販売していたリーフレットが、今回は今までの回の販売用パンフに付いていた。雄弥の回のパンフを買って貰ったが、買ってない人はリーフレットも見れないのか。
Axle第13回公演『三銃士 ~仮面の男~』千秋楽を観てきた。

公演回数が短いし、遠い^^;。あと1回ぐらい観たかった。
昨日と同じ前列だが、昨日と違って左手なので、色んな角度から観れて良し。

オープニングのダイジェスト。濃縮されたシーンが次々と疾走して再現されるが、1度観た後なので、どれも分かり易くて意味深く感じる。
舞台壁面に描かれた中世風の絵。「1625 Paris」「1662 Paris」と書かれてあるが、この年号で計算すると、柄谷ダルタニアンは55歳!? 三銃士たちは壮年というより老年か!?w 舞台上で展開されるシーンと年号をマッチさせるのかと注意深く観ていたが、ペルスラン登場の時は「1662」が隠れてしまったし、全てを一致させてるわけではないようだ。
床のチェス盤。“白”と“黒”が意味深だが、劇中でグリモーやプランシェ、アンサンブルが動かすコマにも何か意味があるのだろうか。チェスは分からないが、ひょっとして盤上に立てられたコマの配置が、チェックメイトなど物語を指し示しているのかなとも思う。

プランシェの食べるお菓子は、マカロンだけでなく色々変わっていくようだ。リピーターにしか分からないネタw。そしてアクサル一番の年長さん田中照人に、コマなど小道具を運ばせていいのかw。
ペルスランはトレンドおじさんか。地下の地響きはホントにプチ地震みたいな感覚^^;。トレンドカラーは黒か、さすがロシュフォールw。ペルスランの「劇作家は変態」に、吉谷光太郎を見る三銃士w。
アンサンブルを使った舞踏会の様相が印象的。美しく洗練された凛々しい隊列は、『銀英伝』の戦艦シーンでも使えそうだw。

かつては国王と王妃とフランス王室を守るために戦った三銃士が、今や国王を排斥してフランス王室を危機に陥れようとしている。
「陰謀が国を変える」と豪語するロシュフォール。「陰謀や策略だけでは国は変わらない」と叫ぶ銃士隊長となったダルタニアン。相反する言葉を、柄谷吾史ひとりに言わしめたところに、深い拘りと思想がある。
しかし、自然を愛し、人々を慈しみ、兄を思ったフィリップは叫ぶ「苦しくても生き続けることが国を支えることになる」のだと。民衆あってこその国と王室。
「ワン・フォー・オール」「オール・フォー・ワン」
あの日から、“絆”を謳ってきた言葉のひとつにもなったが、この舞台を通して、より強く深い思いをもって感じられた。

カテコ2回目は、柄谷さんら壮年三銃士らが衣装替えで登場。矢崎広もルイからフィリップへ。
開演前の予告通り、客席も立ち上がって、全員で1分間の黙祷をした。
千秋楽恒例のキャスト紹介。ゲスト2人が真ん中に並ぶ。
キャプテン照人さんの挨拶。作品に様々な思いが込められており、忘れられない台詞も多いと、3月11日に千秋楽を迎えた意義を凛と語ってくれた。さすが! 次の吉谷氏は全て話してくれたと、「もの作り、日本!」のみ。

終演後のロビーには、一部キャストも出てくれて半ば握手会状態w。昨年のイベントにも参加したし、私の顔だけは覚えていてくれた。西村大輔くんは汗がまだ引いていなくて爽やか。
今回は柄谷さんが一番のお目当てだったが、大輔くんや矢崎くんなど若い役者の活躍が眩しく映った。
Axle第13回公演『三銃士 ~仮面の男~』を観てきた。

大阪公演を経ての東京(横浜)公演。
この舞台も4公演しかないのでリピートし難い状況。

アクサルだし、吉谷光太郎の脚本・演出だから、一筋縄ではいかない「三銃士」ものだと思ったが、予想以上に凝った設定と複雑な物語性。12月には公開オーディションなるイベントも開かれ、観客の役名投票参加があったが、こちらも予想外のキャスティングとなったようだ。

原作はアレクサンドル・デュマ・ペール。「三銃士とダルタニアンの出会い」(王妃の首飾り事件)と「フランス王室の策謀」(国王すり替え事件)の二つの物語を、時空を超えてリンクさせパラレルで見せる。
アトス、ポルトス、アラミス、ダルタニアンには若者と壮年の二人ずつがいて計8人。画期的な二人一役だ。ところが壮年を演じる4人は、其々リシュリューやミレディなど悪役の4人も兼ね、一人二役をする。
最初は戸惑うが観ているうちに意図は理解できてくる。悪政の元凶ルイ14世と双子の弟フィリップのすり替えを企むかつての三銃士は、困窮する国民のため正義の名の下に実行するが、彼らの所業は見方によっては悪であり、かつてのリシュリューらがやったことと変わらないかもしれない。それはルイとフィリップら双子や親子の間にも言えることで、人間には光と闇、裏と表があるのだと、キャスト自らが演じることで、まざまざと見せつけ証明させる舞台であった。

壮年の三銃士には古川貴生、武原広幸、山本健史と、いわばアクサルの先輩衆。
若き日の三銃士には飯泉学、斉藤崇、有川蒼馬と、いわばフレッシュな面子。
どちらもアトスの背の低さが目につくが、拘らない寛容さも必要だろう。どちらの三銃士も三銃士らしく情熱的でひたむきで前向きだ。
西村大輔の若きダルタニアンは快活で一本気で強気で逞しく好ましい。ところが壮年のダルタニアンになると、馬鹿らしくなるほど実直で忠実で思慮深くて、もどかしくて苛立たしい。ルイ14世にあれほど盲目的に尽くすのなら、その間に深い信頼と情が交わされているハズだが、その辺は何も描かれていない。ダルタニアンは昔の明るい彼ではなくなったという事実が突きつけられる。このダルタニアンを演じるのが柄谷吾史で、見た目は魅力的だが、考え方や内面性は惹き付けられず存在感が薄い。むしろ別役のロシュフォールのほうが出番は少ないが、ドス黒さに満ちていて、やってる柄谷さん本人も生き生きと楽しそうだ。

客演の矢崎広は『ピースメーカー』以来の兄弟2役。髪型を手櫛で変え、声や表情を変えて忽ち演じ分ける。
アクサルのキャプテン田中照人も双子の二役だが、こちらは似た感じかな。田中さんにはもっと出番のある役をやって欲しかった。
客演の蔡暁強が、バレエやダンスで雰囲気を創造させて美しい。劇作家でもあるモリエールは、吉谷氏の分身でもあるのだろうかw。
演じ分けは布やセットや小物を挟んで、ジャケットやベストを脱ぎ替えするだけのスピーディーで鮮やかな手腕。この舞台では衣装が重要なメタファーにもなっているが、裁縫師のペルスランを演じるのが吉谷氏。ある意味、狂言回しともいえる。吉谷氏のラストの役にも注目。

シリアスなテンポで展開が速いため、とにかく笑いがなかなか入り込めない状況。それでも田中さん中心に、笑いを起こして盛り上げようとするが、相変わらず内輪ネタが多くて全く笑えない^^;。田中さんがマカロンを食べるのを見て、笑うどころが空腹を実感しそう。田中さんのアドリブに、相手をする池永英介がよく頑張っているw。
アンサンブルの面々も若いエキスをほとばらせて盛り上げる。

今回舞台に新しい風を起こしたのが、振付・ステージングの舘形比呂一。洗練されたスタイリッシュな演出が、エネルギッシュな熱気を与えている。
ひたむきに懸命に動き続ける疾走感。二人一役、一人二役で次々と繰り広げられる凄まじい迫力と緻密な殺陣やアクション。役者の運動量も半端じゃないだろう。それをやり遂げる強さと団結力を持ち合わせているのが、さすがアクサルと言わしめるところ。
今回も1度観ただけではよく掴めない手強いアクサルの舞台。再度観ることで、もう少し深く味わえ楽しめるのだろうか。
ニコニコミュージカル『カンタレラ ~裏切りの毒薬~2012』を観てきた。

夏に上演された舞台の脚本・音楽・衣装を一新し、新キャストも迎えた「完全改訂版」という。
初演は都合が付かなかったが、新キャストにも惹かれて観劇を決定。

キャストの魅力と歌の多様さで面白味がある舞台だった。こんなに歌うのか、こんな風に歌えるのかと、キャストの新たな歌唱力にも気づいた。まさにニコミュならではの醍醐味だろう。
ともあれ、1シーン、1ショットが濃くて長いこと。シーンの度に歌が入り、人物の気持ちや感情がほとばしり揺れ動き、次へと繋いでいく。初見だし分かり易いが、この濃さとくどさは疾走感とは真逆のもの。テニミュの上島雪夫氏だし、割と女性向けの演出だと思われるが、私の隣の男性は中盤から飽きたのか落ち着きが無く辛そうだった^^;。
キャラクターを鮮やかに引き立てるように、中世風の衣装が豪華でとても凝っている。初演の薄手で半袖な衣装よりもずっと重厚さが増す。

物語は後期ルネサンスのローマを舞台にした人間ドラマ。若きカリスマのチェーザレ・ボルジアをめぐる愛憎と陰謀と裏切りを描き出し、彼の妹ルクレツィアの持つ家伝の毒薬「カンタレラ」がキーアイテムとなる。
チェーザレや彼の親友ジョヴァンニが裏表がある強烈な個性の持ち主で、彼らの周りにいる者たちも策士だらけのクセ者揃い。従者や部下たちも重要な役割を果たし、誰もが油断ならない存在。
キャラクターと比べて、ストーリーそのものに満足感や爽快感はない。ラストの父の言動の意図するところ、その後の展開は中途半端で消化不良気味。続編とかも念頭にあるのだろうか。

テニミュキャスト5人がお目当てのひとつ。
兼崎健太郎は長兄として凛々しく強く、声量があって歌も台詞も聞き取り易い。
渡辺大輔は誠実さが滲み出た表現力で、丁寧な歌い込み。
二人とも初演からの続投で、息ぴったりのコンビだ。
郷本直也のサヴォナローラが影の主人公だろう。冒頭のナレなど狂言回しぶりは1019みたいな存在。マスクをしたそのままの格好で、アクサルの『仮面の男』に出ても全く違和感がないだろうw。
コンプレックスを抱え悩み苦しむ次兄ホァンの小野田龍之介の歌唱力をばっちり味わえる。最初はダレだか分からなかった齋藤ヤスカは、今回もよく化けたカメレオンぶりが愉快。二人とも体にぴったりの衣装で、龍之介くんはぽっこり出たヒップが可愛くて、ヤスカさんはタイツを穿いた両脚が細過ぎて見惚れてしまったw。
郷本さん&ヤスカさん&龍之介くん3人の暗躍がケレン味たっぷりで、ようやく笑えた印象的な場面。
劇団四季の野田和佳子と宝塚の彩夏涼は、歌声も美しいが、メイクがちと濃いか。
兼松若人、吉岡麻由子が熱くて的確な演技。別紙慶一の老けっぷりも注目。

もう1回観れば、「カンタレラ」「サンドリヨン」などボカロ曲やその他の歌にも馴染めそうだ。
それよりもカテコで全員で歌っていた「パラジクロロベンゼン」が頭をクルクル回っている。入場時に頂いたCDを早く聴きたいものだ。

お見送り担当は、彩夏涼、郷本直也、渡辺大輔、齋藤ヤスカ。郷本さんに「アクサルの仮面の男みたいですね」と言ったら笑ってくれた。そういや郷本さんは『最遊記』で沙悟浄をやったが、アニメ悟浄の平田さんと今度朗読で共演するのが渡辺大くん。兼崎さんの『ピスメ』のチラシもあったが、郷本さんもヤスカさんも『ピスメ』経験者なんだよね。
舞台『レシピエント recipient』の二回目を観てきた。

初日に観た時よりも分かり易く、セリフや言葉がストンと入ってきて、人物の思いがより鮮やかに伝わってきた。
執刀医を狂言回しにして、回想によって運んでいく手法。前半は笑いをメインに物語に引き込み、後半は緊迫感と共にじわじわと切ないタッチで包む。桝野幸宏の巧みな脚本にも感心した。
ムダのないシンプルなセットや可動式壁が効果的。暗転を少なくするための取立て屋の動きも謎めいてよい。疾走感ではないが、スピーディーでテンポのいいG2さんの演出も見事だ。
誰もが舞台の主役ともなりうる、様々な観客層から共感を得られる、サスペンス風エンタテインメイントに仕上がっていた。

キャストの演技は今回も完璧。本日はDVD収録とあってか、幾分気合が入ってる。
加藤和樹はどんどん目付きが悪くなって、凄みも増してきてるw。スーツからぷっくり出るお尻のラインが色っぽいなと見てたりw。
前日の放送で白衣を着てた和樹だが、あの顔つきで白衣を着ると、それこそ吉見みたいに裏稼業をしている凄腕のドクターに見えるw。あの時、速水奨さんが鉄っちゃんをヤってたが、聞きながらこの舞台の役を思い出したのではないだろかw。
劇中にあった北海道への各駅停車の旅は、まさにウチの娘がやってたコトw。そして“ガリガリくん”を熱く語るのは小澤亮太だろうにw。

「腹」に関する格言が出てきたが、実は腹にあたる“臓器”のことを、作者が物語中で最も言いたかったことなのかな~と思った。腹芸ではないが、腹の奥からしぼり出した言葉はきっと、人の“魂”を宿し、人の“魂”を揺さぶるのだろう。


終演後トークショー。
桝澤貴彦が司会で、橋本淳、加藤和樹、佐藤江梨子、三上市朗、大野拓朗、吉川友が立ち並ぶ。

あまり笑わない三上さんに「コワイですよ」とタカ。DVD収録なのでいつもより髪をクルクルの友さん。初舞台のタクは今はイイ意味でリラックス。G2さんの演出は例えが分かり易く、稽古の半分はディスカッションだったとあっちゃん。取立て屋の下っ端3人をG2さんは「ワンダースリー」と呼んでいるとかw。

タカはリアルオタクで、ガチでモモクロファンw。誘拐してきた時の台詞もタカ自身で考えたとかw。そんなタカをキモチワルイと言う和樹自身も、リアルアイドルの友さん絡みで、「やっぱ萌えるじゃないですか」と萌え系を肯定、「普段どちらかというとオタク寄りですよ」とオタクを自認した。タカとは分かり合っちゃって、マンガやアニメの話もするとか。
アイドルは好きなの?という質問に、和樹は「女は好きなんです」。サトエリが「女が入ると急にテンション高く声が張り出すね」と言うと、「こう見えて20代」(笑)と和樹が嬉しそうに言った横で、「老け顔」とタカw。

最後にW主演の二人から挨拶。昨日のお見送りの時に手話で「アイシテマス」と返してしまったが、色んな方に支えられて作ってる舞台だと実感したとサトエリ。あと、ハカセタロウさんはイイ人だったとw。実際に透析中の方が観て元気が出たと言ってくれたと語る和樹は、観る人を強く支え前に進められるように役を演じたいと立派なコメントを残した。

『OZ』と『レシピエント』を交互に観てきたが、どちらも印象に残る良い舞台だった。
Studio Life『OZ』Z(ゼータ)チームを観てきた。

初演を最初に観た時は一般で取ったサンモールの最後列で、いつか最前列でOZを観たいな~と夢見ていたがw、今回まさかの最前列席ほぼ真ん中!
舞台とも超接近で、目の前で展開されるお芝居の迫力と臨場感がたまらない。
OPの1019やムトーやネイトたちの視線までポンポン飛び込んできて、ドキドキワクワクな緊張感にも包まれた。もう満足(*^。^*)。
でもちょっぴり弊害^^;。間近で目にする劇団員のメイクから覗くシワや疲労感までわかってしまった。もちろんフレッシュさんとか若い人もいるが、スタジオライフには萌えさせる若いイケメンは少ないな~とあらためて感じてしまった。

今回のムトーは客演の竜星涼。ドラマ『桜蘭高校ホスト部』に出ていたことぐらいしか覚えてない。うっすら掠れた声はいいとして、イマイチなカツ舌と台詞回しで、演技的にはまだまだ硬く不安定感がある。ランクAならぬ、役者としてはランクC止まりだろう、今現在は。
だが、見た目は一番ムトーのイメージ通り。岩崎大ムトーをスマートにさせた感じw。目は細いけどね。溌剌とした体当たりのアクションは、身長を駆使してダイナミック。何よりフレッシュで前向きで情熱的な姿は、ムトーというキャラに近いものがあり、観る者をときめかせる。倉田淳氏はこういった要素も見越してキャスティングしたのだろうが、逆にいえば劇団員にそういう人材がいなかったのも否めない。今後はこの舞台を踏み台にして、竜星くんの活躍にも期待したい。

最前席で一番困ったのがスモッグ。アラモスの老人の煙草の煙がちょっぴり来たが、竜星くんは未成年なので全く吸わないムトーになったのが可笑しい。
アラモスの老人の「日常こそが貴重だ」の言葉は重いが、その前に「夢を見るな」とムトーに忠告してる。だけど若いムトーはいつまでも“麦畑”の夢を見る。その夢見がちな表情をする竜星くんは、マツシンにはなかった、何とも言えない穏やかでまろやかな顔なのだ。“夢を見る”顔は、やはり10代から20代前半の子しかできないのではないかと思った。

1019@曽世海司と竜星ムトーの関係は、年齢差もあって兄弟のような雰囲気。ラストの間近で目にしたキスシーンはホントに唇が合わさってたが、なんかアットホームな感じがあって色気は薄かったw。
フィリシアの関戸博一は、見た目は可愛いが体がデカくて16歳のイメージではない。だからか、ムトーとフィリシアのラブシーンにはちっとも情がわかない。エレベーター前のシーンも、Oチームであったキスがこちらでは省かれていた。“ラブ”の欠如はラストへともつれ込んで残念だ。
客演の植田圭輔は、Zチームではピーター他で参加だが、出番が少なく勿体無い使われ方。こちらのフィリシア等女性役をやらせたかった。
ヴィアンカの松本慎也は、Oチームでやった「ムトー」を罵倒する言葉も発して可笑しいw。マツシンと関戸は奇しくも今度は姉妹役でソックリ感w。
ネイトの船戸慎士は、予想通り渋くて色気があって男前、セリフがビンビンと伝わって上手い。でも最後までグラサンをかけなかったのは、本人の拘りだろうか。

竜星くんと船戸さんの年齢差があったため、ムトーとネイトの生き方の違いがより鮮明に伝わってきた。若いムトーは“生きる”ために目を見開いてあがき、世間を知り尽くした年嵩のネイトは“生かされる”ために目を閉じてあがく。
観る度に、色々な思いがわいてきて考えさせられる舞台。
今まで感じなかった新鮮な風が麦畑の上にも吹いてきたと実感した。

それにしても一幕は1時間半と今回は特に長く感じられる。その分、二幕は1時間。
キャラクターも多くボリュームたっぷりのこの舞台に、お目当ての劇団員が出演していないのを寂しく思った。


終演後、トークショー。
藤原啓児、曽世海司、関戸博一、青木隆敏と、先日のトークショーとほぼ同じメンバーw。本日のゲストは笠原浩夫。

初演、再演の『OZ』で1019をやった笠原さんだが、「バーバラです」と自己紹介し、相変わらずのお茶目っぷりw。一応真ん中で跪く笠原さんに「やるんだ」と苦笑の曽世さん。
後方席でご覧になってた笠原さんは観ながらどんどん思い出したそうで、「この舞台は疾走感が命でしょ」と切り出す。まさに倉田氏も「疾走感が大事」と言ってたそうで、前公演よりもタイトに仕上げているとか。

1019目線で笠原さんが感じたこと。
ラストの麦畑。初演は本物を使ってて、虫が飛んできて大変だったと。再演は写真(切られてしまったが)。今回は本物だがハイブリッド仕様で、保存もよく虫も飛んでこないと曽世さん。関戸フェリシアが麦畑の後ろに回って、飛んだり跳ねたりと天真爛漫w。「神聖なところなのに~」と後でお小言を貰うw。
ラストのムトー抱っこ。(岩崎)大がデカくて重くて、後ろ向いた時に落っことそうかと思ったと。ちょっとコツを掴んでやれば平気ですよと曽世さん。
飛行機のシーン。初演は操縦桿もなく、ボタンを押したりとマイムでやってたと。今は操縦桿もありGもかかってちゃんと出来てる。今度は本物の飛行機とか出てくるかも(笑)と曽世さん。

9年前も1024で出ていた青木くんには「色っぽくなった」と曽世さんたち。
9年前は出てなかった関戸くんは「お前、ダレ?」と笠原さんに何度も言われ、ちょっとアウェイ感w。『夏の夜の夢』ではダブルキャストだったのにw。フェリシアは思ったよりは出番が少ないとしみじみ。
でも会場には9年前7年前を観てない人も少なくなく、笠原さんが1019を強調しても反応が薄いかも。「これからも笠原先輩の後を追いかけていきます」と一応敬意を払う曽世さんだが、夜公演も観るという笠原さんに「ヒマなの?」w。にこやかにハケていった。

其々が挨拶。藤原さんからは「舞台上にFreshが勢ぞろいするシーンもあります。いつか彼らがシュロッターベッツの制服を着ることも」と次世代に目を向けるメッセージ。
スタジオライフもそろそろ劇団内で新しい風を吹き起こしてほしい。

「いちご狩りバスツアー」の詳細が到着。お天気になりますように。
アトリエ・ダンカン・プロデュース『ラ・パティスリー』を観てきた。

フランス菓子店“ロワゾ・ドール”を舞台に、新米洋菓子職人が目にする、店のシェフたちの人間模様を、オーナーや来店客との繋がりの中で描く。
12月に観た『恋する私のベーカリー』を思い出させるような、ショーケースや喫茶のある店内のセット。
上演前にイベントも開催され、パセラとのコラボ限定スイーツを企画するなど、話題性は大きい。

井上正大と村井良大の『仮面ライダーディケイド』コンビが再び共演。パティシエとして同じ店で働く仲間の役だ。
天才肌で快活的な恭也と、努力家で堅実的な吉野(名前が分からんw)。当初はこの二人が切磋琢磨しながら成長していく姿を見せるのかと思ったが、新米パティシエールの夏織やベテランシェフの美津子、オーナーの晴恵を含めた人間ドラマのほうに重点が置かれていた。
キーワードは“記憶”。25年前の記憶、7年前の記憶、そして今現在失われてしまった記憶が、ロワゾ・ドールのケーキによって次々と思い起こさせる。思いが込められたケーキは、過去の思い出を明日への希望と活力へ変えられるのだと、温かいメッセージが伝わってきた。

10列目の席では珍しくオペラグラスを使用。劇中で登場し使われるたくさんのスイーツを細かく見るためだ。つくりもののお菓子に混じって、本物も多く登場し、演者が食べる度に美味そうに見える。
パティシエ役の演者も、ケーキの切り方や出し方からケーキデコレーションまで、パティシエ界の常識をちゃんと身につけているのがイイ。正大くんと良大くんは何度も経験したのか器用で柔軟だ。パティシエ監修の関根寛次さんには稽古中もだいぶお世話になったようだ。
厨房はガラス張りの設定で、中盤から盆が回って、厨房室が見える凝った装置が嬉しい。左手寄りの席でよかった。そこでは実際に、ホールケーキにラズベリー風ソースがダイナミックにかけられ、思わず口の中を刺激されそう。
舞台を観た後で、ケーキが食べたくなることウケアイだw。

とはいえ、ストーリーそのものはツッコミどころも多く、腑に落ちない点や投げ出した問題もあれこれ。
恭也は吉野よりも年上の設定だったのか。晴恵の息子は話題ばかりでとうとう現れず。駅前のパティスリーや百貨店の暗躍も不気味だ。恭也の罪はどうなるのか。夏織は恭也に次第に惹かれるとあったが、全然見えなかったw。
まぁ、高橋愛は思ったよりも可愛くてしっかりした演技だし、酒井美紀は綺麗で爽快感があった。『レ・ミゼ』以来に観る阿知波悟美は頑固そうな役どころだが楽しそう。“ラ・オジスリー”の平賀雅臣、朝倉伸二、西村直人が味を膨らませる。
何よりも若いイケメン二人のパティシエ姿は、真剣に見えて爽やかだった。


アフタートークショー。
登壇者は、高橋愛、井上正大、村井良大。司会のアトリエ・ダンカン佐々木氏は良大くんを「良ちゃん」w。

正大くんは舞台初座長なんだね。愛さんや良大くんから「オモシロイ」「明日は焼肉弁当が入る」と言われて結構イジられキャラw。始まる前に円陣組んで「ラ・パティス・リー!」と掛け声するので、客席に聞こえるかどうかと。
4回目が終わって感想。稽古を積み重ねてきたが、やはり実際の現場は変わってくるとかで、劇場のセットは色が違うとか天井が高いとか。厨房室の盆はゴトウさんの人力。中のケーキも本物と贋物。「最初のセレブレもニセモノ持ってこようか?」と愛さんに良大くんがイジワルw。毎日ホールケーキが3つ位なくなってくるが、本物はバラして後でみんなで食べちゃうので、ヘルシー低カロリーに作られていると。名前のないケーキはパセラで実際に販売。

客席質問で、其々オススメのケーキ(ケースの中から)。愛さんが言った「レ・ミゼラブルのケーキ」は阿知波さん繋がりなのでは? 良大くんが「オレンジのパウンドケーキ」はそろそろ賞味期限切れw。
今後の課題。「恭也として詰めて返していきたい」「単純な夏織ちゃんを楽しみにやっていきたい」「吉野くんを細かに的確に捉えていきたい」と、三人ともしごく真面目に役と向き合っていた。
あと11ステージ。進化したお三方が観れるということで終了した。
舞台『オレンジ 命の奇跡』を観てきた。

主催はフォーミュラミュージックエンタテインメント。
ミュージカルの括りにあったが、実際はストレートプレイ。OPとEDの主題歌をLUVandSOULが担当する。

消防士の若き青年が、レスキュー特別救助技術研修を経て成長、やがて襲い来る大震災の現場で、仲間たちと共に要救助者の救助にあたる話。
あれから一年。ようやく東日本大震災を背景にした作品が舞台に登場してくれたという思いだ。
地震や津波でたくさんの命が失われた一方、たくさんの命を救ってくれたのはレスキュー隊員やハイパーレスキュー隊員たち。今作は彼らの懸命な姿を描く意欲作だ。

主人公の榊原裕太は、他の隊員を省みず自分勝手で強引な行動を取る青年だが、レスキュー研修中に大切なことに目覚め仲間との絆を知る。二幕目からはハイパーレスキュー隊員として、災害や地震の要救助者を救い出す一人前の男に成長。
最初は生意気で鼻っ柱が強い裕太に嫌悪感を抱きながら観てたが、徐々に人間として逞しく成長していく様子は、ベタだがすがすがしくも感じる。
裕太と共に切磋琢磨するレスキュー訓練生、とりわけライバルで理解者の栂村健介の存在が大きい。裕太たちを指導する教官たちやエールを送る消防官たち。そして裕太を時に厳しく時に優しく見守る父と母。裕太を通して様々な人物の生き方と愛情が描かれる。
“オレンジ”とはレスキュー隊員の制服の色。綿密な研修内容といい、東京消防庁の協力あっての舞台だ。
毛利亘宏の脚本は、現場の隊員たちを描く一方、指示が遅くパフォーマンスだけで復興作業も進めない役人や政治家への皮肉も込められているのが痛快だ。
伊勢直弘の演出はスピーディーで手堅いが、こういった壮大なテーマの舞台にしては金銭的に物足りなさがある。もっと人員を投入させたかったのではないか。映像や音響を駆使させたセット作りも必要だったのではないだろうか。

颯太は何度か台詞にトチリがあって不安定感があったが、座長として引っ張っていく粘りもある。清水良太郎は快活な男前で目立ち、堅実な演技が頼もしい。
気弱な役の加藤良輔だが、しっかりした演技力で大きく見えた。吉岡毅志、義田貴士が好演。榎木薗郁也が面白いテイスト。内藤大希は出番的に物足りなさ。
小和田貢平、容崇、丸山徹が、渋くイイ声でドラマに厚みを加えている。
記者役の鳥居かほりは華を添える程度。三浦孝太は三浦涼介の兄だがあんまり似てない。

お目当ての田中真弓と森田順平は声優としても活躍中。真弓さんの舞台は昨年観たが、森田さんの舞台を観るのはマウスプロ以来。
森田さんと真弓さんは裕太の父母役で、なんでこの二人からあんなイケメンが~という感じw。森田さん演じる沢田は、父として上官として裕太に接する重要な役で、栂村が隊員になったきっかけの人物。劇中、現場の隊長としてもよく動き見事な働きぶり。真弓さん演じる茜は新聞記者で、裕太を心配しながら威勢のいい言葉で送り出す。真弓さんの身長カバーで、記者がハイヒールを履いてるのが気になるw。親子の会話があれば元夫婦の会話もあり、森田さんと真弓さんのラブシーンならぬ、温かい繋がりが見どころのひとつかw。
ハイライトシーンで部下を先導する森田さんの叫びがよく通って格好良い。ラストで裕太を励まし見送る真弓さんのしゃきしゃきした喋りは、ルフィのような面白さで笑いが起きた。さすが、お二人とも抜群の芸達者な役者だ。

本日夜は千秋楽とあって、カテコで感慨深く言葉を発する颯太くん。
関係者の姿も多く、ロビーではあちこちで盛んなやり取りが見られた。LUVandSOULもCD販売のためお見送り。
Team申 番外公演II 朗読劇『幻色江戸ごよみ』に行ってきた。

東日本大震災チャリティー企画で、佐々木蔵之助が立ち上げたユニット「Team申」。
“テキストを読む”という形で、蔵之助さんと盟友たちが集まり公演を続けてきたという。
今回の朗読劇は、宮部みゆきの著作品からセレクトされており、興味をもった。
構成・演出は長部聡介。

出演は、佐々木蔵之助×市川亀治郎×佐藤隆太。
この3人に、今までのTeam申の出演者たちが日替わりゲストで加わり、この回は仲村トオル。豪華俳優陣だ。

宮部みゆきの「幻色江戸ごよみ」は、江戸時代に生きる普通の人々の喜怒哀楽を、キレのいい日本語で書かれた短編小説集。
この回で読まれた作品は以下。
★「器量のぞみ」不器量な女が望まれて嫁いだ先の家族は、醜さと美しさが逆に見える呪いにかけられていたという話。
★「神無月」神様がいなくなるという神無月に毎年強盗する男と、強盗男を捕らえようとする岡っ引きの話。
★「紙吹雪」奉公先の老夫婦を家族の仇と狙う娘の壮絶で哀しい復讐話。

三人がナレーションと役を兼ねながらメインに進め、ゲストが時おり入って色を加える形。
男役だけでなく、女役も小さな少女から老女まであり、蔵之助さんと亀治郎さんが交互に演じ分ける。
亀治郎さんはナレーションも役も味があって素晴らしい。歌舞伎独特というのか、よどみなく流れるような言い回しが耳に心地良く、亀治郎節を存分に堪能。特に女声は歯切れがよくて艶っぽい。
蔵之助さんは小声と大声とのメリハリが面白く、言葉に惹き付けられる魅力がある。遊び心たっぷりの女声が大胆かつ可愛らしいw。
残念だったのは隆太さん。言葉が上ずるようなカツ舌もよくないナレーションで聞き取り難く、時に鼻水を啜る音まで耳に入り(花粉症か?)、イライラと不安に思っていたら、案の定、3回ほど言葉に躓いて言い直していた。とにかく彼のナレーションは眠気が起きそうになった^^;。3作目は町中衆のみを担当して、やっと隆太さんの声から開放された感じ。映像では実力もある人気俳優だが、朗読という形は隆太さんには合わないように思った。
ゲストのトオルさんは出番も少なく、やや渋めの声と演技で、マイペースに世界観に溶け込んでいた。

キャストの配役も影響して、3作目が一番ジワリときて印象に残った。
活躍中の俳優陣による朗読劇だが、満足いく出来ではなかった。先月19日にあった朗読劇『まおゆう』の聴き易さと完璧さには及ばなかったようだ。
やはり声だけで表現するプロ声優さんはスゴイ。いつか同じ劇場で、年長の男性声優さんによるこういう朗読劇を聴きたい。
舞台『レシピエント recipient』初日を観てきた。

腎臓移植手術によって一命を取り留めた男が、手術以降、好みや趣味が変わり性格も丸くなり、「取り立て屋」としての仕事もできず、不安を覚えてドナーについて調べ始める。そこでショックな事実に直面するが、ドナーの姉との出会いが、彼の人生を大きく変えていく。

他人の臓器や角膜を移植されたことで、ドナーの記憶や性格が自分に宿り、今までやったことも見たこともないようなことを、やってしまう見えてしまうという話はよく聞く。この作品は更に一歩進めて、自分が自分でなくなっていく感覚に襲われる男が、本当の「自分」らしさを取り戻そうとしていくヒューマンドラマだ。

医療が関わる話なので、手術シーンはどうするんだろうと思ってたが、執刀医のドクターを狂言回しにして、回想シーンをふんだんに挿入させて展開していく。現在から回想させ、更に先の現在へと進行し、ラストで繰り広げられる男の生き様とドナーの姉との繋がりに、観るほうの共鳴を呼び寄せる上手い手法だ。
主役はヤクザの男・会田と、ドナーの姉・信枝だが、影の主人公は舞台には出てこない、ドナーの“ひろし”なんだろうなと思う。アイドルオタクでテツオタで甘い物好きで、不器用でお馬鹿だが、姉思いの素直で優しい青年。彼が一番可哀想だったが、一番幸せ者でもあり、観るほうの想像を膨らまさせる存在だったw。

髪を切り揃えて髭をたくわえた加藤和樹は、繊細な色気に渋い男らしさを加味して実に格好良いv。声を荒げて人相悪くしているが、どこか人の好さが滲んでしまうw。キュートな魅力もビンビン。
彼の部下の三人が個性的。橋本淳はくせ者なダークホースぶりが似合う。大野拓朗はやや演技が硬いが正統派なイケメン。栁澤貴彦はさすがに器用で柔軟な演技派だ。
地味な仏頂面で通していく佐藤江梨子は、今までにない演技と魅力で小さな表情が光る。
吉川友はちょっと骨太なアイドルだなw。
吉見医師役の三上市朗は、コミカルな演技が冴え渡り、舞台を力強く大らかに支えている。

7人だけのキャストで、濃い個性が交じり合ってなかなか抜群のチームワーク。
ヤクザ絡みのヤバイ話なので、突然銃声が発するのではと怯えていたが、それは大丈夫だった。
手と手が触れ合うラストシーンが美しい。余韻が残り、ジンとさせるイイ話だった。
2時間弱もリピートするのに最適だ。

千円のパンフを買ったが、解体読本が三千円でセット売りもあり。両方買うと高めになるアコギな商法w。
リピーター特典で希望キャストの写真もあり。
来週観劇予定回はトークショーがあるとかでラッキー。
Studio Life『OZ』O(オミクロン)チームを観てきた。

第三次世界大戦終結後の戦乱と混迷が極まる地球。とある頭脳集団が大戦前に造った、飢えも戦いもない理想郷の科学都市【OZ】への道先案内人として現れた機械人間1019と、天才少女フィリシア、彼女に雇われたランクAの傭兵ムトーの過酷な旅が始まる。

原作は樹なつみの人気コミック。脚本・演出は倉田淳。
2003年の初演、2005年の再演に続く、7年ぶり3度目の上演となる。初演を観て私がFCに入ったきっかけともなった作品。
ストーリー的には再々演だが、作品的には新しくもある。キャストは一部を残し、外部客演を加えて殆どが新キャスティング。そして上演時期が、昨年3.11後の原発事故で核の恐怖に再びさらされた日本の状況下だということ。なぜならこの作品は、核が引き起こした話でもあり、核によって終結させる話でもあるから。

観るほうの意識も自ずと変わってきたのだろうか。
作品に込められた様々なメッセージを、情感豊かにシャープにあぶり出す、作り手の思いや信念が真っ直ぐに伝わって、あらためて深い感銘を味わった。
素晴らしい作品! 見事なスタッフワークとキャスト陣!
今回は原作を読み直すこともしなかったが、観ながらどんどん展開や台詞が思い出され、先へ先へと逸る気持ちに常に包まれていた。

7年前のと比べて顕著だったのがアクションシーン。凄い迫力ではないが、感情にのせたきっちりと安定感のあるムダのない立ち回り。航空機から飛び降りるシーンがよく出来ていて、キャラごとの個性溢れるアクションが印象的。
好きなシーン、好きな台詞を観たいがため聞きたいがための観劇でもある。ネイトの「互いのウソがバレるだろ」、ムトーの「生きるために俺はあがく!」、1019の言った「うれしい」。散りばめられた宝石箱を開けるようなドキドキ感を味わった。
キスシーンもやっぱり多い芝居だw。確かに「マシンにキスはしない」というのがキーワードでもあるんだが、キャラクターに思い入れがわくとキスひとつにも感情が揺さぶられる。決して好きなタイプではないツンデレなヴィアンカだが、彼女の思いはいじらしいほど共感できるので、ムトーにキスする場面にふっと涙が出てきた。エレベーター前のムトーとフィリシアが抱き合ってキスする場面にも愛おしさが込み上げて涙。泣かせる芝居を作り上げるライフの繊細な手腕はさすがだと思う。
そして一番に観たかった麦畑のシーン。初演は本物を使っていたが、今回も美しさの中に厳かな雰囲気がある美術セット。カタルシスが一気に高まる瞬間だろう。
欲を言えば、三国の配置や砂漠を歩く位置関係を、映像を使ってでももっと分かり易く見せて頂きたかった。今回は映像を極力使わないシンプルでクリエティティブな演出だが、原作の持つ壮大な世界観に果たしてマッチしているのか疑問だ。

観る前は全くイメージできなかった松本慎也のムトーは、細身の体に情熱と魂を込めて、しなやかでナイーブな面が強調される。
フィリシアの及川健は、何年経っても変わらずのキュートな頼もしさで、表情にも余裕のアドリブを見せて楽しい。
似たキャラクター性のマツシンとオイケンなので、何となく双子の兄妹のような繋がりの濃さも感じられたw。
幕開けと幕間に膝をつけてモノローグする1019の曽世海司が、この舞台の本当の主人公。ひとつひとつの動きが理念的な思考で作られていて演技派だなと実感。曽世さんの人の好さが1019の小さなユーモラスさから滲み出て共鳴させるキャラに仕上がっていた。
ネイトの堀川剛史が原作キャラと重なる部分が多く実に男前で格好良い。ライフでは野性味のある役者として貴重な存在だ。青木隆敏の1024は冷静なサイバノイド部分とセクシーなバイオロイド部分演じ分けし、作品に厚みと面白味を加えている。
ピーターがやけに声が大きく溌剌としてるなぁと思ったら松村泰一郎だった。置いてけぼりにされたスカイルズといい、兼ね役の仲原裕之がポイントを押えてる。

客演の林修司(ルドビコ★)と植田圭輔は、同じリオンとして上手いアプローチだ。林さんと曽世さんが似てる、というのは周知の事実となっているがw、曽世さんのリオンは感情面が先に出ていたのに対し、林さんのリオンは冷徹な面が目立っていた。でも曽世さん@1019の体にすがる林さん@リオンの図はなかなか面白いw。そして林さん@リオンも植田くん@リオンも作り込みが深く、倒れ方が実に上手いw。
もうひとり客演の竜星涼は、兵士や秘書でちょこちょこと出演。筋肉質で背が高くて、Zチームのムトーとして期待ができそう。竜星くんのムトーを観た方の感想でもイイ出来栄えらしい。
Zチームは来週の観劇予定。


終演後、トークショー。出演者だけかと思ってたらゲストも入ると知り、何と本日のゲストは新納慎也だと劇場に来て知った。ラッキー!

及川健、松本慎也、曽世海司、青木隆敏に加えて、新納慎也が登場。司会進行は関戸博一だが、ニイロさんがよく喋り、お喋りな曽世さんも加わって、司会の存在が殆ど必要ない展開w。

2003年に『トーマの心臓』、2005年に『OZ』で1019&ヴィアンカ、2009年に『LILIES』とStudio Life作品に客演してきたニイロさん。トーマでは仕込みまでやらされたとかw。
7年経っても何も変わらない「オイケンが一番のバイオロイド」(笑)と言うニイロさんは「スタジオライフの宝ですから、大事に介護とかして下さい」ってw。Studio Life作品にはたいがい感動してるというニイロさんはひとりスタオベまでやったことがあったとw。「1019やりたかった!」「曽世さんがやれるんだから僕も!」とまたまた年齢の話にw。
当時を思い出しながらニイロ風マントの使い方を伝授し、曽世さんからは「おしゃれサイバノイド」と言われたり。ムトーをやったよっちん(山本さん)とのシーンも再現して演出しちゃうニイロさん。これを舞台でマツシンが実践するかはお楽しみ?
ニイロさんから舞台の告知。決して告知のために来たんではないと言いながら、3本も舞台の告知(人気役者だ)。その中には『コーヒープリンス1号店』もあり、加藤和樹らイケメンがわんさか…と煽り文句までw。
最後に「またライフに出して下さい!」と自己アピールしてにこにこと帰られた。

出演者4人からこれからの意気込み。「今回は祈りを込めてやってます」とオイケン。「魂を込めて命をかけてやります」とマツシン。「思いを繋げて」と曽世さん。そして今回ただ一人の衣装担当だと言う青木くんからは「みんなのお母さんみたいで。役者としてより衣装係りとして…」と愉快なコメントが飛び出した。和気藹々と賑やかなトークで楽しかった。

6月の『天守物語』のキャストも発表され、楽しみが膨らむスタジオライフ。来月はいちご狩りがあるしねw。
明日は天守物語を上演する紀伊国屋ホール。
『ALTAR BOYZ 2012』追加公演の昼&夜に行ってきた。

2週間ぶりのアルターボーイズ。これが私が観る最終公演なので、しかと目に刻んで記憶に留めておきたい。
昼はチームRED&ORANGE合同。夜はチームRED&GREEN合同。出演者は以下(五十音順)。
RED:植木豪(フアン)/小林遼介(ルーク)/橋本汰斗(マーク)/東山義久(マシュー)/良知真次(アブラハム)
ORANGE:鯨井康介(マーク)/中塚皓平(マシュー)/三上俊(アブラハム)/森新吾(ルーク)/和田泰右(フアン)
GREEN:井澤勇貴(フアン)/上口耕平(ルーク)/上間善一郎(アブラハム)/大河元気(マシュー)/海宝直人(ルーク)

予想通り、OPとEDとメドレー、ソロパートや懺悔コーナー以外は、曲ごとにチームを入れ替えた構成。
でもREDがほぼメインだったかな。1回ずつしか観てないORANGEとGREENをもっと聴きたかったが、好きな曲目はREDがやってくれたのでまずまず満足v。
REDマークのモノマネ→ORANGEマークやGREENマークのモノマネで入れ替わり、次はREDアブの切り口からREDのパペット踊りに入る形。薄暗闇の中、他チームがパーっとハケていく感じが爽やか。
「Number918」の縦5人のジャンプは、2チームが混ぜこぜになった2列で、目新しくてエキサイティング。

Wキャラクターが揃って歌うソロパートが痛快。
Wルーク間では「お前ダレだ!?」なセリフが飛んだがw、一番ファンキーだったのはGルーク。
Wフアンは腕を絡ませマイク交換で歌うが、Rフアン&Oフアンは背が釣り合ってたが、Rフアン&GフアンではRフアンが背伸びw。
Wマシューでは「楽しくなると二つに分かれちゃうんだ」な台詞が飛び出し、どちらが好き?と女の子に選ばせるが、昼はRマシューでよっしゃあ!だったのに夜はGマシューが選ばれ、落ち込むRマシューがカワイイw。それをRフアンが後でネタにするw。

昼のお目当ては、Rアブラハム&Oアブラハムの「タンブリング」コンビと、Rマーク&Oマークの「青学(2代目&5代目)」コンビ。どちらのコンビも、二人で並び互いの目を絡ませながら歌ってる様子を観るだけで嬉しくなっちゃうv。
ミカシュンアブは澄んだ歌声では負けてないが、もう少しソロで踊れるといいなと思っちゃう。表情豊かな鯨井マークは結構人気があって、汰斗マークを包み込むような歌い方。
これが夜になると、また趣が変わる。善くんアブも悪くはないが、良知アブラハムの伸びのある凛とした歌声には叶わない。汰斗マークの歌声を尊重しながらも、最後は会場に響き渡らせた海宝マークの歌はさすがに上手い。
良知アブは孤独を抱えながら懸命に祈る役作りで、やはり3年間やってきただけの深みがあった。アブに引導された仲間たちとの雰囲気も全然違う。REDはいかにも親密で濃いのに対し、ORANGEはさっぱりしてたし、GREENは爽やかに見えた。

懺悔コーナーは、相互チームが溶け合う絶好の場。
何かと頭をポカポカ殴られるORANGEマシューは(Oマークからは靴で!)、REDマシューと同じドMが共通点w。ORANGEアブが皮手袋でワニ生け捕りのマイムをするシーンがあって、おとなしいウチのアブラハムをこんなに喋らせてくれてありがとう!とORANGEメンバーがREDメンバーに言ってたのが可笑しかった。ミカシュンどんだけ口数少なかったんだ!? でもORANGEの面子だとミカシュンの面白さは引き出せないかもね。『銀英伝外伝』で共演した東山マシューが絡んでくれたから、ようやくミカシュンアブものびのびできたんだろうか。ミカシュン的にはREDでマークをやって貰いたかったかもw。
夜は、腕の短さで自ら墓穴を掘ったり童貞ネタにされたりと、良知アブが結構ヤリ玉にw。東山マシューがまた鋭くツッコむw。REDは互いに落とし合うのは分かってるが、とうとう「精神年齢はGREENより低い」という結論w。この状態の中では、ルークの台詞もアブの台詞も場に合わなくて「これ、言わなくちゃいけないんですか!?」と作品ツッコミw。

懺悔はないが、本日のポカ一番は、東山マシューの「ユダを裏切ったユダ」(爆)。その後のマークの台詞「違う。そうじゃない。」が効いてたが、汰斗マークに更なるアドリブはムリw。
REDのアドリブは好調で、マシュー&マークがくっ付き過ぎだし、カラブリした昼の挽回で夜はマークをギュウっとするアブちゃんがステキw。
本日のアドリブ一番は、東山マシュー&豪フアンの二人そろって「ウインクでーす」「オール阪神巨人です」(笑)。「エグザイル」が「D☆D」や「パニクルー」になってたw。

2チーム合同のメドレーはいつも以上にノれて大盛り上がり。
本編でREDがやった曲を、ORANGEやGREENがやったりと美味さをしっかり押さえてる。
ダンスはやっぱりREDが中心で、華やかに派手にステージを彩っていた。
ラスト、ORANGEは柔らかい笑みで応えてくれたり。GREENは明るく溌剌とした空気を入れたり。
REDは初の一日2公演だったが、ちょっと疲れを残しながらも、充実した笑顔をいっぱい振りまいてくれた。 

昼の挨拶は、オレンジリーダーの森新吾と、レッドリーダーの豪さん。豪さんがさりげに和田フアンを引き立てる。
夜の挨拶は、レッド東山さん&豪さんが年齢に負けないコメントw。グリーン上口くんはまだまだテンション高い。グリーン元気は「やる前は怯えてたけど、REDの足を引っ張らないように」と謙虚な言葉。GREENマシューは静かさで男を挙げてたなw。
10人にバンドメンバー入れて立ち並ぶと、ステージいっぱいに広がって豪勢。明日はどうなるのかなw。

2時間強×2公演のスタンディング。昼は段差のある後方から、夜はフラットの中ほどから、お目当て的に左側寄りの位置をキープ。何とかステージは観えたが、前にいる背の高い人が公演中にどんどん横に移動すると、こちらまで体を移動しなきゃいけないのが難。でも最後はチームREDが真ん前にいて、目が合うほどのドキドキ感に包まれた。

最後は、東山マシューの音頭で一本締め。REDメンバーの手を合わさる瞬間と心を一つにした。
心から楽しかった!(^o^) ありがとう! 
今のところ、今年一番のステージだったのは間違いない。

明日はORANGE&GREEN公演と3チーム合同公演。観れないのが残念だ。
3チームの「WE ARE THE ALTAR BOYZ」CDは記念に購入。
でもこれでREDラスト公演になるのかな。DVDは出ないし、寂しさが込み上げてくる。
『テヅカ TeZukA』を観てきた。

イギリス×日本×ベルギー国際共同製作。
シディ・ラルビ・シェルカウイ振付の最新ダンス作品で、森山未來が出演することでも注目されている。
何年ぶりかのオーチャードホール。
安めで手に入れたチケットだが、前方端で観やすいのかそうでもないのかの席。

映像と音楽にシンクロさせたダンスと語りによって、手塚治虫作品の真髄に迫り、震災後の日本の姿に目をこらした、美しくも激しいダンス舞台。
海外視点から見た手塚作品や日本の印象はこういうものかと、興味深くもあったり物足りない思いも感じた。

言葉がわからないと、舞台に込められた思いがなかなか伝わってこない。
フランス語の語りは、字幕に神経が取られて、受け入れがたいものがあった。
後半、森山さんが日本語で語ってくれたのが、どんなに有難かったことか。
馴染みのある手塚アニメの音楽も流れるのではと思ったが、世界観への扉は閉ざされたまま。女性の日本語で唄われた「五木の子守唄」や「朧月夜」は、手塚作品となかなか重ならない。最後にやっと『アトム』のテーマソングがオルゴールで流れて、一滴のように潤った。

ダンサーが扮した手塚キャラクターが登場。モチーフとなるキャラも映像紙面から現れる。
丸刈りのアトム、ブラックジャック&ピノコ、どろろと百鬼丸、『ブッダ』冒頭のウサギ、『火の鳥』の我王など。
フォーゼみたいなイカ!?と思われたのは、どうやらマグマ大使らしいw。
映画ではスルーされた、『MW(ムウ)』の二人の濡れ場がダンスによって表現され、とてもエロチック。さすがヨーロッパだと興味深く感じた。『奇子』な女の幻想的世界にもエロチシズムが充満。向こうのダンサーの女形のクォリティーの高いこと。
前半から脈々と続く“バクテリア”の話にはうんざりしたが、文字がバクテリアになると『蟲師』の世界のように見えた。

バレエダンスやヨガ風なダンス、空手やジークンドーみたいな激しい踊りが繰り広げられ、剣による殺陣もある。
約10人のダンサーたちに混じって、グリーンのフードを着た森山未来も裸足で優雅に逞しく踊り見事だ。
“神”が宿る“紙”に筆で字をしたためる“書道”が実際にも展開。映像に字を書く手法は『相田みつを展』を思いださせる。描かれる“経”にアプローチさせた演出は、作り手の祈りのようなものを感じさせた。

舞台左手で何かを描き続けるベレー帽の男がおり、二幕ラストで中央に立つ。彼は手塚治虫なのだろう。手塚を守ろうと立ち塞がり戦うキャラクターたち。攻撃しようと向かっていくのは、人類の悪の姿なのだろうか。
本気っぽい殴り合いを目の前にして、ちょっと驚かされた。
最後はアトムがやるせない表情で出てきて、未来の切ない日本の姿を思わせた。

カテコは5~6回。ダンサーや演者や演奏者などが揃い、立ち位置が毎回違う。左側で手を合わせてたのはシェルカウイ氏だろうか。若手ダンサーの何人かが、高めのバック宙など披露しながら出てきて、会場を沸かせてくれた。

手塚作品関連の舞台を観たのは、わらび座の『アトム』以来だろうか。
ロビーにあった雑誌DANZAに、ダンスアクト『ニジンスキー』の東山さんのインタビュー記事。明日観る『アルターボーイズ』追加公演の記事でチームREDの写真は貴重かもw。
Office ENDLESS Prodhuce vol.9『RE-INCARNATION』2回目を観てきた。

夜の公演で3時間半はちとキツい^^;。
案の定、後方は空席だらけ。男性客が多かった。
サポーターズプレゼントで、ブログの初日感想を見せたらクリアファイルを頂けた。サンクス。

今回ははじめから台詞がよく聴こえる。初日はマイクの不調だったのかな。
ただ、諸葛亮孔明と虫夏との肝心のやり取りの部分がいまひとつ意味不明。役者のカツ舌の問題なのか、台詞に出てきた漢字が浮かばないせいか。なんにせよ、三国志の世界は難しい。バックの映像で漢字が現れてくるサービスがあればいいのだが。

アンサンブルも入れた、コミカルなネタの数々は何度観ても面白い。
「ですが…」だけでこんなに引っ張って笑えるとはw。
「下町の夏侯惇」もナイス。夏侯淵の新しモノ好きもカワイイ。夏侯淵と張遼のヒワイなやり取りに、隣席のオジサンが笑ってた。
最初に出てきたネタがあとになっても出てくるところに、脚本の執念深さを感じるw。

聡明な孔明、計算高い荀彧、忠実な魯粛ら軍師の策よりも、不気味な孟徳や優柔不断単純素直な玄徳の言動のほうが、人々を凌駕する様子が興味深い。
力強くてスピーディーな殺陣やアクションはもちろん最大の見どころ。剣や大剣、長刀や槍や斧に、孔明の扇子、許褚の大地を揺るがす拳まで武器として活躍。怪我をしないかとハラハラさせるが、アンサンブルのヤられ役あってこその立ち回りだ。

でも、長槍の夏侯惇が素手を使うと『戦国BASARA3』の家康に見えるしw、拳の許著が寝転がって足をバタバタさせると『最遊記』の悟空みたいだしw、剣の趙雲が蹴りを入れると『遙かなる』の天真に見えてきちゃうw。
広瀬友祐は眼帯をしていっぱい刺して悪ぶってるが、根や顔がイイモンなので、あんまりワルモンに見えないw。
椎名鯛造のほうがまだ悪モンの顔を作るが、カワイイ顔とのギャップが愉快。激しいアクションをのびのびとこなして実に生き生き楽しそう。ホント、あと5センチ背があったらw。
中村誠治郎は、結構女絡みの役が多いなと実感。今回も甘夫人への片思いを募らせた表情が見事で切々と胸をうった。誠治郎は、本当の恋を知ってるね。鯛造との立ち回りが多くてスゴイ迫力。今回は殺陣で受け身の場面が多く大変だと思うが、初日に観た時と段取りは殆ど同じで、さすがだなと感心させた。

米倉利紀が醸し出す雰囲気やオーラは孔明そのまま。マジメな表情でギャグを言うと倍笑える。
佐久間祐人、村田洋二郎、西田大輔ら円熟陣の勢いと熱がじわじわと伝わる。
劉表の塚本拓弥、魯粛の平野雅史の好演が光った。

こういう難しく奥の深い物語は、やはり2度観たほうが分かるし味わいがある。
ただ、タイトルの「生まれ変わり」の意味を最後まで作品の中から見い出せず仕舞いで、モヤモヤ感が残った。
3時間半も長く飽きさせもするので、もう少し縮小させて頂きたい。
お話はこれから赤壁の戦いに入るし、できれば同じようなキャストで続編も観たいと思う。
『ALTAR BOYZ 2012』REDチームの東京千秋楽を観てきた。

先週のGREENチームで打ち止めと思っていたけど^^;。
観に行きたかったREDチーム千秋楽のチケットを定額で譲って下さる方がいて、ホントにありがたかった。私にとってはある意味、誕生日プレゼントのよう♪。
20番台、10番台とREDを観てきて、今回は一桁台の席番。しかも通路側という観易い席。
立ち見も含め会場は超満員。入場に時間がかかり、15分押しのスタートだ。

レッドメンバーは、東山義久(マシュー)橋本汰斗(マーク)小林遼介(ルーク)植木豪(フアン)良知真次(アブラハム)。

千秋楽とあって、煙もお菓子も何もかも大盤振る舞い。
メンバー登場の初っ端から、マシューのウインクにヤられたv。
ダメだ。REDチームは本命とあって、やっぱりワクワクドキドキと興奮させてくれる!
5回観た中で一番、ライブの空気に酔いながらノリノリに存分に楽しんでしまった(^o^)。

キャストの千秋楽への思いや意気込みも並々ならぬものがある。彼らの熱気や力強さやチームワークがよりビンビンと伝わってきた。
いつも以上に高く飛んだり、いつもより多く回ったり。いつにも増して駆け回ったり。ダンス、アクロバット、パフォーマンス、ひとつひとつの迫力がスゴクて、何度も歓声が湧き起こった。
紡ぎだす芝居にも感情が濃縮されてジンとさせる。マシューを中心にみんな何かしら噛みがあったがw、それすらも愛おしい。
アドリブもものすごい! ちらほら出るドリフネタにも笑いw。お客様の耳あてでイタズラするマシューは特にテンション高くて手に負えないw。マシューとフアンがワルツを踊ったりと超ムード。マシューとアブちゃんの唇が触れるか触れないかの時に、割って入るマークのタイミングも絶妙。
懺悔コーナーのネタ提供は毎度のフアン、千秋楽なのに10分遅刻してきたってのはホントの話w(後で入り待ちのファンから聞いた)。手が短いアブちゃんとプルプルなマーク。今日はフアンのダンスミスをカバー、アブちゃんには足を踏まれたマークが、新入りなのにしっかり者だと判明。
ORANGEの森新吾がステージに飛び入り、ダブル・ルークと相成ったが、危機感募らす遼介ルークw。立ち見後方にはGREENの海宝直人さんもいたそうだ。

歌声が特によく出ていてレベルが高かった。ルークのソロのシャウトが絶品で聞き惚れた。
マークのソロは、GREENの海宝マークの歌唱には及ばないが、汰斗マークを囲んで4人が歌を重ねながら集まる時、ひとりひとりの顔を見つめてニッコリするマークの場面に、何故だか涙がツツツと流れた。こんな繋がるときめき感は、他チームでは拝めないかもしれない。それこそ天の声がおっしゃるように、ひとりの歌よりみんなの歌が連なることに作品の真骨頂があるのだろう。
ラストの良知アブラハムの「I Believe」は今まで聴いた中で一番素晴らしい出来だった。高らかに響き渡る歌声に体ごと癒され、心打たれて涙が流れ落ちた。今回2度も涙か。まさに祈りのアブラハム。私も思わず何かを祈り願いたくなった。
アブちゃんに次々と寄り添う仲間たち。DX12の数字が「4」から「0」に変わっていく様子を、今回は横目にしてしかと確認。歌だけでなく彼らの体が触れ合った瞬間に、数字が変わっていくんだね。

座って手拍子していたが、体がムズムズしてしょうがなかった。
だから、メドレーで真っ先に出てきたアブちゃんが、立てよ!な感じで誘導してくれた時、嬉々として立ち上がった。客席を一回りしてくれたメンバーとも念願のハイタッチ。
いつも以上のキャストのショウに、会場もどっぷりと盛り上がった。

千秋楽のキャストの挨拶。やっと馴染んだと思ったらもう楽だと東山さんに言われた汰斗は、充実した表情で喜びの感想。彼がD-BOYSの一員だということを忘れそうになるが、こういう大舞台をやり遂げて、Dボでは間違いなくトップダンサーだろう。一年越しにやっと出演が叶ったと話したが、カザリという土壌があったからこそ叶った舞台。彼の眩しい成長ぶりを共に喜んだ。東山さんが言う汰斗の四字熟語は「大器晩成」。東山さんから「自画自賛」と言われた良知さんは即クレーム返しをw。
大阪公演も、追加公演もあるので、まだまだアルターボーイズは終わらない。

挨拶の後にもう一発! 「We Are The ALTAR BOYZ」を唄って最後の最後まで大盛り上げに盛り上げてくれた。キャストの情熱がスゴすぎっ。演奏メンバーもスゴイ。

終演後、雨が降っていたが、ファンの人たちと一緒に外で出待ち。今日しかないものね。寒いけど願いのほうが熱い。
1時間ほどして、良知さんがマネージャーさんと出てきた。今日の良さんはすこぶる上機嫌で愛想が良く、ひとりひとりと目を合わせて話を聞いて握手やサイン。その列の長いこと。終わると振り返って挨拶までしてくれたとか。
「アブ」の字が「ラブ」に見えて、やっと気づいた。アブラハムは神の“博愛”の化身だったってことに。深いな。バレンタインで告白する少女のドキドキ感にも似た時間だった。
他メンバー3人はどうやら夜に開催するD☆Dのライブを観るようで、結局出てこなかった。でも見知らぬファンの人たちと交流するのも楽しかった。

次こそ追加公演のRED&ORANGEとRED&GREEN。ORANGEは1月以来だから成長が楽しみ。
2時間×2倍のスタンディングだから心して臨もう。
舞台『金閣寺』を観てきた。

昨年ミシマダブル絡みで観たいなと思いつつ、KAATという遠めの劇場やチケットの取り難さもあって諦めていた。
その舞台が、NY公演を経て東京凱旋公演をするという。舞台のほうから来てくれる機会。観たほうがいいという啓示ではと、早々とチケットを押えた。
おかげで1階センターの通路側でたいへん観易い席。全体を見渡せたほうがいい舞台でもあった。

生来の吃音のため、世間や同年代の男女とうまく関われない青年・溝口の挫折と苦悩を、高校や大学の日々と絡めて抉り出す物語。
三島由紀夫の長編小説は未読。実際に起きた金閣寺放火事件を材にしたオリジナルである。

宮本亜門による演出は、クリエイティブでアグレッシブ、丹念に練り上げ積み重ねながら、あっと驚かせるパフォーマンスも見せて、興味深くも面白かった。休憩挟んで3時間がちっとも長く感じられなかった。
主人公の溝口を演じる森田剛は坊主頭でほぼ出ずっぱり。可愛さの中に危険な匂いも覗かせて、役とシンクロしているかのような熱演ぶり。正直、剛くんのアイドルとしての顔は全く浮かばず、役者としての今後の期待が深まる。
溝口のはじめての友達となる柏木を演じる大東俊介は爽やかで好感度抜群。でも柏木だけなぜ坊主頭じゃないのだろう。
内反足の障害を逆手にとり女性を次々とたぶらかす柏木を演じる高岡蒼甫は、声がよく通って不敵な野性味たっぷり。でも役的に女性に嫌われるタイプかも。

開演前から舞台上に演者が8人。作り手と観客とが舞台を境にしてお互いを見ている感じ。徐々に人数が増えて、メイン3人が最後に登場し全17人が出揃う。一見して学校の教室なので、大東くんもいることだし、同じ劇場で上演された『タンブリング』が浮かんでくる。時代は違えど、多感な少年の青春物語であることに変わりないw。
溝口の内面のモノローグを、溝口以外の演者による朗読を交えて芝居が進む。面白かったのが、人力とマイムによるスピーディーな場面展開だ。机や椅子や棚といった教室にあるすべてのものを駆使させ、シンプルな空間に次々と場所を作り出していき飽きさせない。
照明や映像など視覚のインパクトが素晴らしく、ここぞという音響の刺激も長けている。

最も驚かせたのが、金閣の擬人化! 溝口が少年期に父から聞かされ目にしてきた金閣寺は、いつしか永遠不滅の完璧なる美のイメージに作り上げられていた。長髪で半裸といういでたちの鳳凰が中央に立ち、黒板に書かれた「金閣」の字と一体化した時、ゾクリとくるものを感じさせた。見せ方が上手い。
眩いばかりの金色に輝くその金閣は、溝口が近づこうとするとはねのけ、溝口が女に近づこうとすると高らかな声で邪魔をする。山川冬樹によるホーメイの音色はボイスパーカッションよりも凄まじく、その場から逃げ出す溝口は女一人もものにできない。
台詞を喋らない山川さんの様相は、『ロミオ&ジュリエット』の死のダンサーと重なるものがある。完璧な美が人間にとって“死”ならば、不完全で醜く汚れたものは“生”なのだろうか。

父親の知人の和尚のおかげで、修行生活を送りながら高校大学まで通える溝口。優しく美しい精神をもった鶴川と友人になり、大学ではハンデを利用した逞しく強い柏木に惹かれる。長身の二人に挟まれて体を掴まれる剛くんは、まさに“受け”だw。
柏木に肩を抱かれる溝口の姿を、遠くから無言で心配そうに眺めていた鶴川は、当初は柏木に嫉妬しているのかと思ったが、実は溝口のほうに嫉妬していたのだと分かる。故郷で女絡みで自殺した鶴川は、生前に柏木だけにそのことを手紙で伝えていた。自分の知らないところで鶴川と柏木は友達だった。鶴川を友達だと信じていた溝口は裏切られていたのだ。ドロドロした三角関係にビックリだが、鶴川の手紙を慌てて隠す床庫の存在にもビックリw。
勉学が疎かになり大学を休んだり、返せない金を借りて旅に出たり、母の期待にも応えられず、どんどん堕落していく溝口。尊敬してきた和尚(蜷川哲朗)に愛人がいると知りわざと詮索したりと、自ら愛想づかしをさせる言動は愚かで破滅的で甘ちゃんだ。

苦悩する溝口が金閣を焼こうとする、決定的な感情の揺らめきがいまひとつ分かり難い。
人間関係も将来も女も友達も失い、何もかもに絶望する溝口の気持ちはわかる。父と似ている禅和尚と会い問答を重ねて、彼は父親の呪縛から抜け出せたのだろうか。この時の和尚(高橋長英)の佇まいは、ユダを行かせたキリストのようにも見える。
金閣焼失場面は神々しいスペクタルショー! 冒頭で黒板の「金閣」に大きな目玉の映像が重なり、『アバター』のような迫力と幻想が包む。そこに火が起こり金閣の精が舞い、いっせいにセットが倒され、内と外の壁が壊されたように映る。平たい床が広がって、照明が金箔のように照らし出す。蜷川氏の“水”の演出と対照的な“火”の光景に、固唾をのんで見入った。
溝口が火をつけたのは、金閣の枷や呪縛から開放され、金閣の良心や恐怖を断ち切るためだったのか。新たにゼロから、己の美を構築させたかったのか。官能的で美しい死よりも、おぞましくも汚れた俗世間へ自ら飛び込みたいと願ったのか。
すべての作業をやり終えて満足気な溝口が「生きる」と言葉にして、舞台から降りて客席に座る。実に人間くさい演出。ようやく溝口は、我々のいる俗世間に還ってきたのだ。剛くんが座ってる席が、私の席から真っ直ぐ前にあった。遠いけれど近いものを、剛くんの溝口からうっすらと感じ取れた。

カテコは3回か4回。早くからスタオベが出て鳴り止まぬ拍手。
照れ臭そうだが凛々しい剛くんと、囲むように並ぶ高岡くんと大東くん。剛くんと高岡くんの間でちょっと絡みがあったりw。

とてもとても難しい作品だけど、舞台は見応えたっぷりで色々伝わってくるものがあった。
同じような文学作品の舞台化で、夏目漱石の『こころ』が浮かんだが、作品に出てきた先生と溝口は似たような感じにも思えてきた。
Office ENDLESS Prodhuce vol.9『RE-INCARNATION』初日を観てきた。

これまでに史実を独創的かつ大胆な解釈で舞台化してきた西田大輔が、豪華キャスト陣とともに、新たな「三国志」の物語を創造する。

“他人に触れると死をもたらす”業を背負った諸葛亮孔明が劉備軍と共に、荊州の地を巡って曹操軍と激しい攻防戦を繰り広げる物語。
『三国志』の中盤辺りまでの話で、この後、映画『レッドクリフ』の話へと続く。
中途半端な「三国志」の知識ではついていけないほど、見知らぬキャラクターがわんさか出てくる。
劉備軍の関羽が出てこないのが残念だが、デフォルメされた“玄ちゃん”はともかく、“孟”や孔明までアクションをするのが面白い。

派手でダイナミックな殺陣や立ち回りがエンドレスさんの特徴だが、今回は思った以上に台詞劇ともなっている。
ところが序盤から、その台詞が聞き取れない。孔明の声がくぐもって小さいのか、音響のせいなのか、私の耳が遠くなったのか。孔明をはじめ数人の役者の声がよく聞き取れなかったが、劉備はじめ他の役者の声は聞き取れるので、やはり作り手のほうに問題があるのだろう。
孔明役の米倉利紀は佇まいも雰囲気もとても孔明らしく素敵なのだが、役者ではないのか、舞台で台詞を喋ることがいまひとつのようだ。
台詞には人物の名前から難解な言葉やキーワードが入っているので、聞き取れないと世界観になかなか浸れなくなる。
休憩含め3時間半の大作。アクションやコミカルな面では見入るが、長い物語中、度々トロトロしてきて眠気が起きてしまった。

集められた豪華キャストは、舞台『戦国BASARA』と絡ませると色々と笑えて興味深い。
中村誠治郎と広瀬友祐はまたも敵同士だが、立ち回りとしてはあまり戦わない。「大きくなりたい」とのたまう椎名鯛造は、広瀬さんの肩車でイキイキw。
bpmからも参加。谷口賢志が微妙な立ち位置でめった撃ちされたり。猪狩敦子がキーマン。塚本拓弥はひとり3役で結構忙しい。
佐久間祐人の玄徳はダメダメっぷりが面白い。西田大輔の曹操は危険な匂い。村田洋二郎の張飛が派手でゴーカイw。
田中良子、サントス・アンナの女性陣の殺陣にも注目。

二幕前に張飛がひとりでお客様とコミュニケーション。シリアスな話だけに、ちょっとした笑いやアドリブが貴重。
前4席をつぶして幅広く取った舞台で、無機質で鋭敏な中に潤いが感じられる。舞台監督の清水スミカ氏を思った。
銃がなく、長刀をメインにした殺陣はかなり大変そうだが、軽々と扱うキャスト陣の熱演はスゴイ。効果音も見事だ。
役を兼ねた12人のアンサンブルの運動量もすさまじい。相変わらずパワフルな立ち回りだった。

ロングカーテンコールは、キャストの挨拶がいつもよりちょっと多い程度かな。
広瀬さん、誠治郎さん、米倉さんがひと言ずつ挨拶。誰ひとり欠けても成り立たない舞台だと、しみじみと言っていた誠治郎さん。村田さんは平日昼がまだ空いてるとチケット宣伝。西田さんは、三国志をやれた満足感ある表情をされていた。

来週もう1回観る予定。
ミュージカル『テニスの王子様 青学VS六角』東京凱旋公演初日を観てきた。

大阪、名古屋、福岡の地方公演を経て、ホームグランドのTDC HALLに帰還したキャストたち。
2年目を経て、さぞ思い入れもひとしおだと思う。

日本青年館での観劇は、ステージがよく見えないこともあって意気消沈させた舞台。
そのリベンジとなる今回は、アリーナセンターの段差ある座席とあって、これまでの中で最高に観易い場所だった。

切り株が見える。ベンチトークも目に入る。試合運びがよくわかる。
台詞がちゃんと耳に入る。歌詞がしっかりと伝わってくる。
舞台が見えてくると、気持ちも前向きになって舞台の良い点が色々と目に入ってくる。
キャストで驚かせたのが、跳躍力のアップだ。2ヶ月の熟成期間の中で、躍動感あふれる舞台になっていた。
声の大きさと共に歌詞もクリアに聞こえて、全体的な歌唱力もアップ。
試合運びやキャラクターの魅力もわかり、ようやく見応えを感じることができた。

手塚の歌声が凛々しく響く。今回は試合がない手塚が、第一バルコニー手前に現れた時はちょっと笑えた。
河村と桃城のパワフルコンビと“ババロア”。タカさんの「てへぺろ」に笑い。
六角はチームワークは悪くないが、青学よりは歌唱力が弱い。「バネダビ」コンビにはもっと弾けて欲しい。佐伯と樹はやっぱ遠目だと似てる。剣太郎が手でやる「ありがとさんかく」はすっかり六角のシンボルマークとなっていて、カテコ以降も続く。
入浴跡部はやっぱ笑えるし、魅せるタンゴソロも笑える。氷帝メンバーが普段着で踊るシーンは、まるで「アルターボーイズ」みたい(笑)。でも3人だけになぜ制服を着せるんだろう。
海堂はどんどん進化…成長していくので驚嘆。歌も動きも声も表情も素晴らしく、気迫だけでも剣太郎を上回っている。2ndシーズンを観てから海堂をとても好きになった。「プレッシャー」も剣太郎と海堂とリョーマが綺麗にシンクロさせていた。
ところで、シルエットで登場した緑山中と立海大と橘はダレがやってたんだろう?

カテコ挨拶はリョーマ。はじまりの場所に戻ってきて、あと5公演頑張りたいという意気込みを堂々と語った。ホントに座長らしい凛々しさ。
開演前アナウンスは手塚。お見送りアナウンスは黒羽と天根、ギョギョは笑えんw。
終演後のお見送りはやけに待たされて、会場を出るまでに40分以上もかかりウンザリ。お見送りはリョーマ&バネ&ダビ&ジロ、六角は嬉しそうに「ありがとさんかく」。

通路側ではなかったが、こんな良席にまた座りたいものだ。
次のテニミュは今月末のパーティー。「春の大運動会」も企画され、新しい楽しみが盛り沢山。
六角キャストは次の舞台が決まってる人もいて、今後も期待させる。

昨今は、テニミュ作詞の三ツ矢雄二氏が派手にクローズアップされているので、曲が唄われる度に三ツ矢さんの顔がチラついてしまうw。三ツ矢さんの印税御殿を思うと、CDやDVDを買うのを躊躇したくなるw。
『ALTAR BOYZ 2012』GREENチームを観てきた。

公演中盤になってようやくのGREENチーム。
これだけ一般で取ったのだが(大江戸鍋祭りの帰りに)、今回が一番観やすい良席になるとはねw。少々空席も目立ってた。

グリーンメンバーは、大河元気(マシュー)海宝直人(マーク)上口耕平(ルーク)伊澤勇貴(フアン)上間善一郎(アブラハム)。
見知ってるキャストが、元気くんと伊澤くんぐらいで、あとは殆どお初。ステージを観ながら少しずつ5人の空気感に馴染ませる。観る前は若い子ばかりだと思ったが、20代後半の人もいたり。上間さんだけがアルターボーイズ経験者らしい。

リーダーのマシューはアクがなく周りの調整と要のような役。元気くんの筋肉質な腕に見入る。
オカマのマークは情緒性豊かでしっかり者。海宝さんの歌が素晴らしい。
やんちゃルークは今までのルークの中では一番元気でフリーダム。上口さんもよく歌う。
こちらのフアンは大柄で爽やか。伊澤くんは確かに年下だがデカい。
ユダヤ教徒アブちゃんはクールさよりも感情面の表現が目立つ。上間さんは高い声が出辛そう。
マシューとマークが肩を並べる形。大柄同士のルークとフアンは仲がいい。フアンには抱きついて欲しいので、やはりマシューより小柄のほうがいいかも。元気くんと伊澤くんが逆の役になってもいいかと思ったが、若い伊澤くんにマシューは荷が重いかな。

躍動感あるダンスやアクロバットなど目を引く派手めな動きは少ないが、全体的に堅実的で溌剌としたダンス。
役になりきるというより自分の個性が先に出て、チームワークも偏っていて、演技的にもアドリブにも未熟なところがある。
だが、新鮮な雰囲気と今後の期待感で、アルター「ボーイズ」という括りに一番ピッタリなように思った。
歌唱力も上手いというよりパワーで歌いきる感じだが、全体的にバランスが取れてレベルは高い。
チームグリーンが一番、歌詞がよく聞き取れてジンとさせられた。前正面の座席によるのか、私の耳が聞き慣れたのか、それとも彼らの歌い方が明確で良かったのか。ダンスより歌のほうに比重が置かれていたチームだと思う。
特にマークの海宝さん。演技も上手いが歌もピカイチ。凛々しい歌声が響き渡るその空間だけは帝劇ミュージカルのようだw。同じマークの汰斗や鯨井さんとどういうコンビネーションを見せるのか、追加公演が楽しみになった。

予想以上の出来栄えは素晴らしいが、残念ながら私の萌え要素がなくて、胸弾ませる熱さと興奮はあまり感じなかった。
特にお目当てのキャスト、好みのキャラクターもいない。魅力も中途半端で30代もいない。
そんな観客の気分が伝わるのか、前方の好位置で手拍子してたのに、キャストの視線が殆ど来なかった。
やはりボーイズと観客との相互作用がつくり出すライブ空間。今回も良いステージだったが、面白味は薄れた公演だった。

2月の追加公演は見比べたくて、RED&ORANGEに加えRED&GREENにも参加予定。
私の本公演観劇はおしまいだが、もう少しアルターボーイズを楽しめそう。
映画『デビルズ・ダブル ある影武者の物語』を観てきた。

イラクの独裁者サダム・フセインの長男、ウダイに顔が似ていることから影武者にさせられた男、ラティフが経験する衝撃のドラマ。
黄色のポスターがアニメちっくなタッチだが、これは真実の物語だという。
ハードな作風なのに、レディースデーとはいえ女性の姿が目立った。

映画では、“狂気のプリンス”ウダイが繰り広げる残忍でおぞましい行為の数々が映し出される。女好きのウダイは、売春婦に飽き足らず、女子高生や花嫁まで強引に拉致し、欲望を満たしてはゴミのように捨てる。気に入らない者にはナイフや銃で容赦なく始末する。
前もってバイオレンスな描写があることは知っていたが、内臓が飛び出る場面は思わず目を背けてしまった。
拷問やレイプ、死体と、エログロがたんまりあっては、R18+指定になるのも納得である。

ウダイのバイオレンスぶりを目の当たりにするラティフは、影武者として傍らで耐える日々だが、家族を人質にとられたままで、逃げることも生死を自由に選ぶことも許されない。
原作は影武者本人であったラティフ・ヤヒアの手記。映画製作にも関わったというが、脚本は真実の半分以下に留まっていて、あれでも抑えられた映像表現だという。
作品を観る上での救いは、ラティフ本人がまだ生きているという点だ。少なくとも映画でラティフがどんな目にあおうと、死ぬことはないのだ。勇気をもって観ておいてよかった。

ラティフとウダイの正反対な人物を演じきったドミニク・クーパーの一人二役ぶりが凄まじい。
声や話し方や表情や身のこなし、何から何まで見事な表現力で、いつしか同じ人物がやってることも忘れてしまう。
「私はあなたとは違う」「俺はウダイみたいに殺さない」
自らを葬り、何度も反抗や逃亡を試みたラティフが、ついに己の信念と復讐のために逆襲する。言った通り、彼は結局誰も殺さなかった。

サダムとウダイの父子関係が興味深い。
「生まれた時に殺すべきだった」と突き放す父。父の愛人を世話して母を哀しませたと叫ぶ息子。父もウダイの弟も、ラティフを一目でニセモノだと見抜くあたり、ゾクゾクさせるものがある。サダムの衝撃の事実にもビビりそう。
それ以上にゾクリとさせるのは「汚い仕事をする善人」の存在だ。
ウダイの愛人サラブ。ウダイの側近ムネム。ウダイの護衛官アリ。
恐怖の支配は、独裁者だけでなく、色々な事情と思惑で独裁者に協力する善人によってつくられるのだ。
日本の政治も「汚い仕事をする善人」たちが支配し、物を言っても聞いて貰えない閉鎖状態なのが恐ろしい。

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