青山円形劇場で公演中の『えっと、おいらは誰だっけ?』を観てきた。この劇場は関さんの朗読劇以来。

作品の作家マイケル・クーニーは、レイ・クーニーの息子で、親子して似たような作風。どちらも劇団あかぺら倶楽部さんが得意とするジタバタ・コメディである。
原題の『Cash on Delivery』は『誰ガタメニ金ハ成…ル?』のタイトルで、5年前に「あかぺら」が初公演。どっちのタイトルが好みかは分れるが、「おいらは誰だっけ?」なシュチュエーションはクーニー作品では毎回出てくるので、この言葉をタイトルにもってくるのも今更な感。むしろ教会で結婚式(葬式?)の”鐘”をかけた「カネハナル」のタイトルのほうがイカす。訳者は同じ小田島恒志氏。

失業中の男が内緒で騙し取った大金と秘密に、どんどん巻き込まれる間借り中の男。彼らの”嘘”と妻や婚約者の”勘違い”に、役人たちまで巻き込まれ騒ぎとなるジタバタコメディ。
「あかぺら」ではもちろん、エリック役を高木渉、ノーマン役を大西健晴が演じた。
ステージにはやはり幾つもの扉と2階への扉と玄関、ソファに電話に長椅子に小物と、シンプルな中にも後々伏線としても使われるセットがあれこれ。
雰囲気的にも最初っから「あかぺら」の劇や役者と見比べてしまう。

エリック役の岡田達也は真面目に熱演。ただ好青年過ぎて、詐欺をやるだけの巧妙さや胡散臭さみたいな雰囲気も欲しかった。
小林隆は新たな魅力が見られて大熱演。受けるほうは特に大変で体力も使う。明るさや軽妙さや情けなさがよく出てて、女装ぶりは特にキュートだった。
イメージとしては二人を同年代に見せて欲しいのだが、岡田さんのほうがどうしても年下感覚。二人ともコメディ感覚が身体に馴染んでないのか、最初は割とギクシャクした感じ。はちきれんばかりのテンションの高さとか、メリハリの効いた演技やアドリブなど、「あかぺら」役者さんのほうが見応えがありそうだ^^;。

江口のりこの普通感覚の芝居が好みだな。綾田俊樹と斉藤歩は身体を張った芝居に注目。村岡希美は綺麗だけど怖かったw。
お目当ての*pnish*の土屋裕一は黒のスーツで、白い手袋がまた似合うw。出番が少なくて、もう少し人物たちと絡みが欲しい役どころ。

役者一人一人の演技は充分だが、複雑に絡み合い混ざり合うことで、まだパラパラと粗がこぼれて見えるのが残念。気になった点を幾つか。
峯村リエと斉藤さんと岡田さんの台詞の掛け合いでミスが生じアドリブで誤魔化すも、誰がどこまで知ってることになるのか観客は余計に混乱^^;。
観客に笑いの間を与えてから台詞を言って欲しい。tutiの肝心の台詞も、笑いで全然聞こえなかった。
人形を使った演出もいいが、観客に人形の顔を見せては興醒め。
そして何より、最後にノーマンと婚約者を会わせろっ(笑)。たとえ脚本には無くとも、一瞬のカットがあれば、役者の表情も楽しめただろう。

最初はなかなかテンポにノれず、役者の掛け合いにもイライラ。中盤から脚本の力でグイグイと面白さが増して色々と笑った。しかし、肝心のオチのリアクションが地味で、ノーマンへのフォローが無いのは味気ない。
”やり得””逃げ得”と、要領の良い人間の言葉が浮かび、父レイの作品と比べてクールな面を感じた。
それでも「あかぺら」さんの劇でこの作品を観たら、また違った感想をもちそうだ。あかぺらで再演希望。
『ROCK’N JAM MUSICAL II 〜僕達(ぼくら)のHeaven〜』を観てきた。
同タイトルIの再演。Iは観ていないが、時代設定が違うし、新キャストもいるので新鮮に映ると思う。
今回のお目当てはStudio Lifeペア。他にもテニミュ&ブリミュキャストなどが混在し、私には夢のようなコラボレーションである。
ロビーでは物販が賑やか。サイン入台本やTシャツも販売。台本は笠原さんのを買う。
座席が1階の超ド真ん中。すぐ前が通路なので出入りし易くラク。出演者の視線先に中るので、当然ながら舞台にも集中。

謎の病院にゲーム感覚で潜入する若者三人が、謎だらけの医者と看護婦、変人の入院患者らに囲まれながら、ROCKの音楽で”夢”を取り戻していくロックン・ファンタジー。
芝居と音楽ライブとダンスのオリジナル・ミュージカルだが、タイトル通り、ロック音楽にウェイトが置かれたエキサイティングな舞台だ。若手の果敢なチャレンジと共に、寺田恵子やジェームス小野田といったベテランが本格的な音を聴かせる。迫力あるナマのバンドや、セクシーな4人の女性ダンサーが盛り上げる。
まだ2日目なので当初は観客も手探り感。休憩後は客席からも手拍子や拍手が起こり、ロックのパワーに引き寄せられるようにスタンディング。ラストナンバーでは腕を振り上げ、出演者と共に観客もジャンプ。汗ばんだ身体いっぱいにロックを感じ、舞台と客席とが一体化する楽しさで沸いた。

主人公の永山たかしは、先日の『BLEACH』以来なので、鬘じゃなく普通の少年ぶりが新鮮w。歌にダンス(身体柔か〜い)物語を引っ張っていく役どころを大熱演。あらためて爽やかな格好良さに痺れたv。
同じくブリミュの佐藤美貴はキュートな看護婦役で、ルキアの鬘じゃないっw。暗闇でも、よく通る歌声を聞くだけで分る。おデコがキュートで、足がやっぱり細〜い。
患者役で、Takuyaは得意のバック宙やクネクネ踊りで沸かせ、伊達晃二はギター弾き。二人のテニミュネタの掛け合いに笑い、デュエットでジンときた。

Studio Lifeのお二人、初演にも出演した及川健は余裕で、これが初参加の笠原浩夫はダンスの段取りを間違えたりともう一歩^^;。眼鏡の笠原さんは一見キモ男だが、長身の凛々しさは目立つ。得意の多重人格ぶりの演技を見せたり、ピンクのブラで一人芝居と笑いをとる。
及川さんはクネっとした変態風とソフトなオカマ言葉が既に慣れている。ゴスリロドレス姿があまりに似合っててビックリw。小柄な及川さんがTakuyaと踊ったりお姫様抱っこをしたりと、貴重な場面がいっぱい。笠原さんとはやっぱりライフネタで笑わせ、息の合った芝居を披露。
二人とも本職ではない歌の出番はそれ程でもなく。笠原さんの歌はイマイチ不安定だが、及川さんが笠原さんより声量が出ていて、デュエットではきっちりフォロー。音楽でもそれなりに存在感を見せた二人だった。

松岡英明のワイルドで男前な歌、ジェームス小野田のどっしりと力強い歌、寺田恵子の妖艶でパワフルな歌など、まさに本格的で格好良いロックも堪能。
来栖あつこと高橋一平が、物語と同じように、リアルの歌でもどんどん上手くなっていくのが面白い。ラストの生き生きと輝いた表情も良かった。

”夢”をあきらめず去っていく患者たちが、客席通路を通って我々観客のいる現実へ。病院も医者の正体も最後までよく分らず^^;。ただのロック好きだったのか。それとも、ただ春の夜の夢の如しだったのか。
この出演者じたいが私には”夢”のコラボだったし、それなりに満足はしたから須らく良し。

カーテンコールは2回ほど。出演者がステージに揃った後、永山くんによりバンド紹介。アンコールの歌では、手を振り上げてクルクル。寺田さんの「ウーッ!」で腹ガッツン。及ちゃんは前作でも共演した松岡さんと隣同士で笑み。その後、及ちゃんはやっぱり笠原さんのほうへ移動。
最後は全員で手を繋ぐも、寺田さんが「(両隣が)若い男じゃない」とボヤいて(笑)永山くんが慌てて「僕もそんなに若くないですから」(^o^)。繋いだ手を上に挙げて、全員で深々とお辞儀。大きな拍手が沸き上がり、みんなで大きく手を振って終了。
終幕後もアンコールの拍手は鳴り止まず。その時に流れたのが「ただいまから二幕を…」の間違い放送^^;。おいおい、また二幕かい(苦笑)。永山くんらメインが再びステージに登場し、「二幕目はありませんから。二幕目観たい方は夜の部で」と慌てて訂正し、客席からまた笑い。最後までたっぷり楽しませてくれた。

東京公演は31日まで。劇場が近ければ、もう一回観たいところ。神戸公演は2月。

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劇場のすぐ下8階の紀伊國屋書店で、やっと『ジパング』コミックス27巻を買えた。
お目当ては、紀伊國屋各店で実施中の『モーニング』誌の連載漫画家によるイラスト入りブックカバー。
前もって問い合わせと確認を済ませ、ジパングのカバーを1枚獲り置いて貰っていたが、1冊だけ買ったら、ジパのカバーを2枚も頂戴しちゃった。おまけに、持ってきた筒の中に丁寧に入れて頂くサービス。感謝感激です。
カバーのイラストの草加と角松、互いを意識し合いながらの素敵な表情。特にこの草加は格好良いなv。
《RELAX》第12回公演『絹の龍〜シルクドラゴン〜』の2回目を観てきた。
恒例のロビーのポートレートもセピアで飾られ、記念に撮影。
今回は遠方組だけでなく関係者も多かったのかな。ギリギリ到着だったが前方席が取れて一安心。

筋書きやシーンが分ってる二回目観劇では余裕が生まれ、細かい箇所まで目を通せ、布石や伏線となる台詞やシーンをじっくり味わった。
序幕の場面もようやく理解できたりw。あらためて、もの凄く濃い深い台詞が沢山詰ってる作品なのだと、EMIさんに心から感服。

劇場の音響設備も関係するとはいえ、役者たち一人一人の台詞が明確で実に聞きとり易い。芝居の基本は台詞。それ故、観客にいかに聞かせて分らせるかが重要となる。《RELAX》さんの芝居ではそれが毎回しっかりクリアされており、他劇団の芝居と比べてもレベルの高さが伺い知れる。

昨日と比べ、役者さんのテンポや掛け合いが格段に良くなっていた。昨日は暗転の間が長く、暗転も多く感じられたが、今日はスムーズに展開し違和感は無い。
少々グダグダだった若手さんの演技にもキレが見られ、明るさと暗さの場面のメリハリが効く。中堅陣は油が乗って、極上の芝居を見せる。
昨日は何度か小物が落ちる場面でヒヤヒヤしたが、今日は見事に決まり、椿木の花も髪に綺麗に留まる。色々な意味で完璧であった。
観客のほうも昨日よりノリが良く、笑いもそこかしこに起こり、私までノせられ笑む。拍手のタイミングが失われた昨日と違い、今回はラストの語りの後でしっかり拍手が起きて良かった。
劇中劇で仮面をつけた踊り子さん其々がいったい誰なのか、ようやく判別できたw。女性陣は踊りもされるので大変だ。その後の早着替えなどの時間差も妙味。

自由奔放で破天荒な役どころの戸部公爾は、淀みない台詞回しは大変だが、その明るく強烈な存在感には挽き付けられ、やってるご本人もさぞ楽しかろうと思われる。
逆に、内面を押し殺したような飛田展男の役は、難しく複雑で息詰まる存在だが、当のご本人もさぞストレスが溜まるのではないかと思えるw。
EMIさんの本では、いつもお二人を動と静に位置づけたキャストで、ぴったりハマるのは分るが、たまには真逆の役を二人にやらせても面白いかもしれない。ハチャメチャな飛田さんも見てみたいな〜。

ラストのアクションは派手さはないものの、一応の見せどころで、銃を持った飛田さんや、殴られて目を回しそうな飛田さんを拝めて楽しかった(^o^)。
男装の麗人な夏目羽純はよく目立ち、紙をバラまいたり、長い足で蹴りを入れたりと格好良い。戸部さんと羽純さんとの気の合ったテンポのいい掛け合いも好きだ。
牧田光雄と岡田真也の漫才風掛け合いや小芝居も、今回は素直に面白かった。鶴巻健太郎の実直さ、眼鏡っ娘な豊崎久美子の愛らしさ、藤田昌代の妖艶さなど、全員の名前を出すぐらい役者皆が生き生きと個性的だった。

最後は男性が花を持って女性に渡すのだが、羽純さんだけは自分が持って戸部さんへ。戸部さんが場内を走り抜け、真ん中の通路で花をポーンと前席に投げるのだとやっと分った。初日はステージから前方席に投げてたそうなので惜しい〜。
飛田さんと福岡夕香が並び、真ん中に小山瞳がくると、まるで父母娘の家族団欒w。

いつもの《RELAX》とは違い、明るい天然色で畳み込んだ大団円。だが終演後にじわじわと色々なことを反芻させて、やっぱり《RELAX》さん独特のテイストで興味深かった。
モデルとなった歴史上の人物たちについても、私達はあまりに知らない。もっと知りたい、もっと学びたい好奇心にかられた。
いっそのこと手っ取り早く、ドラマかアニメで里見や甘粕をクローズアップして欲しいんだけどね。ドラマではムリなのかな。アニメで仮にやれるなら、その時はぜひ戸部さんや飛田さんを起用して欲しい。飛田さんの甘粕正彦を見たい聞きたい!


終演後は、恒例のロビーでふれあいタイム。
今日は飛田さん仲間もおいでで、おかげさまで殿下こと久保克夫さんや、純こと夏目羽純さんともお話ができた。羽純さん、素も颯爽としててカッコイー。羽純さんには同時代もの作品で『ジパング』を推薦(笑)。歴史上の人物を交えたフィクションとしても、今回の演目とジパとの共通点は多いハズ。
戸部さんとはぴったり接近してのお写真v。4月には客演の舞台も控えてるとか。
飛田さんには『虹色のトロツキー』のことも交えて舞台の感想。飛田さんももちろん漫画をご存知でちょっぴり盛り上がり。今日は『星の鼓動は愛』DVDにサインを頂戴した。ご一緒にお写真までv。昨日にも増して飛田さんへの列が長く、あらためてファンの多さを実感。
皆さま、お疲れのところをありがとうございましたm(__)m。次回公演も楽しみにしています。

その後、飛田さん仲間でお茶。色々とお話ができて有意義だった。ありがとうです。
《RELAX》第12回公演『絹の龍〜シルクドラゴン〜』を観てきた。
約1年ぶりなのかな。ホールへは遠いけど、着くと何故か懐かしい。入口には手作りのタイトル札。
いつもは下手寄りの座席をとるが、今回は前から2番目のやや上手寄り真ん中にしてみた。正解。
入場すると、往年の歌手・李香蘭の可憐な歌が会場を包み、早くも時の間に陥る。

お馴染みEMIさんの新作と演出。
大きな国と小さな国との戦争末期、様々な過去と秘密を持つ二つの国の人達が映画撮影所を舞台に繰り広げる悲喜こもごもの話。
もちろんフィクションだが、前回同様、歴史上の人物たちがモデルになっている。知らなくても分かるけど、歴史を知ってると余計興味深く観れる内容。
私なぞは去年読んだ安彦良和氏の漫画『虹色のトロツキー』が思い出され、期待と緊張が高まる。

当初は明るいコメディとか書いてあって、今までとは全く違う趣の作品なのかと勝手に思っていたが、フタを開けたら、いつも通りの知的で乾いた感触の《RELAX》テイストだった。笑えるシーンも少しあり、泣くというより胸が詰るシーンもあり。
今までの作品と決定的に違っていたのは、これは歴史を覆す大ドンデン返しだということ。そして”死よりも生”だということ。今まで沢山の人達を(台本上で)殺してきたEMIさんにしてみれば画期的ではなかろうか。

ただ、話は相変わらず手強い。沢山の人物が入り混じり、全てに焦点が当てられるので、時に関係性が混乱し分からなくなる。台詞で「あの子」「あの人」がいっぱい出てくるが、いったいどの人を指してるのかすぐに推察できない。途中、劇中劇との重なりが、話をややこしくさせる。
一度見ただけでは展開を追うのに精一杯で、踏み込んでいけない難しさ。それ故いったん分かるとどんどん面白くなりのめり込む。何だか数学と似た感じ。
キーワードも色々あり、台詞一つ一つが実に深い。かの国が直面する問題と照らし合わせるとリアルでもある。

お目当ての飛田展男は、史実では有名な役どころ。史実の人と比べるべくもなく、純粋な魂を持った毅然とした男だが、その胸の内は暗黒の闇に揉まれて複雑だ。表情を崩さずに、内面性を静かに豊かに表現していた飛田さん。クールな立ち振る舞いが続いた後、飛田さんがあの有名な歌を唄ってくれる。それも役と状況に合った歌詞を紡ぐ。驚きと嬉しさが、やがて役の人物の情感に寄り添い、わけの分からぬ胸の激流が込み上げる。飛田さんの歌が感動を呼んだのだ(*^^*)。

座長・戸部公爾は海千山千の胡散臭い男の役なのに、彼が登場する度に場が明るくなり、愛おしく頼もしい存在感。戸部さん、ちょっと肉付きが良くなられたみたいw。今回も、飛田さんと一緒の登場や、飛田さんとの台詞の掛け合いに独特の繋がりの深さを感じてウットリw。

久保克夫はスマートで上品で、いかにもという感じ。白井大介も実直さや真面目さがよく出ていた。
女性陣では、永木貴依子と斎等あんりの豪華絢爛な歌の競演。あの歌もこの歌も、懐かしくて切なく響く。
福岡夕香の包容力と、永木さんの歌唱力がお芝居に癒しを与える。お芝居に花を添えたのは女性陣のしなやかな舞だが、いつも唐突なのでなかなか馴染めず。
小山瞳の役を最初は珍しい〜と思った。今回は大柄な役者さんが多く、瞳さんの小柄ぶりが目立つ。
おぉじのりこと夏目羽純の役柄が一見カブリそう。おぉじさんの迫力はさすが。純さんは文句なく颯爽としていて格好良い。憧れちゃうよ〜v。如月克己の女性版といったところかなw。
岡本嘉子のケレン味たっぷりの語りが物語を盛り上げる。

相変わらず、簡素だけどセンスのある舞台装置で、場面展開が上手い。暗転の多さが少々気になる。小物をうっかり落とす場面が幾つかあり、その度に拾ってアドリブで繋げる役者たち。
若い役者も多く、最初はテンポがいまひとつだったが、徐々に安定してくる。
最後に、麻雀を知らないと分かりづらいこともあったのが惜しい。

終演直後の拍手のタイミングがとれず。花を持って女性たちが登場。戸部さんがまたもや会場を走り抜けるw。
明日また観劇予定。二度目は少し余裕〜。

物販は終演後。包みが凝った脚本と(これで勉強しようっと)去年公演のアレを買う。Tシャツはどうしよ〜と思ってたら、ロビーにそのTシャツを着た役者の皆さん。
戸部さんと飛田さんにご挨拶とお話。戸部さんはお酒が原因らしいw。飛田さんからは『星の鼓動は愛』パスネットにサインを頂戴した。大切にします。皆さん、ありがとうございました。
恵比寿から新宿へ。bpm公演『Quick Draw(クイックドロウ)』楽を観てきた。
前13日夜公演を富野監督が観劇されてたらしい。なるほど、主演の朴路美と日替わりゲストだった福山潤といえば『ターンAガンダム』。その小説の表紙を描いたのは、数時間前に拝んだ萩尾先生だったなぁとムリに繋げながら劇場へw。

作・演出はbpmの浅沼晋太郎で、私は『ゼーガペイン』しか知らない。場内に流れた注意事項や前説まで担当し、劇中では2役をこなす。役者な顔は鈴木千尋にちょい似w。伊藤健太郎と同じように、才能溢れた若手役者さんのようだ。
今回の演目も客演役者が多く、今日のお目当ては円の朴路美と、日替わりゲストでひまわりの宮野真守。
最前列の座席で美味しかったが、”WANTEDシート”の特典にはパンフもあるので、開演前の引換えが望ましい。

プロローグの後、スクリーンからカッコイーOP映像が流れる、ドラマ仕立てのテンポのいい演出。
お話は、ウエスタン漫画「風のマイラ」旅館缶ヅメ現実劇と、ヒロイン・マイラが活躍の西部劇がシンクロする、異色サスペンスコメディ。
ケラさんの演出やあかぺらのコメディが思い出されるが、そんなに凝った難しいものではない。先の展開も予想される、笑いと殺しと銃声がいっぱいの変った世界観。バリエーションある進行とケレン味のある芝居が続き、若い観客にはウケると思う。

西部劇組の役者は、日常とは違う緊張感あるクールな世界で、生き生きとした演技とスピード感あるアクションを披露。マイラ役の朴路美は細くしなやかな肢体で銃を操り、カリスマ性ある姉御ガンマン。ハスキーで力強い声が響く。ビリーの戴寧龍二はひと際大柄で目立つが、映画や特撮よりもうんと若く見えた。
ギャレットやドクら仲間との関わりの中で深まっていく、マイラとビリーの友情とも愛情とも違う関係。現実劇と交互に描かれ進行する二人の間柄だが、インパクトが弱く、ラストに至る説得力も薄い^^;。役を越えた路美さんと戴寧くんとの繋がりも、どことなく余所余所しい感じ。

日替わりゲストは最初と中間だけで出番は少し。『テニミュ』以来に観る宮野真守は、12日も大山さんの代役を務めたが、こなれた演技で溌剌としていた。何よりあの長身と甘いマスク。そして路美さんと対峙した時の息の合った空気感。
いっそビリー役をマモくんにしていたら、マイラとの親密な関係をもっと表現出来ていたのではなかろうかとも思う。でも13日の潤潤にはまだムリだったかな。

現代劇組の三人は演技が達者。いや上手く出来過ぎなのが逆に嫌味^^;。キャラが強烈過ぎて、傲慢な面ばかり突出し可愛さが足りない。苦手なタイプばかりがギャーギャー捲し立てる雰囲気で、馴染めず入り込めず。台詞だけで説明する手法もイマイチ。

現代劇と西部劇どちらも強調し過ぎて、肝心の作品の趣旨が伝わってこない^^;。この二つの劇でいったい何を見せたかったのか。漫画家の仕事の大変さ?マイラの激動の生涯? 2人の高慢な女を描いたとはいえ、ビリーと若村は全く重ならないw。ジェーンと女将は良きライバルな位置か?
”命”をとるか、”プライド”をとるか。両方ともとる第3の道を選んだマイラだが、芝居のほうでも両方を取ってしまい、あれこれ詰め込んだ曖昧模糊な作風となったようだ。
確かに面白いおもちゃ箱な作品で、演じ手も楽しいだろうが、終ってみると観客の心には薄っぺらい”面白さ”だけしか残らない。芝居には”弱さ”と”深味”、そして”観客”の目が必要なのも忘れないで頂きたい。

個性的で格好良いキャラも詰め込み過ぎたが、一番笑えたのが”最強軍団”のネーミング裏話(笑)。イトケンさんの劇でもネーミングに凝った話があったっけ。
軍団がズラっと出揃ったのも可笑しくて、現代劇は要らんから、西部劇の話だけを観たかった。それには聖ナツオの漫画が必要か。彼女があの漫画を描いたいきさつも知りたかったぞ。シート特典の中では、劇のイメージが沸いた12ページ漫画が一番良かった。

楽とあってカーテンコールは3回かもっと。浅沼さんの司会で、客演の役者紹介や役者挨拶などで10分間。路美さんは会場からのカワイーに「分ってる」と笑み。主演としての挨拶の言葉もなく、カワイイポーズのみ。戴寧くんから「それ古いから」と言われw。戴寧くんが代わってしっかり挨拶、ファンの黄色い声援と垂れ幕に嬉しそうな笑い。マモくんは劇中でも最後でも『DEATH NOTE』の宣伝。それこそ分ってるってw。路美さん&マモくん2人で、何故か足伸ばしポーズがあったり、抱きついていたり。
幕が下りるまで、路美さんらや浅沼さんが身体を屈めて手を振っていた。現場の楽しさぶりがよく分った。お疲れ様でした。
ミュージカル『エア・ギア(AIR GEAR)』を観てきた。
『エア・ギア』初の舞台化で、公演2日目のホヤホヤ劇である。

馴染みの劇場に入ると、そこには舞台上から客席の間にぐるりと滑走通路が作られている。通路の面には、沢山のスケートのタイヤ(ウィール)の跡がくっきり。
最前列端の座席だったが、張り出し舞台になってて見易い。座席には”注意事項”の紙が置いてある。未だかつて観たことのない芝居がここで繰り広げられる予感に騒いだ。

『エア・ギア』の原作は読んだことがなく、アニメだけの知識しかない。
今作は、主人公イッキのチーム「小烏丸」と、東中の影の演劇部チーム「バッカス」との、エア・トレック(A・T)による熾烈なバトルを描いた話。メンバーの紹介も兼ねたオリジナル・ストーリーのようで、アニメを見てない人でも楽しめる構成。

『エア・ギア』に出てくる「エア・トレック(A・T)」を舞台で表現する為に用いたのがインラインスケート。普通の芝居、ダンス、歌唱、アクションという要素に、新たにスケートが加わり、新鮮で珍しい舞台が作られている。
スケーティングしながら、芝居をし、踊り、歌い、激しいアクションをするのがどんなに大変なことか。スケート靴を履いたまま、パンチやキック、殴られたり倒れる動作、受け止めたり交わす動作の何と難しいことか。怪我もなく、見事にやってのける役者たちをひたすら感心して見入る。
役者たちが滑走路をぐるりとスケーティングする姿を、後ろを振り返り見守りながら湧き上がる爽快感。。舞台上の小山から颯爽と降りてきて、観客の手前でブレーキをかけて止まる時のドキドキとした緊張感。
今、この劇場でしか体感できない、若々しい空気が動いて、変革の風が吹いた。

プロスケーターによるインラインスケートのレッスンは凄まじかったようだ。最初は、スケート経験者を対象にキャスティングしたのかと思ってたが、実は役者の殆どが未経験者。それをたった3〜4ヶ月の稽古で、「ウォーク」から「アクション」まで高めないといけないのだ。其々の練習の積み重ねと全員一丸の粘りが必要で、そこから役者たちの”絆”が出来上がったそうだ。彼らの”絆”の深さは舞台で確かめられる。

イッキとカズが登場した時点で、あ、アニメと声が同じだ〜と、ミュージカル『HUNTER×HUNTER』を最初に観た時を思い出した。
イッキ役の鎌苅健太は、よく奮闘し頑張っていた。真剣で真面目な姿勢は好感が持てるし、空への憧れも上手く表現している。正直、ここまでやれるとは思ってなかったw。途中で『プリ・プリD』の実琴のノリが出たり、アキトの眼帯がずれちゃったトコは愛嬌。
カズ役のKENNは、もうね可愛い格好良くてたまらん!(*^^*) あの帽子もフードも似合ってるよ〜。そのまんまの格好で、実写版『太陽の黙示録』にも出て欲しいくらい(笑)。芝居や歌も冴えてたが、スケーティングのサマが一番格好良かった。殺陣では何度も殴られ何度も舞台に倒れるが、それがたいがい上手側で、じっくりとKENNの顔を拝んでしまった。開いた唇が色っぽい、白い歯もキュート、汗はあまり掻いてないとか、帽子に膨らみがある、お尻のトコはゴム製とか色々^^;。そして、去年まで感じなかった”男”のフェロモンをむんむんと感じ、KENNの確かな成長にずっと見惚れていたvv。

オニギリ役の加治将樹は、アニメよりうんとうんと格好良くて、愛嬌たっぷりな三枚目を通す演技派。
勝矢は、それだけでリアル・ブッチャ。アニメの声(上別府仁資)とも似ていてビックリ。顔を引きつらせて怒る顔や動作もアニメとそっくりで、頼もしく逞しい存在感。
アキト・アギト役の永嶋柊吾は、我が子のような可愛さ。まだまだ未熟な成長株だが、皆に負けじと頑張るスケーティング。声変わりはまだなのかな。

スピット・ファイア役はアニメと同じ津田健次郎。オレンジ色の髪に長いコートと凛々しい姿。いい声がよく通り、ただ一人、舞台経験豊かな”大人”の演技で締める。津田くんの舞台は何度か見たがミュージカルは初めて。歌唱力もさすがで、特にケンケンとはいいハーモニーを聴かせた。スケーティングは少しだけw。立ち去る場面でコケたり、早口言葉でコケたりと、アドリブなんだかマジなんだかの場面も多し(笑)。

敵側「バッカス」チームのスケート技もスゴイ。シェイクスピア作品の名前だから覚え易いし、其々個性が出てるのもいい。”パック”だけ作品名じゃないと言われたり、森の奥に彷徨わせたりと、作品を知ってるとより楽しめそうな趣向。
コロスのメンバーが一番スケートが上手く、場面場面で盛り上げながら、時に目立ったり叩かれたりw。
特にその中の二人が、スケーティングしながら宙返りとやけに凄すぎるアクロバットだなと思ってたら、彼ら二人が役者に指導もしたプロスケーターだったのね。こんな間近でプロスケーターらの滑りが見られるとは贅沢なことだ。

ダンスやアクションはいいとして、芝居や歌はまだまだ課題がいっぱい。歌も声がまだ出ていない。特に「バッカス」チームの歌は、声が全然聞こえなくて、最初はマイクの調子が悪いのかと思った^^;。もっともっと歌も稽古したほうがいい。全員で歌うメインテーマ曲はいい歌だったので、劇場いっぱいに響き渡らせて欲しい。客席からも手拍子が出たが、ちょっとリズムが取りにくかった。

とにかく先ずは始めの一歩、スケーティングへ踏み出した。更にまた一歩、青い「空」へ向って、キャスト全員が「チーム・エアミュ」として着実に歩み進んでいって欲しい。
21日まで駆け抜ける彼らだが、怪我のないように無事に楽を迎えて欲しい。続編があったら、また観に行きたい。

物販のパンフ、テニミュと張るのはいいが、最初なんだから値段を下げるべし。生写真はKENNのみ。11人セット購入特典ポスターに、9日からはサイン付き。6人セットがあれば買っていた。

それにしても、石田さんを拝んだ翌日に、『遊戯王GX』や『ガラ艦』で石田さんとも関わりがあるKENNや津田健を拝むことになるとは、妙な因縁の2日間だった(^^)。
ミュージカル『テニスの王子様 Absolute King立海 feat.六角〜First Service』前楽を観てきた。

観る前になってタイトルに気づく。
”First Service”ってことは、”Second”も、もしかしてその後もあるってことね^^;。

前作から登場の青学メンバーにまだ馴染めないが、前よりも声がよく出ていた。歌は不二周助役の相葉弘樹が中心で団結。
今回は手塚が試合に出ないので、南圭介の存在がちと薄い。
練習試合での越前リョーマのパワフル度が目立つが、桜田通が溌剌として頑張っていた。だけど、桜田くんの声ってあんなに高くて可愛かったかな。もう少し声にも凄みが欲しいけど。
大石&菊丸ペアの団結力がが久々にクローズアップ。大石役の滝口幸広が男前な顔立ちで人気。桃城&海堂ペアもフレッシュ。海堂役の柳下大は新メンバーで初舞台だからか、トレーニングの走り込みで体力気力を試されているかのようw。
青学一年トリオは早くも息ピッタリだ。

アニメでの王者・立海大付属メンバーを半分ほど忘れていた^^;。
其々に個性はあるが、表現がまだバラバラで統一感がなく、歌のインパクトが弱い。演技がド素人というか、わざとらしくバタ臭くて、流れにしっくり乗れず、観てるほうは苦笑ばかり^^;。
ラケットを振ってないのに、照明のボールが着地するシーンがあったような気がした^^;。見間違いか?
真田と幸村のラブラブ度が高かったw。兼崎健太郎と八神蓮の歌にもう少し艶っぽさがあれば。
大河元気の切原赤也は雰囲気はあるが、もっとひねくれた刺々しいものが欲しい。森久保祥太郎の声のイメージが強くて困るw。
ジャッカル&丸井はビジュアル的に目立ってた。ジャッカルの頭はホントのハゲっぽく見える。
柳生&仁王ペアの入れ替わりのトリックが…複雑^^;。ジャッカルが鬘被ってるし。眼鏡紳士の「レーザー」ポーズは格好良いわ。

微妙なバランスの中、六角チームが癒しと引き締めの効果を出してくれて、ホントに有り難い。
この6人はやっぱりチームワークが良いな。何をやらしても頼もしくて面白い。唐突な”あさり”拾いに面食らったが、ダビデが2階席からダジャレで、バネさんがオイルだし、とっても和気藹々。前回は試合がなかった木更津亮がツッコミ役かい。
坊主頭の川原一馬が、葵剣太郎の役どころそのまま、皆をまとめてる感じ。

正味2時間だけなんだから、できれば休憩無しぶっ通しでやって欲しかった。結局シングルスは次回へ持ち越し。氷帝の時みたいに、試合そのものに面白さを持たせて欲しい。
立海戦は実は記憶があやふやなので、もう一度降り返ってみなくては。
テニミュはやっぱり1回観ただけじゃダメだと痛感^^;。展開についていくのがやっとで、新しい歌にも馴染めないし、台詞もすぐ頭から抜けてしまう。
問題はチケット次第。ますます取り難くなっているので大変。

 ̄ ̄ ̄
《Merry Christmas&Happy New Year》
こんな写真付きポストカードが、先週、次々に届いた。

堀内賢雄さんからは、25周年イベント時の写真。来年4月29日にケンユウオフィス5周年記念公演。
小杉十郎太さんからは、ライブ時の写真。賢雄さんの後から届くのも面白い。来年4月29日に4thライブ。って、賢雄さんと同じ日じゃん!(~_~)
大口兼悟さんからも、浴衣姿で男前の写真。今回も封書で。写真集は買わないけど。

皆さまいつもありがとうございますm(__)m。お心遣いが嬉しいです。
Studio Life公演『銀のキス -THE Silver Kiss-』Anima(アニマ)チームを観てきた。
夜の部はやっぱキツイ。22時以降終了だと、地下の店もぜーんぶ閉っちゃってシンミリ。

昨日観たばかりなので、筋書きは頭に入ってるから楽ちん。今日は観易い前方席なので、かなり集中できた。昨日は途中ちょっとウトウトしていたようで^^;、目新しいシーンや台詞も発見したり。おかげで、トランクの中味とぬいぐるみの中味が同じなのだとも分った。

萩尾望都の『ポーの一族』でもそうだが、吸血鬼ものでは、彼らが生き続けてきた歴史背景も重要となってくる。この話では、英蘭戦争時の貿易商の隆盛により、イギリスに吸血鬼が棲む経過が描かれている。そして、実際に起きた「切り裂きジャック事件」と絡ませてあるところが巧妙。つまりあの残虐な事件も、実はクリストファーら吸血鬼の仕業だったという設定だ。
最近も英国では「切り裂きジャック」もどきの事件が現実に勃発しているが、犯人の正体が分らないだけに、もしやという疑惑と恐ろしさは潜みそう。
そんな非日常と普通の日常の危うい境目に、確かに「死」は介在している。重病の母の「死」が近くにあり、周りに惨殺事件の「死」が漂う中、「死」を迎えられない吸血鬼との出会いと別れを少女ゾーイは経験する。

舟見和利のゾーイは、繊細で上品だが芯が強くて、思ってたよりいい出来だった。前髪を垂らしたのも可憐。サイモン役の曽世さんと並んだ時、身長差が出ないのがちょっと不服かな^^;。
サイモン役の曽世海児は、危うさの中に逞しさと強さが感じられる。軽快なアクションとこなれた演技も安定。
クリストファーも違いがあり、深山洋貴はねちっこいズル賢さ、荒木健太朗のは陰湿な小賢しさといったところか。やや大柄の荒木くんは子供にはとても見えないが、曽世さんとの取っ組み合いは迫力いっぱい。
外見や体格の違いで、Vitaチームより、Animaチームの三人は年齢設定が上に見えそうだ。

死を目前にした時、人は、母は、愛娘にはたして何と告げたらいいのだろうか。「なぜ自分がと実はちょっぴり怒ってるのよ」「実感がわかないのよ。存在しなくなるってことが」「今のこんな私ではなく、楽しかった時のことを思い出して欲しいのよ」
母アン役の林勇輔の慈しみと情愛あふれる凛とした演技に、またしてもやられてしまい涙した(;_;)。一つ一つの言葉が真実を伴って心に染み込んでいく。かつて、こんなに真正面から「死」と向き合った言葉があっただろうか。私がアンだったら、こういう言葉を娘に残せるだろうか。

300年以上も長く生き続けてきた吸血鬼でさえ、「死」を目前にした時は「怖い」と言った。だが呪われた運命に決着をつけねばならない。吸血鬼は死ぬと塵や霧となってしまうのが切ない。光の中に溶け込むサイモン。山本さんは滑らかな肢体で表現したが、曽世さんは両腕を大きく広げて体現し、まるで翼を広げた天使のようだった。
ゾーイの深呼吸に脈々と打つ「生」の喜び。朝日を思いっきり浴びたような、気持ちが高まる余韻に包まれた。


終演後トークショー。会場の拍手の後、全員がステージに残ったままでトークがスタート。今日の司会は、スカーフをしたアン役の林勇輔。アシスタントは、ハリーの高根研一と、今日はマークをやってた山本芳樹(すぐに気づかなかった^^;)。
ついでに、使用された質問用紙は質問された本人が持ち帰りルールらしい。

☆ジュリア役三上俊さん
女性役について。いつも倉田さんから醜いと言われるので^^;、足音を立てないようつま先で歩くとか気にかけて努力している。
☆藤原啓児さん&船戸慎士さん
酔っ払いの二人の人物設定について。名前はボブ&グレッグ。普通のサラリーマン。バーでイイ気分になってる。稽古では映画ネタやビバヒルネタも考えていたが、本番でボツ^^;。
☆大沼亮吉さん
サイモンに飛ばされる役をやってたとか(分らなかった^^;)。苦労しかない、摩擦で熱い。本番の一日二日前しか稽古できない。
それについて、曽世さんが我慢できずに口を挟み、林さんに喋り出したと言われ、慌てて自分で口チャック(笑)。
☆サイモン役曽世海児さん
光の中に消えていくシーンの時の心情。自分が霧になって溶けていく…と信じてる。指先のほうからジュクジュク、溶ける溶けると(笑)。
☆キュートな石飛幸治さん
衣装選びの苦労話。今回は衣装費の3分の2が過去にいってしまったので、一人何百円というのもある。昔の漫画を読むとイメージわく。300年前の衣装を着けた役者が前に勢揃い。世界観を作りますねと林さん。

今後もこういった形のトークショーなのかな。そろそろネタもつきた感なので、トーク日の観劇も止めていいかな。

Studio Life次回公演は『DAISY PULLS IT OFF』。2003年の再演かな。お話は軽妙で面白かったが、男優殆どが女装して女子学生の役だった。格好良さは望めんか^^;。
Studio Life公演『銀のキス -THE Silver Kiss-』Vita(ヴィータ)チームを観てきた。
久しぶりのシアター1010はやはり遠いが、劇場内はどこからでも観易い。

孤独な運命の美しき吸血鬼の青年と人間の少女との淡くせつない恋物語。
『DRACULA』『ヴァンパイア・レジェンド』に続く、Studio Lifeの「血の伝説シリーズ」第3弾公演となるが、前2作とは何もかもガラリと変る。
時代設定は現代アメリカが舞台。吸血鬼の青年も好んで血を吸うのではなく、愛しい少女の血は決して吸わないナイーブさを持つ。普通の恋愛ものに”吸血鬼”という要素が複雑に絡み合い、その妙味を楽しむといった趣向。
そして前2作がアダルトな雰囲気だったのと比べ、今作は主人公の少女が16歳という設定もあり、”子供の成長”もテーマに据えた児童文学的要素が感じられる。

原作は知らないので、前半は少女ゾーイがいかに孤独な状況にいるかを淡々と描いていて、観続けるのが退屈だった。吸血鬼サイモンとゾーイが出会い、お互いに惹かれあうが、それが劇的とは感じられない。その間に、彼らの周りで残虐な”血”の事件が起こるが、あまり真に迫ってこない。

2幕目から、サイモンが吸血鬼になる前のことや家族のことがようやく語られ、彼の心情が理解できる。サイモンの母を殺した敵が誰だったのかも分る。だが300年もの長い年月を生きてきたという感触がいまひとつ伝わってこない。同じく、哀しい家族を持つゾーイを健気だとは思うが、同情にまで至らない。

ヤマ場になり、ようやく見応えのあるシーンが幾つか出てきた。
サイモンがゾーイの助けを借りて、兄クリストファーを討つ場面。サイモン役の山本芳樹が軽やかにしなやかに肢体を動かし、クリストファー役の深山洋貴が小柄な身体を熱く交わして対する。二人のぶつかり合いは舞いのようでもあり、ハラハラとした緊迫感で夢中になる。
その後のサイモンとゾーイのラブシーン。何度か出てきたが、山本さんがゾーイ役の松本慎也を抱く時は、本当に愛しいと思う感情が溢れている。可憐なゾーイの首筋に触れるサイモンの唇、それは確かに銀のように鋭敏だろうが、二人の抱擁には温かさが感じられる。
朝日の中で消え逝くラストシーンの演出はお見事。倉田氏はここをぜひ舞台化したいが為に、脚本を書かれたのではなかろうかと思うぐらい、渾身の出来だった。山本さんの柔らかな肢体が踊るように滑らかに動くのも絶品。ライトと音楽も相まって、この上もなき幻想的で優しく幸福なシーンとなっていた。

重い病で闘病中の母アンが、ベッドの中でゾーイに語ったシーンも圧巻だ。明日をも知れないからこそ、娘をどこまでも気遣い、心配させないようにと願う思い。それでも、あれをしたかった、こんなふうに生きたかったと静かに微笑む母。林勇輔がスキンヘッドで驚いたが、包容力のある豊かな演技を貫き、切なさに涙が滲んだ(;_;)。

若い二人の孤独と魂の触れ合い、そして成長と別れに目がいきがちだが、二人の家族の物語でもあったのだと思う。
同時に、永遠に生きねばならない運命をもった吸血鬼と、生きたくても生きられない運命をもつ人間とを対比させたドラマ。でも残された人間は、そんな彼らの思いを胸に抱いて、また前向きに生きていける生き物なのだと思いたい。
「自殺」とか「殺人」とか絶えない世の中だが、若い人たちにこそ観て欲しい舞台なのかもしれない。

明日はAnima(アニマ)チームを観劇。メイン三人が変り、どんなテイストに仕上がってるか楽しみだ。


終演後トークショー。会場の拍手の後、全員がステージに残ったままでトークがスタート。司会は、明日はサイモンで今日はスティーブをやっていた(ってダレだっけ?)曽世海児。
前もって観客から質問用紙で募集したが、曽世さんが回収BOXから1枚ずつ読み上げる新方式。

☆フォン・グラブ役前田倫良さん
ずっと時代劇だったが、この役はそれよりもっと古い時代。洋服着ても、侍の魂を捨てるなと言われた。グラブなりの美学で色んなものを背負って暴れてる。
☆ロレイン役関戸博一さん
美脚ナンバー1。湯船に浸かったり、ジョギングしたりとステキなケアをされてる。しかし、足だけ綺麗と言われ、上と下との対比が面白いとか(笑)。
☆ピーター役河内喜一朗さん
選曲は、新宿HMVやタワーレコードで1日かける。好きなことなので楽しい。今回は「レディ・ウォーター」がお気に入り。
☆ゾーイ役松本慎也さん
ロレイン転校後、三人のうち誰と仲良くなれそうかで、結局はモーガンとか。これから彼女がどう生きるかは心の内にある。
☆エドワード役寺岡哲さん
サイモンと二人だけの生活は、父として臆病になり息子に踏み込んでいけなかったのではないか。金と幸せ、どちらの人生?
☆ハリー役高根研一さん
2人のゾーイの違いは?と訊かれ、全部。本当の娘にするなら?と訊かれ、みんな男だし。にべもない^^;。
☆サイモン役山本芳樹さん
もし吸血鬼になったら、劇団の誰の血を吸いたいか?で、やっぱり松本慎也じゃんと。吸い慣れてるから。仲間にすればいい。

明日のトークショーもこんな感じか。楽しみにしていよう。
ミュージカル『マリー・アントワネット』を観てきた。
マリー・アントワネット生誕250周年記念。11月からスタートした新作で、休憩含め約4時間の大作。

遠藤周作の原作は知らないが、栗山民也の強烈な演出で、ミュージカルに”革新”の風をもたらしたようだ。
タイトルの王妃の生涯というより、”マリー・アントワネット”という”悪の嵐”に巻き込まれ、翻弄され、立ち向かって行った者たちを描いていく。
”正義”と”自由”をテーマに、思った以上に重苦しく肉厚なドラマが展開し、現代も抱える”膿”を浮き彫りにして、色々と考えさせられた。憎しみと怒号と血と殺戮の果ての”革命”は果たして”愛”を生み出したのか。人々の叫びの歌が劇場を駆け巡る。いや、”革命”さえも誰かが仕組んだ企みか。フランスに”革命”が生まれたのも必然、これも歴史による”戦略”だったのかと思わせる。

ACT1の主役は、同じ”M.A”のイニシャルを持つマルグリット・アルノーだ。アントワネットに激しい怒りと憎しみを募らせ、膨大なエネルギーで突き進む強く賢い女性。Wキャストの新妻聖子は舞台『NARUTO』以来だが、今回は強烈な汚れ役。可憐な顔立ちで力強く歌いあげ、観客の心まで引っ張り釘付けにして圧巻。

中盤までのアントワネットは、高慢で強欲、フェルゼンの忠告にも耳を貸さない頭の軽い浅はかな女として、とことん憎たらしく描かれる。漫画や小説のイメージともかなり違ってて落胆。あどけない表情の涼風真世も王妃の器に見えない^^;。ふわりと豪勢なドレスばかりで見とれるが、たまに王妃らしからぬ衣装もあったり^^;。
しかし革命勃発後の凋落の中、ぼろぼろのドレス姿で一人の女性が見せる哀しみと嘆きを、涼風さんは深味のある演技で表現。長い髪を垂らし、毅然と顔をあげる姿は凄みさえある。

フェルゼン役の井上芳雄は凛々しいが、涼風さんとの絡みや歌は年齢的にどうしても姉弟に見えてしまう^^;。涼風さんはルイ16世役の石川禅とのデュエットのほうがよく似合う。石川さんも、ロアン大司教の林アキラも、『ベルばら』キャラのイメージそっくりw。オルレアン公の高嶋政宏は、女装して先導してた女声が可笑しかった。
錬金術師カリオストロの位置づけがよく分らなかった。異次元から革命を操り、常に俯瞰する存在。感情が見えないだけに、山口祐一郎の壮大な歌声もどこか夢心地。当初は語り部かと思いきや違うらしい。

本当の語り部だったのは、山路和弘演じる劇作家ボーマルシェ。動かし易いキャラなのだろう。首飾り事件を軽妙に説明してからは、あちらこちらに顔を出し唄い踊る狂言回し。ついには革命党員として赤いとんがり帽子を被り出す。その飄々とした姿が可愛いっv。いつも一段低い階段に座ったり寝転んだりと自由自在。途中でホントに休憩なのか、指揮者相手に「演出家に喋るなと言われて…」とか「喋ってばかりで唄わせてくれない…」と言い出す。そのくせ、よく響く低音でいっぱい唄っていたじゃんか(笑)。唯一笑いが取れるユニークな存在感で楽しかった。

マルグリットと対比で描かれるアニエスは、耐えて明日を信じ、人を慈しんで生きよという女性。土居裕子が美しいハーモニーで癒す。特に「流れ星のかなた♪」では、新妻さんの炎を土居さんの水の歌声が包む形で、心に染み渡り涙ぐんだ(;_;)。
今作品は、座りながらや寝ながら唄うシーンも多く(さぞ唄い難いだろうと思う)リプライズも多くて、ナンバーの数々が印象深く感じられた。

フェルゼンや子供たちとの真実の愛と壮絶な別れを見せたアントワネット。人間アントワネットを目の当たりにしたマルグリットは、過去の柵から少しずつ目覚める。革命の矛盾と疑惑にも気付く。抱き起こし手を取ったマルグリットに、アントワネットがひと言「ありがとう」と交わしたシーンにも何故か涙(;_;)。
アントワネットを抹殺した後にいったい何が残ったのか。やっと掴んだ自由だから、人の愛を感じられるのか。互いに思いやる愛が自由を生むのか。
「自由♪」を叫ぶ群集たちの熱気と歌声が、現代にも繋がる痛みを貫いて、空しい怒りにも聞こえた。

ギロチンの刃を模したような冷たく青々とした舞台装置。照明や旗が真っ赤な血で埋め尽くす中、白い衣装の白髪女性が断頭台に横たわる。これも”自由””平等””博愛”の国旗を表現したものだろうか。
『ベルばら』ではお決まりの台詞やシーンが見られず、キャラ造詣に幾つか不満。たまにブツ切れの展開もあり、脚本や構成にもうひと工夫欲しい。来年4月5月の公演で改善されてるだろうか。
劇団たいしゅう小説家 第11回公演『無敵な男達』を観てきた。
Studio Life&仮面ライダー&大阪スクエアというイケメン俳優のコラボ劇。
中でもお目当ては岩崎大。久しぶりに普通の男の子の役で、何たって主人公。

新宿2丁目のホストクラブに集められたイケメン5人(&ノンイケメン1人)。 見た目と違い、コンプレックスを抱える恋愛下手な彼らが、徐々に真実の顔を見せながら、コンプレックスを逆手にとって前向きに生きていくハートフル・コメディ。

OP映像はパンフの写真と同じかい。冒頭でイケメン5人がポーズを作るが、スーツ姿は格好良くてセクシーv。足も細〜い。
その時は面子を判別できなかったが(村上さんと篠田さんは髪型が似てるし)、ソファに座った時からライフとライダーに分れてくれ、徐々に其々の性格と裏の顔が見えてきたりと、すっと溶け込める分り易さ。
大くんがドラキュラ風に登場したり、ライダーチームが「何から女性を守るんですかね」「ショッカー」なんて会話が出たりと、ファンには笑いのサービスてんこもり。
しかし、年長の荻野崇のオヤジギャグは、逆にネラってなかったのか、あまりウケなかったな^^;。

岩崎大のユキヒコは、女とヤることしか考えてないエロだけど、騙されてる女を見捨てておけない優しいヤツ。大くんがのびのびと豊かに演じて可愛いっv。「ドーム」な巨乳に鼻血吹いて、ティッシュ詰めたまま喋り、鼻息で吹いたりする小ネタもコミカルにこなす。最後は仲間を引っ張る頼もしさも見せて、また一つ成長が感じられて満足。
村上幸平はラストの格好と言葉遣いに面食らうw。北条隆博は初々しさから爽やかさへと可愛く変貌。萩野崇は一番多面的な役どころだったかな。逞しく野性味溢れる肢体で、飛んだり跳ねたりと活発だが、オヤジギャグなマヌケ面も見せて、だけど一番純情だったり。複雑な遼役を、あくまで明るく開放的に演じ存在感たっぷりだった。
篠田仁志は役的に出番が少なかったのが残念。最後は聞かせてくれるけど。

女性陣では何といっても小林愛の二役! 着替えも大変だろうが、男どもを手玉にとり、颯爽と演じ分けてお見事。エピローグでは二役がネタになってたしw。
マスターの上田一軒も化けも化けたり、達者な演技力である意味二役三役。

物語のキーマンはやはり牧人だろう。イケメンとはほど遠いからこそ、沢山のコンプレックスをコンプレックスとは思わない。自然体で飄々と生きる彼は、誰よりも女性の本質を見極められ、素直に告白出来るしなやかさを持っていた。自己紹介、兎ミミ、笑顔を武器に、話を引っ掻き回しながらも真実を突いていた。彼こそ、根っからの”無敵な男”なのかもしれない。豊かに演じきった奈須崇の素が、意外とハンサムだったのにもビックリ(笑)。

それにしても、イケメン達のあまりに単純に作り込まれた表と裏のギャップは、新鮮味が薄くて面白さも半減。借金や兄弟の設定も後付けな感がある。女性客と結ばれる結末も、出来すぎ纏まり過ぎで物足りない。
これだけの個性がぶつかるのだから、展開次第でもう少し楽しい話になったように思う。これは新メンバーを加えるなりして、続編なぞにも期待したい。

平日昼とはいえ、客席後方はガラガラ。平日夜にトークショーがあったのも知らなかったが、座席を埋める為の救済措置だろうかと勘ぐったり^^;。
木山事務所公演『人形の夢ひとの夢』を観てきた。
お目当ては客演の平田広明さん。小松幹夫氏の新作を、劇団昴の『夏の夜の夢』演出でお馴染みの三輪えり花氏が初和物演出に挑む。

人形芝居に絡む男女の情愛や情熱を描きながら、現代の社会状況への風刺も盛り込んだ、木山事務所さんの異色作。
明治時代の土佐が舞台なので、当時の背景を前もって理解してないとなかなか手強く難しい題材。明治の欽定憲法制定や選挙権や言論の弾圧など、この芝居であらためて認識させられたものばかり。
しかし土佐の青年たちは、自分達の声を人形たちに託して広く表現しようと情熱を傾ける。彼らのほとばしる夢と熱気。未熟ながらも、まだまだ血の気が多く活気付いていた日本人。そんな時代へのノスタルジーと憧憬が感じられる興味深い作品だった。

平田広明さんの役は東京の新聞記者で、土佐の”人形芝居”座の出戻り青年の巳之吉。話す言葉も嘘か真実なのか分らない、飄々とした胡散臭さと抜け目のなさだが、人間味溢れた魅力を持つ。土佐の女と、東京の女、そして座員の女と、女性にはめっぽうモテるw。
衣装は英国紳士風スーツと長めのコート、帽子(海賊帽にも見える)とブーツ(『夏の夜の夢』で履いてたのと同じか?)。髭をたくわえ、悪びれもせずノコノコと姿を現す。頭を下げて潔いのか、小銭の代わりに口で「チャリン」と調子が良いのか、真剣に向き合う女性には母性本能を擽らせたりと、巳之吉はフシギな魅力を持つ男。ぶっちゃけ、明治土佐版《ジャック・スパロウ》って感じ(笑)。

スーツを一枚一枚脱いで、次に登場した平田さんは黒子の格好。ヤマ場に転じる前に全員が夢語りの場を用意され、各々が夢を語っていく。黒子姿で顔を隠した平田さんは、女の人形を手に「夢はまだ言えない」と高めの女性声で柔らかに語り引っ込む。果たして、これは巳之吉の夢のことか、それともご自分の夢のことなのか。真実が闇に隠されたまま、平田さんに煙に巻かれた思い。

巳之吉が”たすき”がけの黒子の衣装で、「幕引きの金太」を操って前口上を述べるシーンが見どころ。”金太”が村田巡査そっくりの顔で吹き出すw。その”金太”が堂々と警察官の横暴をからかい、お客を沸かせるからたまらない。人形を操りながら台詞を喋るのは難しいだろうが、平田さんは流暢にこなして笑わせる。
我々観客も”金太”を見ながら、このシーンに喝采と共感を覚える。憤怒した巡査に追いかけられながらも逃げ回る巳之吉が痛快だ。人形芝居の舞台がクルクル回る装置も面白い。

だが唐突に、その後の高知の自由民権運動が役者達の台詞だけでつらつらと語られ、それまでの爽快感が急に興醒めともなる。スローモーションな動きとライト効果には注目するが、説明台詞だけではあまりにあっけない。ともあれ、青年達の夢は一歩ずつ叶っていくようだ。江戸時代も明治も、高知土佐の先駆的熱情は変らないということか。
トンズラこいた巳之吉や芝居仲間が、ラストに登場しなかったのも残念。残った卯之助に全てを語らせるのみで終わり、小骨が喉に突き刺さった感じだ。進んで世を引っ張る者達は別の夢を求めていくのか。世の中を静観し、流れに任せて生きる者達は、さながら”語り部”のように暮していくのか。

「夢を見てたのさ♪」などの素朴で活気ある歌を、青年たちが楽しそうに力強く唄っている。
ひとの夢が、まだ青々とした自由で豊かだった時代。人形たちも幸せだった時代の物語であった。

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本日から『プリズン・ブレイク』後半レンタルスタート。
しかし、時間も余裕も無い私はレンタル屋へも行けず^^;。
代わりに、『24-TWENTY FOUR-シーズンV』『プリズン・ブレイク』DVD発売記念のバス共通カードを買ってきた。2枚一組で2千円。絵柄はジャックとマイケルv。もちろん喋らないが、密かに小山力也と東地宏樹を想像w。そういやこの二人の共演作って意外と少ないかも。これからはバスに乗る度に、いつでもウェント@マイケルと一緒ね(笑)。
ヘロヘロQカンパニー公演『SYU-RA 煉 -生キルカ死ヌカ-』を観てきた。
ウチの近くから吉祥寺駅行きのバスが出てるのを今頃知り、利用してみる。交通費的には安いが、とにかく時間がかかった^^;。来年からはどうしよ〜。駅から徒歩15分位の前進座劇場。劇場前もロビーも物販も賑やか。

花道の隣でこんなにも観易い座席になるとは、後にも先にも今日ぐらい(^^)。おかげで舞台に集中することができ、休憩無しの約2時間30分、飽きることなくトイレのことも忘れた。
前作『SYU-RA』の続編だが、新作に近い。座長の関智一、長沢美樹、小西克幸、そして横山望らの仕留め屋が、小田原潘で厳しくも切ない辛い仕事を全うする話。

広く深みのあるステージに大きな回り舞台、花道も大いに利用され、まさに時代劇に相応しい舞台。こりゃ来年のDCの舞台の大立ち回りにも期待できそうだ。
回り舞台は有効利用されたが、暗転や間延びも多く全体のテンポはいまいち。笑わせて笑わせて苦味を効かせた後に、唐突に悲劇的に超シリアスにさせてから、メインを際立たせる手法は相変わらずのヘロQ。
前作より軽めのタッチかなと前半は思ったが、終ってみれば、仕留め屋たちの葛藤や決断や再生を描いており、実はもっと重いテーマを背負っていたのかもしれない。

関智一@竜次と小西克幸@清十郎は、今回は昔のお師匠らと再会。様々な思いを抱え、師匠を超えようともがき、内面性の演技が見せどころ。彼らを見守り、時に厳しく導く”お譲”おきぬを、長沢美樹が毅然と演じる。又左役の横山望も盛り上げる。時代劇ならでは、智一くんと小西くんのナマ足と太股を思う存分拝見w。智一くんの技は決めるべきところでちゃんと決める。

今回特にゲスト5人が豪華絢爛。
桑島法子と野島健児のカップルな役どころと言えば、アニメ『BLUE GENDER』が浮かんでくるが、舞台では実に初々しい二人だった。ノジケンは純朴な青年を素直に力演。法子ちゃんはとても可愛くて可憐で、舞台役者とは違う発声だが声がよく通り台詞も完璧。素足が綺麗だったな。
今回お目当ての赤星昇一郎は”タコ眼鏡”な家老役で、予想通り胡散臭かったw。随所で笑いをとるサービスぶり。出番は少なかったが、存在感はズッシリ。
マウスプロの舞台では軽めの芝居を披露していた大塚明夫が、うってかわって”怪物”な刺客の役で登場。長身で大柄の大胆不敵な立ち回りはまさに大物の風格。不気味で大袈裟な笑いが場内を席捲し、強烈な印象を残した。ただ、立ち回り的にはまだまだで、小西くんとの間合いでも、慣れた小西くんのほうが腰が入っていたかも。

ゲストの中で本当の主役だったのは、中博史演じる平次だったかもしれない。影のようにいつも居て、いざという時は素早く行動し救出。ラストはたった一人で何十人もの敵を相手に、居合いに殺陣とアクションの数々。『S.S.D.S.』ではナレーターだけに留まっていたアノ中管制官が、ここでは目を瞠るようなキビキビした動きで独り舞台。正直、そのギャップに嬉しい衝撃を受け、舞台役者・中博史の真骨頂を見た思いで、涙ぐんでしまった(;_;)。ストーリーではなく、中さん演じる平次の凄さに感じ入ったのである。

そういう意味では、声優ではなく役者としての皆さんのあらたな魅力を見られて、良い舞台だった。何だかんだいって、ヘロQらしさが出ていて面白かった。
劇中映像も、昔の『必殺』を思わせるケレン味たっぷりな濃さで楽しい。智一くんが唄う主題歌『煉獄に生きて♪』はやっぱり上手い。

大きな拍手の中、舞台は無事終了。中さんを中央にゲスト5人が真ん中に並ぶ。花道側で智一くんと美樹さんが挨拶。智一くんって、こういうお仕舞いの挨拶では何故かカミカミ(笑)。「皆さん、早くトイレに行きたいでしょうから早く済ませます」ってw。最後に、ゲストさんも皆さんも深々と頭をさげて、拍手の中終了した。お疲れ様でした。

アンケを書いて劇場を出る前に、左手の劇場受付に貼ってある公演時間の紙を確認しようとしたら、そこに明夫さんがいらしてビックリ。甚平に着替えて煙草を吸いながら、どなたかと親しそうに会話中。間が出来たので、思いきって「明夫さん、お誕生日おめでとうございます!」と言ったら、明夫さんがニコニコされて「来年6月はマウスプロでもお芝居やるから来てね」と言って下さった。もちろん行きますよ(^^)。毎年行ってますもん。握手だけして頂いて、劇場を出た。
ホントは赤星さんにもお目にかかって、直接「お誕生日おめでとうございます」と言いたかったけれど残念^^;。多忙な赤星さん、楽の後はまたシェイクスピアですね。
舞台『錦鯉』を観てきた。
10月にオープンした《天王洲 銀河劇場》。外観は分らないが、劇場内は前のアートスフィアとあまり変化はなく^^;。ステージは見易いけれどね。

活躍中の劇作家・演出家の土田英生の傑作コメディ。6年前の再演で、北九州や大阪公演を経て、東京公演の運びになったという。
お目当ては笠原浩夫だったので、全く予備知識もないまま観劇。

『セーラー服と機関銃』は女子高校生が組長になる話だったが、これは元サラリーマンが組長になる話。それまでの普通の社会とヤクザの社会との意識や認識による会話や行動のズレを面白おかしく、時にえげつなく、ねちっこく描く。
ヤクザのルールとしてしょっちゅう飛び出すのが「ケジメをつける」。男たちはこのケジメを好んで求め、群れて、縛られ、突っ込んでいく。悩み葛藤しながらも、一本芯を通した男たちの姿は格好良くも見えるが、哀切この上ない。何度もオセロの黒か白かが出てくるが、ヤクザにも「生」か「死」の二択しかないのだろうか。エンディングの女性たち同様、割り切れない寂しさと哀しさを感じた。「愛した〜男たちを〜♪」なんて歌詞がグルグル渦巻いたりしてねw。

主役の水野夫妻を、鈴木一真と田中美里。チラシの写真では髭面の強面とアバズレ女な雰囲気だったが、芝居では全然違っていて、むしろ好印象。
一真さんは元営業マンの気の優しいオドオドした軟らかな雰囲気。後半は突然シャープな風格の男に変貌するが、愛嬌のある存在感はそのまま。美里さんは、明るく飄々としたマイペースぶりで、ぱっと見は気のイイ長屋のおかみさんw。スタイル抜群で、品が良くて可愛かった。

初舞台のヒロシは、経験積んだ役者陣を相手に、軽妙な芝居で一歩も引けをとらず。相当な稽古をされたと伺えて、努力家なのだと思う。晋という、自分と似た役にも恵まれた。だが、晋は火種というかトラブルメーカーのお調子者なので、イライラさせられ好みではなかったな。
たかお鷹は、若い役者相手に高いテンションを維持、渋く忍耐強い芝居で舞台をリードして引き締める。坂口さんという役と同じく重鎮な位置だった。
木南晴夏はキュートでスゴ味もある面白い役どころ。ヘタレ兄弟役の水沼健と有門正太郎は、同じ台詞の掛け合いドモリも息ぴったり、何度も笑わせて貰った。

赤星健治役の笠原浩夫は、長身に派手なネクタイとスーツでかため、登場時から華やかで目立つ存在感。先代の組長の長男なのに、なぜあっさりと水野に跡目を譲ったのかどうしても理由が分らず、いつか水野を裏切るんじゃないかと実は最後まで疑っていたりした(笑)。「クマさん」に拘るノリの良さ、坂口にドツく威勢の良さ、水野への忠義の良さと、良い男づくめだったのに。格好良くて男前な雰囲気の中に、深い魅力を持つ赤星を笠原さんが自然体で好演(*^^*)。赤いクマさんトレーナー姿も可愛かったが、最後はスーツで終らせて欲しかった。外演作品の中でも、出番はたっぷりあり笠原喋りも聞かせてくれたので満足v。

だけど、なぜ「錦鯉」なんだろう。なぜ「クマさん」が好きなんだろう。タイトルも「錦鯉と熊」にすれはよかったのに〜w。
あのエセ方言は役者泣かせだったと思うが、何を喋ってるのか分らない時が何度もあった。事務所が中華料理店になった過程とか、晋が出世した理由とか、方言で説明されてもイマイチ把握できず。方言は観客泣かせでもあったりする^^;。
前半は青、後半は赤で覆われていた事務所。戻ってきた水野は白い服。ラストを予感させた色使い。虎がパンダになっていたのが可愛い(クマじゃないのか)。笠原さんのシャツのクマさんは誰が描いたんだろう。色々な疑問が渦巻いたまま、ステージに並んだ出演者に拍手。

カーテンコールは3回か。最後はみんなで繋いだ手を上へ。笠原さんは隣の美里さんの手を上に振り上げて、足が地面から浮きそうな美里さんw。みんなで手を振って、拍手の中退場した。


終演後、10分休憩後にお待ちかねのトークショー。
作・演出の土田英生×鈴木一真×笠原浩夫の三人が登場。一真さんは黒ジャケットでインナーはライザ・ミネリ? 笠原さんはグレーのTシャツで、一真くんデザインとか。

前のトークショーではヒロシが「モテたいので役者やりました」と言ったそうで、今回は真面目に高尚にいこうと土田氏。笠原さん「俺に任せろっ」と司会をいったん受けたそうだがやはり土田氏へ。丁度、土田氏脚本の『東京タワー』が放送中の時刻で、ダッシュして帰ろうと観客にアピールw。

東京公演も既に半分位終ってるが、笠原さんったら「そうなんですか!?」と他人事w。おまけにそれは口癖だと指摘される。
一真さんは「北九州では好評で、笑ってくれたんだけど東京ではそうでもなくて…」「今日はカテコが3回あったので、後半もこの調子でいける」と。土田氏は観客席にいつもいて、みんな笑わないトコで一人で笑ってるそう。
笠原さんは「ぼんは難しい役だが、やる度に楽しくなってくる。こなれるまで時間がかかったが、ようやく東京で」途端にツッコミが入り「北九州は…ステップ!?(笑)ラーメン美味かった」と食べ物の話へ。

土田氏はトークショーの為にメモも書いてきて取り出し、役者からの疑問を尋ねる。途端に笠原さんが手を挙げて「わかんないこといっぱいあるんですよ」と。
笠原さん疑問1「方言ですね」土田氏によると「名古屋弁ベースのウソ方言」理由は「架空の町にしたかった」とか。無茶苦茶言い難いですと一真さん。確かに「門出だでなぁ」も言い難いw。
笠原さん疑問2「裕子さん、なんであんなにクマにこだわるんですか?」土田氏によると「(新婚旅行の)地中海にあったんです。拘りに理由はない。人ってそういうもんです」と。「だそうですよ、田中さん」と笠原さんが袖に向って言うと、「は〜い」と美里さんの声(笑)。

3人はほぼ年齢が一緒だそうで、ここで観客から「え〜っ!?」の声が(笑)。
他の役者の話も出て、たかお鷹さんは本番前に正露丸飲んでて、ヒロシはオロナミン飲んでるとか。笠原さんは「僕はバナナです」とニンマリ。一真さんは「フリスク食べて、短いクシャミをしておく」。土田氏は「落ち着かないので、フリスクカーカー噛む」とか。
最後は「ありがとうございました」とお礼と共に、和気藹々の雰囲気のまま終了した。お疲れ様でした。

それにしても、笠原さんのStudio Lifeでの出番はいつになるんだろう。やっぱり本家本元でのご出演とトークショーに期待したいのにね。


この芝居は「赤星組」の話で、笠原さんへの「赤星さん」「赤星さん」な台詞もいっぱい。その度に、赤星昇一郎さんが浮かんでほころんでしまふw。いっそ、赤星さんにも登場願っていたら、違ったカラーが出て舞台に濃くが出たことだろう。

TBS『ウルトラマンメビウス』第33話。
その赤星さんが胡散臭い祈祷師の役でゲスト出演。若いお嬢さんに触ったりとちょっぴり役得?w 『功名が辻』といい、最近ドラマの活躍が目覚しい赤星さん。
シアターコクーンで舞台『タンゴ・冬の終わりに』を観てきた。
前売券はとっくに完売で、中2階立見券や当日立見券までわらわら。

狂気にとりつかれた元・役者だった男が、夢と現を彷徨いながら、やがて完全に狂い果てるまでの物語。以前『屋上の狂人』という舞台があったが、ここでは《(古びた)映画館の狂人》というわけだ。
清水邦夫作品、蜷川幸雄演出というと、去年の『幻に心もそぞろ狂おしのわれら将門』以来だが、堤真一、段田安則、高橋洋が全く違った役どころで共演。
84年の初演では安保闘争後の政治的影響を持った作品だったようだが、もっと普遍的物語に作り変えられている。

主人公・盛は役者の心を残したまま狂っていくから、時に滑稽であり時に愛らしくもある。狂気が増すに連れ、どんどん子供返りを繰り返すと共に、着ている服もどんどん剥れて身軽になっていく。さながら自由を求めて羽ばたく鳥のように。
色々な解釈が出来て、色々な思いが湧き上がる。色々な人物にも共鳴できるが、年齢を重ね哀しみや苦しみをより経験した者ほど、盛の心情が痛いほど伝わってきそうだ。盛と一緒に同じものを見て、共に笑いながら、どうぞそっとしておいてと願う。だがパッヘルベルの『カノン』のメロディが、容赦なく冷たく厳しく覆いかぶさる。

盛役の堤真一が、これまでにない魅力と底知れない演技力を見せて圧巻である。
登場する度に、表情も身のこなしもどんどん若くなってくるのには吃驚。黒い前髪を落とした表情は、挑戦的な青年から無邪気な子供へと変貌。楽しそうに語る時のキラキラした瞳、椅子にうずくまる無防備な身体さえ、愛らしい色気を感じる。かと思うと、凛々しくオセローの台詞をはき、激しい口調で怒号したりと、男の色気を見せる。一人で踊る盛のタンゴからは、狂気と色気の混沌が溢れる。身体中で表現された盛は確かにそこに生きていた。まるで堤さん本人が盛であるかの如く。
初演では平幹二郎が演じた盛を、平さんが持つ野心的な執拗さはないものの、堤さんは繊細に丁寧に演じて、男の色気と子供の煌めきを感じさせてくれた。堤さんファンならずとも”魅せられた”ことだろう。

盛のかつての恋人・水尾役の常盤貴子は、”華”のある女優という設定上確かに美しかったが、女優然としたオーラが足りない。舞台の経験不足のせいか、台詞が不明瞭で力強さがない。劇中で放つ男の台詞の時は、声を太くさせて押し出す力量が欲しい。だがタンゴはかなり練習をされたのか、ステップ等のキレが良く綺麗だった。
盛の妻・ぎん役の秋山菜津子は、最初の硬質的印象から徐々に変化し、味わい深く揺るぎない演技を見せてくれた。
水尾の夫・連役の段田安則は、金食住を持った現実世界の人間を凡庸に丹念に演じる。あまりにさりげなく出していたので、アレが伏線になるとは思わなかった。
”役者”でもあったこの3人。或いは、ぎんは”良い妻”と”優しい姉”を演じ、水尾は”愛する恋人”と”良い家庭人”を演じ、連は”良い夫”と”常識人”を演じていたんだろうな。あまりに演じ過ぎて、”役”という狂気に取り込まれたのかもしれない。

蜷川作品にお馴染みの高橋洋は、またしても変幻自在の名バイプレイヤー。元・体育教師の設定とはいえ、洋さんがあんなに身軽で運動神経抜群だったなんて。プリン頭も可愛いっ。重夫はある意味平凡な男の代表者であり、周囲と上手く共存し、普通に女性を愛し、平穏に生活する真面目さ。盛の弟ゆえに抱える不安と葛藤を、笑いと癒しに変えてバネにする賢明さ。兄に激するところも良いが、その後で和解するシーンが楽しい。兄弟二人で『カサブランカ』、ひとり『ライムライト』(チャップリンそっくり)に西部劇とたくさん笑わせてくれた。一番芝居心があったのは重夫、いや洋さんなのかもしれないw。

毬谷友子や新橋耐子は、出番は少なめだがきっちりと演じていて存在感はバッチリ。月川悠貴と沢竜二は、以前に拝見した舞台よりもいい役どころで印象に残る。

大人になり役者となって失った夢や可能性や自由。盛は役者引退の時の言葉さえ自由に喋らせて貰えなかった。役者ゆえに味わう苦悩と葛藤。誰にも分って貰えない孤独と絶望。そんな全ての柵から逃げ出して、静かな暮らしの中で彼が救われる為には、子供にかえっての再生しかなかった。
ようやく見出した”孔雀”は、彼の夢でもあり自由でもあろう。たとえ誰にも見えない幻であっても。いや、堤さんの抱えたアレは、私の目にはホントに”孔雀”に見えてしまった。
アレを抱き締める彼に耐えられず、去ろうとする者はまだいい。ムリヤリ現実に直視させようと、彼から”孔雀”を奪った者は大馬鹿だ。それがリアリティの現実社会であり世間であるのだろう。夢や自由を奪い取られた子供は限りなく不幸だし、葬り去った現実社会は破滅的である。

”現実”に葬られた盛を消して、妻に「ほっ」を言わせて、我々を切なくさせたままで終らせたら、ただの哀愁の”冬”で終るハズだった。
だが、ぎんをゆっくりと我々観客がいる現実世界に戻した後に、ステージは再び”幻”の観衆が締める。冒頭にあった怒号と嘆きの喧騒とは違い、ラストの彼らはみんなにこやかに手を振り何かを訴えているのだ。こちらの現実に向けて。彼らは、盛と同じように消されていった者たちか。或いは、安保闘争に敗れていった者たちか。
これは彼らへの鎮魂の物語であると共に、我々への激励の物語でもあろう。どんなに社会が現実が厳しく不条理であっても、決して負けずに立ち向かっていけよ、という普遍的なメッセージ。”冬の終わり”には、必ず”春”がやってくるハズだから。
ステージに一瞬現れ消えていった孔雀。孔雀の羽が雪のように舞い、ステージ後方の扉が開け放たれる。孔雀という夢はすぐそこに、自由への道もあるじゃないか。

深い思考と胸が熱くなる余韻に包まれながら、出演者にたくさんの拍手を送った。
カーテンコールは3回あったか。3回目にしてようやく堤さんから笑顔がこぼれた。皆さん、お疲れ様でした。

余談。
台詞中に「3日」「3ヶ月」「3年」「30年」の言葉が出てきたが、「3」という数字はこの作品と深い関わりがあるんだろうか。上演時間も休憩挟み約3時間。
ステージは過去の作品で使われた装置のごった煮。階段は『将門』、ステージ後方扉開放とブランコは『メディア』、ボロ衣は『天保』、食べ物は『KITCHEN』とかねw。
『将門』の狂気が”震えのくる残暑”だとしたら、『タンゴ』の狂気は”あたたかい冬の陽光”。
”幻の観客”役だけで総勢80人以上。こんなに多人数の舞台はいまだかつて観た事がない。

不満。
今回ほど、舞台の端々まで使いきった芝居はない。たぶん、向って左端が絶望や嘆き、右端が希望と逃走、中間が妄想と欲望を表していたように思える。横は隅々使うが、『将門』ほどには階段を有効利用していなく、縦の演出は殆ど見られず。
コクーンシートでは、舞台端の役者が見切られて何度も見えなくなる(~_~)。声のみが聞こえ、まるで「たんごらじお」(またパクリかっ^^;)。前に乗り出さないでの注意アナウンスもしつこい。
今回は特に、演出上のイジワルでもされているのかと思うほど見難い舞台だった。そのため芝居にも集中できず感銘も半分。つくづく、座席の良し悪しが感動の良し悪しに影響されるなと感じた。
この芝居はコクーンシートでは観ないほうがいい。中2F立ち見の人はもっと大変だろう。
来春WOWOWで独占放送されるので、見えなかった部分も含め振り返って観たい。
劇団あかぺら倶楽部第28回公演『罠』の楽日を観てきた。
昨日、楽を迎えたDC公演があった劇場のお隣の小ホール2。平日昼にも関わらず満席で、DCと違って男性客がとっても多い。

今回はロバート・トマ作品、あかぺらさんには珍しくサスペンスものである。
実は作品タイトルに覚えがあったが、観始めてようやく気付いた。この『罠』はどこかで観たことがあるっ!(笑)郷田ほづみの演出だったことは容易に思い出され、ひらりさんか湘南アクターズさんかで迷い、ひらり。空中分解で『罠』を観たんだとようやく確信。いつだったろうと手繰り寄せ、それが5年以上前だったと確認。思えばこの『罠』を観て、ひらり。さんや郷田さんの「罠」にハマり(笑)その後もずっと、ひらり。の舞台を観てしまうハメになったのだ。とんでもない作品なのであるw。

あかぺら版『罠』を観ながら、徐々に筋書きが思い出された。不思議と、台詞よりもシーンやカットのほうの記憶が鮮明。置いといたバッグから拳銃を取り出すカット、わざとらしくバッグに白い封筒を入れるカット、注射をムリヤリ打とうとするシーンなど、デジャブように記憶の彼方から蘇ってきて、妙な興奮が湧き上がった。
もちろん、結末も思い出された。前半後の休憩中に感想を書こうとしてた友人に、最後まで見て書いたほうがいいとアドバイス。そう、この話はあっと驚くような「罠」が仕込まれているのだ。

ひらり。版『罠』ももちろん良かったし面白かったが、細部に関してや役者についての記憶が幸いにも欠落^^;。両者を比べることもままならん。
あかぺら版『罠』は、思っていた以上に骨太で堅実で、見応えたっぷりで楽しかった。スピーディな舞台運び、持続する緊迫感、畳み掛けるような幾つものヤマ場、役者の持ち味も充分に生かした水鳥鐵夫の冴え渡る演出。あかぺらテイストも散りばめ、笑いのサービスも忘れない。

2時間20分、舞台に出ずっぱりだったダニエル役の東龍一は、エネルギッシュとバイタリティを感じさせ、若手ながら確かな実力と粘りを見せた。
脇を支える役者陣がとにかく胡散臭い(笑)。
大西健晴の豪放な神父から、山口登のお調子者でお喋り芸術家、ひと言も喋らない池野誠司の警官まで、脇を固めて盛り上げる男優陣。強くて激しい二面性を丹念に演じる岡田佐知恵、豊満な胸であばずれ演技を見せた菅原祥子ら女優陣もお見事。
その中で高木渉は、二重三重にも騙す必要のある難しい役どころだったが、達者な演技で繊細かつ大胆に表現、いつも以上に渋くて格好良かったv。名前のない役も珍しく、いつもの刑事ではなくここでは警視なのも愉快。
こういうサスペンスものでは、役者の力量と稽古の成果がいつも以上に問われる。その点、あかぺら役者さんは観ていて安心感があり、予想以上に話を面白くさせた。

茶髪で長身で甘いマスクの東さん演じるダニエルが、何度も形勢逆転させる中、拳を握り締めながら「やった!」とほくそ笑むシーンがある。これが私には映画版ライトの「勝った!」に聞こえてしょうがなかったw。たまに、藤原くんと東さんがダブってきたりしてね。特に最後のシーンとかw。
確か、ひらり。で観た時の設定は、アノ場所がどうしても分らず、その場所を自白させるのが第一の目的だったと記憶してるが、今回は先に見つかっていたようだ。

観客をたっぷり満足させた結末後、あかぺらオリジナルなのか、キーマンが登場したオマケには大笑い(^o^)。髭は残ってたが、足は毛も剃ってて綺麗w。出演者の中で一番デカいし〜。段取りが違ってたらしく、大西さんが台詞を忘れたことを後で指摘されてやっと気付いたり。

楽恒例の出演者紹介の後は、高木さんから代わったあかぺら代表の大西さんが緊張しながらご挨拶。「あかぺらの理念は変りません」と力強く語った。高木さんはこれからは、あかぺらの看板男優とか(?)。
次回公演のお知らせは、山口さんが下げてた鞄の中から。わざと汚している念の入れようw。次回は来年7月初旬の同じ場所で、演目はまだ決まっていないとか。もちろん観に行きたい。
大きな拍手の中、楽が無事に終了。皆さん、お疲れ様でした。


家に到着したのは7時前。そう、月曜ゴールデンの日テレと言えば「あかぺら」ターイム!
『結界師』では大西さん@斑尾が暴れてたが、『名探偵コナン』でも高木さん@高木刑事が頑張ってたね。
大西さんと山口さんが共演の吹替え版『父親たちの星条旗』を、和彦さんファンの友人にも早速お知らせ。
そういや今回はロビーでも吉田智則くんを見かけなかった。客演舞台の稽古で忙しいのかな。
ドラマティックカンパニー公演『ハッピーライド’06』の楽日を観てきた。ついに3回目だ。
楽日が初見という人達も多くロビーは混雑。抽選箱の引き方が変更されてたが、誘導の仕方が何てマズイ。
今回は会場真ん中の通路側座席で、今までで一番見易かった。チケット取って下さった知人に感謝です。ただ、座席後ろの男性が役者の知人なのか、やたらに大笑いしたりとオーバーリアクションで気が散った^^;。

2回観劇した雑感を書いてきたが、楽日で友人知人の感想をあらためて伺った。自分の感じていたことは決して独りよがりではなく、誰もが少なからずそう感じていたことを知ってホッとした。むしろ友人の感想はもっと過激(笑)。
中尾隆聖@晴子はまるで50代と書いたが、友人によるとありゃ60代か70代だと(なのに妊娠かっ!?^^;)。
関俊彦@鈴子は20歳の息子がいる設定だからせいぜい50〜60代かと感じていたが、友人によるとありゃ70代だよと^^;。しかも長島茂雄ばりの髭だし、妊婦にトランク持たせる演出もヘンだと。

関さんの演出は初心者の部類だから仕方がないが、時代設定が今なのに、どう考えてもオカシな服装や演出がぽろぽろ見えてきてしまう。稽古の時点で誰からもヘンだという声が上がらなかったんだろうか。いや、上げられる雰囲気ではないのだろうか。
真面目できっちりとした安定志向という関さんの性格と持ち味が、舞台全体からも強く感じられて、それがお芝居の本来の面白味を少なくさせてたようにも思われる。

芝居をひたすら面白くさせていたのは、役者たちの演技力とアドリブなどの絶妙さだ。
特に中尾さんは「カップンパ」か「パックンカ」か区別できんが多用し(パックンチョみたい^^;)、「ハヒフヘホ〜♪」までネタにして(前楽から使用?)常に観客を笑わせ楽しませるサービス精神には頭が下る。
中尾さんとの絡みで一歩も引けをとらず、同じく笑いを沢山作り出していたのが堀本等。正直グーリーしか浮かばないので、堀本さんをちょっと見くびっていた。こんなに歌が上手くて、抜群の芝居心がある方だったとは。これからももっともっと堀本さんの芝居を拝見したい。

今まではAキャストで不満タラタラだったが^^;、楽のBキャストは新鮮さもあって、若々しく軟らかな雰囲気なのが良かった。AよりBのほうが、歌の時も声がよく出ていてハリや安定感もある。特に直人役の加藤木賢志は堂々とした歌いっぷりで歌唱力もあり、これならミュージカルに相応しいと思った。おまけにノリがいいのが気に入った。中尾さん相手にアドリブ応酬を決めてくれた。
楽の中尾さんは疲れが出たのか、台詞が出てこない場面が幾つか。役者同士でアドリブなどで乗り切っていた。

もちろん、孤独のランナー役河野智之のバイタリティーとバラエティ溢れる芝居も特筆に価する。10年前よりも存在感が俄然大きくなっていた。
コロス3人も様々な服装で様々な役をこなし大変だったに違いない。コロス1の久保田隆が毎回花を投げているが、これは前方席だけが喜ぶ趣向なので、無くてもどーでもいい(~_~)。

東京公演は大きな拍手の中で無事終了。ステージに全員が揃い、河野さん@天使に手をひかれた鈴子姿の関さんが楚々とした歩き方でステージに登場するのはいつものこと。
その後は全員でメインテーマ♪を唄うのだが、今日だけは2フレーズ目から関さんだけが唄われて、思いがけずに関さんのソロフルソングが会場に流れた。ファンも私も大喜びv。音域が広い曲なので、高いオクターブでは唄い難そうだったが、綺麗に決めてくれた。でもどうやらこれは、出演者皆が示し合わせて、関さんだけを唄わせようとするサプライズだったらしい。

恒例の楽日挨拶。先ほどの歌ではビックリしたとひょうきんな調子で語る関さん。
そして出演者紹介。晴子&隆介をこの方でぜひ見たかったと、関さんが真っ先に紹介されたのが中尾さん。Aキャストも揃い、客演の和田太美夫には小田木さんから花束が贈られた。和田さんは鈴置プロデュース関連の役者さんなので、鈴置さんが巡り会わせて下さったことに感謝だ。
チラシにも毎回封入りされていたが、ここで中尾さんが、他劇団の演出活動のことで皆さんにご迷惑やご心配をおかけしたことを申し訳ないと深く陳謝。またこうして舞台に立てたことにも感謝されていた。深々と頭を下げられていた中尾さん。そしてこの時だけは関さんが、中尾さんではないものに対して怖い眼差しを向けていた。
17日からの大阪公演に向けて、皆さん頑張っていきたいという意気込みを見せて、拍手の中終了した。
最後に、中尾さんと関さんだけが登場して握手。中尾さんだけがお礼を述べて、二人とも舞台袖へと退場。皆さんお疲れ様でした。

それにしても今回のお芝居は、チラシの写真にすっかり騙されていたねという話。あれだけの出番なら、関さんは一番後ろの小さいトコでいいじゃんかと^^;。
物販もイマイチ。どうせサイン入りで販売するなら、ポスターではなくチラシにして欲しかった(500円でいいから)。ポスターが余ってたという噂もw。
大阪公演前なので、あまり色々と文句を言うことを控えたいが(書いてるじゃーん^^;)、皆さんのアンケの感想なども参考にされて、東京公演より更に面白い舞台作りをされて頂きたいと願う。

DCサイトで稽古日誌のブログを書いて下さっている波岡晶子さん。毎回ロビーでご挨拶させて頂いてたが、次回公演ではぜひともご出演していただきたい。ブログ更新の楽しみと共に、波岡さんにもそうお伝えして会場を後にした。

楽日とあって、遠方からいらした友人知人とお会いして、久しぶりにお茶とお喋り。お芝居の話から、やがてアンジェ舞踏会の話へ。12月にはまた関さん、今度こそ男性姿の関さんを(笑)拝見できるので楽しみだ。
ドラマティックカンパニー公演『ハッピーライド’06』の2回目を観てきた。中日を少し過ぎちゃった。
今日はサイン入りポスターが売っていて、思わず記念で購入。

取っていたチケットの日が行けず、今日のは先日急遽取ったもの。分ってはいたが、段差も無い端っこで、前方斜め座席にデカイ女性が座り、ステージが見え難い座席だった(~_~;)。中央カーテン奥の舞台が全く見えず、声のみが聞こえる。まるでラジオ。《はっぴーらいどらじお》である(笑)←剛志さんブログのパクリw。
そのせいか舞台にあまり集中出来ず、コメディなのに殆ど笑いがこぼれてこなかった。何というか、全体的に綺麗に纏まり過ぎて、メリハリも大きな盛り上がりも無く淡々と一本調子。安定感はあるが面白味には欠ける。

ミュージカルだと1曲や2曲は気に入った歌が見つかるハズだが、今回の芝居では心に響き染み入るような歌が見つからない。気付けば「ハッピーライド♪」「ベイビー♪」のフレーズしか覚えておらず^^;。
DCメンバーでは歌いこなせる役者を選んだのだろうが、ミュージカルという舞台においてはまだまだ力不足で歌唱力が弱い。ハンディマイクがあるのに声がドーンと迫ってこない。何人かで歌う箇所やフレーズの歌ではそれなりに聞けるが、フルのソロでは途端に力量が知れる。正直、何度か眠くなってきたのはいつもソロの時だ。これが本職のミュージカル俳優だったら、同じ歌でももっと観客の心を打つことだろう。折角の良い歌なのに生かされないのは残念だ。特に若手はもっと歌唱力をつけて欲しい。

隆介が南と一緒に、直人の曲や振り付けのアレンジをするシーンが一番面白かった。初日とアレンジが変更されてるし、アドリブも増えている。マンガ喫茶でアルバイトって真実のことなのかw。観客を沸かせたし、役者も楽しそうだったし、中尾隆聖の面白テイストが生きた瞬間だった。この芝居はやはり、ベテランがぐいぐいと引っ張っていかねばならない。
堀本等の味わい深さはもちろんだが、和田太美夫の優しさと包容力、小田木美恵の剛健と柔和のバランスの良さは笑いを呼ぶ。特に小田木さんのスタイルの良さと美しい顔には見惚れてしまうが、勇ましく気風のいい堅実な演技には圧倒された。さすがDC女優の要。

ただ、内容的にどうしても納得いかないのが、小田木さん演じた美和子のやったこと。仲良しの晴子の出産の為に、晴子の夫の愛人と会って別れ話の直談判。結果的に若い愛人の流産を招いてしまう。美和子のやったことはお節介を通り越して犯罪にも等しい。お腹の命はどれも等しく重いハズだ。誰かの命の犠牲の上で命を生み出すのだとしたら、それはハッピーでも何でもない。だからラストの「ハッピー」が空しく聞こえ、爽快感がわかない^^;。

10年前の『ハッピーライド』では、この不倫の話を真剣に考えていただろうか。私も10年経って、出産や大変な子育てからちょっと楽になったせいか、今回の話はどうも型どおりの絵空事にしか感じられない。妊娠中はもっと違う問題がさし迫っていたし、もっと違う妊娠生活を送っていたハズだ。妊娠出産を経験した女性が書いたものではないことは明らかだ。
この話はきっと、妊娠出産どころか結婚もしていない若い女性が見たほうが、一番面白く感じられるかもしれない。彼女たちにとってマタニティ生活は、いまだ夢と幸せの象徴なのだろう。

関俊彦@鈴子さんは変らず2シーンのみ。演出がメインなのは分るが、遠目でも髭がうっすら見えて、ドーランでも塗って欲しかった。重そうなトランクを妊婦に持たせるのもどうかと思う^^;。
DC会員の誰かの名前を呼んでくれる一幕目、どこのシーンかやっと分ったw。ラジオの声があまりに良くて、初日はそっちに神経がいっていたのだ。

終演後の簡単な挨拶は持ち回り? 今日は堀本等でいっぱいいっぱいで可愛かったが、すぐ関さんに譲ろうとして、関さんが「えっ!?」とおどける様子が楽しかった。素のコンビネーションはこんなに面白いのにね。

残るは楽日の公演。今度はBキャストなので、Aキャストとも比べてみたい。最後は大きな拍手と満足感で終りたいな。


2007年のDC公演は『居残り佐平次〜次郎長恋の鞘当て〜』と、また時代劇に逆戻り。正直、次郎長ものは岸野組でお腹いっぱいだ。これだと、次郎長が中尾さんで佐平次が関さんかな? 水下きよしの演出も悪くはないが、特に目新しいというわけでもなく。それに今度の場所は前進座。そりゃ遠くなってしまうな。何だか今から既にモヤモヤ感^^;。
ひらり、空中分解。VOL.11『足跡-No name Lives-』楽日を観てきた。
「ひらり」オリジナルメンバー男5人の芝居としては、『10年間』に続き2回目だ。
前説の声はまたまたノリノリの脚本家さん。織田裕二似の(?)金津氏をちょっと拝見したかったw。

脚本は金津泰輔、演出は郷田ほづみという、お馴染みのスタッフ陣。
4人の高校三年生と1人のモンスターとのひと夏の物語。
金津氏が過去の自分を振り返って書かれた「私戯曲」だそうだ。
その年頃の男子高校生が持つ妙な仲間意識、抱く不安や孤独や欲望や葛藤、そして抑えられぬ欲情などが^^;、生き生きと表現されている。
一見、爽やかな青春ものかと思いきや、彼らの中に突然登場したモンスターの存在が、ドラマにミステリー性を加味する。よく練られた脚本だが、先の展開が全く予測できない怖さ。常に得体の知れない不安を抱えたまま引き込まれていく。実際、雷雨の場面では雷鳴音と共に何度かビクつかされ、サスペンスな雰囲気に息を呑んだ。

『10年間』では女装も披露し濃厚だった「ひらり」メンバーが、今度は見事な若作りをして高校生の役。何と学ランに白シャツである。1人はついに全裸であるw。それでも常にエネルギッシュでバイタリティ溢れる空気が流れ、特に不都合感は無い。5人の息の合った掛け合い、笑いやギャグも快調だが、以前と比べて洗練されているのが分る。郷田さんの細やかな演出が、彼らの演技から深味と繊細さを引き出し、心理描写を丹念に追える。

一風変った個性的キャラクターに、「ひらり」メンバーが大胆に挑戦。
今回の若山慎ほど破天荒な衣装だった役者はいないw。登場時はマジで全裸で半尻にドッキリ(笑)着るものもパンツ1枚にセーラー服に体操服に着ぐるみと、この人はどこまでイってしまうんだろう。だが坊主頭と手堅い演技で、不気味な中に愛らしさと優しさが見え、「モンちゃん」と呼びたくなるほど強烈な印象だった。
松川貴弘はこれまでのイケメンなノリから、漫画に出てきそうなオカッパ&眼鏡学生に化けて熱演。ハーモニカを吹く姿はやっぱり格好良かったv。
ずっとハイテンションを維持して物語を引っ張ってくれた大波誠。濃厚なテンションでポイントを抑えムードメーカーぶりを発揮してくれた坂本充広。八幡トモアキは20年後と学生の二つをこなして新たな魅力を見せた。前々回かの芝居ネタがチラっと入っていたのにも笑い。
5人ともハマっていて良かったが、其々の役回りは殆ど変っていないのが歯がゆい。たまにはオロオロする八幡さんや、颯爽とした坂本さんも見てみたい。今までとは逆転した役回りで、そろそろ驚かせて欲しい。

しかし、八幡さん演じるセイギが何故あそこまでカリスマ性を持つキャラクターなのか。未だよく分らなくて首をかしげる。
そもそも仲間と共に行動するのが苦手な私なので、あの年頃の男の子達がいつもツルんだり、誰かが抜けようとすれば止めたり、どうしても抜けられなくなったりする心情が理解できない。つまり、私の高校時代は金津氏の経験されたのとは違っていたわけだ。

モンちゃんの残した足跡は、彼らに深い傷と耐え難い思い出を残し、時を隔てて生きる夢と希望をも残してくれた。ラストで甘酸っぱい思い出に嗚咽するセイギの姿が圧巻で、しみじみとした余韻を残す。目頭が熱くなるようないいラストだった。
できれば、サブちゃんやボンスケやネヅの成長した姿も見たかった。


終演後、アンケを書き終えてロビーに出たら、出演者らを囲んで既に混雑。
郷田さんに真っ先にご挨拶をしてお芝居の感想。羽衣さんでもそうだったが、やはりお仕事がお忙しく、昨日はおいでになれなかったそうだ。今日お会いできたのはラッキーv。2月の湘南アクターズ公演での郷田さんのご出演やアニメ等での声優業も楽しみなことをお伝えしたら、「そうだよなぁ。僕もやらないとなぁ」と頷いて下さった。ファンはやはり《役者・郷田ほづみ》も楽しみにしているんだもの。肝心の『マルドゥック』もまだらしい。ご多忙の中でお身体はご自愛下さるようにと。お写真と握手をお願いして、郷田さんから「元気」をまた頂戴した(*^^*)。
若山さんには、来年公開の映画「陸に上がった軍艦」などのお話。松川さんには、髪型ついでに来年客演のお芝居について。お二人とは握手と初めてのお写真までv。
皆さま、ありがとうございました。お疲れ様でした。
ドラマティックカンパニー公演『ハッピーライド’06』初日を観てきた。
今回もDC会員証で抽選、更に劇中でお名前使用の再抽選なんてのもあり。パンフは千円。ページを開くと、本公演が初演出の関俊彦のコメントが載っていたりv(内容は奥様ラブw)。

『ハッピーライド』は、再演に再演を重ねた20年以上前の作品。4組のカップルが巻き起こすマタニティ・ミュージカル・コメディである。10年前にも一応観たが、設定は覚えてるにしろ、筋書きは殆ど忘れていたようだ。

10年前に関さんが演じた晴子/隆介の兼ね役を、今回は中尾隆聖が演じる。中尾さん演じる晴子が出てきた当初は、会場から笑いが起きた。私も呆然というか苦笑というか^^;。似合う似合わないの前に、今の中尾さんが女性役を舞台で演じていることだけで可笑しい(゜o゜)。それと同時に違和感も^^;。関さんの晴子は華奢で楚々としていて、30代だった関さんが40代の女性を演じることに不都合は感じなかった。でも、今の中尾さんが40代の女性を演じても、どうしても50代にしか見えないっ(笑)。いや、50代で妊娠もありかっ!?と思い込もうとする自分がいたりw。現実として私自身も年を取ったし、自分を基準に考えると、普段でも着物姿の40代夫婦というのはやっぱり考えられない。いや、あの『サザエさん』のように永遠普遍の物語と考えればいいのかっ!?(笑)
とにかく、何十年経とうと、作品自体は色褪せないが、演じる役者や観客そのものは確実に年を取っているのだということを、あらためて認識させられた1幕目であった。

中尾さんの夫役が堀本等で、こちらも良彦/南と兼ね役。良彦は外見に反してちゃらんぽらんで不誠実な夫で、随分ジジ臭く見えたりw。隆介のホモ相手の南は芸能関係の設定なのか、とってもチャーミングで男前v。若い男の子に「かわいい〜」と呟いちゃう南さん、あなたこそ可愛いわっ(笑)。ランニングやダンスはそれなりに決めるし、言うべき時はズバっと言う(隆介に言わされたw)。2幕目で堀本さんの引き立て役で出てきたのが、アトリエ親子劇場でお馴染みのグーリー(偽)&子分二人(本物)で、大いに吹き出した(^o^)。これが関さんの演出だとしたら、楽しい遊び心が嬉しい。中尾さんと堀本さんの掛け合いも絶妙で、さすがベテランの醍醐味を見せる。とにかくキュートな堀本さんにずっと目が釘付けv。

しっかし、肝心の関さんがなかなか出てこなくて、ヒヤヒヤイライラ^^;。やっと登場した関さんは和服姿の母親役で、会場からは嬉しい笑い。ようやく関さんが!という安堵の思いと、関さんもやはりお年を召したなぁという複雑な思い。ほんのちょっぴり歌ってくれたが、出番もほんの少しだけ。

初日は笑いで包まれた温かい雰囲気の中で舞台が終了。カーテンコール最後には、中尾さんと鬘を取ってしまった関さんが出てきて、ちょっと譲り合った後に中尾さんが挨拶。去り際に関さんも「明日も待ってるわ」とにこやかにコメントを残す。
休憩挟んで約2時間20分くらい。中盤は何となくだるかったような退屈だったような気分^^;。お芝居に矛盾と葛藤をちょっぴり抱えたが、あと2公演を観て色々と感じていきたい。

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