映画『湾岸ミッドナイトTHE MOVIE』完成披露試写会へ行ってきた。
ハガキには書いてないが、公式サイトにはキャストも登場とあり、開演と開映に30分間ある。うっすら期待して、開場1時間前に会場到着。結構人が並んでいて期待が膨らむ。運良く前から4番目の座席へ。1列目はマスコミだらけじゃん。

Dreamによる映画主題歌「Perfect Girls♪」から。6人が次々唄い踊るパフォーマンスは新鮮。
中村優一、小林涼子、加藤和樹、松本莉緒、米原幸佑、佐田正樹、室賀厚監督がステージに登場。うっわ、全員だーっ!(^o^) 小林さんを挟んでとはいえ、ちゃんなかと和樹が一緒にステージに並ぶとは、何て嬉しい光景(*^。^*)。和樹より、ちゃんなかのほうがちょっぴり背が高く、監督が一番デカイ。米原くん可愛いな。

其々が挨拶。ちゃんなかの”無免許”の話題になったが、監督やスタッフの協力で撮り終えたという。和樹は、達也は走り屋だけど医者であると強調。深夜の冬の撮影は凍えるほど大変だったそうだが、監督やスタッフの頑張りやケアで乗り越えられたとシミジミ語る皆さん。加藤くんがギターを持ってきて、夜の高速道路上で路上ライブをやってくれたと、愉快な話題をする米原くん。高速の撮影なのでトイレが無く、遠くのコンビニまで自転車を走らせたと言う佐田さんや和樹ら男性陣。小林さんら女性陣は車で送ってくれたそう。

佐田さん自身のプッシュシーンは、ちゃんなか曰くカメラ目線で功太が言う「早速行ってみるか…わんがんへ」(爆)。「湾岸へ」は流行語大賞を狙ってるそうw。芸人なんで、と佐田さん。
最後にひと言ずつ。「ハリウッドに負けないくらいのアクションシーン」と初日も観て下さいとペコリとするちゃんなか。「友情を超えた関係」にも触れる和樹。「主役二人の熱いカーバトルに注目」と米原くんは、自身の女好きキャラも観て欲しいと語る。
「感無量」と言う監督は、原作のもつ空気感を大切にし、俳優の力を発揮して貰ったと充実感を語る。日本では車走りの撮影は規制が厳しく大変だったので、スタッフやキャスト一丸となり命がけで作ったと、宜しくお願いしますで締めた。

フォトセッション。その前に、ちゃんなかが後ろ向いて髪を直してる?w 一番前にDreamが座ったので、ちゃんなかや和樹まで座ろうとするし^^;、監督がポスターで見えなくなるしw。「わんがんへ」の表情でのリクで笑い。ムービーではちゃんなかが真っ先に動いたり。
和樹は終始もの静かでクール。当初は緊張で表情が硬かったちゃんなかは、徐々に笑顔が多くなって白い歯を見せちゃうw。誕生日近いのに、対照的な二人だった。
終了後、手を振って皆さんが退場。こんな近くでステキなものを見せて貰ったv。


映画本編。

かつて”悪魔のZ”と呼ばれた車に魅せられた男と、悪魔の犠牲者を出さないために”ブラックバード”と呼ばれる車を操る男との因縁のカーバトルを描く。
原作未読。カーバトルの実写版というと『頭文字D』が思い出されるが、あちらのアニメちっくな派手さと比べて、こちらは正当派で真面目な作り。

緊張と迫力あるカーバトルが見どころだが、其々のキャラクターが抱える事情や思いが丹念に描かれていて人間ドラマとしても見せる。
”復活と再生””生と死”を、車に絡めるメッセージが分り易い。切り替えやカットバックの映像が上手く、シリアスとコミカルのメリハリもいい。

”昼の顔”と”夜の顔”を使い分ける中村優一の魅力がたっぷり。クール過ぎるほどのニヒルさで、アダルトに構える加藤和樹が本格的。射るように捉える真剣な顔つきの二人が実にカッコイー!(*^。^*) 甘さを伴う和樹のナレーションは、聴くほどに合ってくる。
幼い顔立ちの小林涼子は、一見すると、ちゃんなかより年下に見えるw。コミカルな面を受け持った米原幸佑は、黒髪のせいか高校生にしっかり見える。佐田正樹は頼りがいのある風貌で大らかに演じる。松本莉緒や袴田吉彦も好演。

ガンダムでいうと『Ζ』VS.『W』みたいだなw。実は、不死鳥VS.黒鳥の永遠の戦いなんだろう。島先生って達也の姉さんなんだろうか?

クリアファイル付きだったので、和樹のメイキングDVDを買う。ちゃんなかのDVDとどちらにしようか迷ったw。前売券ももってるし、公開後にもう1回は観て、ドキドキと感じたい作品だ。
映画『ナイトミュージアム2』吹替え版を観てきた。

真夜中の博物館で展示物たちが大暴れするファンタジーの第2弾。今回はスミソニアン博物館が舞台、元警備員が仲間たちを助けるため活躍する話。
前作のNY自然史博物館に出てきたキャラクターたちの説明や、物体に命を吹き込む魔法の石版の説明はいっさいなし。ラリーはいつの間にか警備員をやめ、実業家として成功しているが、博物館の警備員の職に未練はある様子。
前説はともかく、自然史博物館の仲間たちVS.スミソニアンの悪者たちという対立が明確になり、究極的にはアメリカVS.エジプトみたいで苦笑、何でもアリの時空を超えたハチャメチャ騒動をひと時楽しめた。

スミソニアンだと、知名度のある有名キャラクターが数多く登場し、広大な敷地を背景に、より賑やか感は増すが、ストーリー的には前作の新鮮味は薄れ、ビッグなスケールになっていない。
父と息子の絆を描くのかと思いきや、主人公ラリーの恋模様を通して、彼が本来の自分を取り戻していく人間性を追及した話でもあった。20世紀初頭の女性アメリアとの時代を超えた言動のギャップは面白く、”人生”や”冒険”の楽しさを体感するラリー。所詮叶わぬ恋だが、顛末があるのが未練たっぷり。
前作ではドジ野郎だったラリーが、今作は知恵の回る切れ者で殺陣アクションまで披露、「ただの警備員さ」とニヒルに名乗る場面は確かにカッコイー。だがスーパーヒーローに成長したラリーに、これ以上の続編は望みたくない。

リンカーン大統領の巨大な石碑が動き、渋い声で一網打尽するサマは実に格好良くて、リンカーンファンとしては満足。
カームンラーはアホなんだか強いんだか分らんが、悪者軍団が意外に活躍せず中途半端。
アインシュタインのフィギュアは多過ぎて気持ちワリィ。ノドジロオマキザルのダブルビンタの応酬は笑えるが、ベンが気の毒かも^^;。
警備員を辞めてからも仲間は変わらないのか、ラリー×ジェデダイア×オクタヴィウス×○○という仲良し関係が微笑ましい。
飛行機やロケットの復活といい、日本とは違って戦時中モノにも暗さがない。いっそリトルボーイでも復活させたら、ストーリー的にスケールがデカくなったろうが、深刻で重い話は歓迎されないか。

アメリカの過去の偉大な功績を振り返り、リンカーン大統領を讃えることで、いかに栄光を取り戻したいと願っているか、アメリカの現状の大変さまで感じられる作品^^;。
考えるより先に行動せよ!楽しめ!とは、いかにもアメリカらしいメッセージだが、考えて賢くなることもある。
絵の中で落とした携帯の顛末も後にあったが、EDクレジット中なので退場する人が多く、観ていてもよく分らなかった^^;。

吹替え版だと、特に子ども達の反応が顕著で、ちょっとは歴史に興味を持つきっかけになるのかもしれないと思った。
ラリー@ベン・スティラーの檀臣幸は、今回はラブ度も高くて男前過ぎ。
アメリア・イヤハートというと、舞台で演じた天海祐希でも悪くないと思っていたが、佐古真弓がキュートで溌剌に演じ、エイミー・アダムスの可憐さをアップ。
ジェデ@森川智之とオクタヴィ@水野龍司との熱い友情のやり取りも聞き所。
玄田哲章や高木渉ら馴染みのある声も聞こえたが、全員のキャストはあとでどこかで把握しとこう。
劇場版『シンケンジャー/仮面ライダーディケイド』を2回観てきた。
1回目はシンケンジャーの3D版お目当てに観て、2回目は息子と一緒に通常版を鑑賞。

3D版は、通常版と上映順序が逆。最初にキャストコメント→仮面ライダー→3Dメガネをかけようとキャストメッセージ→3D版シンケンジャー→キャスト挨拶という流れ。
「まだメガネは早いぜ」と千明が言ったり、仮面ライダー終了後は、シンケンキャストに加え、ディケイドの士までメガネをかけて準備。終った後は「すっげぇ。飛び出してる!」と士w。スーパーヒーローたちの和気藹々ぶりが愉快だった。


銀幕版『侍戦隊シンケンジャー 天下分け目の戦』
20分のみだが、キャラクターの個性もまずまずで、内容も濃くて面白かった。

邦画実写では初だという3D版だと、文字が浮かび上がってくるのが面白い(^o^)。テロップの名前も”モヂカラ”も飛び出る。大人数のアクションシーンでは3Dパワーがいかんなく発揮。ことに恐竜刀がブンブンと飛び出すサマは最高! ビヨ~ンは『BLEACH』の恋次の刀みたいw。

流ノ介&ことはは、相変わらずキュートなボケっぷりw。実は映画の撮影が先だったという源太@相馬圭祐だが、ちょっと空気が違っていたようなw。
初代シンケンレッドの合田雅吏は、レッドとしても先輩であるけれど、松坂桃李とちょっと雰囲気が似てる。伊吹吾郎、大和田伸也と、絡みは無かったが、『水戸黄門』歴代「格さん」が3人揃ったのも痛快。

エンディングは、衣装早替えのシンケンジャー6人。其々パートごとに唄っていたようで、相葉弘樹はさすがに上手かった。でも3Dだと、テロップ文字のほうに目がイッてねw。


劇場版『仮面ライダーディケイド オールライダー対大ショッカー』
ようやく士の世界と士の正体が分った、旅の終着駅。これがまたテレビ版へと繋がっていくのだろうか。

跡部から一転、悲劇のヒーローと化した士@井上正大。前半はユウスケ@村井良大がよくやってたが、後半で大樹@戸谷公人に美味しいトコ取りされた感^^;。
裏切り、裏切られようとも、罪を背負って、逆境と孤独の中で、己の信念を貫いて闘い続ける。それが”仮面ライダー”。深いところで、石ノ森章太郎氏の作品魂ともリンクされてるようだった。

横一列で並び歩くオールライダーの場面は圧巻だが、確かによく見ると、ひとり足りないんだよね。其々にスピード感があって見せ場はあるが、ややごっちゃバトルw。
その中で、仮面ライダー電王ソードフォームがやたら威勢がイイ。声はもちろん関俊彦さん! EDテロップでも別格っぽかった。モモタロスが出ると客席の子どもから歓声。モモったら、”超売れっ子”なんだから(^o^)。最後の台詞は、『超・電王』への前フリでもあったりしてw。

死神博士がオモシロ~イ。GACKTの結城丈二は、前フリだけで闘わないの!?
仮面ライダーの中では、アマゾン、RX、V3、響鬼が目立っていたかな。イクサがいたのに、ゼロノスが何故いない^^;。関智一はアマゾンの声といい、もうひとつの声といい、テンション高くて目立つ。1号の声の稲田徹が、オリジナルのアノ方と似ていてビックリ。
雑魚ライダーで(笑)キックホッパーと王蛇。徳山秀典と萩野崇の声はそのままだが、萩野さんは昨夜の朗読で拝見したばかりw。
早々と映画に登場した仮面ライダーWを見て、カッコイー!と息子が絶賛。中の二人の声はキャストと同じ。「メタルゥ」と言ったベルトの声(?)が立木文彦さんに聴こえたが、テレビ版でもそうなのか?

シャドームーンは、てらそままさきの声でも聴きたかった。そしてご本人が告知してたのに、中村優一が出てる場面が見当たらなかった^^;。ディレクターズカット版でも見れば分るのかな?

次は、仮面ライダー”冬の陣”で、『仮面ライダーW&ディケイド』。色々と映画公開が控えているようだ。
映画『南極料理人』&初日舞台挨拶を観てきた。
初日というより先行公開か。Mさん、いつもチケットありがとうですm(__)m。

南極ドームふじ基地に単身赴任した隊員8人の、日常の生活や仕事、数々出てくる料理を通して、絆を深めていく姿を描く。
淡々と描き出される日常。ただそれは、氷点下54度C、家族がいる日本までの途方もない距離がある、知られざる南極での話だから、可笑しいやら苦笑するやら納得するやら。

主演の堺雅人は、去年は『クライマーズ・ハイ』で暑かったが、今年はこの映画で涼しい風を運んでくれる。『ジャージの二人』みたいに何か劇的なことがあるわけでもないが、この映画には個性的で達者な俳優陣が揃ったおかげで、退屈せずにあっという間、心はほんわかあったかい気分になれる。観ながら空腹感が刺激されるが、見終わった後はラーメンが食べたくなるw。
南極観測隊の調理担当を務めた西村淳氏のエッセーが基らしい。フードコーディネターの助力もあり、堺さんが綺麗な手で、器用に包丁さばきや盛り付けを見せて、見事な料理人に扮するのが見どころ。

おにぎり、味噌汁、えびフライ、ローストビーフ、ケーキ、フォアグラ、ラーメン、から揚げ、ハンバーガー! 思い出されるシーンやエピソードはすべて、料理絡みなのが面白い。
料理を作るのは、家庭ではだいたいお母さんだが、堺さんがどんどん”母”化していく(^o^)。何故か自分とも重なっていくw。「お腹すいた」と言う生瀬勝久さんはさしずめお父さん。「ラーメン食べたい」と涙目のきたろうさんが可愛い。8人の”家族”の中心にあるのは、やっぱり食卓であり、食べると元気になれることは誰もが実感できる。
「白夜」と「極夜」と「中日」が続き、一年以上の歳月が流れる中、隊員たちは髪も伸び髭も伸びてくる。堺さんはまるで別人のように、揺るがない信念をもった精悍な顔つきになってくるのが頼もしい。


上映後、舞台挨拶。チケットは5分で完売、立ち見客もいっぱい。
登壇ゲスト9人が、右手扉からいっせいに入られて、右手側座席だった私達の目の前を通り過ぎ、嬉しいやらドキドキするやら(^o^)。
登壇ゲストは、右手から沖田修一監督、古舘寛治(主任)豊原功補(ドクター)きたろう(隊長)堺雅人(西村役)生瀬勝久(本さん)高良健吾(大学院生)黒田大輔(通信)小浜正寛(平さん)。
みんな髪も髭もサッパリで、キャラクターと一致しない人もいたり^^;。堺さんは黒ジャケットとグレーシャツに黒ネクタイとシックなスタイル。

堺さんは「みんなで作った思い出深い映画」「美味しいものを食べて帰って下さい」。「ラーメンでも食べたくなったら、正しい映画の見方です」ときたろうさんが補足w。舞台挨拶は「全体で10分」と生瀬さんが早くも牽制^^;、マイクが要らないほど最初からテンション高しw。

「撮影の手間がかかったのはラーメンです」と、バックステージのもの凄いラーメンの数にふれる堺さん。大食いだったのは、きたろうさん?黒田さん? 生瀬さんは「えびフライ、むちゃくちゃ美味い!」と絶賛。”隊長”アピールのきたろうさんは助演男優賞を狙ってるとかで、「撮影も楽しかったが、待ってる間もみんな個性的で楽しかった」。高良さんが電話のシーンを真剣にやったと言うと、「演技の基本だ」と褒める隊長さんw。皆さんのコメントを聴きながら、最後に豊原さんが「みんなの発言で、どれだけ現場が大変だったか察して下さい」(笑)と締める。
沖田監督は「家族が食卓を囲んでるように見せた」と演出を話し、其々がどの役割だか教える。お父さんは生瀬さん、お母さんは堺さん、きたろうさんはお婆さんかお爺さん(笑)長女が小浜さんで、愛犬や高校生もいたりw。

最後に堺さんが「夏に見る映画」をアピール、「涼しい景色とあったかい料理」「心も胃袋も刺激される映画です」と締めた。イイことを言うなぁと、きたろうさんが最後まで笑いのエッセンスw。
皆さん、また私達の目の前を通って、同じ扉から退出された。笑顔いっぱいの堺さんが接近されたので、思わず声かけもしちゃったw。
フォトセッションはなかったが、試写会の時に終えたのだろうか。
ラーメンが食べたい!とMさんとも意気投合、映画館を出てから真っ先にラーメンを食べたw。


映画を観る前に、別の映画館で、劇場版『シンケンジャー/ディケイド』のDVD付きパンフやグッズを購入。すっごい行列で疲れた。
そこで堺さんの次作『クヒオ大佐』の記事も発見。堺さんの外人風軍服がセクシーでステキv。
『ナルト』の次は、ディズニー映画『ボルト』吹替え版を観てきた。
3D版はチケットが高いので普通版。これでも充分楽しめる。

ドラマの中の世界を現実だと勘違いしていた犬ボルトが、愛しい人間の少女ペニーを目指して、旅の中で仲間に出会いながら自分を取り戻していく話。

迫力いっぱいのアクションシーンと、超能力犬ボルトのスーパー・パワーの冒頭から一転、たくさんの建物と普通の動物と自然と人間の食べ物に包まれた現実社会。
今まで自分はスーパードッグだと思っていたのに、実は普通の犬だったと知った時の衝撃はいかばかり。ペニーは女優なんだとも分ったが、ペニーの思いだけは信じていたいと願うボルト。

ボルトは、人間でいえば、いったい何歳になるのだろう? 声がやけに低いし、タフだし、妙に世間慣れもしている。クールな姉さんネコのミトンズを拉致して引っ張り込む強引さもあるし、ヒーローおたくのハムスターのライノから慕われるお兄さん的要素もある。
喋り捲る動物世界も、人間世界ではただの動物の泣き声にしか聞こえないところが可笑しい。一度はペニーの心にもう自分はいないんだと思ったボルトだが、ペニーを想う自分の心を伝えるには、言葉ではなく行動で示すしかない。予想通りというか、あるべくして起きたアクシデントが、こじつけでご都合主義ではある^^;。

「ペニーの犬、ボルトの人間」という言い方だけで、”友情”や”愛情”というキィは出てこなかったが、二人の間にあるのはやはり”家族”の絆ということだろうか。ずっと一緒にいたいという思いが、仲間も家族にさせるというのがディズニーらしい。
誰かをひたむきに思う心が、自分を確認させ、自分を成長させ、自分自身を信じさせ、自分を行動させる。ひとりでは出来ないことも、誰かの助けでいつか出来ることもある。『ナルト』と同じく、仲間の大切さもアピールした映画だろう。

ボルトの声の佐々木蔵之介はマイペースに熱演、声だけ聴くと、ボルトが30代後半の男に見えてくるw。 ミトンズ@江角マキコはナチュラルに好演、皮肉めいた濃い言葉にも爽快感がある。ライノ@天野ひろゆきはテンション高すぎw。
ペニーの白石涼子は、ハスキーな声をおりまぜ、多感でシビアな少女の心を表現。
お目当てだった、ディレクター役の東地宏樹の出番は前半のみで、ちょっと肩すかし^^;。キャイ~ンのウド鈴木らお笑いタレントが、楽しそうにやっていた。

『ナルト』と『ボルト』なんてタイトルが似てるがw、今夏もアニメ映画が花盛りだ。
劇場版『NARUTO-ナルト-疾風伝 火の意思を継ぐ者』を観てきた。

木の葉の里を守るため、ひとり敵に向かって行ったカカシ先生を救うため、ナルトらカカシ班と、仲間たちが追いかける。
「忍の世界でルールや掟をやぶるヤツはクズよばわりされるが、仲間を大切にしないヤツはそれ以上のクズだ」
ずっとナルトのテーマだった”仲間”が、映画という大画面で大きく深く重く昇華された、スタッフ渾身の佳作。

ともすれば個人より集団が優先される時代。だが時として、社会やルールの常識よりも、人の想いや信念が人を動かし貫いていく。人の命は地球より重し。”今”を守らなければ、”未来”も守れない。
カカシや綱手の大人の考えは充分理解できる。だがシカマルのクールな理屈より、ナルトのホットな情熱のほうが勝ったということか。
孤独よりも、人との繋がりが、己を成長させることもある。ナルトとよく似た人たちが辿った運命は、仲間によって大きく変わってしまった。

サイにアスマ、オビトが出てきて、テレビ版の情報が必要となる話。ライターに鈴と、アイテムも上手い使われ方。劇場版『ポケモン』と同じく、こっちも日蝕ネタだw。
カカシ先生が主役でいっぱい活躍するかと思われたが、そうでもなく^^;。ナルトに、サクラとサイ、シカマルたち若者が一丸となって活躍する話だった。カカシ先生は”仲間”というより”師”だと思うし、イルカ先生が出てこないのが寂しい。

シカマルたちが技を極めただけでなく、心の成長もしていることに驚かされた。其々が役割をもった連携プレーの素晴らしさに熱くなり、仲間の絆も感じさせる。キャラクター一人一人に見せ場を作って、みな其々に格好良いのが嬉しい。
いつの間に彼らはこんなに逞しくなっていたんだろうと、気分は綱手や時来也の思いと同じだ。例えるなら、『テニミュ』で初心者だった男の子たちが、何年後かにすっかりビッグに成長した姿を見るような感じ。大人は子どもに教えられ、追い越される時が来るのだなと、眩しく羨ましく感じた。
それにしても男の子って、つるむのが好きだよな。腐女子向けサービスは、別の意味の「火の意思」になるので要らん^^;。

卑留呼の声が、シカマル@森久保祥太郎にちょっと似てるなと思ってたら、低めの声の保志総一朗だった。ホッシーはTV本編では別の役だったっけ。我愛羅@石田彰は、出番の割には言葉少なめだが、今までよりは多いかw。
TV版ではご無沙汰だった(?)セミレギュラーキャラの声優さんの掛け合いも懐かしい。大塚芳忠はこの時期だと、デネブの声が重なっちゃうw。勝生真沙子もクールでカッコイー。
竹内順子、中村千絵、日野聡のチームワークぶりをあらためて実感。
声優陣のコメントとプロフィールが載っていたパンフも見応えあり。
映画『アジール・セッション』&舞台挨拶を観てきた。
満席完売で、後ろには立見がいっぱい。ゲスト目当てとしてもスゴイ。もちろん私もゲスト目当て。

遠未来の社会。美大を目指す女子高生とストチルのリーダーが出会い、スタジウム取り壊し反対運動として、住人達と共にイベント”アジール・セッション”を計画。警察との激突の中、二人の絆が深まっていく。
作品について全く予習をしていなかったが、監督やスタッフの手作り感と力の篭った3DCGアニメ。動きの固さや色合いなどに素人臭い違和感があるが、作品から吹き出る躍動感とキャラクターの生き生きした魅力がとても面白い。

2005年にアオキタクト監督がたった一人で制作した3DCGによるデビュー作『ハルヲ』の世界観を継承しているそうだ。物語中にもハルヲという名が出てくるが、似た境遇らしいのが、この本編の主人公・アキラ。アオキ監督は、原作や映像だけでなく、元バンドマンらしく音楽や歌にまで関わっている。EDテロップには大学や専門学校の名が連ねてあり、学生たちとの共同作業も加わって完成させたようだ。

住み家もない浮浪者たちが集まり住んでいたスタジアム”アジール”は、そう遠くない未来に存在するかもしれない。
権力者や利権者や富裕層を相手に、アキラを中心に集結し結束した者たちが、街中でハチャメチャに祭りを敢行するサマは悪くはない。血のように見える赤が、実はジェット噴射から出る絵具であり、下品に塗りたぐられている街の景色は、ある種の爽快感や開放感も伴う。
接点の無かったハズの家出少女ヒヨコとリーダーのアキラだが、絵を描くという点で互いに惹かれて、互いの長所や短所も認め合い、どんどん思いが重なっていく。台詞や表情の一つ一つが丁寧なのが好感。ヒヨコの父の不器用さや亡き母の思い出など、家族の絆の大切さにも思いがほとばしる。警察側や管理局の思惑やずる賢さも描かれ、世界観の壮大さも感じられた。

ひたむきで純粋なヒヨコ役の平野綾は、芝居の面でもじっくり練り上げ調整したようだ。ヒヨコの父親の松山タカシは、刑事役というと特撮の『仮面ライダークウガ』を思い出すw。
アキラ役の根本正勝は、声優では殆どビギナーだが、思った以上に声も演技も早口も馴染んでおり、キャラとよくマッチ。威勢のいいローボイスで来ると予想していたが、中井和哉と浅沼晋太郎を足して2で割ったような感じで、”べらんべえ”口調やテンポの早い会話や捲し立てもお見事。舞台の土方歳三っぽい喋り方だなと思っていたら、ノズルを手に地で大きくポーズを決めるサマは、まさしく刀を持った侍の殺陣のごとし。根本さんが実際にやっているようにも見えてときめいた(*^。^*)。根本さんは、脇役よりも主役が似合う役者さんなのかな~。

こういう直情的で単純明快な男の子はキライじゃない。まして”擬態”という深い闇を抱えながら、過去よりも明日を前向きに生きる男だ。絵を描くことにやがて喜びと意義を感じるアキラの姿は、全てのクリエイターの心を代弁しているようだし、ギターをPCに持ちかえたアオキ監督自身をも投影しているようだ。

約1時間30分が、短くも感じられた。26日以降の同時上映『ハルヲ』も観てみたいが、7日までの限定上映なのも勿体無い。


上映後、舞台挨拶。アオキタクト監督、根本正勝、平野綾が登場。根本さんは青に黒チョッキ、クロスのペンダントや右手の指輪がお洒落。

既にレポや写真がアップされているので割愛。
声優としては初めてに近い根本さんに、最初のうちは監督がブースに入って直接アドバイス。「監督と二人三脚で作り上げたアキラにどんどん近づけた」と話す根本さん。監督も、アキラは根っこの部分でインテリじゃないとダメなので、だから根本さんに決めたとおっしゃる。
「僕が擬態じゃないかとw」「僕も擬態ですw」なんて根本さんと監督との愉快なやり取りもあってか、終わりのメッセージは「遠い未来、僕と一緒にアキラになりませんか(笑)」と根本さん。何度か会場からの笑いを誘った。

プレスの数も思ったより多く、フォトセッションが5分。全部で20分ほどの濃密な挨拶だった。

明日は根本さん@土方歳三の『バラガキ』イベント。先週の『窓ノ外ノ世界』舞台挨拶に続き、今週は二日続けて根本さんだv。
映画『アマルフィ 女神の報酬』を観てきた。
数ヶ月前からずっと、この映画の宣伝ナレーションで東地宏樹さんの声を聴き続けてきた影響で、本作にも惹かれたのが理由。
本編のどこかに東地さんの痕跡はないかと耳目を集中させていたがw、残念ながら東地さんのご出演はなし。ま、仕方ないかw。

イタリアで起きた日本人少女誘拐事件に関わることになった外交官が、様々な人たちの思いを抱えながら、事件の真相に迫り活躍する話。
フジテレビ開局50周年記念作品。「無駄遣いは外交官の特権」というが、豪華キャスティングに全編イタリアロケを敢行したフジテレビも、映画製作においては絶対的な実績と信頼のもとで、特権を行使したのかもしれない。
テロものにありがちな殺人やチェイスや爆撃など、派手でハードなアクションは抑え、あくまで日本人好みの人情ストーリーとサスペンス風な演出で、エンターテイメント性を狙ったのが功を奏した。
サラ・ブライトマンが唄う「タイム・トゥ・セイ・グッパイ♪」と共に、作品全体が品良く知的に纏まっており、メインキャラの裏や謎も知りたくなり、続編を期待させる点でも、成功作といえるだろう。

最初から布石や含みが解り安過ぎるほど露出しているので、推理サスペンス色は薄いが、キャラクターの吸引力やテンポいい演出で、つい引き込まれて時間を忘れさせてくれるのがラクだ。
1ヶ所だけ日本で撮影したと佐藤浩市がバラしていたが、疾走感のあるイタリア観光展開も、『天使と悪魔』の暗さと違って、目に楽しい。ただ織田裕二はともかく、一緒になって街を走り階段を駆け上る天海祐希が、演技かリアルか分らないが、相当な息切れをして辛そうだったのが可笑しい^^;。中年女も日頃の筋トレが必要なのだなぁとw。
イタリアのオタク刑事は(某アニメまで出てきて爆笑)外交官・黒田と相性はイマイチだったが、愉快痛快なやり取りとツッコミで面白かった。

外交官・黒田は、無愛想でクールでニヒルなヤリ手。達者なイタリア語は明瞭で、いったい何ヶ国語を喋れるのだろうかと思う。洒落たコートやスーツをスマートに着こなして紳士的。敏捷な身のこなしと頭の回転の速さを披露し、ファンじゃなくともカッコイーと見惚れそう。憂いを秘めた瞳に過去を封印し、優しさと包容力を併せ持った彼は、まさに40代の”大人”の魅力たっぷりの男だろう。
『踊る大捜査線』シリーズの彼とは少々違う、織田裕二の新たな魅力を詰め込んだ、織田裕二のための映画。
そう、ややお涙頂戴的な設定や甘すぎる結末も、テロ予告など曖昧なフリも、フリーライター佐伯との謎な関係も、黒田に指令を与えていた謎の声の主があの人だったのも、イタリアロケも何もかも、全ては、織田裕二演じる外交官・黒田康作の「デビュー作」を飾るための、計算された演出だったのだろうw。

画面に巧みに盛り込まれた、キャラクターたちの隠された裏設定は、観るほうにもあれこれと想像力をかきたてる。
天海さん演じる母親は、体によくないから煙草をやめて、と娘から言われて煙草を止めていたんだろうなと想像できたり(夫を肺癌で失くしたとか?)。
黒田は、前に自分の子どもを事故か事件で亡くしたから、日本に帰りたくないのだろうかと思ってみたり^^;。ドコモの『ビギンズ』は知らんので、好き勝手に想像できる。

アマルフィは海岸に面した岩窟の街で、美しいというより、要塞のような力強さとしぶとさが感じられて、トルコとも似た風景だった。
サブタイトルの「女神」とは、はたして誰だったのか? 母親の紗江子か?戸田恵梨香演じる研修生か?それとも日本語も解するアノ人か? 
それは、あの男が亡くした愛する女のことだったのだろうと私は思う。夏のアマルフィには、女が愛したあの花々がたぶん咲き乱れることだろう。女の無念さを晴らしてくれた男に、その花をまた見る機会を与えたことこそが「報酬」だったのかもしれない。色々考えると深いな。

最近の某アニメの影響で、「リストランテ」というイタリア語がやけに目に残ったw。ヨーロッパ・ロケの映画『のだめ』も楽しみだ。
劇場版『ポケットモンスター ダイヤモンド・パール アルセウス 超克の時空へ』を息子と一緒に観てきた。
夏はポケモン!子どもの付き合いで観るのもついに12年目。
いつものように上映前に、前売券に付いてたヤツで”ギザみみピチュー”を、スクリーンから”アルセウス”を、DSに貰う息子。

大昔、幻のポケモン・アルセウスから人間に貸し与えられた「命の宝玉」をめぐって、アルセウスからの裁きが現代に下される。アルセウスの怒りを鎮めるため、古代ミチーナへ時空を超えた旅に出るサトシたちを描く。
2007年からスタートした《神々の戦い》3部作シリーズの完結編。
これまで登場した、時間ポケモン・ディアルガと空間ポケモン・パルキア、反転世界ポケモン・ギラティナも再びまみえるが、今回はアルセウスの攻撃から人間を守るため、奇跡の共闘をしてくれる。

全てを生み出したという神と呼ばれしポケモン・アルセウス。自らの命の源を犠牲にして、人間の命を救い、荒地だらけだった「ミチーナ」の大地を豊かにしたのだから、確かに創造主と呼びたい神々しいポケモンだ。
だが、「命の宝玉」を約束していた期日に返さないと、ダモスを一方的に悪者だと決めつけ、裏切られたから全ての人間など滅んでしまえとばかりに激しい攻撃を繰り返すアルセウスの何と器の小さいこと^^;。ダモスがどんなに良識的な人柄なのかは、それまでの会話で分っていたハズ。期日に返さないというのは、ダモスの後ろに誰か悪者がいて、もしや騙されているのではないだろうかと推測し、人間の裏の心情まで見通せる能力はなかったのだろうか。ダモスひとりの裏切りを、後世の全人類に科すというのも容赦なく非情である。
そもそも、”貸し与えた”というのが、神としてはセコイ^^;。どうせ人間を信じるのなら、徹底的に信じて”差し上げる”ぐらいになれなかったのか。
美輪明宏の中性的な厳しい声は、老人の頑固さを感じさせ、全体的にアルセウスに反発してしまいそう。

ダモス自身も、部下に裏切られ周りに味方もいなく、リーダーとしては不甲斐ない。シーナは心優しいが、一度目は偽者を掴まされ、二度目も騙されたりと、ご先祖よりもっとお馬鹿さん。少しは学習してくれよ。実は、ケビンはギシンの子孫じゃないのかと勝手に心配w。高嶋政宏、北乃きいが堅実に好演。岸祐二のポケモン参加も新鮮だ。

最後は、サトシとポケモンたち仲間の粘り勝ち。初登場のギザみみピチュー(オヤが、しょこたん(笑))が行動的でキュート、ピカチュウやポッチャマといいコンビ。古代のチコリータがなにげに活躍、ヒノアラシやワニノコら古代の”魔獣”が現代と全然変わりないというのもなぁ。モウカザルはお披露目のみかい。ギラティナの名前が、外見と共にどうしても覚えられない私^^;。

神々とアルセウスとの究極の戦い。自分たち人間ではどうしようもできないことをやってのけるために、ついに出たのが伝家の宝刀「タイムスリップ」(苦笑)。『ハリー・ポッター』のように、真実を知るために過去を見るだけならまだいいが、過去に戻って過去を書き換えちゃうのはいわゆる最終的手段。こういった子ども向け映画で使われても困る。
そもそも【超克】とは、困難や苦しみに打ち勝ち乗り越えること。それは己の持てる力を振り絞って、己自身で乗り越えるべきものだ。現実の悲しみや苦しみから逃れるために、過去に戻ればいいじゃん!と、他力本願的に思われたら非常に危険。
サトシたちのおかげで結果的に現代は救われたが、破壊された物の修復作業が『仮面ライダー電王』みたいで苦笑。あとは、今までとは違った伝説が遺跡に残って大団円とは、まさにご都合主義な展開^^;。

人間同志、人間とポケモン、ポケモン同志の「信じる心」や「信頼」を描きたかったに違いない。だが肝心のアルセウスが、結局ダモスを信じられなかった。ギシンも、人間が持つ真の力を信じられずに、ああいう卑怯な裏切りをしたのだろう。サトシたちを信じて送り出し、信じて待って粘った、神ポケモンたちの勇姿が見どころだろうか。
主題歌は、中川翔子が唄う「心のアンテナ♪」。『ディアルガVSパルキアVSダークライ』『ギラティナと氷空の花束シェイミ』に出てきたキャラクターたちが画面を賑わせて懐かしい。

山寺宏一は12年連続映画出演。同じように、私も子どもたちと一緒に「夏はポケモン!」を観続けて、12年とあいなった。12年だよ、12年!(~o~) 当初は、まさかこんなにずっと観せられるとは思わなかったぞ。
来年もまた観ようねと言ってた親子がいたが、来年からはもう観なくていいよね^^;と息子に言い渡したw。

セブン-イレブンの「ポケモンスタンプラリー2009」が18日からスタート。池袋と秋葉原で殆ど集めた。アキバで捺したギザみみピチューがお気に入り。ドリンクも買って、ポケモンアクションカーをあれこれゲット。
今年もJRポケモンラリーは娘に任せるかな。
夜から、映画『窓ノ外ノ世界 Wild Strawberry+』レイトショー舞台挨拶へ行ってきた。
前日に座席指定券を取ったが、夜遅いためか後方はガラガラ^^;。

先ずは舞台挨拶。MCはお馴染みタイゾーさん。
右から、監督・脚本の松村清秀、松嶋初音、椎名鯛造、中村誠治郎、秋山莉奈、根本正勝、寿里、河野弘樹の8人。
誠治郎くんと秋山さんが主役の作品だが、監督やキャストの面々は、以前観た映画『第2写真部』と殆ど変わりなくw。てか、朱雀コンビ&白虎コンビ&青龍片方と、男性陣はネオロマステージ『遙かなる時空の中で』で固めたキャスト(笑)。
其々が役名と共に自己紹介する中、河野くんがやたら噛んだり。初音さんに至っては、赤いDS片手に観客とすれ違い通信真っ最中のフリーダムさ。何となく作品のレベルが伺い知れる挨拶だ^^;。

見どころや情報など。誠治郎くんは「コメディではござんせん」「都内と伊豆で撮った」「(相手の設定が)すごい病気」と大雑把な発言の中、「僕も身内にそういう人がいるので、切なくてあらためて考えさせられた」と最後は真面目に締め。
隣の秋山さんが「筋萎縮性側索硬化症」と正式病名を言ってくれて会場から拍手。「心身ともに弱っていたが、ジュンとの出会いで強くなれた」と役どころに言及。でも湖のシーンで真面目にやってる中、周りの皆さんが「ツッチツッチツッチ…」をやって笑わせていたと暴露。途端にステージ上でやり出す男たち4人(笑)。
「取り乱してすみません」と根本さんは「体が不自由でも一生懸命生きていく人」のことを述べ、映画でも「周りの誰に感情移入できるのか?」と母親みたいなオーラでw締めた。

仲のいい連中なので、途中で鯛造のチャチャ入れに誠治郎が反応したり、見どころは「アレなんです」と言う弘樹に誠治郎が「ヒロキ。オレを見とけ!」と熱くなったりw。
監督は「ヘビィなところとそうでないところを描いた」「映画で苦労したことも観てくれたら」「私だったら?俺だったら?と其々感情移入して、ひと言の台詞も見逃さずに」と意欲満々で締めた。
根本さんや寿里たちが目当てだったので、左寄りの座席で細かいところまでバッチシ観れて良かったv。


本編上映。
難病ALSに侵された美沙と出会った淳。美沙への思いが募るも葛藤する淳に、仲間たちが励ましながらも支えていく。

ジュンとミサとの切なくシリアスな関係と、ジュンとお気楽な仲間たちとのコミカルな関係が軸だが、その温度差が激し~い^^;。
登場人物の誰かに感情移入したくても、彼らの性格が漠然としていて、設定も背景も見えてこない。
生活臭がないんだな(-_-;)。小さなショップを経営するジュンだが、ひとりのお客の姿もなく、商品も何を売っているのかどれだけ売れてないのか分らない。経営困難だと思うも、淳の他に従業員が大の男3人もいて、いったい彼らがどうやって飯を食えてるのか分らず。
ミサも家出をした身で、どうやって生計を立てているのか、どうやって食事をして着替えているのか、しばらくは全く不明。何故ミサが両親から離れたいと思ったのかも曖昧なまま。

二人の前に唐突に出てくる兄貴。ジュンを殴るのも予想通り。この兄がミサの生活を支えていたのだと分るが、設定の重さと比べ中味は軽く、暇そうにショップに居座る兄。彼もどうやって働いてお金を稼いでいるんだろう?お金持ちの坊ちゃんと譲ちゃんだったのか? おまけに唐突に出てくる、兄貴とシロウとジュンの同級生設定に呆然。そこまでご都合主義じゃなくていいから^^;。その後も唐突にショップから出てくる50万と、実はお金持ちでしたーというジュンの設定。中村英司扮する無口の従業員が見つけてきた、オスネコの代金はちゃんと払われたのだろうか?

ともすれば、お涙頂戴の悲劇になる難病ものだが、前向きに生きる本人を周りが心身と金銭面でも支えていくという話は、なかなか良い題材かもしれない。
だが脚本の稚拙さと、演出のお粗末さで、安っぽい出来上がりになってしまったようだ。
プロジェクター上映とはいえ、いかにもホームビデオで撮ったというようなアングルや雑音があり、熱意は感じられてもスタッフワークはイマイチだ。
曖昧なキャラクター設定のため、折角の俳優の魅力も半減してしまった感。誠治郎くんや根本さんたちは、やはりステージの上でこそ、生き生きと光り輝きそうだ。

松村監督の『ゲーム☆アクション』もそろそろ公開だろうか。レイトショーだけはやめてほしい。
8月の『遙か朧草紙』再演は2ステージ観劇予定。キャストの卒業公演でもあるから、思い残すとこなく彼らの姿を観よう。
根本さんとは、来週公開のアニメ映画『アジール・セッション』舞台挨拶もあるしねv。ま~た平野綾も一緒だw。
映画『ハリー・ポッターと謎のプリンス』吹替え版を観てきた。
劇場の中で、先日買い損ねたエヴァ破のテレカやカヲルポスカセットを発見して購入。意外なところで残ってるんだw。

暗躍する者たちでホグワーツに危機が迫る中、ダンブルドア校長によって託されたハリーが新たな道へ導かれる話。
シリーズ第6弾。原作未読だが、ヴォルデモートとの本格的な決戦を前にした、いわば準備戦といったところか。敵を知らなくては何も始まらない。今作は外的変化はラストに集中するが、内なる変化が凄まじく進行する。

映像的には、前半と後半が色調もダークなホラー仕立てで、中盤は”恋の鞘当”が蔓延するピンク色いっぱい、ビックリするほど雰囲気が違う。おかげで中盤は、過去の記憶探索とも併せて、安心して楽しめたが、後半はよく分らないままもつれ込み、呆気なさ感でしっくりせず腑に落ちない。
原作の内容を詰め込み過ぎたのか、所々で中途半端にぶつ切れ状態。布石かと思えばそうでもなく、何もかも勿体つけてる感じで、映画のみの情報ではよく分らない部分がある。一気に夢中にさせる場面もあれば、中盤以降は淡々と退屈させられたりと、3時間がちょっぴり長く感じられた。

ダンブルドアからの圧倒的な信頼に支えられ、ハリー自身も戦う気構えを見せているが、周りと比べるとやや身長が足りないのが気になる^^;。お気楽なロンは胸板も厚く逞しい。スレンダーなハーマイオニーは殆どお姉さん感覚。ロンの双子兄もネビルも驚くほど背が高い。
一番ビックリしたのがジニーの心身的な変化で、ハリーよりも背が高く大人っぽく見えるw。どこかミステリアスで、彼女がどこにアレを隠したのか気になってならない。『秘密の部屋』では利用され手痛い目にあってるからこそ、ジニーが誰かに操られている可能性もあると、すっかり猜疑心にさいなまれてしまった^^;。
ハリーたちが恋話に騒がしいほどに、ドラコの孤独と切迫感が浮かび上がる。6年間のホグワーツで、何の楽しみも友達も得られなかったドラコ。今までイヤな男の子だと毛嫌いしていたが、今回初めてドラコが可哀想に思えてきた。

新キャラのスラグホーン教授は、頼りがいがありそうなキーマンかと思ってたら、実はそれほどでもなくて肩透かし。スネイプにはもっと底知れない何かがありそう。ダンブルドアはヘンなところにスキがあったりと、何をどこまで目論んでいたのだろうかと思う。
何にせよ、ホグワーツはこれからどうなるのか? ハリーはまだまだ学ばねばならないはず。”謎のプリンス”の正体は私には意外だったが、「HALF-BLOOD」というのが鍵なんだろうか。
次作『ハリー・ポッターと死の秘宝』は、2010年と2011年の2部作だという。ハリーもその頃には18歳、いつまでも童貞じゃないよねw。彼らの成長と旅立ちを最後まで見届けたいものだ。

おそらくハリーよりは背が高いであろう、小野賢章の吹替えも磨きがかかって健在。常盤祐貴のロンは声が低すぎてちょっと違和感。
スラグホーンの老齢声が森功至で、過去の若々しい声と共に聞くと、アニメ『RD 潜脳調査室』のよう。ダンブルドアの永井一郎との会話では、”ザビ家”の文字が瞬間浮かんだりw。
トム・リドルは11歳と16歳で登場。『秘密の部屋』の16歳トムは石田彰だったが、俳優も替わった16歳トムは福山潤。
今回もルービン@郷田ほづみがちょこっと登場。スネイプ@士師孝也はシリーズ通してミステリアス。

映画 MW -ムウ-

2009年7月8日 映画
映画『MW -ムウ-』を観てきた。
観る前に手塚治虫の原作コミックを読みかえしたかったが結局出来ず^^;。
昔ざっと読んだ記憶を掘り返してみた。

16年前の島民全員死亡事件から生き延びた2人の青年の、復讐と救済という其々の暴走の道を壮絶に描く。
青年2人の名前は違えど、骨組みはほぼ原作と同じ。だが問題の”タブー”を殆ど排除し、エンタメ性を強く出した結果、原作とは似て異なる全く別の色合いの作品となってしまった。

猟奇的殺人の描写や、カーチェイスやアクションにはやたら力が入っているが、核心になかなか触れずにウンザリ。ツッコミ所は多くても、『DEATH NOTE』のように納得性のある展開ならまだしも、復讐が国家脅迫まで急速すると、『亡国のイージス』みたいになって苦笑するばかりだ。
玉木宏@結城美智雄の冷酷非道な悪役ぶりばかりがもてはやされるが、山田孝之@賀来裕太郎との”善と悪”の攻防が見どころだったハズ。だが、石橋凌@沢木刑事の激しい肉体派が勝ったおかげで、『ダイハード』もどきの”正義と悪”に様変わりしてしまった。これはこれでエキサイティングではあるが、作品の持つ奥深さやキャラクターの妖しさが失われてしまったようだ。

やはり結城と賀来の関係性が描かれていないのが問題。性的描写がムリなら、スチールにあるような、妖しい絡みや説得力のある絆をもう少し描いて欲しかった。
関係が希薄に見えるので、キャラクターも安直に見える。結城の変装は安っぽいし、玉木さんの流し目や唇の動きもわざとらしくて、いかにも私が犯人だと宣言してるようなもの。賀来も祈ってばかりだし、山田くんは『白夜行』みたいな葛藤の表情ばかり。
本気で好きになれとは言わんが、玉木さんと山田くんのコンビもミスマッチな気がする。山田くんは玉木さんへの憧れの念が出ているし、玉木さんの興味は山田くんにいっていないように思える。其々魅力的な演技派だとは思うが、お互いの気持ちが寄り添わなければ、役の繋がりも生まれてこないだろう。

幾らでも機会はあったのだから、最後の最後には復讐を貫いて、せめてスカっとさせて欲しかった。
「Man&Woman」の『MW』だと思っていたが、映画では「モンスター、ワールドへ挑む」の意にしたかったようだ。

相手を本気で愛しているのではと思わせ、女装も声も美しいとくれば、新納慎也の結城で舞台版を観てみたい。同性愛描写も手塚作品もお得意なStudio Lifeなら、きっと原作に近い色を見せてくれるに違いない。


『湾岸ミッドナイト THE MOVIE』生写真付特別鑑賞券を買った。スクリーンでも特報映像が流れてウッキーv。
ついでに『東のエデン』のキャラ原案BOOK付きセット券も入手。来年1月まで保存しとかなきゃ。
映画『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』を観てきた。
平日昼なのに、若い男性を中心にほぼ満席なのでビックリ。オバサン一人は目立ちそうだ^^;。

人気SFアニメの新劇場版第2弾。謎の敵、使途と戦う14歳の少年少女たちに新たな仲間も加わるが、苦戦の中で彼らは思いもかけない危機に陥っていく。
前作『序』ではTV版をなぞっていったが、『破』は新キャラや新エヴァも登場して殆ど新作状態。こういったストーリーもやれるのかと、突然枝分かれした展開に困惑しつつも、TV版よりは取っつき易くなったのは良い。ますます深まる謎と共に、緊張感とどこか懐かしさを伴って、目が離せない盛り上がりとなっている。

既存キャラクターのイメージがだいぶ変わった。加持は印象が薄くなり、苗字が違うアスカがちょっぴり物分りのいいツンデレになってる。宮村優子の声は当初違和感があったが、徐々にアスカ節に戻ってくれた。
全体的にトンがったところが削られ、丸みを帯びた性質になってるように思う。ただ、シンジだけは内なる頑固さや粘り強さが表現され、男らしい成長も感じられる。『仮面ライダー電王』の野上良太郎みたいな雰囲気に見えたw。
新キャラのマリは、まだ掴みどころがなく少々アスカともカブる。『電王』で例えると、イマジン4人を足して割ったキャラクターみたいw。
渚カヲルの出番は、前半と中盤、エンディング後と3場あり、前作よりは台詞も増えたw。殆ど”家族”にあてたメッセージ?^^; 次作ではかなり喋るハズ。

キャラクターの内面性や緻密な描写は素晴らしいが、戦闘シーンなどは他のアニメを観すぎたせいか、丁寧で力が入っているなと思うぐらい。大人間の淡々としたやり取りでは、眠気がふっとわいてきた^^;。
見た目の新しさとは別に、中味は”父と子ども””友情と絆”を描いたりと普遍的で、全体的に”昭和エンタメ”の匂いが感じられる。
細かいところで、携帯が頻繁に登場するも、最後に手にするのはカセットテープレコーダーだったりw。昔の小学生向けの歌が、重要な場面で効果的に使われているのも衝撃的。こういう柔らかな子どもの歌を、あえて壮絶な戦闘シーンで使うとは、斬新な演出力に敬服する。

第2作はとにかく手強く、痛くて苦しい。繋がりそうな希望を持たせながら、あっけなく絆が破壊されていき、まさしく”破”に相応しい内容。
噴き出す赤い海や、飛び散り流れ染まる血を目にする度に、これは事故などで肉体から吹き出した赤ではなく、女性だけが出せる血の赤ではないかと思えた。
あの使徒の形態は妊婦のようにも見える。シンジたちの痛みや苦しみは、陣痛の時にも似た叫び。シンジが振り絞る声は、まさしく出産時のりきみであり、伸ばした手から引き摺り出そうとしたのは、お腹の中の赤子のようではなかったか!? 難産の激しさが思い出されて、固唾を呑んで圧巻の画面に引き込まれた。

さて出産の行方は…という第3部の予告の後、サブタイトルの『Q』にやや肩透かし。当初の『急』の意と共に、”Quickening”は”生命”や”生きる”という意味合いにもとっていいのか。トランプのQは12だなと考えつつ、「サービスゥ!」にはぐらかされたりw。

ネタバレ防止で観てから読むようにと、パンフがご丁寧にも袋とじ。帰宅してカッターで開けたら、中にも小さな袋とじがあり何て面倒くさいこと。パンフまでが、”破”という構造だったとはw。

6/30から『新世紀エヴァンゲリオン』再放送が日テレでスタート。
7/3には『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』TV版が日テレで放送。
ビデオやDVDで持っていないので、記憶補完の為に観よう。
映画『愛を読むひと』を観てきた。

少年の時にひと夏の関係をもった女性と、その後に一方的再会をしてから、結末を迎えるまでを描く。
ベストセラー小説『朗読者』は未読だが、原題通りの「朗読者」というタイトルでもよかった。「愛を”聞く”ひと」がメインではないだろうかと思うから。

年代が何度も画面に書かれ、その度にハンナとマイケルの年齢を確認する作業になるが、21の年の差は確かに親子にも間違えられそう。バスタブが出てきて、15歳のマイケルが真っ裸になったり、大きなタオルをハンナが広げたりと、昨日まで観ていた舞台『LILIES』のデジャブではないかとニヤリ。電車の車掌だというハンナの制服が、まるでナチスの軍服に見えて、舞台『パサジェルカ~女船客~』も浮かび、早いうちから記憶と布石が混ざり合う。いつかこの作品をStudio Lifeで上演して欲しいと願ったくらいw。

ケイト・ウィンスレッドは、繊細な表情やひたむきな目が印象的で、ハンナの悔しさや恥ずかしさ、寂しさや情けなさが痛いほど伝わってくる。
ハンナにとっては、監獄の中で聞いたり読んだり書いたりする作業は、セックスと同じ行為だったのだろう。マイケルとのかつての甘い肉欲が、マイケルからのテープで復活し、再び彼女に喜びと楽しみを与えてくれた。マイケルが読み、ハンナが聞いて調べて読んで書く。二人の忙しないやり取りの映像カットが濁流の如く押し寄せ、陶酔感を伴ってエロチックに感じた。
ハンナは結局、過去の中でしか生きられない女。何度も現実から逃げ出したが、それは裁判で本人も語ったように、職務に忠実で真面目だったことが結果的にアダとなってしまったから。ずっと車掌のままだったら、ずっと監獄にいられたら、彼女はどんなに幸せだったろうか。彼女のような真面目な人は、人間としては賞賛に値するが、その時代の”法”に照らすと”罪”になることもある。本を踏み台にした彼女の姿は、不条理な社会へのささやかな抵抗のようにも思えた。

マイケルの人生も”逃げる”ことから離れられない。雨の出会いの日も雪の面会の日も、法廷でも手紙の返事を求められても、いつもいつも逃げてしまう。ハンナと違うのは、彼はいつも現実を見つめるあまり、臆病で弱気で保身に走ってしまうことだ。テープを送ったのも、彼なりの贖罪と寂しさを紛らわす為ではなかったか。監獄の彼女と言葉を交わすことも、共に過ごすことも、彼は念頭になかった。投げっぱなしで、人の思いを受けとめることができない、心は少年のままだったのだろう。
失ってからその大切さに気づくことを繰り返すが、3度目にしてようやく本当の”愛”を見い出したマイケル。愛を確認することで、ようやく逃げないで立ち向かえる大人になったというべきか。彼女の意思を届けに行くが、己の過去話を他人に聞かせるなど、バカ真面目としかいいようがない。ハンナ以上に、彼も真面目過ぎる不器用な男だった。

ナチス批判やユダヤ虐殺など、ドイツ人にはきってもきれない過去と朗読を重ねたラブストーリー。だからこそ、英語ではなくドイツ語で語って欲しかった。最後のほうで、金持ちで知識人のユダヤの本性を暴露していたが、パレスチナにまで波紋が広がらなかったのが残念だ。
映画『宮本武蔵 ―双剣に馳せる夢―』を観てきた。
蜷川幸雄演出の舞台『ムサシ』の記憶も新しいが、こちらはアニメーション。
押井守の原案・脚本、西久保瑞穂の監督と、押井組のメンバーなど豪華スタッフが結集した、プロダクション・アイジーの最新作。

孤高の剣人と言われた宮本武蔵の記した”五輪書”を軸に、真の宮本武蔵像に肉迫していく、歴史アニメドキュメンタリー。
語りによる資料映像とウンチク解説パートと、剣劇アクションのドラマパートで、大きく二つに分かれた構成。ウンチクは親父博士風の3DCGキャラが担当、リアルなドラマ部分の骨太キャラとのギャップが面白い。

”五輪書”は読んだことがないが、平易な文章で書かれていたとか。ところがそれを解説したウンチク部分が”押井節”満載で、学術的で面倒な言い回しで聴くだけでも手強いこと^^;。押井氏がライブで喋っているような感覚だ。アシスタント役とのやり取りもちょっぴりずれていて笑えない。犬飼喜一(仮)役の菅生隆之の渋くてユニークな声使いにより、何となく馴染みだけはわく。
ドラマ部分は墨の色使いを基調に、花や血の赤を鮮明にさせて、躍動感たっぷりの劇画調。台詞がないのが残念だが、国本武春による滑らかな浪曲が映像とマッチし、今までにない斬新な音楽劇として味のある映像美を作る。

武蔵と直接関わりはないが、世界を俯瞰的に見たウンチクが興味深い。ヨーロッパの”騎士”、中国の”騎兵”、日本の”武士”は、其々の地形や気候とも密接な関係で生まれたそうで、”装甲騎兵”という文字があらためて深味を帯びる。
武蔵の基本概念はそもそも”馬”への憧れであったようだ。”馬乗武士”を目的として、武勲を立てるために大きな合戦に何度も参加したという武蔵。彼にとっては、舟島での小次郎との決闘など、些細なことだったのかもしれない。馬乗での立ち回りのために、あみ出したと言われる”二刀流”。何もかも全てが、己の野望に向かってまっしぐらに邁進した所以であったという。
一方で、野生的で熱血な虚像とは別に、知的で極めて合理的だったという武蔵の姿が垣間見える。日本人の忠義などとは別次元で、彼は早く世に生まれてきた洋風式の”サムライ”だったのだろう。己の目指したもののためには、第二の関ヶ原でさえ切望していたのかもしれない。

全てが淡白でクールな演出のためか、ここで語られるのは、宮本武蔵のほんの表面の検証にしかすぎない。彼が何を思い、何を煩い、何に苦悩したのか、内面性にまで踏み込んでいないので、キャラクターが膨らまず、生身の息遣いが聴こえてこない。孤独ではあったろうが彼にも友人や恩人や恋人はいたはずで、そんな人間関係にも触れられていない。我々はただ、今まで語られていなかった、デジタル化された武蔵像を、知るだけに留まる。
”二天一流”には、相反する彼の本質と人生が反映されているように思える。見果てぬ夢を追いかけて、天に向かい駆け上がろうとする彼に、”ペガサス”の姿が重なるようでもあった。

ED主題歌は泉谷しげるの「生まれ落ちた君へ♪」。志が潰える中でも足掻こうとする男のロマンが感じられ、ようやくリアルな作品へと収束できた。
映画『ターミネーター4』日本語吹替え版を観てきた。
公式でキャストを発表してくれたのは有難い。

人類と機械との壮絶な戦いを描く新シリーズ3部作の第1弾。前3部作の続編でもあるし、”審判の日”の後の新たな未来を描いた物語ともいえる。
2018年、レジスタンスのリーダーとなるジョンと、ジョンの父となるカイル、記憶喪失の謎のマーカスの3人を中心に、スカイネット率いる機械軍と人類との死力を尽くした戦いを描く。

前シリーズで一番好みだったのは『ターミネーター2』だったが、今作は2作目のテイストとかなり似通っていて、SFアクションというより人間ドラマとして見応えがあり、思った以上に面白かった。
主役はジョン・コナーにあらず、私の中ではマーカス・ライトだ(^^)。
キーマンのマーカスは、人と人を繋げる”カンフル剤”でもあり、実は、機械を目覚めさせる”触媒”でもあった。

スカイネットによる機械軍の執拗で残酷な攻撃も恐ろしいが、同じように怖かったのは、憎しみと欲望が渦巻いた非情な人間同士の争い。未だリーダーとなっていないジョンでさえも、抵抗軍の中で孤高の戦いを続け、機械に対して激しい憎悪で挑んでいる。
そんな中でマーカスは、出会ったカイル少年に戦士としての自覚を導き、自分を排除しようとするジョンには失われていた”信頼”を思い出させる。
脳と心臓以外すべて機械だったという衝撃的事実と失われていた記憶に、常に葛藤と決断を迫られることになるマーカス。だが彼こそが、一番人間らしかったのではないだろうか。彼の抱えた”思い”と、人と人との”絆”こそ、機械がどうしても計れなかったもの。人間とは?人間に大切なことは?の問いが、人間ではないマーカス視点で語られるのも深い。ラストの彼に『T2』のT-800を重ねて目頭が熱くなり、2度目のチャンスに”希望”を見い出せるのだった。

サム・ワーシングトン@マーカスが、憂いと強さを秘めた誠実さと、ヒーローのような活躍ぶりで実に格好良い。彼に感情移入したせいか、その言動と行く末にはハラハラドキドキさせられた。クリスチャン・ベールが好みの外見ではないので^^;、正直、ジョン・コナーなんてどうでもよくなってきたりw。でもジョンとマーカス、水中ターミネーターとの戦闘では一瞬どっちがどっちだか判別し難かったので^^;、兄弟のような匂いも感じる。
『スター・トレック』ではキュートな役を好演していた、カイル役のアントン・イェルチンは、マイケル・ビーン@カイルをよく研究したのか、彷彿とさせるほど可愛いカッコイー。日本人好みのイケメンでブレイク確実だが、どちらかというとD-BOYSタイプかなw。
カイルの相棒のスターが、誰かに似ているなと思ってたが、『鴉04』の柳浩太郎にソックリなんだ(^o^)。やなぎファンはぜひ確認をw。すっかり気に入ったので、彼女の今後の活躍も望みたい。

マーカスにこんなに思い入れが沸いたのは、東地宏樹が吹替えをしているのも要因だ。刑務所に坊主頭というマイケル(@プリズン・ブレイク)絡みの配役にも思えるがw、東地さんの深味と濃くのあるクールな低音ボイスは、キャラクターを更に魅力的にさせる(*^。^*)。度々の叫び声や、甘い囁きも聴き所だ。ラストの微笑んだひと言も感動的。とにかくいっぱい喋るのでファンは必聴。
マーカスと深く関わるブレア役が朴路美で、一昨日観た『黒執事』のイベントで東地さんと同じステージに立っていたことが思い出されてニンマリw。
ジョン役の檀臣幸は渋さと強さを貫いて熱演。東地さんともちょっぴり声が似ていて興味深いが、同じ”バットマン”を吹替えした影響が続いているのか。
カイル役の内山昂輝は若々しい情熱をほとばらせて好演。内山くんももっとブレイクしそうだ。 

「ダダン・ダン・ダン…」の音楽に毎度の興奮。『ターミネーター』シリーズで有名なアノ台詞は、今回はあの二人が喋っており、日本語で聴くとちょっと微妙。
シリーズ小ネタがあれこれ盛り込まれているが、やはり本家シュワちゃんの登場に胸が躍る。マーカスの記憶が一斉に雪崩れ込む映像が映画『デスノート』みたいであるがw、奇しくも”ライト”繋がりでもあったか。
映画『真夏のオリオン』&初日舞台挨拶へ行ってきた。
劇場外のグッズ販売は混雑。潜水艦グッズを買っちゃったw。
奇跡的に取れた座席は前方のサイドブロックで、映画もステージも観易い。

映画本編の雑感は、試写会の時に書いたので割愛。それでもあれこれ書きたいことは山ほど。
戦争映画だというが、戦争を扱った人間ドラマというのがピッタリだろう。戦争という時代を借りた、現代の我々へのメッセージ性が強く、”いのち”に対しての真摯な言葉は、私の琴線や思いとよく共鳴する。潜水艦による攻防戦、音楽に星に海と私の好きなアイテムが盛り込まれているのも、特別な思いが芽生える。
音楽がとにかく効果的でジンとくる。主題歌はその集大成だが、2度目だと地味だが良い曲だなと分る。
イ-77潜水艦内の群像劇だけでなく、米駆逐艦パーシバル乗員たちの胸のうちや考えまでよく描けているなと思う。撮影においても、アメリカ側との相互理解や協力を得られたことは、実に幸運なことだ。艦長役のデイビッド・ウィニングさん、知的で男前だこと。

発光信号の英文からの和訳を、草加(@ジパ)もやってのけたが、当時の士官もホントに容易くやってのけていたのね。あれがなかったら、この話も成立しなかっただろうし。
当時のお話を伺ったという、元士官の方たちのお名前がEDロールで流れたが、「帝國海軍」という文字に、妙に小躍りしそうな私w。
映画では「食べる」シーンがいっぱいあったが、「トイレ」シーンまで入れた潜水艦物語もいつかぜひ。
「写し」はとっていないと言っていたのだし、あそこで簡単にコピーしちゃったヤツらにセコさを感じたり^^;。「お守り」の意味うんぬんは別にして、彼女の名前が世界規模で広がりそうw。
堂珍さんは呼んでいたけど、玉木さん@倉本が有沢妹の名前を最後まで呼んでくれなかったのが心残り^^;。


上映後、初日舞台挨拶。マスコミのカメラが前列や両脇を派手に陣取り賑やか。
レンズが待ち構えていたし、思った通り右後方扉から出演者が登場、会場を沸かせながら通路を通ってステージへ。玉木さんは慣れてるのか、通路両脇の人達とハイタッチ。一番後ろの福井氏の体が、いつの間にかメタボになっているので吃驚w。

登壇者は左から、篠原哲雄監督、平岡祐太、堂珍嘉邦、玉木宏、北川景子、吉田栄作、福井晴敏(監修・脚色)の7人。司会はテレ朝の渡辺アナ。
男性陣皆さん、スーツ左襟にイ-77ピンズをしている。3年ぶりに拝んだ福井氏は既婚太りなんだろうかw。会場の声援も目立って、「玉ちゃん」に続き「堂ちゃん」「景子ちゃん」まであるそうな。

皆さんひと言挨拶。吉田さんが自称「頑固親父」と言っていたので会場も拍手。監督は「1年前に一生懸命に作ったものを観て貰えて嬉しい」という言葉。
福井氏は「私と監督以外、美男美女で」と、今回大変だったという座席を取れた私達を「ラッキー」だと称し、野球の映画やサイボーグの映画は随分と稼いだので(笑)「これからは潜水艦の時代」だと宣言した。
でも結局は其々の挨拶だけで、もうひと言ずつのコメントもなし(~_~)。フォトセッションに移るので登壇者は一端退出。

フォトセッションに移るまでの準備が大変。会場のみんなにも協力をあおぐと言っていたが、段取りもアイデアも悪すぎる(~_~;)。
客席真ん中2列の客を追い出して前方に移動させ並ばせ、その2列に看板を立てる。そこまでは分るが、”出航”の雰囲気を出そうと、5~6色のキラキラテープを沢山伸ばして、先ほどの前列のお客に持たせようとさせる。ところがテープとテープが絡みまくって、それをひとつひとつ伸ばしていく作業に時間を取られる。カヤの外で待たされたお客の大半は、その様子を観ながら諦めと苦笑気味。セッティングに10分以上はかかり、その時間が実に「もったいない」(~_~)。

やがて出演者が左後方扉から再び登場。【真夏のオリオン 大ヒット出航! 日本よ、浮上せよ!】の看板を背に、玉木さんを中心にして立つ。福井氏がここでもこっち寄り。
出演者皆に、伸ばされたテープを左手で持たせて、右手で敬礼させる司会者。キャストはみんな肘を閉めた帝海式の敬礼だが、福井氏だけが米海軍式の敬礼。マスコミのシャッターが賑やかで、前方の人も気持ちカメラ寄りにしてとリクエスト。
その後ムービー撮影で、動かして欲しいというリクに、玉木さんだけが顔をゆらしてみせたりw。皆でテープを揺らしてみるが、抑えられた状態で動くのは無理^^;。
最後に玉木さんが、映画出演の感激と役者としての思いを語る。テープを持ったままだと言い難そう。それでも後方席の人達にもお辞儀をする気の使いよう。
拍手と歓声の中、後方扉へと皆さんが退出。全部で約30分。

撮影ばかりに時間を取られたが、そもそもあの出航テープのアイデアは大失敗(~_~;)。その分、他の皆さんのコメントをもっと聞きたかった。折角の良い映画だったのに、舞台挨拶は物足りなかった。

映画 ガマの油

2009年6月10日 映画
映画『ガマの油』を観てきた。
ホントは別の映画を観るハズだったが、これも縁だろう。

はちゃめちゃ富豪の父親が、意識不明で臥せてる息子の携帯にかかってきた恋人からの電話に、息子だと嘘をついて出たことから巻き起こる、よき人たちのファンタジー。
俳優・役所広司の第一回監督作品。役所さんの原案も盛り込まれているそうだ。

豪邸に暮らすデイトレーダーの親父・拓郎が役所さん。強引で自分本位だが、子供っぽくて可愛い面が憎めない。役所さんの豪快な笑いと口癖が先行するが、泣き笑いのほうにご本人の人柄が滲む。
拓郎の声と、映太が演じる息子・拓也の声をどうして簡単に間違えてしまうのか分らないが、中年男と女子高生のやんちゃな関係は、男たちの憧れなのであろうか。
二人の新人・澤屋敷純一と二階堂ふみが、のびのびとした魅力。ふみちゃんの笑いは子供っぽすぎる^^;。小林聡美は健と艶の二役。益岡徹はこの後に『真夏のオリオン』が控える。

ほんわかまったりと進行するが、ゆるい演出が歯がゆくもあり退屈でもあり。電話の会話の二元中継が好みらしい。中盤から沸いて出る”とうていありえない”作り話に苦笑し、唐突な”ガマの油売り”の回想に困惑。豊富なイマジネーションは、過去の映画作品から引き出されたような感覚だ。金にものをいわせたような展開に閉口しそうになるが、後半で一気に覆されて裏切らない。
整然としたラストと共に、優しくも天晴れな死生観が伝わり、じわじわと心に染みてくる作品だった。

飛びぬけた斬新さはないが、時に計算されたような意味深たっぷりの演出が光る。
ラッキーの写真や拓郎のゴマは、言葉ではなく映像で説明。森のくまさん、ウサギやカエルは遊び心か。八千草薫が住む家の庭に埋めると、死体だと思ってしまうw。パーカーと帽子が、別人へと変わるカットが絶妙だ。雑然とした渋谷の街と比べて、横須賀の風景は安らかで甘酸っぱい。寝転んだ父と子にあった黄色い花が、公園にもあることに注目。光のバックに停泊していた護衛艦がDDー108「あけぼの」なのも、シーンに相応しい。そして潜水艦をバックにした役所さんを見ると、映画『ローレライ』が浮かんでしまうw。
タブラトゥーラの音楽は、懐かしさがこみあげて力強い。

仏壇に供えたコップの水がいつの間にか少なくなっていることが、こんなにも嬉しいなんて。目には見えない人の気配や存在が感じられる時、人は、生かされているのだと思う。
「人は二度死ぬという。一度目は肉体が失われるとき。二度目は皆から忘れ去られたときに。」というフレーズは『トーマの心臓』にもあったが、ここでは作品を根底から導いていく。
親しい人の突然の死に、人はどうやって向き合って、悲しみを受け容れられるのだろうか。残された人たちには、悼みを分かち合うことも時に必要であろう。その繋がりを持たせるために、塗られる軟膏剤が”ガマの油”なのかもしれない。
とっても悲しい話なのに、デジャブのようにワクワクさせられる。出会いを感謝し、別れをいとおしむような、柔らかい活力に満ちた作品だった。
映画『スター・トレック』を観てきた。
テレビシリーズはちょこちょこと観ていた程度で、決してトレッキーではない。ロバート・ワイズ監督の映画『スター・トレック』は映画館で観たが、30年の歳月を経て、再び新作の映画を観ることになるとは感慨深い。

J.J.エイブラムス監督による、TVシリーズ『宇宙大作戦』を基に再構築。USSエンタープライズに集う、カークやスポックら若きクルーたちの始動と旅立ちを描く。
始まりは、文字通り、ジェイムズ・T・カークの命がけの誕生から。カークの子供時代、スポックの学生時代をスキップしながら、「コバヤシマルテスト」での二人の運命の出会いへと導く。
カークのミドルネームが”タイベリアス”で、マッコイは”ボーンズ”で、TV版で認識されてた”加藤”はそういやスールーだったなと、名前で盲点をつかれつつも軽快に復習。
若手キャストたちは、当初はオリジナルキャラクターとは違うなと思われたが、徐々に似通ってくるのが嬉しい。思った以上にレナード・ニモイの出番も多く、バルカン人の指二本ずつの挨拶も昔はよく真似していたなと懐かしい。

物語は時を超えた復讐もの。タイムトリップや新たなタイムラインを成立させ、TV版と比べて観ると、尚更突っ込みどころがいっぱいだが^^;、思い切った斬新なアイデアとアクションでぐいぐいと引き込んでいく。
古風な設定やネタをリスペクトしながら残し、キャラクターの雰囲気もしっかり引き継ぎながら、洗練された演出と最新のVFXをほどこし、新旧ファンにも満足のいく、壮大な冒険エンタメ活劇へと作り上げていた。

青年カークは”やんちゃ”の言葉がぴったり。彼が崖みたいな高台から落ちそうになるシーンが何度かあり、情けをかけられたり助けられたりと難を逃れるが、最後には自力で起き上がるという、成長のシークエンスが分り易い。
『ラピュタ』みたいに、父がくれた熱い思いと母が残したあの眼差しが盛り込まれ「親への思い」が根底に描かれているが、USSエンタープライズそのものがファミリーだと考えれば、新たな「家族」の絆を描いたドラマだともいえる。
青年カークはゴリ押しで乗船し、ゴリ押しで艦長におさまり、ゴリ押しで攻めて行くので、ご都合展開にちょっぴりムカつく^^;。ここでのカークは、まだ元気でエネルギッシュで世界のリーダーだった時代のアメリカを体現しているのだろう。

雪山に落とされたカークが脱出しようとするポットの「NCC-1701」は、USSエンタープライズの船体登録番号。プロデューサー・ロッデンベリーに捧げたメッセージにも思いがこもる。
最後にスポックが「ジム」と呼ぶところが好きだ。ニュータイプの手による、新生『スター・トレック』の2作目も楽しみに待ちたい。

TV版の日本語吹替えでは、名前を呼び捨てにせず、「ミスター・スポック」「ドクター・マッコイ」と呼び合っていたっけ。矢島正明さんの包容力のあるキビキビした声がカーク船長にピッタリだった。久松保夫さんと吉沢久嘉さんのクール&ホットなやり取りも愉快だったな。富山敬さんの若々しい青年声も懐かしい。
今作の吹替え版が作られる時は、いったいどんな声優キャストになるのだろう? 吹替え版でも、先人たちの功績を受け継いでいただきたい。

スター・トレックだと、『DS9』のテレビ地上波の放送を望みたい。石田彰さん@ジェイク・シスコ目当てに、途中までは見せて頂いたが、第5シーズンの最後のほうは未だ見られないままで、とっても中途半端なんだもん^^;。
映画『真夏のオリオン』試写会を観てきた。

64年の歳月を経て、楽譜「真夏のオリオン」によって蘇った、男たちの思いや絆を描いた、海戦エンタテインメント。
福井晴敏氏の監修・脚色なので、期待と不安がないまぜだったが、『ローレライ』ほどの荒唐無稽な設定はなく、時代の真実を真面目に追及し、分り易さと面白さを加味した、地味ながらも好感が持てる作品だった。
CGは多用せずリアルさに拘ることで、時代に生きる人々の息遣いも明確になり、現代にも繋がるメッセージ性を含んだ、見応えある仕上がりになっている。

イメージが先行された映像が多く、展開も小道具もベタではあるが、真っ向勝負が心憎い。見どころの潜水艦vs.駆逐艦の攻防は、コミック『沈黙の艦隊』のパクリっぽい描写やネタもあるが、迫力あるストレートな映像につい惹き込まれそう。そして米海軍の艦長の顔が、何故か角松(@ジパング)に似ている気がするw。お決まりのモールスや発光信号も出るが、本物かどうか確かめたくなる。
今作は珍しくも海自などの協力は殆どなく、代わりにアメリカの駆逐艦で撮影、海外の協力態勢を得られた賜物といえそうだ。

潜水艦と音楽と天才的艦長というと海江田さんが思い出されるが、音楽繋がりでキャスティングされたのが玉木宏。玉木さんの軍服姿にはときめかなかったが^^;、誠実に頼もしく演じていて好ましい。
温和で寛容な中にも知略と実行力を伴い、軍人でありながらリベラルなヒューマニストという倉本の設定は、上司としては最適だ。彼は部下にも、”生きること”を決して諦めさせない。勝つよりも負けないことを選ぶ。彼の口癖「もったいない」は、モノにも人にも通じている。あらゆる知恵とアイデアを駆使して、共に行き抜くことを敢然と実行していく。食べれる時に食べる艦長なので、食シーンが多いのも愉快だが、私も久々に海軍カレーを味わいたくなった。

劇中で米軍が「回天」という日本人が誇りを失った兵器を憎悪して、何故あんなものを造ったのかと問いていたが、日本が”金”や”資源”を失ったからに他ならない。日本人の浅ましさと貧しさは、ついには”人”さえも放棄してしまったのだ。
多数の解雇者やホームレスが出た現代でも、”人”は人として扱わられず、戦時中と何ら変わりない切捨て思考が渦巻いている。こんな時こそ倉本艦長のような、人を大切に思い、共に生き抜いてくれるトップが必要なのだ。
潜水艦内の兵たちの描写が、今までの軍事作品と比べて、実に丁寧で分り易い。彼らの考えていることも、やろうとしていることも、的確に演じ分ける達者な役者たちのおかげで共鳴できる。最後まで機械の整備や汚れをおとし、皿を丹念に拭いていく、職務を全うする彼らの姿に思わず胸が熱くなる。

スクリーン初登場の堂珍嘉邦は目力はあるが、台詞や発声はまだこれから^^;。清純派の北川景子は、玉木さんとのラブ度は微小w。
吉田栄作、益岡徹、吹越満のベテラン勢が緊張と緩和で盛り上げる。平岡裕太、太賀が若手ながら好演。秋山吾朗がナイスな味。仮面ライダー組では、黄川田将也と戸谷公人が出演。特に黄川田さんは印象的な役で背が高いので、玉木さんが見上げていたw。吹替えでもお馴染みの鈴木瑞穂が、噛み締めるように語る台詞が深い。

『ローレライ』ほど音楽にインパクトがなかったが、主題歌と共に流れるEDロール中盤の1シーンも観ておきたい。

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