『忍者イリュージョンNARUTO-ナルト-』東京楽日を友人と観てきた。
夜の楽とあって子供の姿は少なく、殆どが役者目当ての女性ばかり。トイレはいっそうの混雑で長い列。ロビーの花壇が全て取払われてたのがちと残念ではある。
今回は1階一番後ろの座席だが、全体を良く見渡せた。当日券を求める列も凄くて、私らの後ろには立ち見でギッシリ。

前に見たよりは、上演時間が短く感じられた。
楽とあって、役者一人一人の演技にも熱気が感じられ、更にスピーディな芝居運びとなっていた。
後方座席のせいか、役者の疲れの為なのか、全体的に歌のパワーが少々落ちてるような感。もちろん素晴らしい歌の後には必ず拍手が起きる。
アクションのキレはまずまず。ナルトのフライングは何度見ても爽快感がある。

立ち見がある為か、場内に繰り出すナルトやサスケらは中ほどの通路を使って行ったり来たり。あくまでサスケに成りきる町田慎吾が、今回一番ハマってて格好良かったと思う。ナルトとサスケが通路で話す内容も毎回違っていそうだ。
レギュラーのコワブル&コワダカのアドリブも毎回違っていたのかな。前は「裸のサスケが○○○バイ」の台詞が飛び出し、子供も聞いてるのにそれはどうよ!?とツッコミ苦笑させられたが、今回は「サスケの裸エプロン」に止めていた(笑)。

ゲンマ役の平田広明は今回も渋く大きな存在感。「…だってばよ」なんて台詞、前にもあったかな〜。”お色気の術”では相変わらず場内を爆笑させてくれた。
カカシ役の岩崎大は、見た目の格好良さと台詞の甘ったるさのギャップが魅力的ではあるが、どうにも慣れない。もう少し大人っぽい重厚感ある台詞使いが望ましい。

岡幸二郎と新妻聖子のミュージカル的歌声と安定感ある演技は圧巻。彼らの存在が、この芝居を本格的なエンターテイメントに作り上げたといっても過言ではなかろう。
私も東京公演をもう一回は観たかった(前方席で)。何度も観たいと思わせる芝居こそが面白いのだと言える。

大団円の音頭では、やはり手拍子も増え賑やかになっていた。そして割れんばかりの拍手。
楽なのでアンコールは2回。平田さんと大くんを交互に見てたが、とにかく対照的。平田さんはキャラを崩さず、楽しそうに拍手と深々とした丁寧なお辞儀。大くんは隣の三倉茉奈&佳奈とヒソヒソ笑ったり、飛んでる髪を振り回して踊ってたりと、とにかくテンション高くてガキっぽい(^。^)。やっぱあの鬱屈した衣装の反動かしらん(笑)。

2回目のアンコールで、MA4人だけが其々に挨拶。町田くんは緊張してたのかグダグダw。屋良朝幸は「途中でハスキーボイス」「よく生きてた」とか命がけの芝居だったようで、大阪公演に向けて新たに意気込みを語る。米花剛史は「笑う我愛羅だと気持ち悪い」と言い、「第2弾第3弾とやっていきたい」と続編にも意欲を見せた。だがそうなった場合、秋山純の出番は無し?^^; 秋山くんがリーダーらしく、最後に締めの言葉を述べた。この5分間で、何となく4人の力関係が分ったような?w
最後にもう一度出演者全員が揃い、鳴り止まぬ沢山の拍手を受けていた。

今週末から大阪で5公演。関西だと、舞台の関係からも、演出や台詞回しやアドリブも色々と変わるだろう。そして割と静かだった東京より、もっと賑やかで率直な反応が返ってくるに違いない。
米花くんが言ったように、NARUTO第2弾とかあれば観たいな。秋山くんの役はまたオリキャラか、原作キャラになるのか。イルカ先生の登場希望なので、イルカ役でも構わないw。

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午前中は『BLEACH夏祭』チケットの先行発売。先行日を知ったのが実は前日で、慌てて友人に連絡。ロッピーだと以前のパスコレの悪夢があり不安だったが、意外や開始5分でアッサリ取れた。友人と同時刻だったのに、第三章と第四章とでどうして座席にこんなに開きがあるんだろ?^^; 
ナルトの会場と同じなので、座席位置を現場で直接確認w。観易そうなのでよかった。

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今日は母の日。朝食と昼食をちょっと作っただけで、何もしないで出かけた。
相方と息子は、修学旅行から帰ってくる娘と東京駅で待ち合わせ。そのまま閉館する交通博物館へ行き、閉館後のライトアップなどを何時間も見ていたらしい。
私が帰宅したら、リビングの花瓶に花束。オレンジのカーネーションやオリエンタルユリや得体の知れない花々が飾られていた。あきらかに男どもの趣味w。これって、私のイメージなんだろか?^^; 私はもっと柔らかでシンプルな、ピンクのカーネーションや可憐なかすみ草のイメージだと自分で思っていたのだが(笑)。
劇団岸野組『森の石松外伝2 石松と土佐のよばれたれ』初日を観てきた。
ロビーには中尾さんや速水さんからの花壇。パンフも500円と良心的だ。

毎回、笑いの渦に巻き込み、素朴でハートフルな時代劇で楽しませてくれる岸野《笑》組さん。
今回も、座長・岸野幸正を筆頭に、4人の実力派ゲストや若い団員達との息の合った芝居は安心して観ていられ、ダンスやギャグやアドリブがシーンを盛り上げ会場を沸かせた。途中で説明調が続き中だるみはあれど、約1時間45分を後味すっきりに纏め上げている。

《石松外伝》における、岸野さん演じる石松は少々ドモリで何と「馬鹿」の設定(笑)。だが人情に厚く腕っぷしも強い。そして観客の声援にも弱いw。まさに岸野さんのハマリ役で、思わず声かけもしたくなる。人柄の良さそのままの石松だ。

ゲスト1のくじらに先ず吃驚。最初くじらさんだとは気づかず、ダンスの立ち位置からの熱い視線をピリピリ感じて実はビビってたw。第一声ですぐくじらさんだと分ったが、まさかこんな役だったとは。コスプレ気分がたんまり伝わって面白かった。
渡辺菜生子は、威勢のいいアネキっぷりと、優しく可憐な声とのギャップが楽しめた。
飯塚雅弓は、小柄でキュートで小悪魔的だが品がある。アニメ声なのに台詞は聞き取り易く、舞台が華やぐ。

お目当ての関俊彦は若侍の「よばちゃん」(^o^)。本名は最後までうやむやだが、前に日記にも書いてた通り、「土佐のよばれたれ」と言えばぶっちゃけ「彼」のことなのだ。
鬘の横の前髪が下りてたから、設定上は17〜18歳ぐらいっ!? リアル関さんが十代の若者役かっ!?(゜o゜) 石田さんの22歳なんてまだまだだよ(笑)。
期待してた土佐弁は無かったが、丁寧語で柔らかな声がたっぷり聞ける。期待してた殺陣よりは、合気道風なアクションに期待。
何といっても唐突に出てくる関さんのダンス!その表情!(爆)ドリフネタなアクション!その表情! 寝転がってジタバタする関さんが可愛い。その後、飛び出た二足を裾で急いで隠す関さんが色っぽい。そして関さんの女装!大ウケして思わず手を打っちゃった(^o^)/。分っていても関さんの華奢な身体にウットリだ。
だけど一番好きなシーンは、メリケンや世界のことを嬉しそうに話、いつか広い海へ出ていきたいと夢を語るところ。その時の関さんは紛れもなく青年の瞳であり、夢と希望に満ち満ちた凛とした声だった。あれは関さんではなく、日本国の一人の若者の姿だった。

土佐藩や郷士まで出てきながら、話は小さな範囲内で済ませたのがちょっと惜しい気もする。八百八狸メンバーも実は誰が誰だかよく分らない^^;。
四国の山奥の道中物語なので、前に観た『レインマン』のようなロードムービー主体。だから舞台装置にも様々な工夫が見られた。そうした心温まる手作り感の積み重ねが、ヒロインの心を溶かし生き方を変えたように、私達観客の心も石松たちにしばし癒して貰ったと思う。

パンフの写真はカラーじゃないのが残念だが、自筆の言葉やサインなどもあり。
関さん、「兄」のほうがお好きだったのね。てっきり「弟」のほうかと思ってた。「生まれた星」に私もお供したいw。
渡辺さん、私も『功名が辻』見てますよん。千代、可愛いよね。
そういや昔、高校受験の面接で、好きな歴史上の人物は誰かと聞かれた時、私はこう答えたっけ。「リンカーンとナポレオンです」と。全然変ってない!(笑)
あと2回観劇予定。舞台は生モノだから、そのうち関さんにもチュ!が回ってきそうな予感w。
一日遅れの子供の日。
『忍者イリュージョンNARUTO-ナルト-』を息子と一緒に観てきた。
ほぼ満席で、土曜昼はやっぱ親子連れ多し。前方席で観易かった。

歌あり、ダンスやアクションあり、イリュージョンありで、子供から大人まで様々なファンが楽しめるエンターテイメント作品だった。
オリジナル・ストーリーだったが、持ち味を生かしたキャラがよく立って其々見せ場もあり、オリキャラも個性豊かに華を添え、原作やアニメファンもそれなりに満足できそうだ。

ジャニーズのMA4人はお初だったが、バク転などアクションのキレはさすがで見どころたっぷり。舞台だけでなく場内通路も走り回り、フライングの大技も爽快感があった。演技もしっかりしている。ただ、ナルト役の屋良朝幸は声が掠れて聞き取り難いのが気になった。早くも疲れなのか風邪なのか、元々そうだったのか?^^;
三倉茉奈&佳奈は双子の利点を生かした演出で、歌も演技も可愛かった。レギュラーの松本&西川はお笑い担当だが嫌味がなく、秋山純との絡みがどんどん白熱して爆笑させる。尾藤イサオは昔懐かしの和製○○と熟年の味で年配客を楽しませた。

岡幸二郎、愛華みれ、新妻聖子の三人はミュージカル役者として素晴らしい歌を聴かせる。特に岡さんは別次元。レベルが違い過ぎっ。いったい何オクターブまで出してたのか。会場いっぱいに響き渡るハイバリトンに胸の底から圧倒された。気分はまるで『レ・ミゼ』。何て贅沢な芝居なんだろう。唄が終った後に拍手せずにはいられなかった。

さて、お目当ての平田広明と岩崎大。どちらも出番は少なかったが、原作やアニメのイメージも強く、数少ない大人キャラとして注目の的だった。
平田さんのゲンマは、もちろんアニメの声と同じ。歌わず踊らずだが不動でものを言う。静かな渋さで存在感があり、つい目がそちらにいく。ずっと長楊枝を口に挟みながらもはっきりした台詞使い。他の人の歌の時に、たまに長楊枝を動かしリズム取ってるのが平田さんらしいw。見どころは2幕のナルト一喝シーンと”お色気の術”シーン(笑)。平田さんの格好良さと可愛さを満喫した。
大くんのカカシは、ゲンマより更に難しい。何しろ口や顔の殆どが隠され、目だけで表情を追うしかない。しかも井上和彦の声じゃないっ!(笑)大くんの初一声が聞こえてきた時、吹きそうになっちゃったもん。こんなにも甘く可愛い声だったのかと。MAたちとのシーンでは、口元が分らないから、誰が喋ってるのかたまに分らなくなったり^^;。おまけに大くんはイメージ的に清潔で、和彦さんのようなイヤラシサが殆ど感じられん(笑)。でも大くんの目は色っぽく、動きもキビキビと格好良かった。歌もダンスもちょっぴりあり。

イリュージョンは種が分ってても、演出に見事に生かされ驚かせ楽しませた。ナルトやサスケや我愛羅の技も、舞台化するとこうなるんだ〜と納得させる。サスケや我愛羅も格好良かったし。ただ、一楽も出てナルトの台詞にも出たのに、イルカ先生だけが何故いないんだーっ!?とつくづく残念。

大団円のラストで、子供も大人も気分良く拍手。脇出演者が場内で踊り、ちょっとテニミュ気分で手拍子。回を追う毎に手拍子も多くなるだろう。
出演者紹介では、平田さんと大くんが一緒に出てきてお辞儀。あの黄色い歓声はどちらに向けてだったのか?w
カーテンコールも楽しそうな雰囲気がストレートに伝わった。平田さんの立ち位置が丁度私の座席から直線。
アンコールではMA4人が最初に登場。屋良くんが米花くんの瓢箪を掴んでるw。他出演者を呼び寄せたが、大くんはいたけど平田さんの姿が見えず。既にお着替え中だった?^^;

休憩挟み約2時間半。休憩中は女子トイレが混む。パンフは2千円で買い。貰ったチラシの中に、昴の平田さん出演作『夏の夜の夢』のものが。これも観たい。
シス・カンパニー公演『父帰る』『屋上の狂人』を観てきた。
SMAPの草?剛ら豪華キャストなので、チケットが取れず取れず(~_~;)。結局平日夜公演の観劇となる。お初のシアタートラムはパブリックシアターの後方にあり、この小さな空間で役者達を間近で拝めるのは贅沢かもしれない。

大正五年頃に作家・菊池寛が発表した短編戯曲の2本立て。其々30分程の上演時間の中に、凝縮された時代の香りと優しさと深味がある。河原雅彦の役者の持ち味を生かした素直な演出が、普遍的な”家族劇”として現代に鮮やかに蘇らせた。

『父帰る』は閉鎖的空間の中でのシリアスな家族間の葛藤がメインで、『屋上の狂人』は開放的空間の中でのユーモア溢れる家族間のやり取りがメイン。
対照的なドラマの中で一貫して描かれているのは、父と息子、静かだが気丈な母、そして兄弟愛。それが誠実にストレートに伝わって暖かくさせる。
達者な役者陣も相反する役柄を丁寧に手堅く演じる。

父親役の沢竜二は、老年の寂しさ侘しさの存在感を見せ付けたかと思ったら、次はひょうきんでお茶目な親父となり、幅広く柔軟な演技を大いに楽しんだ。
長男役の草?剛は、年齢より大人びた男らしい役どころと、うんと若々しく見える愛らしい役どころ。静かさと激しさの中に鬱屈した意地と脆さを感じさせたのはさすが。その反動からか、『屋上』では踊ったり小芝居をしたりと実に楽しそうにアドリブを見せていた。ただ、台詞が大きく明確過ぎるのが難。もう少し抑えた台詞使いや、透き通るような声音で工夫して欲しかった。

次男役の勝地涼は、どちらも優等生で聡明な役どころ。現代の学ラン姿はイマイチだったが、この時代の袴や着物や学生服や学帽が実によく似合うv。『父』では慈しみの優しさを、『屋上』では凛々しい優しさを出して、清々しく堂々と演じていた。袴を脱ぎながらの台詞とか、下駄で踏み踏みとか、ズボンを上げた仕草とか、ちょっとしたトコも見所で可愛い(*^^*)。

『父』の四国弁の台詞や所作が綺麗だった。「おたあさん」なんだね。西尾まり演じる母が、息子達の茶碗に杓文字2回分を入れてるのが微笑ましい。
10分の休憩中に、幕の後ろの舞台に『屋上』の大道具を設置するサマをあれこれ想像する楽しみがあった。『屋上』は屋根だけでなく、背景も素敵だった。

現代だったら、父親の家出が即、離婚や家庭崩壊や犯罪へと繋がる可能性もある。家族に精神障害の者がいたら即、養護や施設や病院へと送られる。
そういう煩わしさも哀しさもない、シンプルでゆっくりした人々と時間が生きる、古き良き時代の話に癒された。

パンフもコンパクトだが密な作り。ドラマで共演したこともある堤真一×草?剛の対談がカラー6ページもあり、まさしく買いだった。「今度はこういう空間で、何か一緒にやれたらいいよね」と堤さん。それは観たいけど、チケットがもっと取り難そう^^;。
ナイロン100℃ 28th SESSION『カラフルメリィでオハヨ〜いつもの軽い致命傷の朝〜』を観てきた。
上演は休憩挟んで約3時間強。案の定、お手洗いが混みあった。

チラシには《ケラリーノ・サンドロヴィッチ一生に一本の私戯曲、改訂を加えて9年振り、4回目の上演。》とある。18年前に、余命わずかと宣告された父親に付き添いながら、KERAさんは病室で父を描くこの戯曲を書かれて、初演公演中に父親が死去されたそうである。そんな大そうなお芝居だとは知らずにチケットを取ったので、あらためて気を引き締め舞台に向かった。

「父の生と死」を描いたものだけど、どういった物語だったかを語るのは難しい。病院からの脱走劇と、老人と家族のスケッチ。時間と空間を超えて2つのドラマが重なり交錯していく。暗いテーマなのに、流れていくのはKERAさんお得意のナンセンスギャグやブラックユーモアで、笑いの渦が全てを払拭する。

分り易くは作られていると思うが、いまひとつ話のスピード感や変質的で奇妙な世界観にノれなかった。次々繰り出されるギャグやパロも、客席の一部は大ウケで笑っていたけど、一部はシンとしていて、私は後者の笑わないほうだった。可笑しい気もするのだけど、「笑う」までがどうしてもいかない。全くもって、コメディとは難しいものだ。
痴呆性老人の台詞や仕草に、客席からは何度も笑いが起きたが、私には哀愁の抵抗感が強くてとても笑う気になれない。この劇は私にとっても他人事ではなかったからだ。長い入院生活を送っている義母や母のことを頭の奥で何度も考えながら、哀しいギャグの繰り返しに耐えていた。

オープニング映像には毎度定評があるようだが、『労働者M』よりも斬新で印象的だった。キャスト紹介に加え、舞台装置に合わせた撮影で映像がぴたりとハマってて、カッコイー音楽が盛り上げてアニメっぽい作り。こういうのを大スクリーンで見たいと思うが、今夏にKERAさん脚本・監督の映画も公開されるので、そちらも期待できそうだ。

初演から続投の役者さんもおいでで、ゲストの皆さんも実力派揃いで、ギャグも軽妙にこなし安定した芝居で、こちらも安心して見ていられた。皆さん殆どが一人二役をこなし、役柄のギャップも楽しみつつ、充実した演技だった。

祖父役の山崎一は、真面目にギャグをやる難しい芝居をこなして、味わい深かった。父役の大倉孝二はテンション高い芝居で、喜怒哀楽が実に上手くて、大倉さんファンは必見だと思う。三上市朗のイヤらしぶりとか、三宅弘城のテンポ良さとか、皆さんホントに着実にこなして巧い。
犬山イヌ子は殆どが同じテンションなのも大変だが、セーラー服姿はちょっと愛らしかった。喜安浩平と何故抱き合ってたか分らんが、妙なシーンはこびりつく。

ほんの少し笑ってしまったのが、2階の娘の部屋から聞こえてくる3Pもどきの会話(笑)。それをオーバーに夫に伝える妻。滑り台を滑る夫婦が楽しそうだったが、その後、板に激突する医者が痛そう。脱走隊5人のダンスはこなれて楽しそうだった。
多くのコメディなシーンから浮き彫りになる、父役の大倉さんが見せてくれた、何ともやりきれずに顔を伏せたシーンが切なかった。

いつもの眠りから、七色の光の朝日の祝福と共に目覚める朝。それがいつまでたってもこなくて、ずっと夢の中になってた…それが死なのだろうか。
「人の一生はギャグ」と言い飛ばすラストは、明るいけど哀しかった。乾いた笑いしか出てこなかった。
面白かった、楽しかったとはとても言えないお芝居。でも見た後で、ふつふつと沸き上がってくる、もどかしくもじれったい感情。いつまでも後を引く作品だった。
舞台『bambino(バンビーノ)』を観てきた。ロングラン公演中の前半なので雑感のみ。
双子に*pnish*にテニミュに特撮と、今人気の若手俳優らの豪華競演である。

原作タイトルでもある、新宿二丁目のウリセンバー「bambino」で働くボーイ達の悲喜こもごものお話。原作と同じく、店マスターの目線がメインで、話というより手記に近い舞台。
ボーイ達は殆ど「ノンケ」の設定なので、腐女子的なものは期待出来ないが(笑)カッコイー若手男優だけの出演なので、色々な意味で美味しいハズであるw。
ホストとか華やかな世界とは別に、若者達のこういう哀愁の世界もあったのかと知っただけでめっけものである。

手記ドラマ故に、妙にリアリティ感がなく、空を舞うような曖昧さと薄さではある。
この店に行き着くまでに、親に見放されたり、借金を作ったりと、彼らは其々に孤独と絶望を抱えて生きてきたハズ。ところがどの役者からも、重苦しいものを背負った空気が感じられない。過去を隠しながら明るく楽しく振舞う演技かもしれないが、唐突にボーイ達から出てくる過去話に、こちらが面食らってしまう。苦悩や葛藤が真に伝わってこない。
様々なお客も浮き彫りになるが、ボーイ達の話だけなので、無機質な存在感となる。「初めて」の男の子や「アレがデカイ」客も話題に出るが、その結果の感情はスルーだから、全くもって無味無臭なのだ。
女心としては、世間知らずの主人公の感情を丁寧に追う物語がいいのだが、ここでは望めない。ボーイ個々人のエピソードを淡々と追うだけで精一杯。それなら、全員を網羅して欲しかった。これは続編を作るということか?

客を相手にするのだから、彼らももう少しこざっぱりとした格好のほうが良かった。中身は個性的なのに、みんな似たような服装。似てると言えば、健と淳が未だに区別できていない^^;。優と拓哉が兄弟なんて第4章で初めて知った。昭和33年の赤線とかって、栄村っていったい幾つだ?w

水谷あつしは、大塚明夫さん似で大らかで渋くて格好良かった。森山栄治の熱い演技、鷲尾昇のボケ演技、伊藤陽祐の笑わない演技に注目。JURIのザウルスには惹かれたので彼のエピを見たかった。

オリジナル曲はノリのいい爽やかで楽しい歌。公演が進むに連れ、観客の手拍子も増えてくるだろう。グッズも充実してたが、パンフはあれで1500円は高いよ^^;。
ひらり、空中分解。VOL.10公演『ブログ 僕はマンションの管理人です』楽を観てきた。
客席は超満員。病を圧して行った甲斐はあった。座席が一番前の見易い場所で、郷田さんにもお会いできたし、何よりお芝居がとっても面白かった。

脚本・金津泰輔氏&演出・郷田ほづみ氏の黄金コンビ。マンションのロビーを舞台にブログと郵便物が交錯する群集コメディ。
ブログと郵便物という、発信元も宛先も不明な胡散臭いツールを、よくぞここまで日常の人間模様と絡ませてドラマティックに仕上げたものだと感心する。
今回は「ひらり」メンバー4人に、女性5人男性2人のゲストを加えて賑やかだったが、5組の夫婦+1人の管理人(+?)と考えるとスッキリ整頓される。人物の名前も覚える必要が無い。なぜなら、ネットに付きものの「あだ名」で全て把握出来るから。
スクリーンに、マンション管理人のブログやあだ名や顔文字が映るのは、かの舞台『電車男』を彷彿とさせるが、これが実に分り易く、ピリリとした効果を持たせてることに後から気付く。

脚本や演出が冴え渡ったのに加え、今回は客演の影響力に注目したい。
ヘタしたら、ただのキワモノでキモイ、よくある漫画チックで変態なキャラクターを、役者達が己の個性ですんなり取り込み、愛すべき人物として生き生きと演じてくれた。
綺麗で実力派の女優陣は、自分の枠も殻も取払った上に新たな美しさを役に構築した。特に、うちだ小都知の歪んだ口元の芝居は絶妙だったし、葛城七穂の男らしさは素敵だった(笑)。(ちなみに葛城さんが『ER』のアビー役だったと後から確認。今後も『デジモンセイバーズ』クダモンで活躍)
ゲスト男優陣もフレッシュな風を運んで、印象的な芝居を見せた。

そして、彼らに釣られたのか(笑)今回はひらりの皆さんがこの上なく格好良かった(^^)/。
大波誠は難しく情けない役どころを真面目で丁寧な芝居で通し、最後に背筋をピンと伸ばしたところが格好良い。坂本充広は爆発ぶりも見事だが、あのグラサン姿も格好良い。若山慎は男気あふれるパワフルな芝居に加え、静かに妻を抱くシーンがまた格好良い。そして松川貴弘は、スーツ姿も眼鏡のフレームに手をやる姿も、携帯で喋りながら服を脱いでパンツ姿になるアクロバット作業も、顔を赤らめて妻をオロオロ見守る姿も、何もかも全部格好良いっ(^.^)。いいっ、いいっ! も、どーしてこういう格好良いお芝居に八幡さんがおいでじゃなかったのかw。

最前列座席ゆえに、ちょっぴりのハプニングを記載したい。若山さんが舞台前まで進み出すシーンでは、威圧感と唾対策で思わず後ろにのけぞってる私がいたw。小悪魔ちゃんの煙草でジジィが咳き込むシーンでは、タイミング悪く私も咳き込んでしまった。煙のせいじゃなく風邪の為なんだが、小悪魔ちゃんに責められて、ジジィと同じく小さくなってしまったよ^^;。

5組の夫婦間の溝や隙間や歪みや勘違いを浮き彫りにさせながら、しっかりと決着させて爽快感を味あわせたのはお見事。そして女たちのしたたかさと比べて、男たちが何とデリケートで優しくて可愛いこと。全てをひっくるめた男たちが強くて格好良い「生き物」なんだとしみじみ感じ入った。
ブログという「生き物」の物語性や娯楽性や情報力や危険性もやんわりと示唆されつつ、文章を書く喜びや、「覗き見」と「人を知る」面白さは止められませんね、という金津氏のCommentが目に浮かぶようである(笑)。
いや、もうこの日記も既に金津氏に覗き見されてしまってるかもしれないと思うと…アワワ(#^.^#)。


「ひらり」のロゴが出来たんだね! とってもH(笑)。今回は記念SPビニバッグがプレゼント。グッズも徐々に増えて、ひらり10記念缶バッジと切手を買う。

郷田さん関係ニュース。
羽衣1011のWEBドラマ「すみれの花、サカセテ」CD発売決定。ネットではゆっくり聞けないので買う。値段も2000円ぽっきり。第三回公演も行かなきゃ。
湘南アクターズの初の地方公演が待ちに待った池袋。郷田さんもご出演されるし、今度は2回観たいな。


終演後、郷田さんとお話できた。湘南アクトのことや新番組のことなど。郷田さんの日記のことにふれたら、「僕もブログに切り替えようと思ってるんだ」と。お写真もアップ出来るしね。もちろん何でも読みますよ。郷田さんの文章も好きだもの。握手もして頂いて、お写真も撮らせて頂いた。ありがとうございましたm(__)m。
風邪で意識が朦朧とし声も掠れてたので、先日のオルゴール・レクイエムの話はすっかり忘れてしまった^^;。
郷田さんとお話できて、また新たに元気とパワーをいただいた。このまま風邪を打ち負かすゾ(祈)。
舞台『ハゲレット』を観てきた。
お馴染みシェイクスピアの『ハムレット』を脚色した、「若ハゲ」に悩むハムレットのお話。

前座が凝っていて、開演前から場内を練り歩きピーアールする役者たち…を演じる役者たちw。お目当ての土屋裕一が、目の前で売り子してて一瞬固まってしまった。楽器や歌やお笑いネタでちょっぴり楽しませてくれた後、ドラの音でようやく開演。

ずっと前に蜷川氏演出の『ハムレット』を観たが、ストーリーはほぼ同じ。登場人物はかなり誇張され、個性的かつ現代的。あの難しい台詞も今風に訳され、笑いのツボをおさえ、人の本音をズバズバ吐かせ、ヘンな例え話にも置き換えてみせる。とっつき易くて分り易い。お馬鹿なギャグやお笑いネタがいっぱいで、役者たちのユーモラスな動作も効き、見事に《哀しいコメディ》となっていた。以前に見た『三人でシェイクスピア』みたいなノリだったな。

だけど、笑いどころがいっぱいあっても、そのまま面白かったと手放しで言えないのが芝居の難しさ。
前半は、観客の笑いと台詞が何度かカブったが、笑いの間もきっちり取って欲しい。中盤はグダグダ感の話が続き、欠伸と眠気が出てきてしまった^^;。実力派の役者たちの熱演や怪演は楽しませて貰ったが、いまひとつ何かが足りない。身体と心全体で楽しめない、もどかしさが常にあった。

近藤芳正のハムレットは、とっても愛嬌のある真面目な青年。前半の「ハムちゃんと呼んで」とか、オフェーリアを「オフェ」と略すトコがチャーミング。後半は一転、才が冴えた思慮深い表情を見せて、なかなか見応えがあった。マントを翻すトコとか格好良いよ。帽子が飛ばされ、薄ハゲが露呈されて愉快だったけど。

ホレーシオの陰山泰は男前でユーモア抜群。レアティーズの鈴木浩介は几帳面な優しさと感受性の鋭さがよく出ていた。湯澤幸一郎は声も顔も美しい。福本伸一はこなれた芝居が素晴らしい。

彼らと一緒に土屋裕一も6役こなし、印象的な芝居を見せる。特にフォーティンブラスとしての雄々しさと単純バカさ。「3つ以上の言葉は理解できない」は最後で一番笑った。声も凛々しくてよく通る。ベレー帽が何気に彼のオデコを隠し(笑)マントも似合ってた。王座に座る彼が、それはもう嬉しそうな豪快な表情で、tutiの本音とカブルこと。決め台詞も見事だった。

ラストで次々と人々が死んでいくのに、哀しむどころか笑ってしまう観客たち。考えると、何て残酷な人間の業。人間の非情さ。人間の単純さ。
人間は「考える葦」であるのだから、たまにはハムレットのように「考える」ことに没頭するのも、今の世には必要かもしれない。考え過ぎると頭髪によくないけど^^;。

余談。パンフはロビーで買わないほうがいい。
Studio Life公演『DRACULA』Doomチームを観てきた。
一昨年観た作品の再演だが、キャストが総入れ替え。それも並行して公演中の『ヴァンパイア・レジェンド』キャストが別役で出演してるから、その妙やお遊びも楽しめる作りになっている。
舞台装置は前回とは違い、『ヴァンレジェ』のものを利用してるので、脚本は同じでスジは分っていても、印象が全く違って見える。

今回は主要3人男がわざと芝居がかった演技を披露、前半はコメディ&パロディな斬新な雰囲気となっていて、とにかく吃驚した。
笠原浩夫は、天然で頼りなげなアーサー役として、ひたすら可愛い〜い声で演じる。山本芳樹は、口ひげ&カウボーイハットのごっついキンシーを、凄みを効かせた低い声で熱演。キンシーのプロポーズ場面は、歌と踊りを交えまるでミュージカル風♪ 曽世海児は、少々ドジでお調子者なセワードを、テンション高い演技で好演。この三人の今までと違った個性溢れる演技には大いに笑わせて貰った(^o^)。

前回観た時に願った、及川健&吉田隆太の女性役コンビがこの度実現! 及川さんのミナは、アップされた髪が大人っぽく見え、ブルーのドレスで動く姿が楚々として綺麗だった。吉田くんはあくまで可憐で色っぽく、所作も台詞も女らしかった。白いドレスから見え隠れする素足も綺麗。この二人の女性声は甘く優しくてホントに好きだな。

主役の一人、姜暢雄のジョナサンは、見事な受け受けっぷりに悶絶しそう(笑)。倒れた時の顎の辺りの白さや、腰のひねり具合などが、とっても色っぽ〜いv。あれならずっと手元に残しておきたいと思っちゃうよ。中盤でチラと見せたアクションも、長い足が伸びて見事に決まりカッコイー。さすが元・特撮戦隊俳優。

そして岩崎大のドラキュラ伯爵。クールな笠原さんや情緒的な曽世さんとも違う、極めて人間らしい吸血鬼だった。深い闇に包まれたような孤独感、ジョナサンを追い求め続ける恋心が痛いほどこちらに伝わってくる。ジョナサンに去られ、拒まれた時の何と哀しくも寂しい表情。岩崎くんの切ない演技が見事だった。こういう吸血鬼もアリなんだよね。
登場時の雄々しいフライングや、階段から飛び降りた時の柔かさなど、軽々とした身のこなしも注目どころ。

今回座席が1階前方のド真ん中だった為、吸血鬼の立ち位置と丁度重なり、岩崎くんの瞳に真っ向から何度も射られて、緊張でドキドキしっ放しだった(*^^*)。
書斎の二人のやり取りでちとウトウトしそうだったが、後はずっと舞台に釘付け。前回聞き損なっていた台詞とか、おかげでしっかり補完出来たよ。
蝙蝠の羽音が幾度となく過ったが、実は最初は、吸血鬼が階段や廊下を疾走する足音かと思っちまった^^;。

もう一つのDepthチームも観たかったが、スケジュール都合で断念。
岩崎大&姜暢雄のコンビは変らないからいいか。そういや先日ETVの劇場招待で『わかば』が放送されていたが、この二人は『わかば』の舞台版&TV版の藤倉雅也(若葉の夫)だったね。
残すところは、『ヴァンレジェ』のVenomチーム。今回のお笑いコンビがどんな濃厚なシーンを演じてくれるか期待。

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終演後、トークショー。
今回は「吸血鬼トリオ」笠原浩夫と曽世海児と岩崎大の登場。司会は藤原啓児。
笠原さんは前回は吸血鬼側でやってたが、今回は人間側としてもう一度作品を見直し、新たな発見があったと語った。
曽世さんは前回の吸血鬼役に決まった時からウェイトダウンしようと決意、公演前は5kgもダウンし、演出家からもういいと止められたとか。意外と努力家でストイックな一面を覗かせた。
岩崎さんは今回の跳躍力について、学生時代バスケットをやってたという話。とにかく「上る」のが好きで、子供の頃は上り棒をやり捲り、木から木へ飛び移ることもやってたそうだ。まるで忍者ッ子?(笑)こうした体験が今回のアクションにも役立ったらしい。確かにね。飛ぶ時の気分を聞かれ、「ジョナサンに近付きたいという思いから」と、初めに役ありきの心構えを語り、藤原さんを恐縮させていた。カッコイー。
終始、二人の”後輩”としての立場を忘れず、ちょっと落着きのない素振りも見せていた岩崎くん。ステージからはける時は、マントを翻して颯爽と去った。笠原さんもマネしてお茶目w。

そういや『忍者イリュージョンNARUTO』に出演する岩崎大の役が、何とカカシ先生!(゜o゜) カカシ先生なら笠原さんのほうが合ってるような、岩崎くんならどちらかというとイルカ先生だと思うが^^;。とにかく吸血鬼の次は忍者、コウモリの次はカカシ(笑)。5月が楽しみだ(^^)/。
ネルケプランニング『tatsuya最愛なる者の側へ』を観てきた。
一昨年の舞台以来に見る津田健次郎や、大口兼吾・和田正人らテニミュ絡みの役者にも興味があったから。

そのノリで軽い気分で見ると大間違い。全編に漂う重苦しい空気とハードコアな展開に、ガツンと何発も殴られたような痛烈なザラザラ感を味わった。
高度成長期の日本で実際に起きた少年による連続射殺事件を題材にした鐘下辰男の代表作。15年前の初演以来、何度も上演を重ね、数々の賞も取った作品だと初めて知った。

19歳の射殺犯・永山則夫をモデルにしたtatsuyaの半生を追っていく生々しい話。
主人公タツヤ役の津田健次郎が約2時間舞台に出ずっぱり。津田ファンならたまらんだろう。筋肉痛が…とご本人が語られてたが、こりゃホントに気力体力勝負。水をかけられたり、社員体操も厳しかったが、殴られ蹴られ踏みつけられ飛ばされての演技も凄まじい。アドリブも随分あったように思う。役としての表情や動きなど繊細な演技も見せ、捨てられた子犬のような愛らしさもある。10代前半の頼りなげな子供っぽい演技もなかなか。「弱者の狂気」そのもののタツヤを津田節で熱演しきっていた。

学生運動や集団就職で混乱した1960年代。クスリや恐喝や売春やレイプ、理不尽な差別と裏切りが蔓延る東京砂漠。何度も出てくる暴力シーンには、演技と分ってても、痛々しくて目を背けたくもなる。何度も轟く銃声音には身体中でビクつき震えた。観客にも緊張感と厭世感を強いるような展開が正直キツイ。

現在から過去、もっとずっと過去へと話が何度か遡るが、それが少々分りづらい。いったいいつの時代の話なのか、ここに出てくる男は誰なのか、ごっちゃになり困惑し、自分で確認するまで時間がかかった。
鈴木省吾、大口兼吾、和田正人らが其々に三役を兼ねて熱演しているのだが、どれも似たようなトーンでメリハリがないのも要因か。殺された男達がみなタツヤの兄達と面影が似てた…という含みがあるにしろ、もう少し分り易い演出を望みたい。

それとは別に、伊藤裕子が老婆からキョウコの顔を見せるくだりは圧巻。タツヤが母を追い求め、愛されたいと願っていた心情がジンジンと伝わってきた。
親の育児放棄や家庭内暴力、貧困の人々の排除と、戦後日本が当時抱えていた悪しき膿みは、今もなお現代に存在しているのが腹立たしい。何十年経っても色あせないこの作品の魅力が恐ろしくも感じる。

渡辺修改め月ゴローは、何と6つの兼ね役。ボイスアクターで岩崎征実、前田剛、内藤玲のラブライブの役者達。声だけでなく、彼らにも舞台に出て欲しかった。
鈴置洋孝プロデュース第8作公演『愛さずにはいられない』を観てきた。
とっても見易い座席だったが、周りにチラホラ空席も^^;。

タイトルはメロドラマ風だが、お話はほんのちょっぴり苦さが残るハートフルコメディ。峠の茶屋を舞台に地元の人達やハイカーが登場、一ヶ所で一日のうちに決着する短編物語。
登場人物には若者もいるが、40代50代以上をメインに進行するのが面白い。人物11人の誰もがイイやつで、他人のことを思い、本気で親身になって考える苦労人の不器用者。そして誰もが愛おしい存在で、快感なヒットをかましてくれる。

熟年の不倫カップルを、サッパリした明るいタッチで演じたのが鈴置洋孝と土井美加。見事なコンビネーションでホントに夫婦に見えるw。鈴置さんの満は、前半と後半であまりに違うゾ。
客演の中尾隆聖は普通の電気屋のおじさん。ただ一つ違ってたのはずっと人を想い続けていたこと。相手役の岡本麻弥が色っぽくて、こんなにプロポーションが良かったんだと今頃分った。
麻生美代子は相変わらず意地悪婆さん的役どころw。佐藤愛の淡々とした喋りや合の手が抜群で、話をキュートにさせていた。太田善也がずっと団子を食ってたが、ホントに不味そうな団子だったw。
鈴置さんも岡本さんも、麻生さんも、ついこの間も拝見したんだっけね。1ヶ月に何度も拝める人がいれば、会いたい人を拝めないもどかしさ(~_~)。
鈴置さんや中尾さんの野球ユニフォーム姿を見れたのは新鮮。

ラストはあり得ない(笑)逆転ホームラン。金絡みのドンデン返しって以前の作品にもあったような^^;。鈴置さんの素振り姿に中年男の哀愁が漂って、ちょっぴりジンとさせてくれた。

来年の新作は、今回ホリエモンもどき^^;を演じた塩塚晃平の脚本だという。そして鈴置プロデュース10周年記念イベントも開催決定。早くも来年の予定まで手帳に記入しなきゃならないか^^;。鈴置さんはイベントでは歌わないそうだ。ホントかしらん?w


岸野組公演のチラシが入っていた。出来立てホヤホヤ〜?
関俊彦の写真、いつものじゃないっ(笑)。
関さんは、やっぱり「よばれたれ」役なんだね! 「土佐のよばれたれ」だから、もちろん坂本竜馬ってことになるのかな。気の強い姉も出てくるそうだから。アニメの関さん@竜馬の実写版にようやく舞台で巡り会えそうだv。
ちなみに竜馬は、寝小便小僧で10歳を過ぎてもまだやっていたらしい。だから付いたあだ名が「よばれたれ(高知弁で寝小便する子供)」だったとか。
Studio Life公演『ヴァンパイア・レジェンド』Viceチームを観てきた。
今回は『DRACULA』との二作品一挙上演。どちらも再演だが、どちらもダブルキャストの構成。創立21年目のまさに”ヴァンパイア祭り”。パンフも2冊買わされるかと思ったが、1冊に纏まっていた。

お初に観る『ヴァンパイア・レジェンド』は、19世紀オーストリアの城を舞台のヴァンパイア・ストーリー。シンプルなセットに照明と効果音とスモークを駆使し、ひたすら耽美でクールで妖しい雰囲気。主人公の語りで淡々と物語が進むが、劇的な場面はあれど、ストーリー的には盛り上がりに欠ける。何度かウトウトしてしまった^^;。墓を暴くシーンなどヤマ場だと思うが、それも語りのみで説明。『DRACULA』のような心に訴えかけるものは期待しないほうがよさそうだ。

少女役ばかり続いてた及川健が、吸血鬼の少年・ゼーリヒなのがとても嬉しい。これぞ謎多き妖しい美少年。見た目はアランだが、心に冷静沈着で残酷な熱い熱情を秘めて、中味はまるでエドガー(『ポーの一族』的に)。真っ黒な衣装がよく似合い、愛らしい立ち振る舞いと軽々とした身のこなしに見惚れた。クッションに寝そべるトコとか可愛かったな。バク転とかはスタントマンだろうか。
ジョージ役の山本芳樹は語りも含め、殆ど出っぱなし。デリケートで寂しがりやな青年を叙情的な表情で好演した。

6歳の時から12年というから、一応二人とも18歳頃の役どころかな。青年期前の少年同士の危うい関係が強調され、及川×山本の恋とも呼べる濃密さが全面に出ていて、まさにBLだった。
腕を絡ませる友情から、恋人の如く爽やかな抱擁シーンへと変り、やがて熱い熱いくちづけに没頭する二人。ボーイズの真髄を目の前で見た思いで、妙なエロチシズムを感じてしまった。
ゼーリヒの回想で、Venomチームの笠原さんと曽世さんの抱擁シーンも出てきたが、こちらはアダルトな肉体の雰囲気。印象が全く変る。Venomは楽日を観るので、それまで大切に膨らませておこうw。

ゼーリヒ&ジョージの黒&青の衣装も素敵だったが、エリザベスの白いドレスがまた美しかった。長い裾が身体にも巻きついて、襞の動きにずっと見惚れていたもの。
笑いどころは少ないが、石飛幸治と青木隆敏のラフォンテン&ペロドンのコンビが一手にお笑いを引き受け。声がすぐ太くなってたけど。
舞踏会のダンスシーンが息ぴったりでとても華麗だった。

プロローグに登場の現代のパソコン青年との繋がりがイマイチ分らない。こういう孤独な若者も、吸血鬼の餌食に相応しいということなのか。『DRACULA』では女性を襲ってたが、こっちでは少年や青年の純粋無垢な魂が狙われる。それゆえ、非現実的なのにいっそうリアルな世界を構築しているのかもしれない。


Studio Life次回公演は、萩尾望都氏の『トーマの心臓』再演に決定!
こっちも、嬉しいけど何か違う〜(笑)。
紀伊國屋ホールは近いから嬉しいが、キャパが狭いのでチケットが取れるかな。
「原点に戻り、新たなる一歩」として、「新しいエーリク」「新しいユーリ」「新しいオスカー」とあるが、前回キャスト陣一掃なんだろうか?^^;
Air studio + *pnish* の舞台『Kiss Me You〜がんばったシンプー達へ〜』を観てきた。
お目当ては、パニの3人。劇場ロビーの花壇で初めて気づいた。この芝居には郷本直也も出ることをw。

戦争ものだとは聞いてたが、特攻兵の青春物語だった。前半と後半ではあまりにカラーが違ってア然。前半は戦時が舞台の何とコメディ! 寒いギャグが繰り返され、たまにクスリとさせられたものの、とても付いていけず。グダグダ感にひたすら耐えた^^;。後半でようやく特攻任務が与えられ、一転してシリアス展開。死期を宣告された男たちと見送る女たち。力の篭ったラストだった。

戦争を知らない者が書き、若く実績も少ない役者たちが演じるのだから、そりゃもう未熟で品がなくアラも目立つ未完成作品。戦争ものとして生真面目に観ないほうが案外救いがある。
だが戦争を知らないなりに、戦争というものを真っ直ぐに真摯に見つめ直し、戦争を知らないからこそ率直に語れることに意義がある。「泣いていいんだ」「子供達や孫達の世代のために」「国が死ねというのを詫びたい」「靖国に連れてきてくれ」使い回された言葉がやけに脳裏にこびりつくのは、書き手や演じ手の中に誠実なものを感じるからだ。若者達が本気になって、若い人達に投げた変化球のメッセージだと受け取りたい。

舞台構成にはもっと再考の余地がある。とにかく暗転が多いのには閉口。イイところで折角の気分の盛り上がりが留められてしまう。作品全体から見ると無駄なシーンも多い。前半のコメディを短縮し、後半を強調してすっきりと纏めれば、もっとスピーディな展開となり、2時間弱で収まりそうに思う。

パニ目当てだから、出番も多かったパニ3人はやはり嬉しい。森山栄治は髪型も変え痩せてて、別人に見える位だった。佐野大樹はナゾナゾしか印象に残ってなく^^;。意外と活躍してたのが鷲尾昇で、微妙な役どころを頑張って演じてた。ランニング姿の栄治とワッシーの胸板の厚さと筋肉質の身体が素敵v。
でも今回、一番注目してしまったのが郷本直也!(*^^*) パニよりもっと細身長身で、姿勢もよく目立つ目立つ。妻帯者でモテ男なのに、ちっとも嫌味じゃない。爽やかな笑顔に天然ぶりな優しさの少尉役がピッタリ。ジャンプや物腰にも丁寧な演技が見える。よく通る色気ある声も素敵だった。
主役の松丸雅人は器用な個性派だな。前半のダメっぷりと比べると、後半の格好良さがウソみたいだw。
薄井を臼井という漢字にハメたせいで、池ノ谷基樹の喋りに妙に挽き付けられた。

搭乗シーンまで時間がかかり過ぎ。ヤマ場は舞台『WINDS OF GOD』のマイムのように切り抜けるかと思いきや、独特のライト&音響効果でクリア。
ラストの実写スクリーンは反則だよw。零戦や軍艦をちょっぴり格好良いと思ってしまったし^^;。江田島の旧海軍兵学校の教育参考館に展示されてた特攻兵の遺品や写真などが脳裏に蘇って、目頭が熱くなった。お芝居というより、史実の彼らに涙した感じ。

パニの次回本公演は7月か。郷本くんは最遊記になるのかな。今度の悟浄役を郷本くんがやったら面白いのではとふと思ってしまった。そうすると柄谷さんの三蔵と背のバランスがとれそう。
劇団四季『鹿鳴館』を観てきた。
三島由紀夫曰く「俳優芸術のための作品」だそうだ。去年の三島由紀夫氏の三十五回忌が思い出され、今なお息づく三島氏特有の台詞劇をたっぷり味わった。

約3時間の芝居。前半と後半で舞台装置がガラリと変り、細部まで実にリアル。ローブ・デコルテなど優美な衣装に憧れを禁じえず。古き良き明治の上流階級の空気がたちこめる。

実力派ベテラン揃いの役者陣の手堅い演技に、芝居の本質を見た思いである。どの役者も殆ど馴染みが無かったが、今回ほど印象が薄く感じられたのには理由がある。
三島氏が書かれた台詞の全てに魔力が篭ってるのだ。普通の話し言葉でなく、時代がかった文学的言葉。中には、あまりに難しく考えるのもイヤになり、意識から流れウトウトした時もあった^^;。だが、意識を集中させると、ハッとさせられ気づかされる台詞もある。咀嚼すればする程味わい深く残る。常に緊張感と情念がこもった台詞劇にのめり込み、役者らはすっかり二の次になってしまった。

親子と男女の関係を絡ませた、よくある昼メロなドラマ。政治と愛情、信頼と嫉妬という相反する人間の業を絡めた悲劇。「鹿鳴館時代」はミラージュとも呼ばれるそうだ。西欧文化を急激に採り入れた日本人、まるでその後を予見させるような結末。男は自信の中で情にもがき、女は自立意思の裏で政治にもがく。優雅な音楽とダンスが流れる中、頭の中ではふと「踊る阿呆に見る阿呆」を感じた。

鹿鳴館跡という某ビルに昔5年ほど勤めていた。残業で夜遅くにビルのひんやりしたロビーに足を留めると、遠くからワルツや靴音が聞こえるような気がした。
三島氏の切腹跡と刀キズといい、ここにきて急に縁を感じる。三島氏の他作品も観たくなってきた(読むのではなく^^;)。
劇団ひまわりのミュージカル『家なき子』東京楽日を観てきた。
お目当てはAxleの柄谷吾史。アクサル以外の公演での柄さんを拝みたかったから。

『家なき子』と言えば2つのアニメ作品。30年前放送された立体アニメーション『家なき子』(レミ役は菅谷政子)と、10年前の名作劇場『家なき子レミ』(レミ役は堀江美都子)。
今回のレミ役は高塚恵理子で、てっきり堀江版の少女レミかと思いきや、原作通りの男の子役としてだった。マチアも同様。

ミュージカルとはかくあるべしか。二階建て舞台の中央に設置された重々しい鉄扉。帆を広げた大胆な船仕様の美術。一つ一つこだわりが感じられる衣装。雨あられと大量に降られる雪。何より60人以上の少年少女達が其々違う衣装をまとい、端役或いはコロスという存在で盛り上げる。そして才能豊かで実力派の役者達の溢れるばかりの歌と動きとダンスの芸術。全てにお金と時間がたっぷりかけられ、丁寧に創られたのが分る。
子供の鑑賞作品としても推したい、良質で優秀で品格あるお芝居だった。この劇場での「ミュージカル月間」をかなり意識された作品創りであったのだろう。

レミ役の高塚恵理子はほぼ出ずっぱり。凛とした響き渡る声はとにかく素晴らしい。ミリガン夫人役の日向薫が色気のある上品な声で聞かせる。アーサー役の石川由衣が透き通った声で唄えば、マチア役の熊本野映が野性味たっぷりに唄い、脇役ながら印象深かった。
ヴィタリス&ドリスコル役の沢木順の渋いバリトンには圧倒された。石山毅のバルブランの歌はどこかセクシーな魅力がある。
ヴィタリス一座の4人は終始息の合ったダンスを披露してくれたが、台詞が無かったのが残念(動物だから仕方ない?^^;)。カピ役の小野賢章が予想してたより長身細身で、ハリー・ポッターの声を想像できないほど男っぽさを感じた。

柄谷吾史は、ある意味、狂言回しで道化的な役どころ。出番は少ないが、常に不気味で謎のキーマンとしての存在感がある。黒一色に身を包んだ姿はやはり格好良かった(*^^*)。朗々とした品のあるハイバリトンも素敵だv。憂いを帯びた顔立ちもまたセクシー。ただ、ソロ曲が無かったのがちと残念。客席立ち位置も自分の席と逆方向だったし。拝めただけで満足するか。

栗田氏の手法にまだ慣れてないせいか、抽象的な表現の演出にたまに馴染めず置いてけぼり状態にもなった。理解するには相当な想像力が要求される。予想と違う展開で肩透かしを食らう場面もあった。
良質なものを意識してるのは分るが、最初から最後まで笑いが全く起きなかったのも珍しい。品のいい笑いどころがあれば、作品そのものをもう少し楽しめたハズだ。
レミ達の旅の共鳴やコミュニケーションをもっと深く感じたかった。

それでも、ラストでレミ達が「みんな幸せを与えられるはず♪」と歌い上げる中、コロスの人形達が仮面を外すシーンに心揺さぶられ、それまで平静だった目から涙が流れてしまった(;_;)。人形の少年少女もまたレミと同じ運命を背負った子供たち。世界中の子供達に向けた、ほとばしるようなメッセージを強く感じた。
アンコールでも唄われた「前へ、前へ♪」も切なさと逞しさを秘めた旅立ちのメッセージ。どのナンバーも耳に残る。生オケの臨場感を味わった。

ダブルアンコールまであり、おどけた沢木さんが「前に、前に」と小野くんらを前に行かせていた。
3月から名古屋と大阪で同公演。大阪ではアクサル他メンバーも出演。
パンフ買うと、抽選で30人の客に希望役者さんのサインが貰える。私はハズレた^^;。

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終演後、ロビーの一角で『家なき子』出演のアクサルメンバーによる握手&サイン会。他客がはけた後10分位待ってた間、参加する私達はドッキドキ。かなり多いと予想してたが、実際の参加者は12人ほど。時間的には余裕たっぷり(?)。

先ほど出演された柄谷吾史、大阪公演には出演する松木賢三、日ノ西賢一、内藤悠一の4人がようやく登場。椅子に腰掛けテーブルでサイン開始。
どうせならと、私も含め参加者の殆どが4人のサイン&握手を希望。日ノ西さんは前回『最遊記』では蜘蛛男だったそうだが、私はあまり覚えてない^^;。内藤さんは八戒役だったが、ちょいボケぶりを発揮。私の名前と日付を書いてくれたが、日付が20日になってるぅ!(笑)本人曰く、てっきり20日だと思い込んでたそうでw。
松木さんは太い眉と男らしい顔立ちがやっぱ好みv。今度も悟浄役ですか?と尋ねたら「それは言えないなぁ〜」と濁された^^;。『男たちの大和』も2回見たことを伝えたら喜んで下さった。
トリの柄谷さんは黒い毛帽子を被り、キュートで綺麗な笑顔。柄谷さんのサインは3人より大きく、日付も21日になってた(笑)。ジェームス役やお芝居の感想を話した後、やっぱり『男たちの大和』で、つい先日呉や尾道にも行ったことを伝えた。「尾道、よかったでしょ」と明るい素の言葉を聞けて嬉しかったv。きっと去年の尾道ロケで色々なことを経験されたんだろうな。また映画にも出演して欲しいな。
4人の方ともちろん握手させて頂いたが、柄谷さんとは両手で。
スタッフの方に伺ったら、3人は大阪から東京まで車でいらしたとか。『家なき子』のCDを流して歌の練習もしながらとw。ちょっと聞いてみたかった。
サイン会終了後、スタッフが次回公演『最遊記』も見て下さいと伝えて、4人が楽屋へと帰っていかれた。お疲れさまでした。

関西から遠征されたアクサル仲間の方ともお目にかかれて良かった。大阪でも同じサイン会があるのでパンフも複数必要だ。
アクサル・イベントのチケットが無料なので取ってみた。平日夜の大阪なのでもちろん行けるハズもなく、ただの記念で^^;。参加できないのも残念なのに、会場で最遊記チケットの先行予約受付があることもショック(~_~;)。
常に関西優先という実情が、アクサルにのめりこみそうな私のストッパーにはなっている。
蜷川幸雄・演出舞台『間違いの喜劇』を観てきた。
お初の彩の国さいたま芸術劇場は意外と近い。開場30分前から地下の円形劇場風の場所で、ミニ音楽会を催していた。

センター座席で段差が綺麗で観易い場内。舞台上には観客席まで映す鏡の壁面があり、扉の向こうは遠近法の景色。下手客席前にはナマ演奏陣が待機。装置の一つ一つが含みを持ってるようで凝ってた。
物語は去年5月に観た野村萬斎の『まちがいの狂言』のシェークスピア版。こっちが本家本元。舞台となるトルコ・エフェソスを邂逅し、シラクサとの距離感を思う。
役者は全員男性で、女性役も男性が演じるところはStudio Lifeと比べそう。

主従2組の双子の取り違えにより、周囲が間違いにつぐ間違いを重ね混乱と騒動を巻き起こす、滑稽で猥雑で分り易い喜劇である。
シェイクスピア台詞は相変わらず分り難いが、テンポいい台詞の掛け合いや体当たりの芝居で絶えず笑いが起きる。大団円では、役者達の見事な演技を噛み締めつつ、綺麗に纏まった物語と楽しいリズムに爽快さを感じた。

蜷川氏は客席通路を使うのがホントにお好きだ。冒頭から登場人物全員が通路からマーチングパレードで舞台に上がり、観客を巻き込み手拍子足拍子(?)。劇中でも人物が通路を行ったり来たり、あの階段を疾走したり。何か約束事がありそうだが、下手側通路は主に赤(兄)、上手側通路が主に白(弟)なのかな。ラストもみんなが通路をにこやかに通って退場。客席と近い距離感がこの作品に気安さと温かさを与えてくれる。
身体をはった芝居や動作にも躊躇が無い。主役をはじめ皆が何度舞台から落ちたことだろうw。ハリセンならぬ板叩きの掛け合いもまるで関西漫才風で、叩き方も半端じゃないっ。ずっこけ方や倒れ方も柔かいのに派手で凄まじい。ホント痛そうな感じ。どこまでがアドリブなのか分らぬ体育会系のノリに、真剣で徹底した演出ぶりを感じた。
そしてラストの見せ場、双子同士が集結する場面は似た二人をもってきて、腹話術という荒業を使用。その腹話術でさえネタにして笑いを取ろうとする周到ぶりだ。

主役アンティフォラス兄&弟の小栗旬は、颯爽としたスマートさで舞台によく映える。台詞回しは相当しぼられたようで、腹の底から声を出そうとする気構えが分る。カツ舌をもう少し明確にして欲しい。
ドローミオ兄&弟の高橋洋は、コミカルな道化役がよくハマリ、安定感ある芝居を見せる。柔らかでポップな動きがとても楽しかった。
この二人の早変わりが絶妙で、衣装替えのトリックがちと気になった。

内田滋のエイドリアーナは女性の持つ嫉妬心や強情さをユニークに演じてとにかく可笑しい。月川悠貴のルシアーナは実に可憐な女性らしさで吃驚。特に彫刻のような肌の美しさにはため息が出そうだった。二人の衣装も綺麗だったのに、コルセットをワザと出す演出に何か意味があったんだろうか。視界に入る度に笑いそうだった^^;。
鶴見辰吾が何の役なのかと思いきや、厳格な母性役で吃驚した。台詞と物腰に凛とした品を感じた。
その辰吾くんとちと間違いそうになったのが^^;アンジェロ役のたかお鷹。軽妙な芝居がキラリと光り印象的。

ラストの三組のダンスシーンは丁寧で品格があったが、あの赤い糸にはちと苦笑^^;。蜷川氏の演出全てについていけるとは限らないか。終演後、通路の出演者の顔を近くで見ながらの手拍子はホントに楽しかった。
休憩無しで約2時間。軽くて見易く、日本人の好みにも合いそうなのでリピーターも多そうだ。
シアターコクーンで舞台『労働者M』を観てきた。
最前列でとても見易かったが、天井近くに組まれた鉄橋辺りは観にくくて見上げるハメに。おまけに終盤で木片が落下するからと、休憩中にビニールシートが配られる。舞台『メディア』以来のシート付き座席だが、そんなにヤバイんかっ!?^^;

近未来の収容所と、現代のある事務所という二つの世界が並行し話が進み、出演者全員も二役以上こなす。しかし決して交差することが無い世界、トップがいない世界で、明暗を織り成す人達のおとぎ話。
こういう風に見終わった後よく分らない結末で、戸惑うアニメって結構ある。不条理アニメとでもいうのかな。モヤモヤ感が残り燃焼し切れないモドカシイ思い。でもそんな気分を妙に楽しんでる私。

先ずは前説から観劇の注意書きでけん制され、思わず9千円を後悔しそうな予感^^;。
そして芝居が進むこと30分、予期せぬアクシデント発生。スクリーンから音が出ないっ! これも「欠損」の演出かと思ってしまった^^;。実は、機材の不備が原因で直るのに数十分はかかるという。私の観劇史の中でもこういう事故は初めてなので吃驚仰天。完全にタイムオーバー。今日はカメラまで入ってる為、スタッフもアタフタ。
場繋ぎに急遽、山崎一と堤真一が出てきてミニトーク(?)。「トークは苦手なんだってば」と堤さんw。小泉今日子もチョロっと登場し、彼女と交代に出てきたのが松尾スズキ。それからは観客の質問コーナーと化し、三人でバレンタインのチョコ話や初恋話など。モテモテ堤さんで僻む二人。「あの週刊誌のことは丸っきりデタラメだから!」と力説する堤さん(笑)。堤さんの素が出てて、一番面白かった時間かもw。

30分程の遅延後お芝居再開。回り舞台を大胆に使い、世界が突拍子もなく切り替るので、役者達もお着替えが大変そう。
ナンセンス&ブラック&ユーモアが詰った膨大な台詞のやり取りや絡みがとにかく面白い! 下ネタもエロネタも生々しい言葉も意味不明もごっちゃに収まる感覚がイイ。独り言さえ、一人になることさえ許されない、緊張感とスリリングな空気が快感だ。
軽くて難しい台詞や間合いをきっちりテンポ良く演じきり、奇妙で独特な世界観を構築できる役者たちの実力に圧倒された。

お目当ての堤真一は、革命派リーダーと酔っ払い楽観的男の二役を、硬軟なテイストで見事に演じ分けていた。『幻に…』の将門の二つの魅力を分けた感じ。冒頭はもしや13歳の役どころ?w 相変わらずセクシーで力強い眼力に心を奪われ、子供っぽさとアダルトの両方の魅力に惹きつけられた(*^^*)。
外見的には自然な感じの短い茶髪と、稲垣ヘア風なカツラ。若草色セーターにツナギ衣装と、イイ男は何でも似合うv。一番格好良かったのが『終戦のローレライ』のフリッツに似たナチス風の軍服とロングコート。二種も似合ってたけど、こういうアーミー系もよく似合ってて惚れ惚れした(*^^*)。
何より好きなのがバリトンのよく通る声。「オレ」の一人称もよかったが、笑いと叫びと嘆きの絶妙なバランスが素晴らしい。
舞台手前にセリがあって、そこから足二本が飛び出た時は吃驚したが、目の前のセリから堤さんが登場した時は「うっひゃぁっ!」と歓喜の驚きをあげそうになっちゃったv。もうね、至近距離で堤さんを拝めただけで眼福満足(^^)。

小泉今日子は細身だが、身体全体で熱演してて好感がもてた。初日に誕生日を迎え、トーク中に堤さんから「これで40代の仲間入り」と言われてたw。
犬山イヌコはどんな役に変身してても声ですぐ分るw。あの飄々としたセンスある軽妙な演技がとっても好きだな。
秋山菜津子のクール&ホットではっきりした演技もカッコイイ。
女性陣がとっても印象的な芝居を見せてくれた。

ケラさんの作・演出はお初だったが、こういう雰囲気は嫌いではない。結論の出ない抽象的で宇宙的なものとして、モーツァルトの音楽にも繋がってるような気がする。
まぁ、こういうお芝居を観るにはほろ酔い気分が丁度いい。観客にも酒が必要だよ。ロビーにグラスワインのサービスがあってもいいじゃないっw。
懸念していた木片もほんのパラパラ程度の落下で拍子抜け^^;。せこいゾ! 落とすなら、もっと気持ちよく束になって落とせっ!シートの上からしっかり受け止めてやるからっ(笑)。
何事にも中途半端な作品だったが、妙に笑って許せる芝居であった。
終演後、出演者の中にケラさんが出てきて挨拶。「野田秀樹です(おい^^;)」機材不備で芝居が遅れたことを詫びてから「DVDに入るかも」「皆さん早く帰ってください」(笑)。皆とっとと劇場を後にした。

ケラさんの次の作・演出はナイロン100゜C。犬山さんや山崎さん目当てにちょっと観てみようかな。
パンフはマウスパット付き。パンフ巻末に蜷川幸雄&尾上菊之助の対談。明日はその蜷川氏の舞台観劇だ。
世界初の舞台化と銘打った『レインマン』を観てきた。
お初の東京グローブ座はウチからも近くて綺麗な劇場。今回は回り舞台のため特殊な座席配列で、殆ど最前列状態であった。

ダスティン・ホフマン&トム・クルーズの映画は観たが、なんせ18年前なので細部の記憶が抜けてる。それが幸いして、映画版とは異なる人物年齢や設定、展開になってても比べる必要もない。
回り舞台を二つに区分けされたシンプルなセット、雨音の印象が残る中、たった4人の役者だけで新しいレインマンを創り出していた。

父親を憎み続け、誰も愛さないと頑なに、いつしかマネーゲームに興じ鬱々と日々を過ごしてきた弟。知識や趣味に天才的な面を持ち得ながら、外部との関わりを持てず、純粋な日々を送ってきた兄。二人が兄弟としての時間を埋めて徐々に接近していく姿に心打たれた。浮き出てくる過去の記憶に共鳴し、とめどなく涙した(;_;)。

椎名桔平が感情豊かにチャーリーを演じ、橋爪功が難しいレイモンドを身体全体で受け止める。コミュニケーションの一つが、野球じゃなくサッカーなのが妙。二人のリフティングがリアルでハラハラさせる。案の定ボールが客席にコロコロ。ついに成功の暁には二人に大きな拍手が贈られた。
動と静の台詞の応酬も見事だが、橋爪さんがブツブツ唱える台詞量がとにかく凄い。円周率などの数字には吃驚した。
余計な部分を削ぎとり言葉を厳選し、見えない台詞を想像させる脚本が巧い。その間合いを巧みに演じる役者達も素晴らしい。

お目当ての朴路美は、去年の『電車男』、橋爪さんと共演した『風流線』とも全く違う、チャーリーの恋人で常識人のスザンナ役。主役二人を引き立てながらも一歩もひけを取らず、爽やかで温かな色気を振りまき、確かな演技を見せていた。予想より出番があったのも嬉しい。
路美さんの細さにため息。『風流線』に続き、また胸チラリンだw。おまけに可愛い超ミニスカでおみ足たっぷり。パンチラどころか丸見えで、ヘンなところでサービスいっぱいだった(笑)。

回り舞台が傾斜になってて、役者がギリギリのラインで演じて、ハラハラ緊張感を伴うもリアルな感覚も味わった。
ただ、ヤマ場での二人のシーンが中央に集中し、どの角度から見ても分るような演出でなかったのが残念。折角の回り舞台を最後まで生かしきれてなかった気がする。
ラストの取り払われた壁と白さに、明るい希望を見い出せていつまでも余韻が残った。
夕食を取ってから、ヘロヘロQカムパニー第15回公演『闘え!クロスダイバー!! 〜改造され果てて…〜』を観てきた。
アニ店以来のヘロQ。今回のお目当ては、客演の山口勝平と共に、故・石ノ森章太郎先生へ捧げるオマージュ。特撮大好きっこではない私だが、石ノ森作品は本当に好きだったから。

ノンストップな約2時間20分(?)。1本の特撮長編映画のような濃いストーリー性と凄いキャストだった。ギャグやアドリブによる笑いの洪水はさすがのヘロQだが、散りばめられた石ノ森作品の小ネタがまた笑わせてくれる。たぶん一部観客しか解らんだろうが。
スクリーンのOP映像がよく出来てて、たまらなくワクワクさせる。ぜひテレビの特撮ドラマで、同じキャスティングでいいからやって欲しい。見たい。『仮面ライダー』の王道に飢えてる私は、『ボイスラッガー』を懐かしみながら、舞台を観終わってもいないうちから望んでしまった。

今回ヘロQの新たな表現方法として登場したのが「パワーマイム」。特撮もの舞台に必須のアイテム…かも。絶えず説明付きなのが大いに爆笑を誘ったが、慣れると痛快な快感に変るからフシギだw。「演技+α」な技を要求された団員の肉体的精神的な稽古は、生半可なものじゃないだろう。だがそれ以上に、観る客側も相当な空想力と柔軟性が必要となる。個々人の発想力の違いでこの話の面白さが委ねられる。私の場合、白熱の空中戦闘シーンや爆発シーンでは、アニメや特撮の1シーンがフラッシュバック。あらためて彼らの芸術的演技力に感嘆させられた。

座長の関智一がダイバー役かと思いきや、主役は小西克幸。背の高さと逞しい肉体は適役。改造人間たる苦悩や葛藤や憤りもよく表現して、冷酷殺伐な変貌ぶりも見せた。放送中のアニメと重なり、まるで「仮面ガイバー顎人」って感じ(笑)。小西くんの股間辺りについ目がいっちゃうのは内緒w。
関智一は今回はどっしりと引き立て役。ポジティブで熱い魂はいつもと同じ存在感だが、皆に混ざってのパワーマイムまで意欲的にこなし、役者としての広く厚い幅を知った。
山口勝平はいつもとは違う、シリアスでちょいコミカルな悪役を熱演。クールで透き通った声が実に新鮮。確かな演技力と頼もしい笑いの妙が芝居の柱となっていた。
長沢美樹の細さには吃驚だが、体力的には逞しい。もう少し活躍の場が欲しかったな。
全体的に作品パワーに負けないように声も出ていたが、グランダイバーのが低く聞き取り難かったのが残念。

で、肝心の主人公・クロスダイバーが出てくるのが遅い!(笑)まだかまだかとずっとヤキモキさせられたもの。いや、今回の話がクロスダイバー誕生ってことなら、ぜひ続編も作ってもっと活躍させなきゃ。折角の石森プロのキャラデザイン、今回だけでは拝み足りず勿体ない。


終演後、舞台で智一くんがお礼と挨拶。石ノ森先生の25日の生誕日と28日の命日のことを語って下さり、私も感激した。舞台の中で石ノ森作品の息遣いを感じ、先生を偲びつつ楽しむのが、この芝居の一番の味わい方かもしれない。
劇団K-Show 4th.PRODUCE公演『きみとぼくの声』を観てきた。
伊藤健太郎が座長をつとめるこの劇団のお芝居を観るのは旗揚げ公演以来。今回のお目当ては客演の鳥海浩輔。トリさんの帽子を取ったお顔をじっくり見たいと思ったからw。

ロビーに入ると、自由席へ観客を誘導してたスタッフの一人がよく見るとイトケン。土曜昼とあって超満員状態で、いよいよとばかりにイトケンが場内に並べたのが、ダンボール箱と座布団!観客も大笑い。観客へお土産代わりのクリアファイルがなかなか重宝。

戦争をモチーフに、劇団と劇中劇が交錯しつつ繰り広げられる、若者たちの愛と夢と戦いと孤独、そして再生の物語。
《ノンストップリバーシブルストーリー》とあったが、まさにその通り。小さな伏線を積み重ね、アップテンポの飽きさせない展開、人物達も余すことなく繊細に描く。導入部もラストのドンデン返しも巧妙だ。
何より、脚本・演出家でもあるイトケンのまっすぐな思い、ひたむきな情熱が芝居からひしひしと伝わってくる。お遊び感覚の人物名に、随所で冴えるアドリブやギャグや小ネタが、貫かれたテーマに見事に溶け合っている。暗鬱としているのに笑える。森久保祥太郎の優しい音楽がラストへと導く。見終わった後、純粋な活力と心地良さを味わった。

鳥海浩輔はタッパがあるので舞台によく映える。初舞台とは思えぬ程のこなれた演技で台詞も完璧、存在感も抜群。それまでの演技とはガラリと変り、ジョー役でのクールで男前な声にちょっとときめきv。それにおデコ! トリさんの知的な富士額を存分に拝めて満足(^^)。
斎賀みつきは狂言回しの役どころだったか。もう少し出番が欲しかったところ。
劇団員も個性的に熱演。女優陣の演技が光った。ただ、団員だけのシーンでは間延びした台詞の掛合いがあり、ちょっぴりテンポダウン。演出上、止めシーンも多かったが、大変なポーズを続けさせるのも体力稽古の一つか(?)。
お気に入りは、トリさんに後ろから抱きすくめられるイトケンのシーン(笑)。大いに喜ばせてくれたが、イトケンの演技がまた可愛らしいんだこれが。何でもアリのはっちゃけたシーンでは、トリさんが一番輝いていたw。

身体のぬくもりで感じる女の匂い、眼光で感じる男の空気。外見の姿形で判別する他に、別の知覚が人間にはある。性別も世代も超越し、人間同士の繋がりで最も有効なのが声と言葉。
イトケンが演劇人としての己を反芻する物語でもあったが、これから時代を創り出す若者に向けてのメッセージが大切に込められていたと思う。


イトケンの奥様とお子様もおいでになっていた。奥様、お綺麗な方だ〜。終演後、ロビーでイトケンがお子様に向けた父親の眼差しを見てふと思った。そうか、このお芝居を世界中の誰よりも一番に見て欲しかったのが、彼の息子だったのかもしれないなと。父性愛に満ちていた作品だったもの。
イトケンのサインの列が長くて、階段踊り場のテーブルに場所移動。私も並んでサインと握手を頂戴しちゃった。一人一人に笑顔で応えるイトケン。ありがとうございました


イトケンが感慨深く語っていたSPACE107は、私にとっても思い出深い場所だ。マウス第一回公演もここだった。中尾隆聖&戸田恵子の『Live a Combination』もここ。あの時、日替わりテツコだった山寺宏一も戸田さんも今では遠い存在になってしまった。

新宿ローソンでチケット取り。懸念してたが何て容易いんだ。良席だが、よく見るとこれから行く劇場じゃないかっw。

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